残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【79話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

79話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 天命の瞳②

ナロモルは宮殿に戻ると、すぐにデイルサ侍従長を訪ねた。

「侍従長様、お願いがあります。」

「私が君の侍従でもいいと思っているのか?」

「これは皇女様のためなんです。」

「……。」

デイルサ侍従長はしばらく黙ったまま、ナロモルの言葉を聞き入れた。

翌日、マルコとの交渉の場にデイルサも同行してほしいという依頼だった。

「なぜ私にそんな依頼を?」

「ジャンケンをご存じですよね?」

石はハサミに勝つ。

ハサミは紙に勝つ。

しかし紙は石に勝つ。

「人には、相性というものがありますから。」

ナルモロが小さく笑った。

彼は自らも優れた策略家だったが、状況に応じて人を活かす術を心得ていた。

「執事長が取り仕切ってくだされば結構です。できる限り、陛下に有利になるように。」

翌日。

デイルサと同行したマルコの瞳は鋭い光を帯びていた。

「……はい、そうです。『熱命の瞳』の製作を許可していただけるのであれば、すべての条件を受け入れます。」

ユルミエール家門を出てきたナロモルが、口元を吊り上げて笑った。

「とはいえ、三億ルデンや一時金まで要求するとは思いませんでしたよ。破損に対する損害賠償の請求条件もそうだし、『熱命の瞳』に対する完全な所有権もそうだし……これではあまりに通り一遍ではありませんか?」

「彼は職人としての達成感を得られたのだから、双方が満足しているはずだ。」

「そうは言っても、マルコ職人のダークサークル(目の下の隈)がひどくなっていましたよ?」

「睡眠が足りなかったのだろう。」

「ふん、仰る通りですね。」

「やりとりはそこまでにして、君は最善を尽くし、黄女様の助けとなるよう励むのだ。」

「ですが、侍従長様。ユルミエール家門に戻って確認した方がよさそうです。」

「どうして?」

「何かを見落とした気がします。とても重要なものを。」

ナルモロとデイルサが再び戻ってくると、マルコは驚きのあまり手に持っていたものを落としてしまった。

「何を落とされたのですか?」

「そ、それは……」

ナルモロは匂いを嗅いだ。

よくわからないが、それは確かに金の匂いだった。

鋭い直感がナルモロの脳裏を貫いた。

「まさか、ダイヤモンドですか?」

「………」

不思議なことに、マルコはデイルサの様子を窺っていた。

あれこれと忙しく立ち回っていたデイルサは、マルコの様子に何か不審なものを感じ取った。

『あの男の行動が怪しい。』

なぜだ?

デイルサは鋭い目つきでマルコをじっと見た。

するとマルコが突然近づき、横で膝をついた。

「侍従長様。私が意図的に隠そうとしたのではありません。もちろんご報告しようと思っていたのですが……。」

マルコは「青魂石」が砕けてしまったことを正直に告げた。

デイルサの目が鋭く細まった。

そのとき、ナロモルが口を開いた。

「青魂石が砕け、その跡に特別な魔力陣が生まれ、そこからダイヤモンドが湧き出していると?」

「そ、そうです。」

「じゃあ、そのダイヤモンドは陛下のものですよね?」

「……え?」

ナルモロがデイルサにささやいた。

「侍従長。私が研究している技術を完成させるために必要なものが二つあると申し上げましたよね。その一つが、大量のダイヤモンドなのです。」

デイルサが喉を鳴らした。

「もちろん陛下のものでしょう。すべてのダイヤモンドを差し出すなら、罪を問わず、陛下に良き報告をいたしましょう。」

 



 

下の宮殿に戻ったデイルサは、まるで何事もなかったかのように立ち去った。

ナルモロはその背中を見つめながら身震いした。

「ラヘルラ国王が誤解されているのは間違いありません。」

ラヘルラの知る限り、デイルサは決して親切でも温かい人物でもなかった。

「それほど寛大でいらっしゃるとは。私がどんなに無礼を働いても、寛大に見逃してくださるのでしょうね。」

ともあれ、アレナ宮に戻ったナロモルは、ビアトンやテイサルロンと共に研究に没頭した。

彼が研究したのは、体系的かつ効率的にテイサベル移動関門を管理するための技術だった。

「ダイヤモンドをこんなに容易に手に入れられるとは。運が良かった。」

そのとき、なぜか金の匂いが漂った。

あのときユルミエール家に戻らなかったら、この幸運もなかっただろう?

彼は幸福感に包まれた。

「技術は完成した。」

魔法の研究室や塔などで漏れ出すことがないよう、完全に管理する技術。

その核心技術に「千名の瞳」を基盤とした「十名の瞳」。

そして三千個のダイヤモンドが組み込まれていた。

 



 

ナルモロが言った。

「ビアトン卿とテイソルン卿が非常に熱心に協力してくれました。そして先月、魔法研究室で復帰なさったカリン卿も研究に積極的に参加して、ついに完成した技術です。仮称はブロックチェイン技術、正式名称は『イサベル体系技術』とする予定です。」

イサベルは三つの点で口を開いた。

まず、遠い未来に登場するはずのブロックチェイン技術がすでに現れたということに驚き。

物語の中でも「ブロックチェーン技術」と呼ばれるべきものを、「イサベルチェーン技術」と名づけたことに二度驚き。

「か、カリン先生が復帰されたんですか?」

最終の黒幕カリンが復帰していたという事実に三度驚かされた。

しかもそれが一ヶ月前のことだとは。

イサベルは全く知らなかった事実だった。

『なぜ?』

相手は他でもない、最終黒幕カリンなのだ。

なぜ復帰を隠し、秘密裏にイサベルチェーン技術の開発に加わっていたのか。

『何か裏があるに違いない?』

イサベルの頭の中は複雑に絡み始めた。

一か月前。

魔法連邦、創成魔法師会議。

ミロテル魔法連邦でほぼ神のように崇められる創成魔法師十二人が集う会議。

本来は創成魔法師の一人であったビルヘルムが抜け、現在は十人が集まっていた。

そこでは会議ではなく糾弾が行われていた。

「お前はミロテルを裏切るつもりなのか?」

糾弾を受けているのはカリンだった。

「裏切るつもりではありません。私は一人の魔法研究者として、テイサベル移動ゲートの技術的効率性と価値を世に広く知らせたいだけです。」

しかし創成魔法師たちはカリンの言葉を聞こうとしなかった。

「テイサベル移動ゲートはビロティアンの戦略…それが世界中に広まり、誰でも利用できるようになったらどうなると思う?剣を握った野蛮人どもが、魔法の拠点を荒らし回り、秩序を壊してしまうだろう。」

「剣と魔法は数千年にわたって均衡を保ちながら発展してきた。だが今や剣が魔法の領域を侵しつつある。お前は、ビロティアン一族の激しい誇りを知らぬのか?」

「お前がやっていることは売国だ。拠点を売り渡して、自分の欲望を満たすことが恥ずかしくないのか?」

こうした非難を予期していたカリンは、彼らの怒声を静かに受け止めた。

「ビロティアンの名誉を汚すつもりはないと?」

「その通りです。」

創成の魔法使い11人のうちの一人が、鼻で笑った。

「哀れな子供を拾って食べさせ、衣を与えた恩も知らぬとはな。」

「ビルヘルム卿がこの事実を知れば、地団駄を踏んで後悔するだろうな。」

彼らは勝手に結論を下した。

「お前がミロテルで得たすべてを返上せねばならない。」

「……承知しました。」

カリンは彼らによって魔力回路をすべて封じられた。

体に宿っていた魔力の源も破壊され、二度と魔法を使えない体にされてしまった。

「お前は永遠にミロテルに足を踏み入れることはできない。」

「私の罪は何ですか?」

「まだ正気を失ったままか。」

カリンは正確な罪状を聞くことはできなかった。

カリンは創成会議から追放され、そのままミロテル魔法連邦を去るほかなかった。

国境近く。

カリンは、背が高く赤い髪を持つ女性と出会った。

「ビアトン卿の命令で、あなたを連れて来るようにと言われました。」

彼女の名はキルエン。

ビロティアン首都の外郭を守る守備隊長であった。

「ひどい苦難を経験されたようですね。お気の毒に。」

「大丈夫です。」

キルエンはカリンを半ば強引に連行した。

カリンは魔力をすべて失っており、抵抗することもできなかった。

そして夜明け前、午前4時。

キルエンはカリンを大きな岩の上に座らせた。

「暗殺者たちが襲ってきても気づかないほどだとか……。」

熟練した暗殺者たちが後を追ってきた。

ミロテル魔法連邦の差し金を受けた者たちのようだ。

彼らは仮面をつけ、隠密行動に長けていた。

「正体や所属は問わない。私はビロティアン帝国、首都外城を守る守備大将キルエンだ。」

キルエンの放つ気迫に驚いた仮面の者たちは、彼が外城の守備大将であるという言葉に安心した。

彼らは魔力で密かに会話を交わした。

「内城ではなく外城の守備隊長なら、十分に制圧できるだろう。」

「しかも今は、まともな武器も持っていないようだ。」

実際、キルエンが手にしていたのは剣ではなく、ただの鈍い棒切れに過ぎなかった。

彼らはすぐに決断を下した。

「二人とも殺すことにしよう。」

それが彼らの最大の過ちだった。

キルエンは表向きは外城の守備隊長だが、本来は皇宮の副騎士団長。

上官を暴行した罪で左遷されただけなのだ。

剣ではなく棍棒を振るいながらも、8人の覆面の男たちを次々と叩き伏せた。

「外城の守備隊長だと……?」

「うるさい。」

バキッ!

棍棒が覆面の頭を砕いた。

8人はすべて倒れた。

そしてカリンが口を開いた。

「全員、殺さなければなりません。」

「そんな顔して、とても残酷なことを言うのですね。」

「ここで殺してしまわなければ、帝国領に尻尾を掴まれてしまいます。」

安全に戻るためには、誰かを殺すしかない。

「生きたいという本能ですか?」

「そうです、生きたいという本能です。」

キルエンはカリンが何を言おうとしているのかすぐに悟った。

――生きたい。

カリンはシアン家のイサベルを生かしたいと言っているのだ。

『必死だな。』

キルエンの目に映るカリンは、殺人とは似つかわしくない人物だった。

それでもカリンは迷いながらも懐から短剣を取り出した。

キルエンはただ黙ってカリンを見守った。

「私が手を汚す方が、ビロティアンにとっても有利でしょう。キルエン守備大将殿の痕跡が残らないのですから。」

やはりキルエンが剣を持っていなかったのは、このためだった。

キルエンが剣術を使えば、帝国特有の剣跡が残ってしまう。

だからあえて棍棒だけを持ち歩いていたのだ。

結局、キルエンは何度か口を開いた。

「殺しは簡単なことじゃありません。そして一度その境界を越えれば、もう戻ることはできません。よく考えてください。」

「……」

だが結局、カリンは戻れない川を渡ってしまった。

彼女は近くの渓谷を見つけて、3時間ものあいだ体を洗った。

帝国領に戻ったカリンは、イサベルのもとに帰ることができなかった。

『私の体に染みついた血の匂いが、きっと皇女様に伝わってしまう……』

彼女は妄想に取り憑かれた。

いくら洗っても消えない血のしみが体にこびりついているような幻覚に。

だからイサベルを訪ねることはできなかった。

『私は人殺しだ。私の汚れが皇女様に移ってはいけない。』

そう思い、彼女は自分が生き延びたことを皇女に秘密にした。

代わりにナロモルやテイサロンと密かに会い、イサベル系統の技術を完成させる手助けをした。

彼女はナロモルが住んでいた貧民街に身を寄せ、暮らしていた。

そして時が経ち、ある朝――。

眠っていたカリンに懐かしい声が届いた。

「先生、カリン先生。起きてください、朝ですよ。」

その日の朝は、ひときわ眩しく感じられた。

 



 

 

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