残された余命を楽しんでいただけなのに

残された余命を楽しんでいただけなのに【40話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...

 




 

40話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 憧れの人

翌日、イザベルはビアトンとともに皇宮へ向かった。

「ビアトン卿が直接お世話をしてくれなくてもいいのに。」

「ですが、皇女様を直接お世話したくて仕方ないのです。」

まったく。

ビアトンはニッコリと笑いながらイザベルを見つめた。

「時間を奪ったみたいで申し訳ないです。」

「時間をプレゼントとしてもらえたんだから、むしろ嬉しいですよ。」

口から出た言葉だと思いながらも、イザベルはこみ上げる笑いをこらえるのが難しかった。

『こ、このお世辞野郎!笑うのはやめなきゃ!』

笑ってはいけない。

そう思っても、なかなかうまくいかなかった。

子供のように素直な体は、正直に反応してまたクスクスと笑ってしまった。

やがてイザベルの顔は赤くなった。

褒め言葉や優しい言葉に対してあまりにも素直なのが、少し恥ずかしかった。

「皇女さま、どうして笑っていらっしゃるのですか?」

戸惑いながらも、正直に答えた。

「ビアトン卿がそんなに優しく言ってくれると、気分が良くなりますね。」

話しているうちに、声がだんだん小さくなった。

心の中をすべて見透かされたような気がして、少し気恥ずかしくなった。

慌てて話題を変えた。

「ユリお姉さんとお姉さんのお母さんは、無事にここまで来られますよね?」

「もちろんです。私の直属の部下たちが迎えに行っています。きちんとお連れするでしょう。」

「ビアトン卿の直属の部下たちが?!」

一瞬、驚きの表情を浮かべた。

ビアトンは皇帝の臣下であり、彼の直属の部下たちは皆、名の知れた実力者たちだ。

そんな彼らを動かすとなると、莫大な費用がかかる。

「わ、私、そんな大金はありません……。」

「心配しないでください。1,000万ルデンで済ませるようにしましたから。」

「……え? それって可能なんですか?」

「はい。可能でしたよ。」

かなり慎重な交渉と合意が必要ではあったが。

そのことは口にしなかった。

イザベルは目を大きく見開いた。

「本当ですか?」

「はい。その友人たちは皇女さまの温かい心に惹かれたようですよ。惹かれずにどうして裏切ることができるでしょう?皇女さまのように愛らしい方の部下になるなんて。」

惹かれなかったら、まるで地獄のような苦しみ……いや、厳しい訓練が待っていたはずだから、彼らが心を動かされずに裏切るわけがない。

その言葉を口には出さず、ビアトンは明るく笑った。

そんなときだった。

ドンッ!

轟音とともに馬車が大きく揺れた。

ヒヒィィィン!

馬たちのいななきが響いた。

ビアトンは素早く馬車の扉を開けて外へ飛び出した。

「何が起こった?」

ビアトンはすぐに状況を把握した。

「……交通事故?」

馬が人とぶつかっていた。

しかし、どういうわけか、人間よりも馬のほうがひどく傷ついている。

御者は慌てて馬車から降り、ビアトンに謝罪した。

「ぶ、部官様、申し訳ありません。私の不注意で……。」

誰かとぶつかったようだ。

女性だった。

あの人をまず助けろ、という意味だ。

馬夫は恐怖で震えながら、慌てて手綱を引いた。

馬たちが前へと走り出そうとするのを必死で落ち着かせ、そして尋ねた。

「大丈夫……?」

痛いですか?と聞くべきだったが……。

「……すごいですね。」

あまりにも静かで呆然とした表情だった。

痛みを感じているのは馬たちで、人間はただぼんやりと立っていた。

背がとても高く、赤い髪をした女性だった。

「みんな、大丈夫?」

馬たちは鼻を鳴らしながら体を震わせた。

幸い、大きな怪我はなかった。

「よしよし、驚いたよね。いい子ね。」

彼女は馬の首を優しくトントンと叩き、落ち着かせた。

それは、外城の守備隊長キルエンだった。

キルエンはビアトンの方に視線を向けた。

「まったく、こんな狭い道で四頭立ての馬車に乗るなんて、どうかしてるわ。それにしても、その顔……私の知っている人にちょっと似ている気がするんだけど。」

「え、え?」

ビアトンが動揺することは滅多にない。

しかし今日ばかりは、どうしようもなく戸惑っていた。

「キルエン、お前がなぜここにいる?」

「まずは大丈夫かって聞くのが普通じゃないか?」

「いや、お前はすごく元気そうだけど?」

二人は顔見知りだった。

正確に言えば、二人は昔の恋人だ。

10代後半の若い頃、二人は付き合い始めた。

しかし、長い時間が流れ、自然と距離ができた。

ビアトンはビアトンとして、キルエンはキルエンとして、それぞれ忙しすぎた。

どちらから別れを切り出したわけでもなかった。

ある瞬間、二人は別れたことを認識し、さらに時間が経つと、ただの知人のように過ごすようになった。

それからすでに10年以上が過ぎていた。

「この狭い道で馬車を乗り回している気の狂った貴族がビアトンとはな。ちょっとがっかりだ。」

「これは仕方のない選択だった。」

ビアトンは堂々と言い放った。

「私は皇女様に最高のものだけを提供したいんだ。」

「ということは、中に皇女様が乗っているということ?」

キルエンは思わず眉をひそめた。

『皇宮で甘やかされて育った子供か?』

そうでなければ、こんな狭い道を四頭立ての馬車で移動するはずがない。

ビアトンは声を低くして言った。

「皇女様に傷がついてはいけない。」

キルエンの眉間のしわがさらに深くなった。

「何を言ってるんだ?」

「お前、以前も上官を殴って宮廷から追放されたじゃないか。」

キルエンは元々、皇宮所属の黒龍剣隊の副隊長だった。

ある日、彼女は黒龍剣隊の剣隊長を暴行するという不祥事を起こした。

疑惑を招いた結果、彼女は黒龍剣隊の副隊長の座を降り、外城の守備隊長となって皇宮を去らなければならなかった。

「殴られたら殴り返すのが当然でしょ。」

「うわ、すごく危険な発言を平然と言うね。」

キルエンはビアトンの顔をじっと見つめた。

ビアトンはニコニコと笑っていた。

かつて短い間付き合った恋人だったが、今でもビアトンの本心を知ることはできなイ。

「せっかくだから一つだけ聞いていい?」

「何?」

「ラモンの話なんだけど。」

「ラモン? ああ、あの部下の剣隊員たちを性接待させようとして、お前に叩きのめされた黒龍剣隊の隊長か?」

キルエンは何日も我慢していた。

ラモンがどんなにくだらないことを言っても、ずっと耐えていた。

しつこく続く不愉快な接触や、いやらしい視線にも目をつぶってきた。

なぜなら、ラモンは彼女の上官だったからだ。

しかし、ラモンが新入りの剣隊員を自分の部屋に呼び出し、睡眠薬を飲ませようとしていた瞬間を目撃したとき、キルエンはもう我慢できなかった。

結局、キルエンは騒動を起こし、ラモンを殴り倒してしまった。

その日以来、ラモンはキルエンを殺してやると歯ぎしりしていた。

「私と不幸な出来事があった後、数カ月後に行方不明になったそうだ。」

「ああ、そうだったな。でも、ずいぶん昔の話だから、もうよく覚えていないな。」

「お前がやったのか?」

「私? 私が? なんで?」

ビアトンは目を丸くした。

まるで初めて聞く話のような表情だ。

「お前以外に誰がそんなことをするんだ?」

「私は知らないよ。」

言葉のやり取りがあまりに怪しく、さらに問い詰めようとしたが、その時、イザベルが馬車から降りてきた。

「ビアトン卿、どうして怖い笑顔を浮かべているのですか?」

「え?笑ってるのに怖がられることなんてありますか?」

「そうなんですか?」

イザベルも手綱を握りながら笑った。

「これ、できるんですね?」

しかし、第三者の立場でビアトンを見ていたキルエンは、彼の表情が微妙に変化したことに気づいた。

『彼女の言う通りだ。同じように笑っているのに、笑顔が変わった。』

正確に何が変わったのかは分からないが、明らかに雰囲気が違っていた。

今の笑顔とさっきの笑顔はまるで違う。

さっきの笑顔は『誰かを陥れたくて浮かべた笑み』のようだったが、今の笑顔は『幸せで温かい微笑み』のように感じられた。

「はっ、私としたことが。」

キルエンはイザベルに向かって腰を軽く折った。

「皇女様にお目にかかります。外城守備隊長キルエンです。」

簡潔に礼を示した。

特権階級の皇女とは深入りしたくなかった。

「では、私はこれで。」

立ち去ろうとしたその時、イザベルが言った。

「……ごめんなさい。」

「え?」

「中で話を全部聞きました。私は知りませんでした。皇宮の道路の状況がどうなっているのか、私が乗っているこの馬車が他人に迷惑をかける可能性があることも、全く知りませんでした。」

キルエンはしばらく口を閉じた。

ビアトンは口の形で「いや、キルエン、いやいや」と言ったが、キルエンは反応しなかった。

幼い頃からキルエンが最も嫌うことが一つある。

それは「知らなかった」という言葉だ

彼女にとって、それは言い訳にすぎない。

「知らないことが免罪符になるわけではありません。」

「私も分かっています。」

キルエンは正直に疑わしいと感じた。

当然、怒るだろうと思っていた。

表には出さなくても、内心では憤るはずだと思っていた。

しかし、イザベルからはそんな気配はまったく感じられなかった。

「でも、私はもうすぐ6歳なんですよ。」

キルエンは頭を殴られたような気分だった。

イザベルの歩き方が10代前半に見えたせいで、彼女がまだ6歳だということを忘れていた。

「だから、知らないことがあっても恥ずかしくない年齢だと思います。知らなかったことは学べばいいし、できなかったことは直せばいいんです。」

「……。」

「これからたくさん学びます。立派な大人になりたいんです。」

「……そうですか。」

「それで、一つお願いがあるんですが。」

キルエンは思わず身構えた。

実際、キルエンは地位の高い貴族の子息たちをあまり好まなかった。

キルエンの考えでは、彼らの言葉には常に隠された刃が潜んでいた。

表と内面があまりにも異なるため、キルエン自身とは合わなかった。

だから、イザベルの「お願い」という言葉が、なんだかとても気に障っただけだった。

「はい。何でしょう?」

「・・・サ、サインをいただけますか?」

イザベルの目がキラキラと輝いた。

先ほどまでは警戒していて表情には出さなかったが、実はキルエンはイザベルがとても好きなキャラクターだった。

表向きには抑えているものの、今、彼女の心の中は花畑だった。

『どう見ても、すごいイケメンだわ。』

すらりとした高身長。

銀色の鎧でも隠しきれないスタイル。

やや中性的な顔立ち。

ポニーテールにまとめた赤い髪。

頭の先からつま先まで、イザベルの好みにぴったりなスタイルだった。

憧れの相手を目の前にして、心臓がドキドキした。

「わ、私に……サインを……?」

「はい!サインしてください!」

馬車の中でゴソゴソと探し、ようやく取り出した。

イザベルはメモ用紙とペンを差し出した。

「いきなりサインを頼むんですか?」

皇女からサインを求められるとは思ってもみなかったキルエンは、困惑した。

ビアトンの方を見ると、彼は突然御者の肩をもみほぐしていた。

事故が起きてしばらく経ったのに、今さらのように。

ちなみに、その御者はビアトンの直属の部下だった。

ちょっとした事故でも起こるはずのない、完全なエリートだった。

「ここは私的な席だから、気軽に話してもいいですか?」

「それは皇女様の自由ですが……。」

「私は以前から、お姉さんのサインが絶対に欲しかったんです。」

イザベルは本気だった。

その真剣な眼差しを見て、キルエンは少し困惑した。

『私をいつ見たって?』

その疑問を感じ取ったのか、イザベルは続けて言った。

「お姉さんの噂はすでに広範囲に広まっているんですよ。」

「広範囲に?」

「とてもとても広く、皇宮にまで広まっているってことです。」

再び紙とペンを差し出した。

「サインをお願いします!」

キルエンは困惑しながらも、結局サインを書いた。

サインを受け取ったイザベルは、ぴょんぴょん跳ねながら大喜びした。

「わあああ!本当にこれを手に入れた!」

イザベルは、これほどまでに楽しそうに、そして幸せそうにしていた。

まるで子どものようだった。

『いや、実際に子どもなんだけどな。』

キルエンはそんなイザベルをしばらくじっと見つめた。

まるで彼女の周囲に柔らかい光が集まってくるような気がした。

 



 

残された余命を楽しんでいただけなのに【41話】ネタバレ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...
【残された余命を楽しんでいただけなのに】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。 ネタバレ満...
【公爵邸の囚われ王女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...
【家族ごっこはもうやめます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...
【乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する」を紹介させていただきます。 ネタバ...
【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...
【継母だけど娘が可愛すぎる】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...
【あなたの主治医はもう辞めます!】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...
【大公家に転がり込んできた聖女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...
【夫の言うとおりに愛人を作った】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...