オオカミ屋敷の愛され花嫁

オオカミ屋敷の愛され花嫁【31話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【オオカミ屋敷の愛され花嫁】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

31話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 礼儀知らず

その時だった。

「……リンシー?」

私は耳に馴染みのある声に、ゆっくりと顎を向けた。

『この声って、まさか……?』

アルセンもまた、私に続いて自然に頭を下げた。

私の前に長く影が伸びた。

私は目の前にふわりと現れた少年の顔を確認し、眉をひそめた。

「……ゲイル?」

ゲイル・ラニエロ。

彼はラニエロ家門の次期当主候補であり、私のいとこの兄だった。

今年で12歳になるゲイルは、私やアルセンよりもずっと背が高かった。

比べ物にならないほどに。

私たちは仲が良くなかったが、ゲイルは一方的に私を嫌っていた。

それは、私が強い異能を持っていたためだ。

私のせいで自分が後継者として認められないかもしれないと不安だったのだ。

だから彼は人々の視線を避けて、私をよく苛立たせた。

『本当に嫌だ。』

ゲイルにまで会わなきゃいけないなんて。

私は「はあ」とため息をついた。

たぶん父について神殿に来たのだろう。

「お前、さらわれたんだって?それで、ここで何してんの?」

ゲイルがふてぶてしく言った。

軽蔑のこもった視線がアーセンへと向けられた。

「それに……こんな臭そうな犬の隣にいるなんて。」

「なに?」

アルセンがびくっと立ち上がった。

私は慌ててアルセンを引き留めて座らせた。

この状況でゲイルと争っても得るものはない。

中ではケンドリックとラニエロが私を挟んで交渉の真っ最中だろうし。

ラニエロに隙を与えるわけにはいかない。

そのとき、ゲイルが私の手首をぐいっとつかんだ。

「来い、家に帰るぞ。」

えっ?

ゲイルに引っ張られ、体がぐらりと揺れた。

もしアルセンがすぐに私の手を握り返してくれなかったら、そのままずるずる引きずられていったに違いなかった。

「何してるの、ゲイル!」

「は?誘拐された間抜けな妹を助けに来たんだけど?」

ゲイルが目を見開いた。

私は掴まれた手首を振り払おうとしたが、力でゲイルに勝つのは無理だった。

「これ見てよ!私、誘拐されたんじゃない!私が行ったんだってば!」

「お前が行った?それってどういう意味だ?」

ゲイルは本当に理解できないというように目を大きく見開いた。

その隙に、私は握られた手を振り払い、手首をさすった。

どれだけ強く掴んでいたのか、手首が真っ赤になっていた。

「お兄ちゃんは何も分かってないよ。行こう、アルセン。」

私はアルセンの手を握って、急いでゲイルから離れようとした。

ゲイルが私の肩をつかんで押し戻さなければ、の話だが。

ドン!

「あ……」

私は芝生の上にばたりと倒れてしまった。

私の顔の上に、ゲイルの影が濃く落ちた。

「根性がなくなったな、妹よ。」

ゲイルは私の髪を撫でるふりをしながら、嘲るように言った。

ゲイルの視線を受けた瞬間、体中にゾクゾクとした悪寒が走る。

『いや、そういえばゲイルは確かに今アカデミーにいるはずなのに……』

こいつがなぜここに……。

私は前世の記憶をたどった。

シュービルとアルセンの結婚の話が出た時期、ゲイルは確かにアカデミーにいた。

それなのに、なぜここにいる?

いや、それどころか。

『ゲイルは私が消えれば喜ぶべき人間のはずなのに。』

ゲイルは前世で、私を最も苦しめた人物だ。

また、私が授かった異能を手に入れたとき、いちばん喜んでいたのも彼だった。

『私の異能を脅かされたから。』

ラニエロではどうせ女の子は後継者になれないのに、

ゲイルは私が強い異能を持っているという理由だけで私を憎んでいた。

なのに、どうして急に私を連れて帰ろうなんて言うの?

私が呆然と座っていると、アルセンが両腕を広げて私の前に立ちはだかった。

「お前、今何してるんだ!」

「なんだよ、こいつ。おい、どけ。」

ゲイルがアルセンの頭をコツンと押すと、アルセンはよろけた。

「触るな。」

「何だよ、ったく……。まだ成人式も終わってないガキが何をしようってんだ?」

ゲイルが脅すように拳を振り上げた。

その時。

「成人式を済ませたってのに、まともにできてないのか?こんなふうに牙を剥き出しにして歩き回って。」

ゲイルは私の牙を見つけて嘲笑った。

私は本能的に体を震わせながら、ゲイルを睨みつけた。

「礼儀も知らず……、まるで出来損ないの妹みたいじゃないか。さっさと牙を隠して、みっともない真似はやめろよ。」

ゲイルはいやらしく笑いながら言った。

私の顔が一瞬で真っ赤に染まった。

狼族の屋敷の人たちはみんな、私の怒りっぽさを可愛いと言ってくれたけれど、ゲイルにこんなことを言われると、まるで前世まで否定されたような気分だった。

恥ずかしくて草むらに隠れてしまいたくなった。

怒りを抑えようと努力してみたが、簡単に収まるわけがなかった。

アルセンはもうほとんどゲイルに飛びかかる寸前だった。

私はアルセンが飛びかからないように、アルセンの腰をぎゅっと抱きしめた。

そのとき、

「お嬢様ーっ!」

タイミングよく、少し離れたところから騎士二人が走ってきた。

エイデンは素早く駆け寄り、私を起こしてゲイルから引き離した。

「下がってください。お嬢様に近づけるわけにはいきません。」

「は?何言ってんだよ。あいつはラニエロの奴だろ。守りたいなら、あの間抜けな狼の坊ちゃんでも守ればいいさ。こいつは俺が連れて行く。」

ゲイルが何か言うたびに、鋭い炎が揺れた。

しかしエイデンは、ゲイルが私に近づくことができないよう、毅然と彼を遮った。

「いけません。下がってください。」

エイデンは腰に手をかけ、私とゲイルの間に立ちふさがった。

ゲイルはしばらくエイデンと口論していたが、舌打ちして立ち去った。

「見てろよ、リンシー!」

ゲイルは私をにらみつけると、くるりと背を向けて反対方向へ歩いていった。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

エイデンが私を起こしながら声をかけた。

「リンシー、君……大丈夫?」

アルセンも心配していた。

ゲイルを見た後、青ざめた私の顔を見たのだろう。

私は無理に笑顔を作って答えた。

「うん、大丈夫だよ。」

でも、せっかくのきれいなドレスが汚れてしまった。

ゲイルは前世でも今世でも本当に役に立たない。

はあ。

私は大きく息を吐いた。

 



 

 

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