家族ごっこはもうやめます【１１１話】ネタバレ

首都は突然登場した第二皇子の存在で大騒ぎになり、貴族たちの集まりごとにクリードに関するひそひそ話でいっぱいだった。

ある貴婦人のサロンに集まった様々な階層の貴族たちも集まるやいなや、クリードの話を切り出している。

「陛下は明らかに魔力の香りを感じた。しかも、それなら言うまでもなく、確かな実の子で」

このことは疑問なところが多かった。

死んだと発表され、葬儀まで行った第二皇子が突然生きて帰ってくるなんて、とても不思議ではないか？

クリードは静かに現れたこともあったし。

彼は決心して自分の存在を最も劇的な方法で満天下に知らせてしまった。

民衆はすでに黒い悪魔が死んだと思っていた第二皇子だったという事実にあらゆる話をまき散らしていたる。

「実子であることを示したやり方が本当に良かったです。しかし、それでは何をしますか？どうせ継承権を放棄したそうだが」

「どうしても勢力が圧倒的に押されるから、前もって尻尾を巻いたのだ」

「それならクリード皇子は頭のいい人だね」

「もう皇子ではなく、大公と呼ばなければならないのではないか？」

「ははは、大公か・・・・」

大公、すでに死滅して消えたその爵位の復活に人々がしばらく沈黙する。

「大公に冊封されて受ける性がよりによって『アイルツ』だなんて、本当に偶然ではないですか？陛下は何のお考えなのかわかりません」

「ただアイルツ公爵になれば問題があるが、大公なら最初から別のことになってしまうことはある」

簡単に言えば、アイルツという発音だけの完全に新しい家門が誕生したという意味だ。

「それはそうですね。「殿下」という呼び名がつくから」

これは単に階級が一段階上がるという意味ではなかった。

公爵は貴族階級の頂点。

しかし、大公は貴族ではない。

その階級は「皇族」だった。

そのため、「殿下」と呼ばれるのだ。

その時、じっと話を聞いていたある貴婦人が茶碗を下ろしてそれとなく話した。

「聞くと、クリード皇子の安危を見守ってきたのが、エセルレッド公爵家だそうです」

「エセレッド公爵家」という言葉に、貴族たちは「あなた」も「私」もくすくす笑いながら嘲笑した。

「一時、恋物語で家の人気が高かった時、私はそこで皇后を輩出しようとしたと思いました。一つ予想と違って、またカタツムリのように家に隠れてしまったのですが」

ある紳士の丁重な皮肉に込められた意味は明確だった。

エセレッドを臆病者とからかったのだ。

「悲壮の武器でクリード皇子を隠していたのでしょうか？しかし、それならかなり間違ったようだが・・・皇位継承権を布期してしまったじゃないですか」

「鶏を追っていた犬が屋根だけを眺めるのではないでしょうか？」

すると、笑いが周囲を一気に襲う。

特権層の馬鹿なことは、いつでも最も面白い話だった。

「それでは、エセルレッドが起死回生する機会は事実上もう終わったと見てもいいですね？」

「エセルレッド公女が秀でているそうだが、あの綺麗な顔でアグニス令息やアレス皇子を惑わさない限り、難しいだろう」

彼らがエセルレッドに対する嘲弄を思う存分口にする時だった。

「ご主人様、急報です」

ある紳士の小間使いが急いで手紙ー通を持ってきて差し出した。

葉巻を燃やしながらエセルレッドを嘲弄した紳士は、眉をつり上げながら手紙を開ける。

「・・・これはどういうことだ！？」

「どうしたんですか？」

「アグニスで急に魔力石の流通を中断するというね！おかしいんじゃないか！」

紳士は魔力石で作った品物を売る事業体を持っていた。

そのため、青天の露震のような知らせを聞くやいなや、顔色が真っ青になってしまった。

「はあ、採掘に問題があるの？それで供給を中断する？全部個別だよ！」

魔力石の最大供給先であるアグニスで供給を中断すれば、魔力石の価格が天井知らずに跳ね上がる。

しょっちゅうではないが、時々アグニスはこのように軋礫を行使し、周辺を逼迫した。

すでに世の中の多くの部分が魔力石に依存して途方もない発展を遂げていた。

したがって、魔力石は絶対に消えてはならないエネルギー資源だった。

「私はもう行きます！」

「わ、私も行ってみます」

この知らせに顔色が変わった人は一人ではなかった。

魔力石が必要な事業体はあまりにも多かったから。

あっという間に首都が混乱に陥った時、ルチア公爵家だからといって事情は変わらなかった。

「アグニス、気が狂ったな！」

ルチア公爵は怒りで顔を真っ赤にしていた。

「供給が一週間だけ途切れても列車の稼動は不可能だ！ステンリー侯爵家の抱き込みはどうなった？皇后さまがきっと今度われわれの方に抱き込むとおっしゃったんじゃないか！」

ルチア公爵の拭き取りに補佐陣が困惑し、お互いの顔色をうかがったが、ようやく口を開いた。

「実は、スタンレー侯爵家との取引が失敗に終わったと、今日、皇后宮から伝言が届きました。バミロ・ステリー卿がクリード皇子殿下と試合中に何らかの取引があったことを自白したと・・・」

「え？急にクリード皇子の話がなんで出てくる！？」

補佐官はすぐに皇后宮からの手紙を公爵に渡した。

ルチア公爵は書信を一気に読み下し、彼は怒りに勝てず、床に投げつけた。

「なんてこった！もし彼らなら我々の備蓄がなくなるまで供給を止めるに違いない。私が直接スタンレー侯爵に会ってみないと！」

「でも書信では当分、スタンレー侯爵家との接触を控えるようにと・・・」

「皇后が事を間違えたのに、手を離してじっとしていろと？」

ルチア公爵はスタンレー侯爵家を訪問した。

しかし、そこにはすでにボナード宰相が皇帝の命で到着している状態だった。

ボナード首相がルチア公爵を眺めながら、心の中が分からない笑みを浮かべる。

「スタンレー侯爵家から供給される魔力石は皇室の主管の下で配分する予定です。市場の打撃を最小化しようとする措置です」

そのため、ルチア公爵家に最優先で普及することはないという判決だった。

アグニスで魔力石の補給を中断して時間が流れる。

首都が混乱した隙にクリードは静かに大公冊封式を行い、アカデミー入学試験まで受けた。

そのような話は、魔力石の普及中断に比べれば、あまりにも小さな事件であり、人々の口にはほとんど触れられなかった。

そのように徐々に魔力石が全部落ちて、あちこちで病む声が出た。

人々はアグニスに対する恨みと怒りを募らせながらも、彼らの強大な影響力を改めて実感し、あらゆる賄賂を持って公爵邸を聴問し始める。

アグニスに服属され、彼らだけが魔力石供給特恵を得ることを願う者たちだった。

しかし、ルチア公爵はそうすることができなかった。

「皇后さまはまだ何もおっしゃいませんでしたか？」

「ええ・・・魔力石は大したことじゃないから、ちょっと待てと」

「魔力石がとうして大きな問題ではなかったのか！これはすべて皇后の過ちでニカン・アグニスの機嫌を損ねたせいだ！」

ニカンはアレスとビビアンの結婚を急いだ。．

しかし、皇后はこのような時に提案を受け入れれば、アグニスの下に頭を下げて入ることになってしまうので、絶対にそうしなかった。．

どうせ皇后は「アレス」という切り札があるので、焦ってもいなかった。

その態度はルチア公爵の不満にさらに火をつける。

「いったい皇后陛下は何を考えているのか分からないな！」

アレスが化身として覚醒した事実はダイアナを除いて誰も知らなかった。

そのため、ルチア公爵が胸をたたいてもどかしがるのも当然のことだった。

彼の耳に届くニュースは少しも良くならず、毎日悪化ばかりしていた。

特に、アグニス公爵邸で彼らに徹底的にひざまずいた家門に魔力石を普及し始めたという話を聞いた時は、卒倒するところだった。