こんにちは、ちゃむです。
「捨てたゴミは二度と拾いません」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

98話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 自覚④
朝早く。
「ポールが言うには、庭に見たことのない植物が生えたそうです。」
サラが、私の濡れた髪を乾かしながら、昨日帰りが遅くなったせいで伝えそびれていたことを話した。
「最初は雑草だと思って全部引っこ抜いたんですが、水草の中に紛れて生き残ったものがつぼみまでつけてしまいました。」
「じゃあ、雑草じゃないってこと?」
「はい。たぶん、どこかの花の種が風に乗って飛んできて、この庭に根を下ろしたんだと思います。」
それにしても、寒い冬に花のつぼみまでつくなんて不思議だ。
感心しながらも眺めた。
「どうしましょう、お嬢様?取り除きましょうか?」
「いや、雑草でもないし、花を咲かせる植物なら、そのまま残しておいてもいいんじゃない?」
「わかりました。」
話をしているうちに、髪がすっかり乾いた。
サラはポニーテールの形に高く髪を結んだ。
「今日も遅くお戻りですか?」
コートを羽織っていると、ネスが尋ねた。
「わからない。行ってみないと。」
「最近、保育園に行くために早く出発されるのに、帰りが遅いので心配です。無理をしているのではありませんか?」
「このくらいは大丈夫。」
これより大変な人生も経験してきたのだから。
「じゃあ、行ってきます。」
「いってらっしゃいませ、お嬢様。」
私は見送りに来た使用人たちに挨拶をし、馬車に乗り込んだ。
しばらく走った後、馬車はある花屋の前で止まった。
位牌の前には白い菊の花を供えるのが一般的だったが、私は一度ミサが好きだった花を供えたくて、葬儀用のバラの花束を買った。
ミサが好きだったのは、バラの中でも黄色いバラだ。
しかし、冬のせいか黄色いバラは手に入らず、赤いバラの花束を買った。
春になったら、黄色いバラの花束を供えよう。
ミサの位牌は、これからも私の邸宅に置いておくつもりだから。
そんな気持ちを慰めるように、私は養育院へと向かった。
「いらっしゃいませ、旦那様。」
「良い朝ですね、旦那様。」
「おはようございます。」
今ではすっかり親しくなった人々と挨拶を交わしながら、ミサの位牌がある部屋へ入った。
ちょうどバラの花束を供えようとしたところ、すでにミサの位牌の前にはバラの花束が置かれていた。
ミサが好きだった黄色いバラの花束。
誰が置いたのか、考えずともすぐに分かった。
寒い冬に黄色いバラが咲く場所は、皇宮の温室だけだったのだから。
『陛下が持ってこられたのですね。』
以前、ミサの話をあれこれしながら、何気なくミサが黄色いバラを好んでいたことを口にしたことがあった。
カリアンはそれを覚えていて、黄色いバラの花束を持ってきてくれたようだ。
「思いやりのある方ね。」
カリアンのことを思うだけで、胸が温かくなった。
私は微笑みながら、地面に落ちた黄色いバラの花びらを拾った。
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「帝国各地の闇市場10ヵ所を調査した結果、そのうち3ヵ所でモレンチェの果実が取引されていました。」
ヒルタインの報告に、カリアンは尋ねた。
「つまり、まだ物理的な果実が本格的に流通しているわけではないということか。」
「はい。皇室でもすでに一度、苗木を採取しましたが、寒い気候のため、再培養が容易ではないようです。」
とはいえ、以前の闇市場で見た物理的な果実の量も極めて少量だった。
本格的に販売しようとしたというより、反応を見ようと実験的に出したように見えた。
「まだ勢力が拡大しているわけではなさそうなので、今なら彼らの根を摘み取ることができるでしょう。」
「反対に、勢力が小さすぎて見つけるのが難しい可能性もあります。」
うかつに手を出せば、勢力の影を追うことになるかもしれない。
密かに隠してしまっても困るところだ。
もう一つ困ったことがあった。
それは、新年祭に参加するために、他国の使節団が次々と帝国に集まっていることだった。
このような状況で、モレンチェの実の取引が発覚すれば、余計に騒ぎが大きくなる。
無駄に注目を集めてしまうだろう。
ほかでもなく、モレンチェの実に関することだったので、なおさらだった。
モレンチェの実は帝国だけでなく、大陸全体で厳しく禁止されている麻薬だ。
もし取り締まりに成功すれば問題ないが、失敗した場合、大陸中の笑いものになるのは明らかだった。
もしもこの勢力が大きくなりすぎていたら、笑いものにされるどころか、必ず捕らえなければならない状況になるだろう。
しかし、報告を聞いた限りでは、まだそこまでの必要はないようだった。
「とりあえず、物理的な果実が発見された闇市場の場所は引き続き監視するように。その取引に関与している者がいるか調べろ。」
「はい。」
「確実に捕らえられるなら捕らえたほうがいいが、そうでないなら、ひとまず見守れ。少なくとも新年祭が終わり、使節団が帰るまでは。」
「承知しました。」
ヒルタインが退席し、その席をレイラが埋めた。
「レイラ。」
カリアンはレイラを見て明るく微笑んだが、レイラの表情は深刻だった。
一体何があったのか?
深刻な表情のカリアンが、急いで尋ねた。
「どうした?」
「新聖国から招待状への返答が届きました。」
一か月前、新聖国を含む他国へ、帝国で行われる新年祭への招待状を送った。
他の国々は招待状を受け取るとすぐに出席の可否を知らせてきたが、新聖国だけは違う。
新年祭まであと二週間と迫る今になっても、彼らからの返事はなかった。
しかし、それについては気にも留めていなかった。
新聖国が帝国の新年祭に参加した例は、帝国の長い歴史の中でも数えるほどしかなかったからだ。
今回も当然のように欠席すると考えて、特に気に留めていなかった。
それなのに返事が来たとは。
『今さら礼儀を守るつもりか。』
滑稽な話だ。
カリアンは苦笑しながらレイラに尋ねた。
「どうせつまらない話だろう?」
「いいえ。」
レイラは新聖国からの返事をカリアンの机の上に置いた。
「参席するそうです。」
「何?」
新聖国が新年祭に参席すると言ったのか?
レイラを疑うわけではないが、これはさすがに信じがたく、カリアンは直接返事を確認した。
「……本当だ。」
返答には、新年祭に確実に参加するという意思が記されていた。
突然ではあったが、新聖国がなぜ参加するのか、その理由はおおよそ見当がついた。
「今回は、我々側の神殿で起こった出来事のせいで来るのだろう。」
「私もそう考えています。」
レイラは簡潔にカリアンの意見に同意した。
「どうなさいますか?」
「どうするも何も、来ると言っている以上、断るわけにはいかない。」
カリアンは口角をわずかに上げながら、頬杖をついた。
「王が来るなら、盛大に迎えなくては。」
二度と帝国を無視できないように、しっかりと歓迎してやろうと考えていた。










