悪役なのに愛されすぎています

悪役なのに愛されすぎています【102話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【悪役なのに愛されすぎています】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「悪役なのに愛されすぎています」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

102話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 動揺

メロディは疑問を抱きながらヘットフィルドの邸宅に到着し、音楽室へと案内された。

弦楽器や金属製の楽器に囲まれた部屋の中央には、来客をもてなすためのソファとテーブルが置かれていた。

だが、メロディが音楽室に入ったとき、ソファに座っている人はいなかった。

若い貴族たちはそれぞれ好きな楽器の前に座り、流行している旋律を軽やかに演奏していた。

「ヒギンス嬢!」

弦楽器の前に座っていたヘットフィルドの令嬢が、真っ先にメロディを見つけると、すぐに彼女の前へと歩み寄った。

「ようこそ、お待ちしていましたわ。」

美しい銀髪を揺らしたヘットフィルド嬢は、親しげにメロディの腕に腕を絡めた。

すぐに楽器を触っていた5人ほどの若い貴族たちが、みなメロディの周りに集まってきた。

彼らのほとんどは女性で、男性は一人だけだった。

そして彼らは性別に関係なく、先ほど見せていたきらきらした目つきでまたメロディを見つめ始めた。

「あ、あの。」

少し恥ずかしがったメロディはぎこちなく笑って周囲を見渡した。

「楽器を続けて演奏してもいいんですよ。合奏の練習をされていたんですよね?」

彼女の勧めに、彼らは戻っていきながら一言ずつ答えた。

「合奏はそれほど重要じゃないですよ!」

「ヒギンズ様を待つ間の暇つぶしだっただけです。」

待っていたという言葉に、メロディは瞬顔を曇らせた。

「まあ、お待たせしてしまったなら、申し訳ありません。」

するとその場の皆が一斉に頭を下げた。

ヘットフィルド嬢は肩をすくめながら、自分の友人たちをちらりと見渡した。

「大丈夫よ。みんな落ち着きがなくて、約束の時間を守れないなんてよくあることなの。でもまあ、私ったら何てこと……おもてなしもせず、お茶一杯すらお出ししてなかったわね。」

ヘットフィルド嬢は自分の小さな唇を指先でトントンと叩いた後、慌ててメロディの前に新しいお茶のカップを置いた。

「さあ、どうぞ。」

メロディはカップを持ったまま、皆をぐるりと見渡した。

好奇心に満ちた視線を感じながらも、その貴族たちは誰ひとり口を開こうとはせず、固く唇を閉じていた。

「もし、私の勘違いでなければ……」

そして、皆を見渡しながら話し始めた。

「何か……私に言いたいことがあるのなら、先におっしゃっていただけますか?」

彼らはお互いの顔を見ながら、目配せを交わした。

「私は大丈夫です。実は私に何か言いたいことがあるのかと思って、ちょっと気になっていたんです。」

「まあ、ごめんなさい。」

ヘットフィールド嬢がすぐに謝罪した。

「私たち、あまりにも露骨な視線を送ってしまったんですよね?」

「いえ、そうじゃなくて。」

「不快な思いをさせたのならごめんなさい、ヒギンズさん。」

「不快ではありませんでした。でも謝罪は受け取ります。ありがとう。さあ、何でも聞いてください。」

彼らはすぐにメロディのそばに席を移した。

「その……ヒギンズさん。最近プロポーズを受けたりしていませんか?ノリス公園で。」

思いもしなかった質問に、メロディは目を見開いた。

驚いて「えっ?!」と叫んだが、その後に他の人たちが次々と口にした言葉に完全に気を取られてしまった。

「片手では持ちきれないほど大きな花束をもらったんですって?」

「プロポーズの言葉は何だったの?すごくロマンチックなお話だったのでしょう?」

メロディは戸惑いながら、それは違うと答えようとした。

「それは、ただ……」

けれど、すぐにスチュアート家と一般的な婚約・結婚の手順について話したことを思い出した。

「ええ、まあ……婚約……でした。はい、そういうことになってしまいました。でも、皆さんに話すほど大した話ではないんです……」

「そんなはずない!」

一番端に座っていた、この場で唯一の若者、ディロンがその場で勢いよく立ち上がった。

「ミルトンさんがそうおっしゃってたんです。」

「え?何ですって?」

メロディは驚いて彼を振り返った。

「実はですね、ヒギンズさんとミドルトンさんがクラブでカードゲームをしていたとき、私はゲームテーブルに一緒にいたんです。」

「あ……あの時?」

「はい!ミルトンさんがヒギンズさんの応援を受けて、一世一代の勝負に勝ったときのことです。」

ディルロンはとても感動した様子で、一瞬自分の胸を押さえた。

「今でも忘れられません。ミルトンさんはすべてのカードが出た瞬間、その栄光をヒギンズさんの足元に捧げたんです。」

息をひそめてその話を聞いていた周りの人々は、そっとため息を漏らした。

「やはり愛は偉大ですね」、「その素晴らしさを知らない人は皆不幸だ」と口々に言いながら。

「……」

だが、メロディの記憶にあるその場面には、ロマンスの「ろ」の字もなかった。

良いところを見せようとしたのか、もうあんなカードの組み合わせは出ないだろうと考えたミルトン氏が、野心的な欲望を断念したということなのだろうか。

そんな彼女の考えも知らないまま、ディロンの話は続いた。

「そして次の日、またクラブに行ったら、やっぱりミルトンさんがいらっしゃったんです。」

「……まさかカードゲームをしていたわけではないですよね?」

「いいえ、していませんでした。」

メロディはほっとした。幸いにも、彼が約束を守っているようで……。

「代わりに、ずっとカードテーブルを眺めながら、私にお金を持っているか聞いてきたんです。」

……そうではなかったようだ。

「それであると答えると、ゲームをするお金を貸してほしいっておっしゃったんです。」

悲しい予感は外れないものだという。

メロディは両手で顔を覆った。

他人のお金でギャンブルだなんて、堕落の極みではないか。

「それで。」

メロディは少し呆れた顔でため息をついた。

「彼にお金を貸したんですか?」

「まさか。」

青年はにっこりと笑いながら答えた。

「お金はただ差し上げました。」

「……っ!」

「その代わりというわけではありませんが、婚約のときの話を聞かせてくれとお願いしたんです。」

ディルロンはなぜか手をじっとしていられず、もじもじと動かし始めた。

少し恥ずかしそうだった。

「ミルトンさんは“この世で最もロマンチックな言葉でプロポーズした”とおっしゃっていました。でもそれはあくまでヒギンズさんのための言葉なので、詳しいことはヒギンズさんに直接聞いてみてくださいと。」

だからみんな、メロディに会うなりすぐに目を輝かせたのだ。

「それは、期待されているような大した話ではなかったんです。」

「でも、すごくドキドキしたでしょ? そうでしょ?」

――いいえ、公園ではほんの少しのときめきさえもなかった。

しかし別の瞬間、彼らが言うようなドキドキを感じたことはあった。

それまでは、できるだけ思い出さないように努めていただけで……。

彼らがロマンチックやときめきについて話し始めたからだろうか。

メロディの脳裏には、あの“あの夜”がよみがえってしまった。

『……ほんとに。かわいくてどうしようもなかった。』

告白に近いその言葉が、まるで今耳元でささやかれるかのように鮮やかによみがえった。

もう何日も前のことなのに。そのときに聞こえた彼の心臓の音さえも覚えているかもしれない。

メロディがしっかりと思い出そうとすれば……

「そ、そんなことだったんですか?!」

「もちろんです!」

「聞かせてください。他に何ておっしゃってたんですか?」

また戻ってきた質問に、メロディは仕方なくクロードとの出来事を語ることになった。

「……私が離れるのが嫌だったそうです。だから、物理的に。」

またもや歓声が上がった。

抱き合って喜ぶ姿さえ見られた。

「でもそれって、まったくロマンチックな言葉じゃないですよね。」

そんなことを言っていた当時のメロディは、クロードの耳に冷たい物を詰め込んでいた状態だった。

つまり、体調が悪かったということだ。

「体調が悪かったから、私がそばにいた方が楽だと判断されたんだと思います。」

メロディの説明に、皆は一斉にため息をついた。

「まったく、メロディさん。困っているときに一緒にいてほしいというのは、古典の時代から続く真摯な愛の証なのですよ。」

メロディは口には出せなかったが、「そんなはずない」と思った。

そんなことになるなら、メロディはクロードから何年も繰り返し「真剣な告白」を受けていたことになる。

彼はどんな困難なことでも、メロディと共に成し遂げたいと願っていた人なのだ。

「でも、私はその求婚を受け入れられませんでした。スチュアートさんはとても素敵な方ではありますが。」

「……そうだったんですね。お断りするのも辛かったでしょうに、大変だったと思います。」

「でも、ヒギンス嬢にはきっともっと素敵な方が現れますよ。」

みんなが順番に、励ましの言葉をかけていき、今度はディロンの番になった。

「ヒギンス嬢がスチュアートさんの求婚を断ったのって、やっぱりロニー・ボルドウィン公爵のためですよね?」

メロディは丸く見開いた目で彼をじっと見つめた。

彼はすべて知っているというようにため息をついていた。

「クラブでボールドウィン公子がいらっしゃるのを見たんです。」

メロディは少し笑いながら、彼にロニとの関係を説明しようとした。

彼と彼女は長年の友人関係で、とても親しく過ごしているのだ。

しかしメロディが何か答える前に、ヘットフィールド嬢が怒って席をバッと立ち上がった。

「ヒギンズさんに謝って!まったく、信じられない。私の友達がそんな無礼なことを言うなんて……!」

「え、えっ?」

彼は慌てたようにしながら弁解を試みた。

「でも……とても親しく見えたから……。」

「あなたバカなの?」

ヘットフィルド嬢は腕を組み、鋭い目つきで彼をにらみつけた。

「ボルドウィン公爵とヒギンス嬢が親しいのは、誰が見ても当然のことでしょう!」

それはそこまで怒るような話でもなかったので、メロディは彼女をなだめようとした。

だがそれも間に合わず、次々と他の令嬢たちも彼を責め始めた。

「ヒギンス家は長い間、ボルドウィン家の庇護のもとで活躍してきたのよ。」

「私たちの手を特別に大切に扱ってくれるのは当然のことじゃない。」

「この美しい主従関係に、他の感情を投影するなんて、二つの家門に対する侮辱に他ならないわ!」

彼女たちの厳しい言葉に、青年はすっかりうなだれ、すぐさまメロディに謝罪をした。

「す、すみません、ヒギンス嬢。私、思慮のない誤解を……」

「いえ、大丈夫です。」

実際、彼の言葉はそれほどメロディの気分を害したわけではなかった。

軽い誤解にすぎなかったのだ。

むしろ彼女を悲しくさせたのは……。

「まったく、メロディさん。顔が青白くなっていますよ。大丈夫ですか?」

メロディはかすかに笑って、大丈夫だと答えただけだった。

その後、場の雰囲気はかなり気まずくなった。

正直なところ、メロディはそっと家に帰りたくなっていた。

だが、「先に帰りますね」とはとても言い出せなかった。

彼らとの関係を気まずくしたくなかったからだ。

突然プライベートなことを詮索されて戸惑いもしたが、その好奇心には悪意のようなものはまったく感じなかった。

『一体どうすれば自然にここから抜け出せるだろう?』

とりあえず馬丁に「1時間後に迎えに来て」と頼んではいるが。

きっと彼は、メロディが自ら落ち着いて出てくるまで、ゆっくりと待っていてくれたのだろう。

主人を急かす使用人などいないのだから。

「失礼いたします。お嬢さま、そして皆さま。」

そのとき、音楽室の扉が開いて、ヘットフィルド家の執事が入ってきた。

彼はメロディの後ろに歩み寄り、深くお辞儀をした。

「ボルドウィン公爵家より、ヒギンスお嬢さまをお迎えにあがりました。」

メロディは少し驚いて執事を振り返った。

「公爵家から迎えに来た」との表現が、どこか気になったのだ。

通常このような場合には「ヒギンス家の馬車が到着しております」と言うのが普通だろうから。

「それは……」

メロディがその真意を尋ねようと執事に声をかけたちょうどそのとき、ぱっと開かれた音楽室の扉の向こうから使用人の案内に従って、クロード・ボルドウィンが近づいてくるのが見えた。

メロディはうっすらと目を見開いたまま、彼をじっと見つめていた。

ただ礼服を着て歩いているだけなのに、彼はまるで自分がこの地で最も優雅な男性であることを証明するかのような雰囲気をまとっていた。

そう思ったのはメロディだけではなかったようだ。

その場にいた全員の視線が、彼に向けられていた。

多くの視線にも、彼は少しもたじろぐ様子を見せなかった。

むしろ当然のことのように、すべての人々に軽く目礼を返した。

そして最後に、メロディの前に来て、そっと手を差し出した。

「遅れてすみません。」

その不意をつく言葉に、メロディは立ち上がることさえ忘れて、ただ呆然と彼を見上げた。

「……はい?」

「表情を見る限り、私がメロディ嬢の楽しいひとときを邪魔してしまったようですね。そうですよね? 失礼しました。」

彼は周囲にも向かって丁寧に頭を下げた。

「このような素敵な交流の場にお邪魔してしまい恐縮ですが、メロディ嬢をお連れしてもよろしいでしょうか?」

彼の言葉に、その場にいた皆が一斉に立ち上がって頭を下げた。

「もちろんです!突然の招待にもかかわらず、来ていただいただけでも感謝しております。」

「次はもう少し格式を整えてご招待したいと思っているのですが、それでも大丈夫でしょうか、ヒギンス嬢?」

最後に、ヘットフィルド嬢の申し出に対して、メロディは静かに頭を下げて応えた。

「もちろんです。私も新しい友達ができてうれしかったですから。」

そう答えると、クロードの手がもう少し近づいてきた。

ふと彼を見上げてみると、彼はどこか「すべて分かってるよ」と言いたげな微笑みを浮かべていた。

たぶん、メロディがここから立ち去りたいと思っていることに気づいていたのだろう。

どうして分かったのだろう?

彼にはここへ来ると話した覚えもないのに。

いや、それより最近はまともに顔を合わせて会話を交わすこともなかったし、むしろメロディが一方的に彼を……避けていたのだから。

「メロディさん?」

メロディはようやく、彼を長い間自分の隣に立たせたままにしていたことに気づいた。

これでは、二人の親密な関係が隠せないように見えてしまうかもしれない。

「すみません。」

メロディは急いで、彼に手を差し出した。

力を込めて立ち上がり、「大丈夫です」と彼が小さな声で答えた。

二人はもう一度まわりに丁寧に挨拶し、音楽室を静かにあとにした。

 



 

 

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