こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

375話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 記憶の色
いつだったか、服を選ぼうとクローゼットの前に立った時、私はその場所が服の墓場だと思ったことがあった。
季節にも色がある。
春には明るいトーンの服が、夏には涼しげな色合いが、秋には落ち着いたカラーが流行するように。
しかし私のクローゼットは、時間が流れないかのように、いつも冬にとどまっていた。
黒、グレー、あるいはもっと濃い黒。
黒は、何よりも洗練されて高尚な色だと語ったファッションデザイナーもいた。
その言葉のせいで黒を選んだわけではない。
明るい色の服を着ると肌が膨張して見えるから、黒やグレー系の服がほとんどだった。
窓の外の服たちが春から夏へ、夏から秋へと色を変えていく間にも、私はいつも黒色のままだった。
私にとってクローゼットは、止まった時計のようなもの。
静止した白黒テレビのような存在だったのだが、それが……
「あ!これ、母が私に初めて作ってくれた服なんです。」
ブランシュがシャツドレスを取り出しながら言った。
薄い色合いはまるで目で作った服のようだった。
道を振り返るように、ブランシュはその服を自分の体に当てた。
やはり数年前に作った服なので、今のブランシュにはとても小さかった。
「わあ、これを作ったのは一体何年前なんだろう?こんなに服が小さくなっているのを見ると、時間が本当に早く過ぎたんだと感じます。」
そう言いながら、なぜか懐かしさに微笑みが浮かんだ。
「そうですよね。久しぶりに見ると、こんなに小さくなっているなんて。」
数年が経ってもシャツドレスはそのまま新鮮だった。
その柔らかい質感が触れられるたび、よみがえってくるようだった。
夏の日差しの中で蝶のように踊っていたブランシュ。
当時流れていた音楽の音まで鮮明に思い出される気がした。
うちの子はその時も今も本当に愛らしい。
ぼんやりと記憶を辿っていると、ブランシュがクローゼットから別の服を取り出した。
「わぁ、このトレンチコートも久しぶりですね。お父さんとお母さんにそっくり!」
「あっ、これここにあったのね!今では私には少し小さくなったトレンチコートだけど懐かしい。確かに、あの時セイブルとカップルルックで着たんだよね。」
私はもうサイズが合わなくなり、セイブルもたくさん着回してしまったので着られなくなっていた。
少し不思議な気持ちで服を見回してみた。
クローゼットには多くの色の服と、多くの時間の記憶が詰まっていた。
「このベルベットドレスは、冬にブランシュのために作ったものだったんだね。」
「とても暖かかったです!ああ、マリンルックですね。東部に行ったときに着ていた服ですね。また東部に行きたいです……。」
「次にまた行けばいいですよ。これはブランシュの結婚式のときに使ったネックレスですね。ウェディングドレスも久しぶりに見たくなりました。」
不思議だ。
以前はクローゼットの服を見ても、何の記憶も思い浮かばなかったのに。
服を見るたびに、昨年はどんな服を着ていたっけ、とか、なぜこんな服を着て歩いていたのだろう、という程度のことしか考えなかった。
でも今ではクローゼットの中を見ると、まるで写真をめくるように昔の記憶が蘇るようだった。
こうしてドレスルームが楽しい場所になるなんて。
ブランシュは服を次々と広げてみながら、再びシャツドレスを手に取った。
「このドレスを作ってくれたとき、本当に嬉しかったんです。初めて作ってくれたものでしたから……。お母さんと一緒に踊ったときも、とても楽しかったんです。」
ブランシュが微笑みを浮かべながらシャツドレスをしっかりと抱きしめた。
ああ、なんて可愛らしい我が子だろう。
私たちは共に同じ記憶を思い起こしている。
幸せすぎて、自然と笑みがこぼれた。
「そうですね。当時、ブランシュが踊る姿は本当に可愛らしかったけれど、今度はベリテと一緒に踊ることになるんですね。」
当時はブランシュにあまり関心を示さなかったベリテだった。
それなのに、今こうして二人が結婚するなんて!
久しぶりに結婚式の招待状でも見返してみようかしら、と感慨にふけっていたら、ブランシュが驚いたような目で私を見つめていた。
え?なんでそんなふうに見ているの?
ブランシュの声が突然、衝撃的に聞こえてきた。
「お母さま……私と踊ってくださらないんですか?」
「え?ええっと……ベリテがいるから、私と踊らなくてもいいんじゃない?」
でも、この返事が何か間違っていたようだ。
ブランシュの表情が暗くなった。
そして幼い頃のように、感情をそのまま映した潤んだ目で私を見上げた。
「私はお母さまと踊りたいのですが……駄目ですか?」
ああ!我が子のその目力の攻撃は、太陽のように強烈だ。耐えられるわけがない!
ブランシュの目がさらに輝きを増す前に、私は慌てて答えた。
「もちろん!もちろんいいわよ!」
「本当ですか?約束してくださいね!」
ようやく、ブランシュは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
いやはや、私と踊るのがそんなに嬉しいのか。
ブランシュは私の腕をしっかり掴みながら言った。
「今回もお母さまが作ってくださった服を着たいです!」
期待に満ちた顔でキラキラと目を輝かせるその表情……!
くぅっ、すぐにデザインを考えないといけないではないか!
思わず右腕が勝手に動き出す!
「もちろんです。ブランシュが着たいものを全部作ってあげます!」
「わあ、ありがとうございます!それと、イベールの分も……!私と似たような服なら嬉しいです。」
「そうね、そうね。もうすぐイベールの三回目の誕生日パーティーでもあるし。」
時間が本当に早い。まだ赤ちゃんだったイベールが、いつの間にか三歳!
毎年の誕生日が特別だったけれど、今年はさらに特別な誕生日だ。
この国では三回目の誕生日は特別な意味を持つという。
そのため、普段よりも大きく催し、外国からもいろいろな人を招く予定らしい。
ブランシュは期待に満ちた表情で言った。
「今回は、人魚王国と妖精王国にも公式に招待状を送る予定です。さらに、レタとモルカ、そしてクロネンバーグにも招待状を送ろうかと思っているのですが、よろしいですか?」
「クロネンバーグ?」
そこはアビゲイルの母国であり、戦争を一時的に引き起こした地だ。
元は犯罪者の国であったクロネンバーグ。
心の中ではクロネンバーグを無視したい気持ちもあるが、一応ネレゲンに属する国であり、完全に排除するわけにはいかない。
そして最近は比較的平穏に過ごしているようだ。
警戒していたケインの動きも見られなくなった。
私は少し考えを巡らせた。
「大丈夫ですよ。いずれにせよ大事な場ですから、服作りにもっと注意を払わなければなりませんね。イベールの服も、ブランシュの服も素敵に作ってあげます!」
「ありがとうございます、お母さま!」
ブランシュは明るい笑顔を浮かべながら私の胸に飛び込んできた。
なんて温かくて、なんて愛らしいのだろう!
最近、こうして家族と一緒に穏やかに過ごす時間がほとんどなかったので、幸せなひとときだった……。
そんなブランシュとの会話を楽しんでいると、突然ノックの音が聞こえた。
「セイブリアンです。入ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、セイブル。どうぞ入ってください。」
ドアが開き、何かが中へと駆け込んできた。
セイブルだと思ったら、なんと小さな存在?
「ママ!」
イベールが駆け寄り、私のスカートに顔をうずめてきた。
ああ、自分のお姉さんにそっくりだわ。
「イベール!イベールもパパと一緒に来たの?」
「うん!」
イベールはハキハキと答えた。
もう言葉もしっかりして、元気に走り回れる年齢になったのね!
私の服をしっかりつかんで、自分を見てほしいとばかりに私を引っ張った。
「ママ、何してるの?」
「お姉ちゃんと一緒に服を片付けていたのよ。」
「お姉ちゃん!」
そう言うや否や、イベールは勢いよく走り出してブランシュに飛びついた。
ブランシュもそんなイベールの愛らしさに、どうしていいかわからないといった表情だ。
ああ、この瞬間を絵に描いて記録して、美術館に飾りたいくらいだ。
この愛おしさを私だけが見ているわけにはいかないから。







