こんにちは、ちゃむです。
「偶然助けただけなので、責任は取りません」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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42話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ユーリスの目的
同じ時間、別の場所。
私はあらかじめ準備しておいた仮体で目を開いた。
位置は列車の中間部分。
すべての機械設備の中心となる中枢装置がある場所だ。
常識や概念を超えたこの列車にも、稼働のために欠かせない装置があった。
列車の浮力や車両間の凝集力を調整する中央駆動装置がそれだ。
また、ここは何よりも重要なエネルギー源が集中している場所でもある。
……中央駆動装置が本当に物理的に中央にあるのは、個人的にはちょっと笑える点だが。
ホンテインの発案であり、このクルーズ列車の設計と製作を任された張本人であり、最後には西帝国全域で輸送革命を成し遂げたマスク卿は、常に中央駆動装置を中心に置くようにしていた。
天才的な設計美学がそうさせたんだろう、と流しておくしかない。
ともかくここは、みんなが場所を知っていても、当然安全な運行のために誰も出入りが禁じられている重要な場所だ。
しかし深夜の今この時間。
ここにこっそり入り込んで犯罪を企てている人間がいた。
さまざまな機械装置が一定の音を立てて作動中の中で――暗闇の中、体を隠しながら無理やり制御盤を操作しようとする手が見えた。
特定車両の浮力を担うエネルギー源に不純な魔力を混ぜようとしているのだ。
当然、試みるだけでも裁判で極刑に処されるほどの重大な犯罪である。
影響を受けた車両から始まり、そこに乗っていた乗客たちはそのまま地面に墜落して潰れてしまうだろう。
しかしその恐ろしい結果を覚悟しているのか、それとも気にもしていないのか。
女の手は空中でゆらめく魔力の塊を器用に作り出し、それをその車両に押し込めようとした。
だが、どれだけ試みても跳ね返されるばかり。
手の動きが次第に焦りを帯びてくる。
そろそろよさそうだ。
私は暗闇の中から歩み出て、口を開いた。
「無理だよ。」
「……っ!」
ふっと、相手が大きく動揺するのが感じられた。
「ロクサルはウエスト皇家から降りてきた術式でアーティファクトを全部持っているから……。」
言い終わる前に、ビリビリという破裂音と共にすぐに攻撃魔法が飛んできた。
初雪のように集まった青い火炎。
避ける暇もなかった。魔法は私の胸に直撃した。
パン!という音とともに、何かが爆発する音がした。
まあ当然のことだ。
こっそり犯罪を犯していて見つかった状況。
死ななければ、相手は自分が殺したと思うだろう。
一瞬で視界が切り替わった。
体が視力を失うと、あらかじめ上に貼っておいた第三者の視野に自動で切り替わったのだ。
クモのようにしがみついていたおかげで、世界がひっくり返って見えた。
しがみついているユーリスの手がぶるぶる震えていた。
「なんてこった……。」
そしてそいつは手で口をふさいだ。
顔を失った私の体がゆっくり倒れていくのが見えた。
不意に現れた奴が誰かを察したユーリスの瞳が、まるで凍りついたように震えた。
だが頭を失った私の体はゆっくりと地面に手をつき、立ち上がった。
いてはならないものを見たかのように見つめるユーリスに向かってまっすぐ立ち、私は再生された口元で静かに笑った。
「こんにちは、ユーリス。」
口元からじわじわと黒い液体が流れ落ちる姿を見て、ユーリスは口を開いた。
・
・
・
そして少し後。
私たちは私が作った交渉用のテーブルを囲んで向かい合って座っていた。
「あなた、一体何なの。」
ユーリスはすばやく状況を把握していた。
これ以上騒げば誰かに聞かれ、最悪の結末が決まっていると分かっており、「会話可能な怪物」と見える私の限界を測りかねていたのだ。
とりあえず時間稼ぎをするのだ。
でも……。
正直、私にとっては幸運だった。
本当に派手な戦闘になったら、私はユーリスに対抗する手段がないから!
もちろん私は死なないだろうけど、どのみち弱っている状態の私は、戦闘が続けば相手を制圧する方法がない。
あっちが暴れだしたら、そのまま列車が空中で粉々に砕け散る結末もあり得た!
私が何も答えずただ笑っていると、ユーリスは脅すような低い声で首筋に冷たく問い直してきた。
「一体何なのかって聞いてるんだ。」
でもその質問に答える必要はない。
秘密めいたイメージを守ろうとしているわけじゃない。
もちろんそれもかっこいいけど……。
普通、対話の駆け引きでは、相手の話を聞かないほうが有利になるからだ。
会話を支配する最初の一歩、それはただ、自分が言いたいことだけを話すことから始まる。
私はあえて余裕のあるふりをしながら足を組み、話し始めた。
「エクジャ城のときからおかしかったよね。そのときはあまり気にしなかったけど。」
どれだけフェリアン公女の侍女の地位が名誉であり、報酬が高かったとしても。
生まれた国の敵国に潜入するのは、どんなにそれっぽい理由をつけたところで不可能なことだ。
でもユーリスの存在は最初から異質だった。
他の侍女たちとは違って、唯一の西帝国出身だったから。
だから少し調べてみた。そして目的は金だとすぐに分かった。
西帝国でも東帝国でもない、私の第三国に資金が流れていたからだ。
エクジャが約束した報酬。
それがユーリスの目的だった。
当人が裕福に暮らすための水準を越えて、何かのために資金を集めていたというわけだ。
フェリアン公女が偽物だということが明らかになったとたん――すぐに別の話題を探したのもそのせいだった。
私はゆっくりと言葉を続けた。
「……変な構成があっても、私には関係のないことでしたから。」
また、私が新しい形の霊獣の殻をかぶった日。
ユーリスはホンテインが横にいる姿と、何か他に知っている様子は見せなかった。
私は顎を引き、机に肘をついた。
まだ目を含めた顔の上半分は修復されていない状態だった。
下半分は白い模様を刻んだようで不気味に見えただろうが、これにも理由があった。
見た目が怪物のようでなければ威圧感が出ないから!
ユーリスが歯を食いしばり、顎に力を入れているのが見えた。
私はまるでこの状況を完全に掌握できるかのような気持ちだった。
すべてを知っているかのように、余裕たっぷりで傲慢な様子を見せながら椅子の背にもたれかかった。
より優位な立場で交渉を進めるための演出と駆け引きは、こういう困難な局面でこそ効果的なのだ。ふむ。
私はユーリスが本気で決意して自白する前に、先手を打って口を開いた。もちろん、余裕ぶって。
「……あなたの目的は知ってる。ロクサルを殺すこと。」
「………」
「私があなたと手を組んであげる。」
ユーリスを本格的に疑うべきだったのは、あの子がホンテインに雇われた瞬間からだった。
『あなたと友達だから、せめて情状酌量にはなったみたいよ。』
ホンテインが雇ったと言っても、明確な役職もない妙な雇用に応じるわけがない。
ただ私との友情のためだけに列車に乗るはずがないだろう。
「……」
「君を警戒するようになったのは、ロクサルが現れるのを見てからだ。」
ユーリスの顔色が曇った。
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