こんにちは、ちゃむです。
「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

46話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犯人は誰?
ナロモルが私の支援を受け入れてしばらく経った。
私はとても懐かしい顔に出会った。
ブンブンー
この世にこんなに可愛い音を出す蜂蜜バチがいるなんて——
声の主はラーちゃんしかいなかった。
「ラーちゃん!どこ行ってたの、今頃来て!」
実は「ラー」という名前の方が好きだったが、ラー自身が「ラーちゃん」という名前の方を気に入っていたので、ただ「ラーちゃん」と呼んでいた。
ラーちゃんの尻尾が風車のようにぐるぐる回り始めた。
「ん?」
私が解読魔法をかけたわけでもないのに、ラーちゃんの頭の上に魔法の文字が浮かび上がる。
【ロマン冒険に出かけた】
「冒険だって?」
ラーちゃんは堂々とした表情を浮かべ、両足でしっかりと立ち上がった。
[イサベルの喜び=お金]
[イサベル=守銭奴]
文字だけ見たら私を侮辱してるみたいだけど、そうではなかった。
これは翻訳魔法のミスのようだ。
ハチは実際に「言葉」を話しているわけではない。
ハチの思考や感情を人間が理解できる「言語」で表現しているため、ときどきこのように直訳されることがあった。
……って信じていいよね?
[ロマンチックなキムハチは冒険に出た。]
[守銭奴のための冒険。]
なんとなく翻訳魔法が少し進化した気がした。
とにかく、ボルクルに悪意があったわけではなかった。
尻尾の力があまりにも強すぎて、お尻までふらつくボルクルは私に向かってビューンと飛びかかってきて、ケホケホし始めた。
「えっ、どうしたの?」
横から見ると苦しそうに見えたが、頭の上には「[♩♪]」マークが消えずに浮かんでいた。
ケホ! ケホ!
【守銭奴に喜びを。】
ケホ! ケホ!
ボルクルが何かを吐き出した。
「え?」
ボルクルが吐き出したのは金塊だ。
「な、なにこれ?」
[守銭奴。うれしい?]
ミツバチはキラキラした目で私を見つめていた。
私がうっとりと踊り出すのを期待しているようだった。
なぜか踊らなきゃいけない気がしてプレッシャーだった。
「でも……」
私は本当にびっくりしてしまった。
金塊にある刻印が残っていたからだ。
「ちょ、ちょっと!これ一体どうやって手に入れたの?」
背中に冷や汗が流れ始めた。
「や、やばいって!」
金貨に匹敵する通貨に使える資産の一つだったか。
その中でも、有力な家門の印章が刻まれた金の場合は、一般的な金よりはるかに高値で取引された。
金の真贋をその家門が保証するという意味だったからだ。
これは非常に重要な制度であり、金に刻まれた印章を偽造することは極刑に処された。
「なんで皇室の印章が刻まれてるの?」
ラーちゃんが印章を偽造したとは思えなかった。
「しかも……黒い印じゃないか?」
黒い印。
これは皇宮の監査を経て、一度も世に出たことがないという意味である。
ビロティアン皇家の印章が押された金は、皇家の命により厳格な管理を受ける。
まるで地球でいうところの“水標”のような概念だった。
魔道工学の接触目録を通して、その金塊がどう移動したのか、誰を経てどのように取引されたのか、すべて記録されている。
イサベルは指先をそわそわと噛んだ。
「まさか……王室の宝物庫から盗んできたの?」
ラーちゃんはしっぽをふりふりした。
ラーちゃんは自分の行動に酔いしれていた。
[守銭奴はとっても喜んでる。]
そしてとても期待していた。
守銭奴=イサベルが幸せになることを。
しかしイサベルはあまりにも呆れて言葉を失ってしまった。
ラーちゃんの気持ちはわかるが、やり方があまりにも間違っていた。
・
・
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一方、イサベルよりさらに愕然としていた人物が別にいた。
「ば、馬鹿な……!」
それは皇室の守衛倉庫管理官ユルロンだった。
彼は24年目のベテラン倉庫管理官であり、皇宮内に存在する7つの宝物庫を統括する責任者だった。
「そ、そんな、金塊が消えてる……!」
侵入の痕跡はなかった。
つまり完全に盗まれたか、内部に泥棒がいるということだ。
これは非常事態だった。
皇室の宝物庫が盗まれるとは。
『この事実が外部に漏れたら、自分の首は確実に飛ぶだろう。』
だからといって、帳簿を改ざんすることもできない。
彼は24年間「倉庫守」という職業に誇りを持って生きてきた。
王室の宝物を管理するという自負もあった。
だから嘘をつくことはできなかった。
彼はついに皇后セレナを訪ねた。
このような状況で彼が頼りにして助言を仰げるのは、賢明な皇后セレナしかいなかった。
「6年前、皇后様が“必ず一度はお助けします”とおっしゃったことを思い出し、非礼を承知で陛下にお目通り願います。」
ウルロンは震える気持ちを抑えて、セレナに自筆の手紙を差し出した。
王宮の全ての人々が尊敬するセレナであっても、セレナ自身も簡単に決断できなかった。
そのとき、ノックの音が聞こえた。
なんと、それは皇帝ロンだった。
ユルロンの体がピクリと震えた。
『ま、まさか、私の報告を聞かれたのか?』
汗が雨のように流れ落ちた。
今回の件は守衛倉庫管理官の責任だった。
鉄血の皇帝ロンは、この件を決して軽く済ませる人物ではなかった。
彼は恐怖に震えながらぶるぶると体を震わせた。
「大まかな話は外で全部聞いた。」
「どうか、処刑してください。」
「そうしようか?」
ユルロンの体が再びピクリと震えた。
ロンから放たれる殺気に、彼は今にも意識を失いそうだった。
「本来なら重罪に値するが――」
ロンは殺気を抑えた。
「皇后が一度だけお前をかばうと約束していたし、お前はその約束を信じて皇后を訪ねたのだろう。だから責任は問わない。だが戻って、お前が任された仕事に最善を尽くすように。」
「へ、陛下……!」
「気が変わる前に、さっさと消えろ。」
「はっ、ありがとうございます。ありがとうございます、陛下!これからは倉庫の管理に万全を期し、二度と失敗のないよう尽力いたします!」
ロンは手を振り払い、ウルロンはまるで逃げ出すかのようにそそくさと外へ出て行った。
一方で、セレナはニコッと笑った。
「最初からあんなに冷たくおっしゃるつもりだったんですね?」
「………」
ロンは答えなかったが、セレナにはロンの気持ちがよく分かっていた。
ロンは一度許すと決めたら、後には引かない性格だった。
「陛下はウルロン卿が過ちを深く反省していることを見抜いていたのですね。そこで優しく、穏やかにおっしゃっていれば、たぶんユルロン卿はその場で泣き出してしまったと思います。だからこそ、あえてあんなふうにおっしゃったんですよね。そうでしょう?」
「………」
ロンはセレナの前では従順な羊のようだった。
とはいえ「そうだ」と積極的に同意するには少し気恥ずかしかった。
彼は帝国の民の前では鉄血の皇帝であり、こうした温かい感情は似合わない人物だったからだ。
ロン自身もそう思っていた。
「かわいらしいから。」
「ビルロティアンの皇帝にしては、ずいぶん似合わない随行者だな。」
「それでも、かわいいものはかわいいんですよ。」
「私はかわいくない。」
「そうですか?」
「強い方ですね。」
「可愛いのがいちばん強いんですよ。」
ロンの耳が少し赤くなった。
顔の片側が熱くなっているのを自覚したロンは、素早く魔力を動かして体温を下げた。
赤くなったことを悟られたくなかった。
もうバレてたけど。
「その件は私が調べて解決しますので、皇后様はお気になさらずに。」
「本当ですか? 最近すごく忙しいじゃないですか。」
「犯人が誰か、大体の目星はついているので。」
「誰ですか?」
「確かになったら話します。」
そこまで話したロンは背を向けた。
セレナは遠ざかるロンを見つめ、そっと微笑んだ。
「なんだかご機嫌ですね? 陛下の気分がそんなによいときは、たいていイサベルとの夕方の約束があるときなんですが。」








