こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

95話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 予想外の困難③
夜遅くまで書斎で仕事をしていたブラウンス公爵は、窓に「トン、トン」と何かがぶつかる音を聞き、驚いて顔を上げた。
「なんだ?」
誰かがいたずらをしているのかと思い、窓の方へ歩み寄ると、見覚えのある鳩がいるのを見つけて急いで窓を開けた。
鳩は、待っていたかのように開いた隙間からすっと入り込み、左足に巻きつけられた手紙を公爵に差し出した。
「こんな時間に誰だ?」
公爵は手紙を送った人物がただ事ではないと直感し、鳩の足から手紙を解いて広げた。
手紙に書かれた内容を読み、急速に表情を曇らせた公爵は、深く眉間にしわを寄せた。
「こんな馬鹿なことが……」
彼は驚きのあまり混乱した様子で、手紙を何度も読み返した。
「私の娘はラビエンヌだ。ラビエンヌが聖女でないはずがない。」
これまでラビエンヌに「真の聖女でなくても気にするな」と伝えていたのは、彼女が間違いなく次の聖女であると信じていたからだ。
帝国に現存する四つの名門家は、いずれも建国時に初代聖女を補佐してきた家系。
これらの家系はその功績によって地位を得たが、その中でも特別な約束を聖女と交わしたのは、ただ一つの家系だった。
それがブラウンス公爵家。
初代ブラウンス家の家主は女性で、聖女と姉妹のように親密な関係を築いていた。
そのためか、初代聖女は神に誓いを立て、一つの家門と特別な約束を交わした。
ブラウンス家から3代ごとに聖女が現れるというものであり、これがブラウンス家がこれまで最も多くの聖女を輩出してきた理由だ。
今回の15代目聖女も当然のようにブラウンス家から出ると思われていた。
しかし、ラビエンヌがその聖女でないとは――。
「一体どういうことだ。」
既に15代目に達し、数百年の時を経た今、過去の約束が破られたのだろうか。
思わずカーペットの上を行ったり来たりしていた公爵は、ふと何かが頭をよぎり、立ち止まった。
「まさか……キャサリン?」
10年以上前の記憶が蘇った。
キャサリン――彼女はブラウンス公爵の14年に一度の訪問客であり……以前、結婚後に一度だけ会ったことのある雑貨屋の主人だった。
偶然訪れた店で一目惚れし、口説き落として二人は恋人関係に発展した。
しかし、野心を抱える公爵にとって平凡な雑貨屋の主人であるキャサリンは、決して釣り合う相手ではなかった。
さらに、彼は当時すでに現在の妻と結婚しており、ラビエンヌをもうけていた。
キャサリンにとってその関係は一時的な気晴らしのつもりだったが、彼女は次第に真剣になり、公爵に執着するようになっていった。
これ以上関係を続けるわけにはいかないと思った公爵が彼女を切り捨てようとしたところ、彼女は激しく反発し、公爵の妻に関する秘密を暴露すると脅迫してきた。
公爵は生涯の蓄えを渡して縁を切ろうとしたが、彼女はそれを拒み、「自分の子どもを奪われた」とまで主張しながら彼にしがみついた。
「ブラウンス、私はあなたの子どもを奪ったわ。どうするつもり?それでも私を捨てるの?」
その日を境に、公爵は将来の障害になると考えたキャサリンを殺すことを決意した。
すぐに数人の騎士を送り、誰にも気づかれずに殺すよう命じたが、キャサリンは剣で負傷しながらも逃亡してしまった。
追撃を試みたものの、彼女の足跡が消えたのを見てやむなく諦めた。
どうせ剣に刺されたのだから生き延びるのは不可能だろうという判断だった。
その後、キャサリンは二度と彼の前に現れることも連絡を取ることもなかった。
そのため、彼女が死んだものとして記憶から消えた名前だった。
「キャサリン……」
ブラウンズは震える手をぎゅっと握りしめ、再びその名前を口にした。「まさか、あの女が……」
当時は、そうやって消えてくれたことをむしろ良かったと考えていた。
しつこく付きまとう厄介な存在がいなくなったのだから。
しかし、もし彼女が自分を引き留めるために適当に口にした言葉が本当だったとしたら。
当時キャサリンが本当に子どもを連れ去り、その子どもが自分の娘だったとしたら。
それは彼にとって災厄以外の何ものでもなかった。
「全く、自分が確かに確認したはずだが……いや、そんなはずはない、あり得ない。」
そう自分に言い聞かせながらも、抑えきれない不安が胸を締めつけ、握り拳を振り下ろして机を何度も叩いた。
「アレック!」
大声で叫ぶと、外で控えていた秘書が慌てて扉を開けて駆け込んできた。
「どうされましたか?」
「キャサリンを探せ。」
「キャサリンといいますと……。」
その名前に覚えがあるものの、正確には誰かを思い出せず、秘書は戸惑った表情を浮かべた。
アレックは記憶を掘り起こし、大きく驚きながら尋ねた。
「まさか……昔茶店を経営していたあの女性のことですか?」
「そうだ。」
「でも、すでに亡くなったはずでは……。」
「亡くなっていたなら、それでいいことだ。しかし、もし生き延びていたのなら、逃亡後の行動を調査してくれ。」
アレックは困惑しつつも了解し、黙って頷いた。
「それと、キャサリンに十歳前後の子どもがいる可能性も考えておけ。その可能性を念頭に置いて調べろ。」
「えっ? あ、わかりました。」
驚くアレックの様子を見ながら、公爵の眉間の皺はさらに深まった。
もし本当にキャサリンに子どもがいて、その子が自分の娘であり、聖女の力がその子に継承されていたとしたら――。
その恐ろしい想像に、どうかただの空想であるよう願うばかりだった。






