こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

156話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 原初の存在④
激しい怒りを浮かべた表情のラルクが、カオスの領域に強制的に侵入してきたのだ。
ラルクは自分の気配を感じ取った存在が神界にいることを不審に思った。
明らかにクリードは人間界にいるはずだった。
それなのに、ナビアが相手の魔力を吸収できるという事実を思い出し、抑えきれない怒りに駆られた。
「一体、何のつてもない新参者が、私の娘を神界に強制的に召喚したというのだ!」
そして、その存在がカオスだと知ることは、ラルクにとってそう難しいことではなかった。
そもそも、それは非常識な出来事だった。
原初の神が許可しない存在が彼の領域に侵入することは、原則的に不可能だからだ。
カオスは動揺することも驚くこともなく、穏やかな表情でラルクを迎え入れた。
「大したものだな。こうして私に会いに来られる子供はめったにいないものだ。」
「くだらないことを言うな! 私の娘はどこだ!」
ドカン!
激怒したラルクが拳で壁を叩くと、空間がぐらりと揺れた。
しかし、そんなことを気にも留めず、カオスは微笑を浮かべていた。
「ラルク!」
ラルクが空間を無理やり引き裂いて入ってくると、それに続いてニクスも現れた。
「原初の神の領域で礼を失するな!それは一線を越える行為だ!」
「こいつが先に私の娘を奪ったのだ。」
「何?ナビアがここにいるの?」
ニクスは周囲を見回したが、ナビアの姿はどこにも見当たらなかった。
とはいえ、ラルクがやたらと慌てるような人物ではないため、ますます疑念が深まった。
ニクスは説明が必要だと言わんばかりの表情でカオスを見つめた。
「もう送り返したよ?」
それは、ナビアを神界へと戻したという意味だった。
ニクスは痛ましい表情を浮かべ、言葉を飲み込んだ。
「それは乱暴だと思いますよ、父上。」
「でも、ただ贈り物を渡したかっただけだよ。」
ラルクはカオスの前にすごすごと歩み寄った。
彼が近くにあったテーブルを力強く掴み、まるでそれをひっくり返そうとするかのような勢いで問いかけた。
ラルクは不機嫌そうに言葉を続けた。
「他人の娘に、なぜお前が贈り物を渡すんだ?」
カオスは、何かを捕まえたかのようにラルクをじっと見つめる。
彼らは今日初めて顔を合わせたばかりだ。
しかし、カオスはそうではなかった。
彼はずっとラルクを見ていた。
信じることもできなかった彼の復帰を、全て観察してきた唯一の神だった。
それでもラルクに対して特別な親近感や共感を抱いているわけではなかった。
彼は「混沌」そのものだった。
どんなルールにも縛られない存在。
ただ、自身と似た混沌を抱えるラルクに対し、複雑で説明のつかない感情を抱いているのは確かだった。
それはラルクだけでなく、彼の娘ナビアに対しても同じだった。
彼らの人生に絡んだ奇妙な因縁に心が動かされたのだ。
「私に縁を知らせてくれたことに対する贈り物だったんだ。」
「何の戯言だ?」
ラルクが苛立たしげに応じると、カオスは彼の頭に手を置いて優しく撫でながら答えた。
「可愛いものだ。」
ラルクは神経質そうにその手を払いのけた。
「俺が創造の神だとでも思っているのか?」
彼がそう言う短い間に、抑えきれなかった感情が膨らんでいった。
ゴゴゴゴゴ!
カオスが広げた領域が地震が起きたかのように揺れ動いた。
すべてが崩れそうな勢いだったが、カオスは全く動揺せずにこう言った。
「まぁ、ああいう性格も悪くはないな。」
ニクスは「いい加減にしてほしい」という気持ちを隠しつつ、やれやれといった表情で周りを見回した。
美しい宮殿は徐々に形を失い、暗闇へと戻りつつあった。
本来ならこの形をもっと長く維持できたはずだったが、ラルクの存在がカオスの領域に反応を引き起こしていた。
ラルクの存在がアザトースの力によって現れたことで、カオスの領域は彼を異物として強く認識していたのである。
「これじゃあ、この空間に長く留まらせるのは無理があるな。」
ラルクを敵と認識する前に、全員を追い出すのが得策だった。
「また会えるといいな、ラルク。」
ラルクは感情を抑えながらも、自分がカオスの相手にはなり得ないことを理解していた。
この空間から放り出されるような反発力を感じた瞬間、ラルクは怒りを込めて叫んだ。
「ふざけるな!なんで俺があんたに会わなきゃならない?また俺の娘に手を出したら、そのときは本当に許さないからな!」
その直後、暗闇がラルクを包み込み、元の場所へと彼を押し戻そうとしていた。
カオスは感情に任せて叫ぶラルクを無表情で見つめ、大きな声で笑った。
その笑い声は次第に遠ざかっていった。
「どうやら気に入ったようですね。」
その意味深なつぶやきを最後に、ラルクはカオスの領域から放り出された。
万神殿の空気に染まった最北端の場所へと送り込まれたのだ。
ニクスは追い出される前に、この場所に先に戻ってきていた。
「原初の神をこんなにも侮れるのは、あなただけです。」
「あいつが私の娘に手を出さなければ、こんなことにはならなかった。」
『ああ、そうだろうね。』
ニクスは特に何も答えなかった。
「ともあれ、カオス様を敬う神々は多いので、慎むべきです。無駄に敵を作る必要はないでしょう。」
すると、ラルクは片方の口角を引き上げて微笑んだ。
「いつか自分の眷属がいる生活を送ったこともあったが、新しい人生ではないか。」
「今回は違う。」
今回は、自分の命よりも大切な娘がいるのではないか?
ラルクはやや戸惑いながら、短く笑い声を漏らした。
「……チェッ。」
彼の苛立ちを見て、ニクスはため息をついた。
「悪いようには考えないでください。父がナビアに贈り物をしたと言っていましたね。それはかなり特別な力であるはずです。」
「でも、なぜそれを与えたのか?何か特別な意図があったのでは?」
「いずれにせよ、でたらめなのは明白です。」
「他の神々とも交流しない原初の神が、一体何の理由があってそんなことをするんだ?そして、そのでたらめは一体何だ?どう考えてもおかしいだろう?」
ラルクは眉間に皺を寄せながら、暗闇に漂う微かな光の気配を周囲に探った。
『一つの神を倒してでも、人間界に戻らなければならない。』
ナビアの問題よりも、まずは自分自身が元の場所に戻ることが最優先だと思えた。
神界を離れて遠く離れたことが、悲しく感じるのはナビアではなく自分自身だった。
ほんの一日二日会えないだけで、これ以上の怒りを抑えることができなかった。
「もう知らない!気に食わないから全部やっつける。今すぐ皆を潰してやる。」
彼はその恐ろしい気を爆発させ、光のように前へと進み出た。
「ガアアア!」
ラルクが拳で満身の地を叩きつけ、破壊し、強引に浄化しようとする姿を見て、ニクスはため息をついた。
「はあ、あの破滅的な奴……」
それだけを見ていると、どちらが侵略者なのか全く分からない状況だった。








