大公家に転がり込んできた聖女様

大公家に転がり込んできた聖女様【84話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

84話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 真実の告白②

普段は驚いても目を見開くことのないドフィンだったが、今回ばかりは驚愕し、眉毛がピクリと動いた。

「聖女の力?」

「はい。私が次の聖女なんです。」

エステルの声には自信がなかった。

これまで誰にも信じてもらえなかった経験から、ドフィンも同じ反応を示すだろうと予想していた。

『聖女だと・・・だからそうなのか?』

だが、ドフィンは自分にとって大切な人を何よりも信じる性格だ。

大切な娘、エステルの言葉であれば、たとえ天が二つに裂けようとも信じる覚悟がある。

少し驚いたのは事実だったが、震えているエステルを見て、ドフィンの動揺は静かに消えていった。

「話してくれてありがとう。大きな秘密を抱えてどれほど辛かったことだろう。」

ドフィンの穏やかな声を聞きながら、エステルは少しだけ安心した。

「私の話、信じてくれるんですか?」

「信じない理由があるのか?」

エステルを静かに見守るドフィンの緑色の瞳には、少しの疑念も宿っていなかった。

自分を真っ直ぐに信じてくれる心に触れ、エステルは胸が熱くなった。

「誰も・・・信じてくれなかったんです。」

最後の言葉を絞り出すように言うと、声が詰まり涙が溢れそうになったが、必死に堪える。

エステルが聖女であることを唯一認めた人物は、彼女が直接その力を使う姿を目にした双子の兄だけだった。

これまで何度も開かれた会議では、誰一人としてエステルの言葉に耳を傾ける者はいなかった。

ラビエンヌが近づき、彼女自身が本物の聖女だと主張しても、返ってくるのは冷たい目線と少しの皮肉だけ。

そんなふうに、心に深く刻まれた傷があまりにも多すぎて、後にはそうした主張さえも口にできなくなっていった。

「みんなが私を嘘つきだって・・・私みたいなのがどうして聖女になれるのかって・・・そう言われたんです。」

どうしようもなく絶望していた過去の記憶が蘇り、エステルは感情が込み上げてきた。

目を閉じる暇もなく、すでに目尻にたまった涙があふれ出し、膝の上にポタポタと落ちていった。

エステルの涙を見たドフィンは、まるで自分が泣かせてしまったような顔をして驚き、どうしていいかわからず焦った様子だった。

「おい、泣くなよ。いったい誰がそんなことを言ったんだ? なんてひどい奴らだ!」

心の中ではもっと辛辣な言葉をぶつけたい気持ちが沸き上がったが、エステルの前では冷静さを保とうと、穏やかに言葉を選んでいた。

ドフィンはそわそわしながら、指でそっとエステルの頬をぬぐい、その涙を慎重に拭ってあげた。

むしろ大声で泣きじゃくった方がどれだけ気が楽かと思うほど、泣きたい気持ちを堪えようとするエステルの姿は、さらに痛々しく見えた。

慰めてあげたいのに、どうやってあやせばいいのかわからず、ドフィンは少し迷った末に、エステルをぎゅっと抱きしめる。

ドフィンの大きな腕にすっぽりと包まれても、エステルの小さな体は温もりに震えていた。

「君を悲しませた奴らは、私が全員懲らしめてやるよ。それに、君が一人で耐えようとする必要なんて全くないん。」

「お父さん・・・」

エステルはドフィンの肩に顔を埋め、ぎゅっと目を閉じる。

どんな言葉よりも、彼の温もりが心を大きく癒してくれるのを感じた。

「君を泣かせた奴らは、絶対に許さない。」

「・・・え?」

「私の娘を泣かせるなんて、いい度胸だ。」

ドフィンの声は穏やかに抑えられていた。

信じられないような真剣さに、エステルの涙はさらに止まらなくなった。

「殺してと言っても?」

「君が望むなら、何だってするさ。」

緑の瞳が鋭く光を放ち、危険な雰囲気を漂わせた。

冗談かと思いきや、真剣に話しているようで、エステルは混乱してしまった。

「ドフィンなら、本当にやりかねない」と思うと、彼女は戸惑いながらも彼の顔を見る。

その瞬間、彼がくすっと笑った。

「もちろん、君が望まないことは何もしないよ。心配しなくていい。」

ドフィンはエステルの髪を耳の後ろに優しくかき上げながら、柔らかい表情を浮かべた。

涙に濡れたエステルの姿を見て、彼女と初めて会った時のことを思い出し、胸が痛んだ。

「この秘密を知っているのはラビエンヌか?奴が君をいじめて、それから逃げるために俺に頼んで殺してくれとでも言ったのか?」

いつもエステルの過去が気にかかっていた。

どれだけ調べても分からなかった彼女の実体が、少しずつ近づいている気がした。

ブラウンス公爵がエステルに何か悪事を働いたのなら、許すことはできないと考えながら、ドフィンは怒りを抑える。

「いいえ。ラビエンヌはまだ知りません。」

エステルは声を落とし、慎重に答えた。

「本当に全員叱ってくださるんですか?」

「もちろんだ。お前の目から涙を奪ったのなら、それはテレシアへの挑戦に等しい。」

「それが・・・神殿でも?」

神殿全体を敵に回す覚悟があるのかを尋ねるような口調だった。

「私の騎士団は帝国最強だ。神殿を敵に回すことなど些細な問題だ。もともと気に入らなかったが、この機会に完全に片付けるのもいい。」

もちろん無謀な発言だが、ドフィンにとってはむしろ都合のいい展開だった。

エステルの口元がほころんだのを見て、ドフィンは安心する。

「それで、神殿が君に何か悪いことをしたのか? すぐにでも馬車を引き返して・・・!」

「違います!まだ誰も知らないんです。」

エステルは、今にも馬車を止めそうなドフィンを急いで止め、彼の腕にしがみついた。

その瞬間、感情の高まりのせいか、突然手から光が漏れ始めた。

誰も彼女が聖女であることを信じていないという現実の中で、それでもまだ誰にも知られていない事実の重み。

普段冷静なドフィンであれば何かしら異変に気付くはずだったが、その場では適切に反応することもできず、ただ目の前で起きる出来事に圧倒され、動揺を隠せなかった。

状況がまだ明確に把握できていなかったエステルは、彼の視線をそらしながらも、少し安堵した気持ちで手の光を見つめた。

セスフピアが亡くなって以来初めて現れた奇跡のような力。

その現象は、彼女の中で希望の兆しとして浮かび上がっていた。

「それが聖女の証なのか?」

「はい、そうです。」

「手に現れると聞いていたけれど、実際に見るのは初めてだ。」

光が消えることなく次第に明るくなっていくのを見て、エステルは気まずそうにしながら手を背中に隠した。

ドフィンはその様子をじっと見つめながら、エステルの頭を優しく撫で、彼女の手を自分の手で包むようにして押し戻した。

「悪いことでもないのに隠す必要なんてないさ。堂々と見せていいんだよ。」

「え? でも、私が聖女であることが知られたら、お父さんが困るかもしれません・・・。」

エステルの瞳が揺れ動いた。

「困る? そんなことで私は挫けたりしない。」

その言葉だけで力強さが伝わり、エステルの心は少し軽くなった。

「君には選ぶ自由がある。聖女として生きるか、それとも別の道を選ぶか。もし一緒に暮らしたいのであれば、それを尊重するけど、そうでないなら最後まで守り抜くよ。」

「さっき言ったじゃないですか。ずっとお父さんと一緒に暮らしたいって。」

「そうか。」

ドフィンの唇がかすかに動き、ほのかな微笑みが浮かんだ。

普段は見せない柔らかい表情だった。

無表情が多い彼の姿は、いつもと違い、暖かく安らぎを感じさせた。

エステルは帰り道、ドフィンの広い腕の中に身を委ねていた。

その腕は非常に心地よく、彼女は安心して眠りについた。

 



 

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