大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【124話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

124話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 崩壊②

テレシアの神殿だけではなかった。

皇帝の命令が届いたスム地方の領地でも、同じことが繰り返された。

南の国境地帯に最も近い場所にある神殿もその一つだった。

エリウス伯爵は、非常に威厳ある顔つきで神殿に入ってきた。

中小領地にあるため神殿の規模も小さい。

神官たちが熱心に女神へ祈りを捧げていたそのとき、突然押し入ってきた伯爵の騎士たちを見て、彼らは目を見張った。

「エリウス伯爵、これは一体どういう真似ですか!」

「ここがどこだと思っているのです?騎士を連れて踏み込むとは!」

しかし、エリウス伯爵はどこ吹く風といった様子で、皮肉な笑みを浮かべて肩をすくめた。

「本日をもって、この神殿を閉鎖せよとの命令だ。受け入れるしかありません。」

「馬鹿な……!一体誰がそんな命令を出したというのですか?」

「当然、陛下です。私はただ陛下の命令に従っているだけです。」

エリウス伯爵と、急ぎ駆けつけた神官長が向き合い、互いを睨みつけた。

誰一人動かないまま、緊張が張りつめる。

「依然として強情ですな。」

伯爵が皮肉めいた笑みを浮かべつつ、背後の騎士たちに手を上げた。

「全員、排除せよ。」

「はっ!」

瞬く間に神殿の聖騎士たちと伯爵の騎士団がぶつかり合い、戦闘が始まった。

甲冑がぶつかり合う轟音が、凄まじく神殿内に響き渡る。

「では皆さま、ご苦労でした。私は中へ進ませていただきます。」

「無礼な……!内部だけは絶対に渡せぬ!通すわけにはいかん!」

狼狽した神官長は、自分のそばを通り過ぎようとするエリウス伯爵の服をつかみ、必死に叫んだ。

「一体、神殿の中に何を隠しているのですか?この無礼者ども!」

エリウスは苛立たしげに舌打ちをし、しがみついてきた神官長の手を強く振り払った。

後ろの騎士たちに神官長を任せると、素早い足取りで内部へと通じる扉を開き、回廊を進んでいった。

最近、この領地では人々の失踪事件が相次いでいた。

行方不明になった人々が神殿に連れ込まれるのを見たという報告があり、エリウスは神殿にやってきたのだ。

だが、神殿側は内部を決して見せず、彼は引き返さざるを得なかった。

まさにその直前、神殿閉鎖の命令が下されたのである。

突然の命令に一瞬驚いたが、むしろ好都合だと考えた。

神殿が一体何を隠しているのか、ぜひ確かめたかったのだ。

エリウスは回廊を抜け、左右に分かれた通路の先を見定めながら進んでいった。

行くべきか迷っていた伯爵は、ふいに鼻をつく悪臭に顔をしかめて足を止めた。

「……これは何の臭いだ?」

臭いを辿っていくと、地下へと続く階段があった。

まさかと思いながら降りていくと、鉄の扉が現れる。

扉を開けた瞬間、伯爵は耐えがたいほどの悪臭に顔を背け、目を疑った。

「な、なんという狂気だ……!!」

扉の奥には、一目見ただけで数十名は下らない人々が閉じ込められたまま、次々と死にかけていた。

片側にはすでに死体が山積みになり、生き残った者たちも顔色が変わり果て、誰が誰か判別できないほどであった。

中にいた人々は、もはや歩き出す力すら残っておらず、扉が開いたにもかかわらず、ただ呆然と伯爵を見つめ返すばかりであった。

「これは一体何だ?ここで生体実験でもしていたのか?」

怒りを抑えきれない伯爵が拳で壁を叩いた。

そして中へ入ろうとしたが、騎士たちに取り囲まれたまま、必死に食い下がる神官長が「絶対に駄目だ!」と叫んだ。

「決して入ってはなりません!早く、その扉を閉めるのです!!」

「お前たち……私の領地で一体何をしていたんだ?」

怒りに満ちた伯爵は神官長に詰め寄り、堪えきれずその首元をつかんだ。

神官長は息が詰まり、咳き込みながらも必死に身をよじったが、伯爵の鋭い視線から目を逸らすことはできなかった。

「早く言え。言わなければお前をこの場で処刑するぞ。」

気がつけば、伯爵の言葉はあまりにも激しくなっていた。

その声に押され、神官長は諦めきったような表情を浮かべ、小さくつぶやいた。

「……伝染病です。あの中にいる者たちは――皆、伝染病にかかってしまったのです。」

「伝染病だと?そんな馬鹿なことを信じろと言うのか?」

聖女の加護のもとにある帝国では、数百年の間、伝染病など発生したことはなかった。

伯爵が信じられないのも当然だった。

「なぜ私がこんな嘘をつきましょう。本当なのです。辺境から始まった伝染病が急速に広がっていて、止めようとしたのですが……げほっ!」

伯爵が神官長の首をさらに強く締め上げると、神官長は言葉を続けられず、必死に解放を乞うように足をばたつかせた。

「なぜすぐに報告しなかった?」

「わ、我らは女神様の加護のもとにあるのです……だからすぐに自然と癒えるものと……思って……ぐっ。」

「狂っている。全員、正気を失っている!」

伯爵は呆れ果て、もはや聞く価値もないという表情で、神官長を床に叩きつけた。

「まさか……治療法がないわけではないだろう?」

「……わ、わからぬ」

神官長はよろめきながら、打ち付けて痛めた自分の腕を押さえ、かすれ声で答えた。

まるで自分が被害者であるかのような態度に、エリウス伯爵は呆れ返り、額を押さえた。

「お前たちがそんなに誇っている”聖力”で治せばいいじゃないか。神の加護があるというのなら、こういう時こそ使え!」

「聖力が無尽蔵だと思っているのですか?いつ必要になるかもわからぬのに、こんな下賤な者どもに分け与えるわけにはいきません。重要な時のために取っておくべきなのです」

「その間に、この病が帝国全土に広がったらどうするつもりだ?」

「それもすべて、女神様の御心のままに――」

神官長の目には異様な光が宿っていた。

その狂信的な眼差しを見た伯爵は、この男には何を言っても無駄だと悟り、重く息を吐いた。

「……直ちに陛下に報告せねばならんな」

ようやく領地内で人々が次々と死んでいった理由、そして原因不明の死体が増えていた理由が理解できた。

「まずは死体を集めて焼け。そして生きている者はすべて清潔な部屋に移し、治療を施せ。」

数人の騎士たちが伯爵の命令を受けて鉄の扉の中へと入っていった。

中に隔離されていた人々は、すでに生きることを諦めた表情を浮かべていた。

「神官長、あなたは病を隠した責任を取らねばならん。そして――」

「我らを解放してください!この神殿で伯爵の暴挙を直ちに告発いたします!!」

外から神官たちが解放を求める必死の叫び声が響いた。

伯爵は言葉を途中で切り、顔をしかめながら再び命令を下した。

「やつらをすべて捕らえ、患者たちと同じ部屋へ放り込め。」

「何と言うのです?まさか我々を伝染病の隔離所に入れるつもりなのか?」

「本日をもって神殿は閉鎖だ。もとは丁重に送り届けるつもりだったが、領地がこの有様ではもう仕方がない。神官たちはすべて病人を治療するために使わせてもらう。」

「そんな馬鹿な!あり得ぬことだ!!」

神官長や他の神官たちは引きずられまいと必死に抵抗したが、騎士の力に抗うことはできなかった。

「我らはこれからどうなるのです?」

「試練はすぐに過ぎ去るだろう。女神様が必ず我らを救ってくださる。皆で祈りを捧げようではないか。」

エリウス伯爵は、なおも女神を讃えながら手を合わせ、必死に祈り続ける神官たちを冷ややかに見やった。

「愚かな者どもめ……」

そして清潔な部屋に患者たちが移されるのを見届けると、上着を翻して外へ出ていった。

「治療をしっかり頼む。必要なものがあればすべて持ってこさせろ。食べ物も十分に送ろう。」

「承知しました。」

「お前たちは村を回って病にかかった者をすべて集めろ。今からここを伝染病治療所とする。」

エリウス伯爵は病が手に負えないほど広がっていないことを祈りながら、神殿を後にした。

尖塔が高くそびえる神殿の上には、いつの間にか目も眩むほど明るい陽光が降り注いでいた。

 



 

ノアはテレシアを出るや否や、皇宮へと続く最速の道を駆けていた。

その中の一つ、ベリジア通りは最も大きな街道であり、神殿から出てすぐの道と交わる区間だった。

息せき切って走っていたノアが、反対側から近づいてくるものを見つけて徐々に速度を落とした。

「……あれ、神殿の馬車じゃないか?」

「はい。神殿の紋章が見えます。何か急いで移送しているようですね。」

馬車三台と、その周囲を厳重に護衛する聖騎士団を見て、ノアの目にはどうにも怪しく映った。

「何を運ぶのに、あんな鉄壁の護衛をつけるんだ?」

目を細めて一瞬考え込んだノアは、再び手綱を操った。

「行ってみよう。」

「えっ?でも……もしすでに疫病の知らせが伝わっていたら、騒ぎになるかもしれません。」

「まだ知られていないはずだ。奴らが神殿を出たのは、すべてが始まる直前だろう。今なら大丈夫さ。」

馬車を護衛している聖騎士たちは、依然として皇宮と神殿が親密な関係にあると信じて疑っていないのは明らかだった。

ノアはそのまま馬を駆け、前方にいた聖騎士を遮った。

突然進路を妨げられた聖騎士アレクは、とっさに剣を抜きノアに敵意を示した。

「我らは神殿の命を受けた聖騎士だ。何ゆえ我らの行く手を阻むのか?」

「聖騎士なら私を知らぬはずがない。この証を見れば思い出すだろう?」

ノアは皇太子の身分を証明する徽章を取り出し、彼に差し出した。

まさかこの道中で皇太子に出会うとは思わなかったアレクは、大いに慌てて目を見開いた。

「わ、私は聖騎士アレクにございます。皇太子殿下に謁見いたします!」

ノアは慣れた様子で挨拶を受け、馬から降りた。

アレクもまたノアに倣って慌てて馬を降りる。

「ところで、あの馬車たちは何だ?何を運んでいるのか気になるな。」

アレクは一瞬ためらったが、荷の中身を隠せと命じられた覚えはなかったため、正直に答えた。

「聖花です。」

「聖花だって?馬車三台分すべてが?どこへ運ぶつもりだ?」

「それはお答えできません。」

あの大量の荷がすべて聖花だと聞き、ノアの疑念はさらに深まった。

「一束でも高価に取引される聖花を、あんなに大量に?どこかで不正な取引でもしているんじゃないのか?」

「決して違います。必要な場所があって運んでいるのです。」

さらに問い詰めようとしたが、アレクが拒否の姿勢を見せた。

これ以上口を開けば、騒ぎになりそうな気配を感じ取ったノアは、いったん引き下がることにした。

「わかった。もう行け。」

「はい、ごきげんよう。」

再び馬車に乗ったアレクが隊列を整え、馬車を護衛した。

その後ろ姿を見ながらノアは軽く舌打ちをした。

「怪しいと思わないか?」

「はい。あの量なら中規模領地一つを買えるほどです。今、神殿にはこれほどの聖貨が必要な理由はないはず。不自然です。」

「調べる必要があるな。聖貨がどこへ運ばれ、何に使われるのかをな。」

神殿の不穏な動きを察したノアは、護衛の中から身軽な密偵を一人呼び出した。

「チェン、あの行列を密かに追え。馬車がどこへ向かうのか突き止めたらすぐ伝書鳩を飛ばせ。」

「承知しました。」

ノアはチェンが馬車を追うのを確認すると、再び皇宮へと馬を走らせ始めた。

 



 

 

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