こんにちは、ちゃむです。
「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

102話ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 皇帝の願い②
ドクン、ドクンと激しく心臓が鳴っていた。
『まさか、そんなはずは。』
今この男は、私を好きだと告白したわけではなく、「もしも」という言葉で、私の気持ちを探っているだけだった。
「……冗談はやめてください、殿下。」
私は勇気を出して彼を睨んだ。
できる限り冷たい目でカイルを見ながら言った。
彼の口元がわずかに皮肉な笑みを浮かべた。
「冗談だと?」
その笑みの終わりはどこか寂しげだった。
彼は両手を上げて手招きをした。
「そうだな、冗談として受け取ってくれ。」
[破壊の神シエルが引き続き涙を流しています。]
「さっき、騎士たちと侍女たちを見たか?」
何の話か分からず、私は戸惑いながら彼を見つめた。
「陛下は君を皇太子妃に任命したいとお考えだ。」
ようやく、なぜ彼が今までそんなことを言っていたのかがわかった。
私の意思を確認していたのだ。
「陛下がどれだけ強引に押しつけても、君がはっきりと拒めば問題ない。だから、私が付き添う必要はないな。」
私は小さくため息をつき、ぎこちなく微笑んだ。
「陛下が何か勘違いなさったのかと思いました。」
私が皇太子妃だなんて、あり得ない話だ。
[破壊の神シエルは、カイルの目の輝きを読み取り、彼が決して冗談を言っていないと断言します。]
[知識の神ヘセドは、「シエルは動物か海産物でなければ理解できない」と言いながら、気にするなと手を振ります。]
[破壊の神シエルがヘセドの足に噛みつきました。]
[知識の神ヘセドは聖具『鋼鉄のブーツ』を履いていたため、ダメージを受けませんでした。]
彼の口元にはうっすらと笑みが浮かんでいたが、目はどこか虚ろに沈んでいた。
皇帝の結婚圧力にかなりのストレスを受けているようだ。
「ご心配なく。突然意図せずに結婚させられるようなことはありませんから。」
私は彼に軽く微笑みながらそう言った。その時、彼の赤い目に深い影が差した。
「………」
複雑な表情を読み取れない彼をじっと見つめていたが、私はそっと視線をそらした。
かすかに沈んだようなカイルの声が聞こえた。
「陛下にはっきりと、結婚に対する君の意思を伝えて、終わったら演武場へ来てくれ。」
しばらくして、彼が静かに口を開いた。
「えっ?」
彼は私の剣の柄を結び直してくれた。
「前に申し込んでいた対練、今日がその本番だ。」
「………」
その言葉に、私はアレス湖での出来事を思い出した。
まったく、思い出しても恥ずかしい。
「またこんなことをするつもりですか?!」
私をからかう彼を見ていたが、彼がふっと笑うと、私の頭を撫でた。
「冗談だ。気をつけて戻るんだ。」
本当に冗談を、冗談じゃないように言うのは才能だと思う。
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少し後、私は謁見室に到着した。
「皇帝陛下にご挨拶申し上げます。」
私は丁寧に皇帝に挨拶をした。
「おお、聖女が来たのか。来るのに不便なことはなかったか?」
頭を下げると皇帝の顔が見えた。
幸いにも顔色は良く見えた。
健康がかなり回復したようだ。
「はい、陛下。このようにお元気なご様子を拝見できて、本当に嬉しいです。先日いただいた贈り物もありがたく受け取りました。」
パンパンに張った袴を整えながら、私は笑顔で答えた。
「私が意識を失っていた時、聖女が聖力で治癒してくれたと聞いている。直接お礼の品を渡すべきだが、まだ体調が完全ではないので、その点はご理解ください。」
「帝国の臣民としてできることをしただけですが、過分なお心遣いをいただき、感謝申し上げます。」
これまでヘセドの祝福を通じて学んできた礼法のおかげで、私は難なく皇帝との対話をこなしていた。
「ところで、カイルには会いましたか?」
皇帝の言葉に、私は先ほどカイルと交わした会話を思い出した。
今日、こうして私を呼んだ本当の理由……。
「はい。先ほどお会いしました。」
私の言葉に、皇帝の口元に笑みが浮かんだ。
「やつは私の息子ではあるが、私の母に似て顔立ちがよくてな。能力については……言うまでもないが。」
[破壊の神シエルが皇帝の言葉に強く同意します。]
[慈愛の神オマーヌは「カイルは何をしてもカイル」だと言います。]
[愛の神オディセイがオマーンの言葉に同意します。]
[知識の神ヘセドが憤りながらもオマーンの言葉に同意します。]
[死の神カイロスが頬を赤らめながらうなずきます。]
[芸術の神モンドが「その部分は認めざるを得ない」と同意します。]
は?今何を言ってるのよ。
私は目の前で繰り広げられる無茶な会話に、どうにか冷静さを保とうと必死だった。
「確か、皇宮に滞在していた当時、カイルの部屋で一夜を共にしたと聞きました。まあ、それ以前から二人の噂はという話が帝国内ではたびたびあったのだ。」
「陛下、それはまったくの誤解で……」
「誤解せずに聞いてください、聖女。」
皇帝は私の言葉を遮って軽く咳払いをした。そして重々しい声で私に言った。
「私はカイルと聖女の政略結婚を進めようと思っている。」
[破壊の神シエルが一縷の望みを胸にしっぽを最高速度で振っています。]
[知識の神ヘセドが不安そうな表情で指を噛んでいます。]
呆然としていた私は口を開いた。
「……申し訳ありません、陛下。」
[破壊の神シエルがヘセドの無防備な手首をかじります。]
[知識の神ヘセドは、シエルを必ず訓練所に送ると誓います。]
皇帝のまぶたがわずかに動いた。
「聖女がかつてカイルを慕っていたと聞いた。帝国の社交界では、その噂で持ちきりだった。」
「でも、それはすべて過ぎたことです。今の私は、皇太子殿下に対して特別な感情を抱いておりませんし、皇太子殿下もまた同様です。」
私の言葉に、皇帝の目元がほころんだ。
しばらくして、彼は冷静な声で口を開いた。
「聖女の存在は帝国民の民心の安定と平和をもたらすのです。その点で皇室は常に神殿と聖女を尊重しています。」
帝国民の大多数が神を信じるエライドでは、神殿の影響力は絶大だった。
「特にアリエル、あなたは歴代の聖女とは違います。自分でも分かっているはずです。」
皇帝の目が鋭く輝いた。
皇帝が私をカイルと結婚させようとする本当の理由に、少しだけ近づけた気がした。
「お似合いだから」とか「神殿と皇室の調和」などのもっともらしい理由を挙げたとしても、その本音はもっと深いところにある。
「私の存在が皇権にどれだけ関係しているのでしょうか?」
私の問いかけに、皇帝のまぶたがわずかに動いた。
[慈愛の神オマーンは、命の恩人であるあなたに感謝し、頑固な皇帝を退けて皇位に就くことをすすめています。]
皇帝の懸念も、決して無意味なものではなかった。
祝祭の場では、どこへ行っても私の話題で持ちきりだ。
多くは私を称賛し、崇める者も多かった。
アレスで魔界のゲートを封じ、帝国を救った聖女。
今回は聖女として任務にあたり、魔族の正体を暴いた。
さらに、魔界と関係する神の神格が暴露されたという噂まで広まり、それはついに私への警戒心として現れ始めていた。
そう思っている人たちもいる。
そしておそらく、それは……皇室の立場からすれば見過ごせないことだったのだろう。
『神と帝国民をつなぐ存在だった聖女が、帝国の英雄であり神になる。皇帝よりも、皇太子よりも強大な英雄として称賛される?』
「私は常に神殿と良好な関係を維持することを願っています。」
皇帝の目から、彼が本当に言いたいことをはっきりと読み取ることができた。
[慈愛の神オマーヌは早く皇位を奪い、その息子を婿として迎えて自分の姿を見せよとあなたを祝福しています。]
[正義の神ヘトゥスはオマーヌの怒りに心から同意しています。]









