継母だけど娘が可愛すぎる

継母だけど娘が可愛すぎる【343話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【継母だけど娘が可愛すぎる】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

343話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 昼と夜

「レイブン。話がある。」

「感慨深いですね、セイブリアン殿下。この時間に一体何の用でしょう・・・」

レイブンは無表情でカップを手に取り、その動作を一旦止めた。

彼の黄金色の瞳が私に固定されていた。

その瞳には、言葉では表現できない反感のような感情が込められていた。

レイブンはゆっくりと席を立ち、窓辺へと歩み寄る。

「レイブン、それ以上近づくな。」

セーブルの口から出た言葉は、刃のように鋭かった。

近づけば無謀では済まされず、刺すような威圧感。

レイブンもその威圧を感じ取ったのか、動きを止めた。

そして、無礼な視線でセーブルを睨みつけた。

「王妃様を見つけたようですね。見つからないかと思っていました。」

「彼女を見分けられないはずがないでしょう。」

「なぜ王妃様を連れて、このような真夜中に訪れるのですか。ここに来た理由は何ですか?誇りを示すためでしょうか?」

レイブンは答えず、冷笑を浮かべていた。

その態度はまさにレイブンらしく、違和感を感じさせないものだ。

「アビゲイルがあなたに尋ねたいことがあるそうです。」

その言葉にレイブンの表情が一瞬固まった。

短い間に様々な考えが彼の頭を駆け巡っているように見えた。

「・・・セイブリアン殿下、少しの間席を外していただけますか。」

その声には珍しく柔らかさが含まれていた。

しかし、セイブリアンには全く効果がないようだった。

「私が屈服すると思いますか?」

「話を聞いても構いません。ただ、席を外していただいた方が、王妃様がお話しやすいでしょう。」

依然として謙虚な態度を崩さないレイブン。

その物腰には、隠された自信がうかがえた。

私は弱々しい表情をセイブルに見せたくなかった。

「お願い、セイブル。」

「・・・何かあればすぐに戻ってきます。」

彼は気乗りしない様子だったが、部屋を出ていった。

足音は近くで止まり、おそらくドアのすぐ後ろに立っているようだ。

深呼吸をしてから、私はレイヴンを見た。

彼は牢獄の中にいながらも、来訪者を迎える主人のように落ち着いていた。

「久しぶりですね、レイヴン卿。」

「ええ、久しぶりです。それにしても、どんなご用件でいらっしゃいましたか?まさか私を見たいからお越しになったわけではないでしょう。」

彼は穏やかに笑みを浮かべる。

私がここに来た理由を知らないはずがなかった。

私は率直に話を切り出した。

「いくつか聞きたいことがあります。」

「どうぞ、夜明けまでにはすべてお答えしましょう。」

「そんなに長くいるつもりはありません。レイヴン卿が自身の罪を告白したと聞きました。どんな動機があったのですか?」

なぜセイブルと私を会わせようとしたのだろう?

自分の荒れ果てた姿をセイブルに見せたかったのだろうか?

揺れる炎の中に映るレイヴンの影が、揺れるたびに共鳴するように震える。

その時、夜の静寂を破るように低い声が響いた。

「・・・会いたかったからです。」

「会いたかった?」

私に?

私は何も言えずに彼を見つめた。

レイヴンは沈黙のまま視線を落とした。

「最初は待とうと思っていました。いずれ王妃様がその姿に飽き、返事をくれると信じていました。」

「・・・」

「でも、王妃様からは一向に連絡がありませんでした。2年ほど経ったころ、私も諦めました。どうすることもできませんでした。このままだと永遠に王妃様にお会いすることができないと思ったのです。」

彼は薄く笑った。

虚ろな笑みで。

まるで全てを諦めた、絶望に近い表情だった。

「もし私が無理やり連れて行こうとしたら、王妃様の魔法にやられていたことでしょう。そして私が二度と見つけられない場所へ逃げ去っていたに違いありません。」

確かにその通りだった。

レイヴンが呪いを解く方法を知らなかったとしたら、最初の手紙を受け取った瞬間に私は消えていただろう。

また、この姿を証拠として彼の妻になることもなかっただろう。

どれだけ長い時間が経とうと。

「それで、陛下を探しに行ったのですね。もし陛下が王妃様を見つけてくだされば、宮殿でお会いできると考えたからですか?ただ私と再び会いたかったから、そうしたというのですか?」

まだ信じられなかったが、彼の真摯な眼差しには嘘がなかった。

彼は優しげに目を細めながら言った。

「それだけが理由ではありません。私が少しでも贖罪をすることで、王妃様が私を許してくださるのではないか、そんな思いもありました。」

「私がどこにいて、どのような姿に変わったのか、セイブルに話さなかった理由をお聞きになりたいのですか?」

「王妃様が私を見つけられなかったなら、それは私に資格がなかっただけだと思ったのです。」

彼の声には、どこか諦めに近い感情が含まれていた。

セイブルが私を認識できないことを予期していたかのようだった。

「不自然に聞こえるかもしれませんが、王妃様を守りたいという思いは本心です。罪人として王妃様を見守ることができるなら、終生囚人として生きても構いません。」

私はその言葉に何も反論しなかった。

彼の口から溢れ出る全てが嘘であるようには思えなかったからだ。

レイヴンは静かに私を見つめた後、部屋の本棚を開けて何かを取り出し、それを手に差し出した。

「この宝石には、王妃様の呪いを緩和する魔法が込められています。ご希望であればお渡しいたします。」

彼の手には金色に輝く宝石が載っていた。

豪華で、どこか毒を含んでいるような輝きだ。

その宝石から目を逸らすことはできなかった。

この世の全ての宝石を集めても、それほどの魅力を放つものはないだろう。

それが正しいかどうかは分からなかったが、私は意識を失ったような状態でそれを受け取った。

レイヴンは空いた手を見つめながら続けて言った。

「ですが、ここでお伝えしておかなければならないことがあります。この魔法には隠された秘密があるのです。」

「・・・どんな秘密ですか?」

「この魔法を使えば、夜ごとに元の姿に戻れると説明しましたが・・・それだけではなく・・・」

彼は声を少し落として言った。

誘惑するような、試すような口調だった。

「正確に言うと、夜だけではなく一日の半分です。昼か夜、宝石を砕けば、その時間の間はずっと美しい姿で過ごせるでしょう。」

彼の言葉に影のように沈黙が漂っていた。

昼か夜。

そう聞くと、まばゆい太陽の光と明け方の闇が頭をよぎった。

彼はかすかに微笑んだ。

「昼と夜、どちらをお選びになりますか?」

「・・・」

手に持った宝石が突然重く感じられた。

私はその宝石を慎重に握りしめた後、別れの挨拶もせずに館を後にした。

背中にレイヴンの視線を感じながら。

宮殿に戻る道すがら、セイブルは黙り込んでいた。

明らかにレイヴンの話をすべて聞いていたにも関わらず。

そして帰宅後、私たちは一つの寝台に横たわった。

夜が更けても眠ることができなかった。

眠れるはずもなかった。

夜だけでも美しい姿で生きられることを切望していたのに、自分に選択肢が与えられるとは。

いったいどの時間を選ぶべきだろう。

昼であれば、外での活動には問題がなく、誰かと会ったり対話する際に不自由することもないだろう。

しかし、夜ごとこの魅惑的な顔と体でセイブルに抱かれることになるとは。

宮殿に戻ってから、私はセイブルとの夫婦関係を持てなかった。

彼に申し訳なかったから。

彼から美しい妻を奪い、その役割を占めたような罪悪感。

どちらを選ぶことがセイブルにとっても良いのだろうか。

セイブルはどう考えているのだろう。

私は背を向けて横になっていたが、そっと体を起こした。

「セイブル、起きていますか?」

「ええ、起きています。」

眠気を少しも感じさせない声だ。

彼も私と同じく、考え事が多いのだろう。

「さっきレイヴンが言っていた話を聞いていましたか?」

「・・・聞いていました。」

その話を聞きながら、セイブルは何を考えていたのだろう。

私は彼の手を握りたい衝動を抑えながら口を開いた。

「セイブルはどちらがいいと思いますか?あなたが望むほうを選びます。」

どちらにも長所があり、どちらも今の自分よりはましだった。

沈黙が私たちの間を覆い、暗闇の中、彼の声が響いた。

「・・・それは私には選べない問題です。」

「遠慮なく言ってください。何を望んでいるのですか?」

「私が望むものは・・・。」

彼が言いかけた後、私を引き寄せて腕を回した。

押し返そうとしたが、静かにその腕の中に身を任せた。

彼からは涼やかな香りが漂っていた。

目を閉じた暗闇の中でも、セイブルの視線は肌で感じることができた。

彼がそっと囁くように言葉を続けた。

「私はあなたを望みました。2年間、あなたを探し続けました。そして今、こうしてあなたがここにいる。それだけで私の願いは叶い、十分に幸せです。」

「・・・」

「私は選べません、ビビ。選ぶ必要があるなら、あなたが選んでください。あなたは何を望みますか?」

私が望むもの? 私が望むものは・・・。

私は唇を噛み締めた。何を選ぶべきなのか、答えが出なかった。

セイブルは静かに私の髪を撫でていた。

それは言葉にしなくても十分に伝わる、彼なりの慰めと応援。

彼の手が止まり、夜が深まる頃、私はそっと彼の腕の中を抜け出した。

寝台から降りると、静まり返った回廊に出て、月明かりが溢れる宮殿を眺めた。

私は窓辺に腰掛け、手にした宝石を見つめていた。

宝石はレイヴンの瞳のように金色に輝いていた。

私が本当に望むものは何なのだろう。

醜い姿のまま生きた2年間、私が一番望んでいたのは何だったのか。

昼と夜のどちらを選ぶべきだろうか。

私はしばらく月光の下に立っていた。

夜が静かに過ぎ、夜明けが訪れた。

選択の時だった。

 



 

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