こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

171話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 赤ちゃんになったナビア⑥
ゴロゴロ…。
「うーん……」
ナビアはうたた寝している中、鳴り響くお腹の音にびくっと反応した。
簡単には目を開けられなかったが、赤ちゃんになったストレスが極度の疲労感として蓄積されていた。
ゴロゴロ!
「うぅ、しつこい……」
ナビアは小さな体をそっと動かし、毛布にくるまって丸くなる。
隣に置かれていた小さな鐘が毛布の中に隠れ、その姿は見えなくなった。
窓の外はいつの間にか真っ暗になり、速いスピードで雨が降り始めた。
木々が揺れる様子が予想以上に激しく、まるで嵐がやってきたようだった。
トク!トゥドゥドゥク!
やはり、激しい雨粒が窓を叩く音が響いた。
しかし、それで終わりではなかった。
ゴォーン!
「ひっ!」
突然、巨大な爆音が響き渡り、ナビアは驚いて飛び起きた。
一瞬でそれが爆発音ではなく、雷の音であることに気付いた。
しかし、この雷鳴がなぜこんなにも大きいのだろう?
もしかして空が割れたのではないか?
ナビアは恐怖に怯えながら窓の外を見る。
閃光が室内を明るく照らし、部屋中が一瞬だけ静寂に包まれた。
雷の音はあまりにも大きく、耳が裂けそうに感じられた。
不安感で心臓がドキドキと激しく脈打った。
ゴロゴロ!カァン!
ナビアの不安な気持ちは荒れ狂うような雷鳴でさらにかき立てられた。
彼女は急いで、自分を守ってくれる存在を探した。
「チェ、チェサレ!」
すると、近くで静かに座っていたチェサレが飛び起きて、ナビアのもとに駆け寄った。
ナビアはチェサレをしっかりと抱きしめ、目をぎゅっと閉じた。
恐怖で耳まで押さえ込むような様子だった。
バリバリ!ゴロゴロ!
「うぅ……!」
しかし、そんなことは全く無意味だった。
雷鳴と稲妻がナビアに向かって直撃しそうな勢いで迫ってきても、それが予想外に何かをするわけでもなかった。
むしろ、煌めく光がカーテンを貫いて部屋を照らし、その眩しさに思わず涙がこぼれた。
「雷なんて全然怖くないわ。チェサレもいるんだから。」
ナビアはそう自分に言い聞かせ、必死に自身を保とうとした。
震えながらも「こんなことで怖がっていてはいけない」と自分に言い聞かせ、なんとか気を引き締めようとした。
「大人らしく行動して、ナビア!気丈に振る舞うのよ!」
ナビアは必死に冷静を装い、怯えをこらえた。
本当のところ、自分が何をそんなに怖がっているのか、彼女自身も分からなかった。
ただ、赤ん坊になってしまった自分が周囲の人たちにとって頼りない存在になるのが怖いのか、それとも雷そのものが怖いのか――。
その違いを区別するのは難しかった。
まだ、愛が不慣れだった。
守られることが、不慣れだった。
9回目のナビアは、以前は雷鳴や稲妻を恐れなかったのに、今はなぜか怖くて仕方がない。
自分でもその理由が分からなかった。
弱くなったのだろうか?子どもっぽくなってしまったのだろうか?
全ての思考が雷鳴の轟音と共に吹き飛ばされた。
残されたのは、このままではどうにもならないという考えだけ。
「ここは危険だ。一人ではこの危機を乗り越えられない。やっぱりお父さんのところへ行こう。」
ナビアはチェサレの首をぎゅっと抱きしめるように抱え込み、ベッドからそっと降りた。
ナビアは賢い赤ちゃんだった。
そのため、赤ちゃんに変わった時の不便を無くすために、あらかじめ部屋の中に足置き台を用意していた。
これは、マーガリットが用意してくれた足置き台だ。
「よいしょ。」
ナビアは無事にドアを開け、廊下に出た。
すぐに暗闇がナビアを包み込んだ。
雨が降り、冷えた空気が肌にしっとりとした感覚を与え、気持ち悪くさせた。
ナビアはぎゅっと唇を引き結びながら、正面の巨大な扉を見つめた。
この場所からラルクの部屋まではかなりの距離がありそうだった。
きっと大変な道のりになるだろう。
彼女はしばらく戸惑っていた。
やがて暗闇を振り払い、あの場所まで無事に辿り着けるかどうか自問した。
到着できるだろうか?部屋に着いたら、なんと言えばいいのだろう?
雷が怖くて来たなんて、プライドが許さなかった。
「何か適切な言い訳はないかな?」
そんなことを考えているとき、空が突然光った。
バリバリバリッ!
「きゃあっ!」
ナビアは恐怖で震えながら、思わずラルクの部屋へと駆け出した。
途中、ふらつく足がバランスを崩し、何度か転びそうになりながらも、痛みを感じる暇もなく進み続けた。
「怖い。怖い。雷が怖い。ひとりは嫌だ。もうひとりで震えながら歩くのは嫌!」
ナビアは急いでラルクの寝室のドアを叩いた。
コンコンコン!
「お父さん!」
何の返事もなかった。
ナビアは間を置かずに再びドアを叩いた。
「お父さん、ナビアが来たよ……!中にいるの? お父さん!」
しかしドアは冷たく閉ざされたままで、微動だにしなかった。
『お父さんはいたずら好きだから、今も冗談を言おうとしてわざとドアを開けないんじゃないかな?』
「お父さん、冗談はやめて!」
バンッ!
ナビアは目をぎゅっと閉じて、身体を小さく震わせた。
極度の緊張の中で視界がぼやけた。
ナビアは寝室に父親がいないことを確認した。
彼女は小さすぎて階段を降りて下の階に行くこともできなかった。
いや、廊下を渡る勇気さえ持てなかった。
怖かった。雷が自分を刺し貫くような気がした。
「ナビア、怖くて来たの。お父さん、一緒にいて……。」
ナビアは誰もいない寝室を見つめながら嘆いた。
これが無意味なことだと分かっていてもどうしようもなかった。
無力な赤ん坊にできることなど何もなかったのだから。
ナビアが絶望に沈んでいたとき、後ろからラルクの声が聞こえた。
「ナビア!」
振り返ると、正体不明の箱をしっかりと抱えているラルクが見えた。
「お父さん!」
ラルクはどこかへ消えたわけではなかった。
少し外出して戻ってきた様子だ。
それを確認して深い安堵を覚えたナビアは、その場に立ったまま大声で泣き出した。
「ナビア、一人で寝られない!大人だけど、一人は無理……!」
ラルクは慌てて子どもを抱き上げる。
娘を見つめるその表情には心配が色濃く浮かんでいた。
「どうした?何があったんだ?」
「怖かった……!」
その時、再び響き渡る雷鳴にナビアが悲鳴を上げ、慌ててラルクの腕を掴んだ。
「抱っこして!」







