こんにちは、ちゃむです。
「偶然助けただけなので、責任は取りません」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
i-only-helped-by-chance-so-i-take-no-responsibility-matome
43話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ユーリスの目的②
数か月前、ロックサルがクルーズ列車に乗車した日。
私はそのときも当然、あちこちにフサラムを設置していて、ロックサルが私とホンテインに挨拶しに来る道中も見張っていた。
そして見たのだ。
ユーリスの近くをすっと通り過ぎるロックサルと、それを見つめるユーリスの瞳を。
ユーリスはいつも透明感があったり、ふわふわしている子だった。
だけどロックサルを見つめるその目には、とても真剣で静かで、奥深く読み取れない静かな怒りがにじんでいた。
それを見た私は、思わず戸惑ってしまった。
『さっきのユーリスの反応は何だったの?』
普通、若い女性が中年男性にあんな態度を見せる場合って?
ほとんど、そうだ。
性的な問題があった場合……ひぃ!
私は心の中で悲鳴を上げ、再び考え込んだ。
『いや、さすがにそれはないはず。ロックサルの方からユーリスのことをまったく知らない様子だった。』
ユーリスとロックサル。
この二人の間に何かつながりがあるのだろうか?
だが、あらゆる西帝国貴族の関係図を網羅している私の記憶の中にも、この二人の接点は存在しなかった。
ユーリスも貴族ではあるけれど、同じ貴族といっても儀礼的な挨拶があるだろうと思ってはいけない。
もちろん、私たちの公国レベルの小さな国は、貴族同士が細かく知っているのが普通だけど、西帝国の大きさを見てみろ。
身分の差も年齢の差もまったく関係のない間柄だった。
だけど、さっきのユーリスは……
『一方的に怒っていたのに。』
・
・
・
その後は特に大げさな推理も必要なかった。
なぜか?
ロックサル・ウェンドムの特異な状況のおかげだ。
あいつは自国でも敵が多いやつだから。
『極端に言えば、うちの国の皇帝とも宿敵関係のやつだし。』
そしてロックサルは権力を手に入れるためにさらにその陰湿な手法を継続して使用し……その過程でウェンドムと対立していた多くの人々が命を落とした。
しかもウェンドムが西帝国の政権を完全に掌握したのは、それほど昔のことではない。
つまり、西帝国には今もロックサルの影響がかなり残っているはずだ。
だからこそ、ユーリスの正体については疑念と同時に結論も出ていた。
第一に:ロックサルに個人的な恨みを持っていること。
単に恨んでいるだけでなく、相手を打ち倒すために資金を集めるほどの執念を持っていること。
第二に:ホンテインの異常な症状や、その裏に潜む勢力について知っていたような発言。
第三に:エクジャー城での簡単な裏調査のとき、何かがきれいに終わらなかった経歴の持ち主だったこと。
『当時はユーリスが目標じゃなかったから、それ以上は深追いされなかったけど……。』
ここでユーリスとロックサルの年齢差まで考えると。
結論が出る。
ユーリスはウェンドムが排除した多くの政敵のうちの、誰かの子供か後継者だということ。
そして私の推測は正しかった。
正確に言えば、ユーリスはロックサルの秘密を暴こうとして殺されたある夫婦の娘だった。
もちろん、ただなんとなくの推測で決めつけたわけではない。
単に「たまたま」ってこともあり得るから!
ただロックサルが財産がなくて嫌で、単に脱税しながら資金洗浄をしたかっただけかもしれないし、ただ大富豪になりたかっただけかもしれない。
ただ、ただ。
だから地上に連絡して、公国の諜報員たちとメロワが連携していって、最終的に書類照合まで終わった。
ユーリスの両親はロックサルに排除された捜査官たちだった。
すでに亡くなった西帝国の先皇帝の元で、貴族たちの秘密や犯罪を捜査していた。
ある意味では、私の同業の先輩たちかもしれない。
けれど驚くべきことはそれだけではなかった。
偶然か、必然か。
ユーリスの両親が最後に捜査していたのは、ロックサルの実験に関することだった。
彼らは、ロックサルが自分の領地で行っていた「兵器製造」の人体実験を深く掘り下げ、帝国にあるある「塔」とも関係があると知ったのだ。
まさに私がいた、その「塔」のことだ。
そして、その塔にたどり着いた彼らは、ついにこっそりと抹殺されてしまった。
もちろん、当時の私は10歳ほどの子どもで、塔でそのようなことが起こっていたとは知る由もなかった。
幼い頃の私は、フサラムたちを外に出して空に夕焼けが染まる様子とか、冬なら屋根の上に雪が積もる様子とか、そんな屋上の風景くらいしか見ることができず、10歳くらいの頃には出入りが禁じられた下層階をフサラムたちに隠れてこっそり歩き回ることもできた。
でもあの頃の私は、あらゆる情報が遮断されて完全に無知な状態。
……うん、正直、歩き回っている子犬とほとんど変わらないレベルの無知さだった。
ご飯が食べたい、母さんに会いたい、そんなことしか考えなかった私にとって、フサラムたちの現状を把握するなんて興味の外のことだった。
フサラムたちの間で何が起きているのか、そんなのを見なきゃいけないなんて思いもしなかった。
むしろ怖くて、避けられるならもっと避けた。
ふと、もし私がその時あの人たちに偶然出会っていたらどうなっていただろう、と悔しく思った。
人生に「もしも」は存在しないものだけど。
私が慎重に突き止めた事実をユーリスに一つずつ餌のように投げかけた。
「君の両親は西帝国の皇帝の元で働く秘密捜査官だったんだよね? そうでしょ?」
「………」
「僕も君と目的は同じだ。ロックサルを排除すること。仲良く協力しよう。」
ユーリスははっきりとした紫色の瞳で私をじっと見つめた。
明確な敵意をたたえた視線だった。
ユーリスはバンッとテーブルを叩いて立ち上がり、私の襟首をつかんだ。
「軽々しく言うな。」
この低くて鋭い声。
「私がこの部屋に入ったとき、生命体は何もいなかった。しかもすべての空間を監視していたのに、お前は突然現れた。怪物め。」
「怪物、だと。」
うぅ………
「こんな能力があるなら、お前は最初からどこかに潜入できたはずだ。軍が私をこうやってわざわざ出てきて直接交渉するふりなんてする必要もなかっただろう。」
そうだ。
ユーリスは私の作戦に必要な三人のうち最後の一人だったが、だからといってこんなふうに大っぴらに協力をお願いするつもりはなかった。
いつも通り、ただ裏で利用するつもりだった。
「今までみんなを騙してたってことか?」
ユーリスが私の首筋を離さずに問い詰めてきた。
「言えよ。なんで今になって交渉とか言い出してんだ。なんで今になって私に正体を明かしたんだ。」
私は……
正直に話すことにした。
「……あなたが……」
「私が?」
「紫色の瞳だから。」
i-only-helped-by-chance-so-i-take-no-responsibility-matome





