こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は279話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
279話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side レイブン
私は二人を見送った後、執務室に戻った。
二人だけが残るようになると、ヴェリテが尋ねる。
「アビゲイル、情報部に頼んだことは何?」
「怪しい噂について調べてくれと言ったの」
「どうして?」
「ひょっとして意外な方向から手がかりを得るかと思って」
現在、情報部は闇市場を調査中だが、私はその他に任務をもう一つ下した。
それは、ここ数年で回った奇妙な噂を調べてほしいということ。
私は犯人が原作を強制的に完成させようとしているのではないかと推測した。
もしこの推測が正しければ、誰かが原作童話を読んだということだ。
この世界に童話は存在するが、「白雪姫」という童話は存在しない。
それなら、私以外の他の憑依者がいるかもしれない。
そのため、情報部に奇異な噂について調査してほしいと言ったのだ。
私のように死んで生き返ったり、あるいは人が変わったように変な行動を見せる人がいたら・・・。
あちこちに罠は仕掛けておいた。
これからは獲物になるのを静かに待てばいい。
カラスが雪の降った木の上に座っている。
レイブンは窓越しのカラスをじっと見つめ、静かに見線をそらした。
数日前まで針音が流れていた宮内に活気が漂っている。
まるで大雪がやんで春がやってきたかのように。
あの時はみんなが黒い服を着ていた。
みんなが黒だったので、レイブンはあまり目立たなかった。
しかし、今は皆が喪服を脱いでいる。
ただレイブンだけが葬儀を行う人のように黒いコートを着たままだった。
(気に入らない)
彼は心の中でつぶやいた。
全てがうまくいくかと思ったが、結局原点に戻ってしまった。
セイブリアンが死んだという知らせに彼は笑いを堪えた。
セイブリアンが弱点を見せるのを待ったのが10年。
手段も使っていないのに、勝手に死んでくれたのがとてもありがたかった。
それなのに、蘇るとは。
「いったいどうやって動くのか分からないな」
当時、彼は葬儀場の最前列に立っていた。
そのため、アビゲイルがセイブリアンにキスするのをはっきりと見た。
アビゲイルのキスでセイブリアンは助かった。
他の人が言う奇跡なのだろうか。
しかし、奇跡だけが人を蘇らせるのではない。
先日、彼女に特別な魔力があることを思い出した。
それなら、もしかして彼女は・・・。
「二人は、幸せそうに見えたね」
因果関係をもう一度振り返らなければならないが、しきりに思念が入り込んでくる。
2人がキスしていた場面が目の前に生々しく感じられた。
あんなに幸せそうな恋人は初めて見た。
誰が見てもお互いを愛しているという事実を悟ることができるほど。
レイブンはソファにどっかりと身を横たえた。
普段なら誰かが見なくてもきちんと座っていたのに。
しきりにアビゲールのことを思い出してしまう。
葬式の時にアビゲイルに会った瞬間、彼女が自分をセイブリアンと呼んだ時。
子供の頃,彼は時々セイブリアンの代役を演じることがあった。
セイブリアンの時は皆の関心と視線が自分のものだったが、レイブンになる瞬間、彼はひたすら一人だった。
その瞬間はすべて嫌な記憶として今も残っている。
皆が自分をセイブリアンと呼ぶ度に怒りが悪口を言われるように跳ね上がったりした。
しかし、アビゲイルが自分をセイブリアンと呼んだ時、微弱な喜びが芽生えたのだ。
自分を見つめていたアビゲイルの覗線があまりにも鮮明だった。
普段は冷静に線を引いていた彼女が、あれほど切なく自分を見つめるのは初めてだった。
「あの時、本当にセイブリアンの代替材になってもいいと思った」
代替材として生きたくなかったので、どうにかして王の座を略奪してセイブリアンが持つすべてのものを手に入れたかった。
ところが、アビゲイルの前に立った瞬間。
代替材でもいいから、自分を見てほしかった。
レイブンという名前を捨ててもよかった。
自分でなくてもよかった。
彼女の微笑みを受けることさえできれば。
「いったいどうしてそんなことを考えたのだろうか」
自分が理解できなかった。
一生代替材ではなく、自分として生きていきたいと思った。
それなのに、どうしてこんな心を・・・。
「こんな場合じゃない。考えないと」
今、宮殿で起きている騒乱は彼にとって大きなチャンスだ。
誰かがセイブリアンを殺そうとしたし、その人を利用することもできるだろう。
その人を見つけなければならないのに、相変わらずアビゲイルが思い浮かんだ。
レイブンはコートの袖口をぎゅっと握った。
アビゲールがアドバイスしてくれた服。
彼女が自分でデザインした服を羽織ると、彼女に抱かれたような気がするのではないか。
セイブリアンはいつも彼女が作ってくれた服を着ている、
レイブンはゆっくりと目を開けた。
鋭い金眼が沈黙の中で輝く。
彼は引き出しを開けて短剣を取り出した。
レイブンの顔が鋭い刃に映り、彼はもう一方の手で長い髪をつかんだ。
これを切って、セイブリアンともっと似た顔になったら・・・。
短剣を握った手に力が入る。
そのまま髪を切り落とそうとして、彼はナイフを下ろした。
「今はおとなしくしていたほうがいいだろう」
今まで暗闇の中で静かに息を殺していた。
セイブリアンの真似をしても、アビゲイルの反感を買うだけだ。
それにしてもアビゲイルが見たかった。
遠くからでも見たい、彼は静かに部屋を出た。
「今日この時間なら楽器の練習をしているだろうね」
会いたくて訪ねてきたと言ったら軽蔑するだろう。
彼は頭の中で挨拶を整理しながら音楽室に向かう。
そしてレイブンの予想通り、アピゲイルはギデオンから音楽の授業を受けていた。
アピゲールは大きなグランドピアノの前に座っている。
最初に比べるとかなり上手になった演奏だ。
その隣に座っていたギデオンは笑顔で指導をしている。
「立派です、王妃様。本当に日進月歩されるんですね」
「それは嬉しいわ」
アピゲイルはにっこりと微笑んだ。
大きな意味のない笑みだったが、ギデオンの立場ではぞっとした。
(バレた訳ではないはず)
ギデオンとしては事がこんなにうまくいくとは予想していなかった。
よりによって、あのリンゴをセイブリアンが食べるとは。
リンゴを食べてすぐ倒れたら捕まるのが目に見えて、時間差をつけて仮死状態に陥るように調整しておいた。
成功的にブランシュにリンゴを渡した後、王女が倒れるのを待っていた。
人工呼吸を口実に口付けの準備をしていたのに・・・。
とうしてこんなに事がこじれていくのか分からない。
セイブリアンの葬式が行われるのを見て、彼は絶えず苦悩した。
王に口付けをしなければならないのか?
そうしてでも一席を占めることができるのか?
だが、いくら考えても疑われることが明らかなので、ただ王が土に埋められるのを見守ることにした。
今、王を蘇らせ、王女と結婚しても、若いセイブリアンが十数年はさらに統治するだろう。
ブランシュが少女王になった後に結婚したほうがいいはず。
そう思っていたのに。
「ギデオン」
「は、はい?」
しばらく魂が抜けていたギデオンがびっくりしてアビゲイルを眺めた。
彼女は不満そうな目で言った。
「練習が全部終わったわ」
「あ、はい。すみません。演奏がとても美しく、ぼうっとしていました」
ギデオンはかすかに微笑み,アビゲールの機嫌をとる。
しかし、心の中ではあらゆる憎悪と敵愾心が燃えていた。
(やっばりこの女を放っておいたらだめだ)
ギデオンのお世辞にもかかわらず、アビゲイルは無表情な顔だった。
彼女は何気なく首をかしげる。
「今回は連弾曲を練習したいんだけど。隣に座ろうか?」
「あ、はい、もちろんです」
連弾曲は2人が一緒にしてこそ完成するので、ギデオンは慎重にピアノの椅子に座った。
二人はこぶし一つ入るくらいの仲を置いたまま座る。
その間隔からなんとなく殺伐とした雰囲気が漂った。
「では、始めましょうか?」
「ええ」
二人はにっこり笑って演奏を始める。
アビゲール以外にも転生者がいるのでしょうか?
レイブンがアビゲールに本気になりつつありますね。