こんにちは、ちゃむです。
「偶然助けただけなので、責任は取りません」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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40話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 決意
「あなたは、お母さんが人生を変えるほど愛した子だったの。」
その言葉に、私はただ微笑みながら目の前の優雅なご婦人を抱きしめた。
そして、すべてを理解したような優しい声で口を開いた。
「セイビア様。とてもお辛いのですね。私のせいで過去のことを何度も思い出して、もっとつらくなったのでしょう。」
「………」
「今日のことは気にしないでください。何しろ、私を見ていれば、フェリアン公女が成長した姿を想像するのは当然です。似ていますから。」
これはそういう意味だった。
あなたが辛くて思い込んでるだけよ。
私はフェリアンじゃない。
「それでも友達の娘が代わりに慰めになれるなんて、どれほど幸運なんでしょう?」
証拠なんてないはず。
あの弱りきったセイビアが妄想で騒いでいるだけ。
それで終わることだ。
大して驚くことでも慌てることでもなかった。
「でも泣いたら、吐き出したら少しは楽になるわよ……」
だけどセイビアはためらわず、私をぎゅっと抱きしめてきた。
頭の上に涙がぽたぽたと落ちてきた。
「どうやって生きているのか分からない。きっと苦しくても生きなきゃいけない理由があるんだろうから、私には聞かないわ。」
「………」
彼女の腕の中で、私はもう表情を作る必要も感じず顔をうずめた。
私を強く抱きしめているその腕をそっと解いて、セイビアと目を合わせた。
簡単で安全な方法がある。
ここでセイビアを殺すことだ。
クルーズ列車がほとんどの時間を空中で過ごしているため、能力を使うには通常より不利な状況。
しかし能力の副作用さえ考慮すれば問題なかった。
ただここで彼女を殺し、セイビアとそっくりな仮体を作ってその体で活動すればよかったのだ。
本体と仮体を同時に動かすのは数日間倒れるほど大変なことではあったが、これくらいの計画のためならいくらでも耐えられる。
元々の計画にはセイビアが必要だったが、いなくても構わない。
一番大事なのは、自分の人生。
それは結局、自分の家族と成功だけなのだ。
たった数ヶ月気を使っただけの貴婦人の命など、何の意味もなかった。
この場に、か弱い貴婦人の痕跡はもうなかった。
このバカみたいな方法は何十通りもある。
それなのに私はなぜ、今この時間を無駄にしているのか。
「………」
数秒。さらに数秒。
目の前の相手を殺しても余りあるほどの時間が続けて過ぎていった。
過ぎて、また過ぎていく。
私はピシッと立ったまま口を開いた。
「どうやって知ったんですか?」
最近はホテルよりもセイビアと一緒に行動して、この人のすべてを監視していた状況だ。
初対面では私が友達に似ているという事実にもほとんど疑念を抱かなかった女性だった。
途中で何かしらのほころびや新しい情報を得る機会すらなかった。
抗うつ薬が人間に血統識別能力を与えるわけでもない以上、見抜ける方法自体がなかったということだ。
私は本当に真剣に薬の配合に問題があったのかまで確認した。
いろいろ考えながらぼんやり立っていると、また彼女が私を抱きしめてきた。
意味不明なことを叫びながら。
「理由があって目覚めると思ってたの?」
じゃあ、何のきっかけもなく分かってしまったってこと?
本当にあり得ない話だった。
まったくもって理不尽な話だった。
本当に。
レリオンも、レッサーも、フェノクスも、誰も分からなかったのに。
なのに、あなたが分かってしまったら、私は何なんだ。
何の理由もなく目覚めたとしたら。
ただ過去の記憶だけを反芻しながら、
植物のように時を耐えていた女が、血のつながった者たちより先に気づいてしまったとしたら。
「……」
もう分からない。
戻って洞窟か海の底にでも潜りたかった。
誰かが引っ張り出してくれるまで、ずっと。
私はセイビアを生かすことに決めた。
ただ私がかっこよくて誇り高いスパイだから、それだけ。
彼女が私をまるで赤ちゃんをあやすようになだめて決めたことではなかった。
・
・
「これからあなたの人生は私が決めます。」
セイビアが「ぷぅぷぅ言ってたこと。」とつぶやいた。
そもそもなぜいつもぷぅにこだわるのか、もう聞いてみたほうがいいかもしれない。
「私の予想を外そうとしたあなたが悪いんですよ。」
私の解決策はこうだ。
ことが終わったら、成功を口実にして合意のもとに西帝国に戻れなくさせるつもりだった。
もちろんその合意は私と私が結ぶものだ。
さすが最強のスパイらしく、かっこよく冷徹に仲間を裏切るという冷酷な決断。
でもセイビアは、そんな私の深い意味をすぐには理解できず、戸惑いながら言った。
「あなたが決めたって? 私の人生の結末はもう決まってるわ。あなたは早く逃げなさい。私はなんとかしてみるから。」
「私がなぜ逃げるんですか?」
誰から?
「ホンテインから。」
「ホンテイン?」
「驚かないでね。あいつ、結婚式の日にあなたと私、それにウェンドム公爵を殺そうとしてるから。」
とてつもないスケールの話だったが、もちろん驚くことはなかった。
すでに知っていたから。
のんびりと、セイビア様に薬を飲ませて治療する趣味生活を楽しみながらも、ロクサルは密かに監視していた。
彼らが現公爵夫妻を完全に始末し、ホンテインを新たな主君に据える計画を持っているというのは、十分すぎるほど明らかに描かれていた設定だった。
全部分かっていたんだ。
私が黙っていると、セイビアはまるで答えるように胸を叩いた。
「いや、どう育ったのかも知らないけどさ、その無表情、私の母さんにそっくりだ!」
正直、お母さんも生きてたら出てこいって言いたいところだけど、セイビアが息苦しそうにしながら、私は別のことを考えていた。
今さら口頭弁論の能力について説明する必要もないだろう。
しかも、自然に告白しながらも、なぜ私を裏切るのか、どうやって抜け出してどう生きてきたのか一切聞かないでいるのだ。
本当はそれが一番気になるはずなのに。
ただおとなしく私に協力しようとしている感じだ。
ウェンドムで生きながら、もうすべてを諦めていたからなのか。
そうだ、きっとそうだ。
「セイビアさんは、あの息子の破綻作戦を知っていながら、なぜ黙っていたんですか?」
まるで死のうとしているみたいに。逃げようとする気配もなく。
私は本当に純粋な気持ちで尋ねた。
「セイビア様。ホンテインを愛しているんですか?」
……少し奇妙に聞こえるかもしれないけど、からかっているわけではなかった。
本当に。
とにかく、私はセイビア様がホンテインのことを罵っていると思っていた。
普段も毎日のようにそうだったし。
でもセイビア様は、何かを悟ったような顔で微笑んだ。
返事はなかったけど、大体のことはわかった。
どれだけ憎んでいても、結局は愛してしまうのが母親というもの。
なんというか、子ども向け劇に出てくるような教訓的セリフを聞いたような気分だった。
そしてそれは、セイビア様にとって本当に幸運なことだった。
なぜかって?
私はそういう幼稚で、ありふれていて、教訓めいた子ども向け劇が好きだから。
「エヘン。」
私は堂々と言った。
セイビアはこれから王宮に閉じ込められたまま、私が作った厳しい健康食と運動計画に従って、強制的に健康的な生活を送りながら自由を奪われる予定で、その代わり――
「あなたの一生の恨みだった息子の人生を救ってあげます。」
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