家族ごっこはもうやめます

家族ごっこはもうやめます【181話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【家族ごっこはもうやめます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

181話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • カミーラ⑤

ラルクは、光が少しでも入ると死にそうな人のように、ぎっちり閉じていたカーテンをまた引いて閉めた。

だから久しぶりに空の移り変わる様子をじっと見守ることになった。

夕焼けが沈み、空は青く染まりながら暗くなった。

やがて雲が空を覆い、月明かりのない夜となった。

やがて空から雨が降り出した。

ラルクは窓辺に寄りかかって、しとしと降る雨を黙って眺めていた。

どれほどそうしていたのだろうか?

じわじわと空が白んでいった。

雨は止むことなく降り続けた。

そうして朝日が差した。

女は来なかった。

雨が降っているのに来なかった。

夜が明けたのに、朝になっても来なかった。

当然だろうか?

あれほど無礼な言葉をぶつけて、傷口をえぐり、責め立てたのだから、戻ってくるはずがない。

それでもラルクは窓の外ばかりを見ていた。

あの入り口から出ていけない彼は、待つことしかできなかった。

なぜ自分があの女を待っているのかもわからなかった。

ただ、そうすべきだと思った。

「!」

そのとき、玄関から女が入ってくるのが見えた。

ラルクはもう何も考えず、すぐさま彼女の前に移動した。

カミーラは突然目の前に現れたラルクの胸に顔をぶつけてしまった。

「きゃっ!」

胸がどれほど硬いのか、まるで石壁に顔をぶつけたようだった。

「ううっ……。」

いや、これ本当に石壁なの?

カミーラは自分が何にぶつかったのかもわからなかった。

彼女が熱っぽい顔をさすりながら後ろに下がろうとしたとき、ラルクが彼女の腰を引き寄せた。

まるで逃げ出せないように。

カミーラは驚いて素早くカバーを持ち上げた。

「おっ、公爵様!」

彼女は親しい友人でも見つけたかのようにパッと笑った。

そのあまりにも何事もなかったような態度に、ラルクは一瞬、昨日の出来事が夢だったのではと思ったほどだった。

ラルクは何も言えないまま沈黙し、雨音と微かな息遣いだけが静けさを満たした。

カミーラもまた静かだった。

彼女は嬉しそうに笑ったかと思うと、すぐに申し訳なさそうに目を伏せた。

へへ、と間の抜けたような笑みが、目に染みるほど切なく、視界を潤ませた。

彼女の笑顔はまるで泣きはらした顔に無理に笑みを浮かべたようで、顔全体が涙に濡れているようだった。

でも、それが妙に明るく見えた。

とても不思議なほどに。

その明るさには、張りつめたような生命力が漂っていた。

カミーラは沈黙が気まずかったのか、先に口を開いた。

「雨が降ってるのに、どうして傘も持たずに出てきたんですか?」

ラルクは答えず、沈黙で応じるだけでも十分気まずいはずなのに、彼女は全く気にせずに笑った。

「散歩するにはいい天気じゃないですね。」

彼女はもじもじしながら手を伸ばした。

何をするつもりだ?

ラルクは彼女の動きをただ静かに見守った。

カミーラは手で傘を作るようにして彼の頭を覆ってやった。

「背がとても高いんですね……。」

軽く触れただけなのに、彼女の体は震えていた。

寒さのせいか、全身が小刻みに震えているのが感じられた。

その状態でも、彼女はラルクのために手で傘を作って差し出していた。

ラルクは彼女を注意深く観察した。

彼女が寒さを感じていることよりも、もっと重要な事実に気づいた。

保護魔法が解けていたのだ。

自分が屋敷を離れている間に、何かが彼女を襲ったということだった。

『俺がかけた魔法が壊れるくらいなら、この女は本来なら昨日死んでたはずだ。』

その事実に、血の気が引いていった。

カミーラもまたラルクと同じようなことを思っていたのか、ぱっと笑ってこう言った。

「昨日、私に何かしてくださったんですよね?」

「………」

ラルクは答えなかった。

カミーラは聞かなくても全部わかっているように、いたずらっぽく目をしぱしぱさせた。

まるでバカみたいな表情だった。

だから視線をそらすことができなかった。

この女はどうしてこんなに平然としていられるんだ?

昨日、自分に何をしたか覚えていないのか?

「ふう。」

カミーラは何か思い出したかのように懐から手を出した。

「はい!」

花一輪だった。

「手ぶらで戻るのはなんだか気まずい気がして……。」

彼女がそっと頬をかいた。

そしてそっと手を動かして肉をいじりながらラルクを見上げた。

「でも、私のこと待っていてくださったんですか?」

「………」

「戻ってきてもいいんですか?」

「………」

「昨日はごめんなさい。」

ひどいことをしたのは自分の方なのに、彼女は謝っていた。

「花、受け取っていただけますか?これを手に入れるの、大変だったんです。」

ラルクの顔のすぐそばに花が近づいた。

香りがふわりと漂ってきた。

花ではなく、彼女からの香りだった。

これまではただ春風のようだと思っていただけだった。

『なぜ春風だと感じたのか、今ようやくわかった。』

春風というものは、かすかに花の香りを含んでいるものだ。

そのことに気づくと、無表情を装っていた顔が少し崩れ始めた。

自分は不器用で、この女のように何もないふりはできなかった。

カミーラは少し震える声で言った。

「ごめんなさい……。私、行くところがなくて……。いえ、ただここにいたくて……。」

だから戻ってきた。

ここにとどまりたくて。

ここが好きで。

まるでバカみたいに戻ってきたのだ。

こんなゴミためみたいな場所が何だっていう。

こんな汚らしい所のどこがいいっていう。

あんな物乞いみたいなやつがいる場所に戻ってきたんだ。

自分からここに入ってきたってこと。

だから放っておけなかった。

「入りなよ。」

ラルクは彼女の腰を引き寄せたまま、手のひらで魔法陣を描いた。

パッ!

視界が彼の寝室に変わった。

カミーラは突然の空間の変化に、驚いたように目をぱちくりさせた。

『コピーキャットの魔法使いでもないのに、こんなに多彩な魔法を使えるの?』

自分もかなり秘密の多い人間だと思っていたが、ラルクと比べたら雛鳥レベルだった。

使った魔法はさておき、ラルクの寝室はたった一日で部屋はめちゃくちゃになっていた。

カミーラはこの部屋がこうなった理由が自分のせいだと気づいて気まずそうにしていた。

『私がそれだけ厄介だったんだな。』

カミーラがしょんぼりと部屋を見回しているとき、シャアッと黒いタオルが飛んできた。

「拭け。」

ラルクが水気を拭けと言って投げたのだった。

彼は無表情で部屋の中に向かって手を一振りした。

すると、何も触れていないのに壁の暖炉がついた。

パチッ!

指を鳴らすと、部屋の角にパーテーションが立って簡易な更衣室ができあがった。

そして新しい服が彼の手のひらに落ちてきた。

サイズは合わないだろうが、とりあえず着替えさせるための服だ。

彼はカミーラに服を差し出した。

彼女の服は雨でびしょ濡れで、このままだとまずかったからだ。

「着替えな。」

「……ありがとうございます。」

カミーラは服を受け取り、パーテーションの奥へと入って、こそこそと着替えを始めた。

濡れていた服が擦れる音がはっきりと聞こえてきた。

ラルクは眉間にしわを寄せながら部屋のあちこちを見回した。

部屋の中が荒れているので、まずは片付けようと考えたのだ。

彼は特に意味もなく物をパタパタと動かしながら整理を始めた。

「着替えました。」

カミーラは少し大きめの黒い服を着て、タオルで髪を拭きながら出てきた。

彼女は部屋を片付けていたラルクと目が合うと、ほほえみを浮かべた。

「公爵様、さっぱりしたお顔ですね。」

ラルクは不快な言葉を聞いたという表情で目を細めた。

なんだか意味不明な声……。

そのとき、カミーラが小さくくしゃみをした。

「ちょっと待ってて。」

ラルクは寝室に彼女を置いて少しその場を離れようとしたが、すぐに止まり、振り返った。

「どこにも行くな。」

カミーラが不思議そうに彼を呼ぼうとしたとき、ラルクは指を鳴らした。

パチッ!

視界はキッチンに変わった。

彼は特に計画があったわけではなく、とりあえずキッチンに来ただけだったので、ぎこちない動きであれこれ物をいじって見回した。

「なんでこんなに多いんだ?」

女性が来てから数日間で、部屋が少し賑やかになったように感じられた。

『温かいものでも飲ませた方がいいか。』

彼は温かい蜂蜜茶を作って部屋へ戻った。

カミーラはいつの間にか壁の前に座り込み、ソファの背にもたれたまま床に座っていた。

ソファに座ればいいのに、なぜ床に座るのか。

ラルクは理解できないと思いながら、彼女の横に近づき、黒いテーブルの上にカップをコトンと置いた。

「飲め。」

「何ですか?」

「蜂蜜茶。」

カミーラはまさか彼が蜂蜜茶を淹れてくれるとは思っていなかったようで、震える手でカップを受け取った。

ラルクはソファに座り、脚を組んだ。

カミーラは蜂蜜茶をひと口飲んだ。

温かくて甘かった。

冷え切った体がじんわりと溶けていくような感じがとても心地よかった。

「ふう。」

彼女がほっと息をついて笑う声を出すと、ラルクが不思議そうな目で彼女を見下ろした。

ゆらめく黄色い炎が彼女の顔を照らしていた。

「なぜ笑う?」

その問いに、カミーラは少し考えた。

正直に言おうか?

「ただ、公爵様が可愛くて。」

「……。」

ラルクは本当に言葉が出なかった。

カミーラは揺れる炎を見つめながら口を開いた。

「主さまには、ひどいことをしてしまってすみません。」

彼女は昨日からずっと心が重かった。

自分があまりに情けなくて、耐えるのがつらかった。

そのために逃げ出してしまったのだ。

実際、昨日エセルレッド公爵の元へ少しの間行くつもりではあった。

『暗殺者が私を見つけたから。』

生き延びれば戻ってくるし、死んでしまったらそれまでだと考えていた。

だが、思いがけず女中が暗殺者の爆発を防いでくれた。

カミーラはそれがラルクの命令だとすぐに気づいた。

「私が去るとき、あなたの悲しみを少しでも持っていけたらいいなって、そう思ったんです。」

だからこそ、私はあなたから受けた助けのうち、ごく一部でもお返しできるはずだから。

ラルクが静かに言った。

「私は悲しくないよ。」

カミーラは彼と視線を交わしながら、堂々と微笑んだ。

「私が思わせてしまったみたいですね。」

彼女はあっさりとすべてを自分のせいにした。

カミーラはカップを持ったまま、こくりこくりとうとうとし始めた。

たぶん一睡もしていなかったのだろう。

体が横にぐらりと倒れかけたとき、ラルクが肩を支えた。

手から落ちそうになった蜂蜜茶の入ったカップも受け取った。

カミーラは完全にぐっすり眠ってしまい、落としたことにも気づかなかった。

ラルクはため息をつくように彼女を抱き上げてソファに寝かせた

彼は眠るカミーラをじっと見つめた。

花は静かにそっと置かれた。

「君って本当に変わった人だな。」

だから気になっていた。

何かと妙な行動で視線を奪っていくので、無視することができなかった。

ラルクはテーブルに置かれた水に差した花を見つめたあと、花瓶をそっと揺らした。

『僕に花をくれるなんて。』

まったく彼女らしい贈り物だった。

 



 

 

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