こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は144話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
144話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 疫病⑥
マリはすぐに処置した。
水路に埋まっていたネズミの死体をなくし、該当水路で供給されていた水の使用を禁止する。
すると、すぐに効果が現れ始めた。
果てしなく増えていた患者の数が途絶えたのだ。
「もう終わりか?伝染病が終わったの?」
「ああ、神よ。ありがとうございます!」
人々はついに幕を閉じた伝染病の恐怖に喜びの歓呼の声を上げる。
伝染病の被害がなかったわけではないが、それでもこの程度なら他の時に比べて非常に良好だった。
全てマリが遅れないように原因を把握したおかげだ。
「今回もヒルデルン卿が功を奏したと言っていたが?」
「本当なの?」
「そう、水路が汚染されたことを確認して措置したのが、すべてヒルデルン卿だそうだ」
「はあ、本当にすごいね。一体ヒルデルン卿は、私たちにどれほど多くの助けを与えてくれるのか」
首都の人々はマリに感謝の気持ちを持つ。
彼女のおかげで死の恐怖から脱することができたからだ。
しかも、彼女が帝国に功を立てたのは今回が初めてではない。
聖杯盗難事件から今回の伝染病事件まで。
短期間でマリが帝国のために立てた功績は計り知れないほど多かった。
「ヒルデルン様こそ、天から降りてきた天使ではないか?」
「天使?」
「そう、以前にそんな噂があったじゃないか。ヒルデルン卿が、あれこれ問題を
密かに解決してくれた皇居の天使だと。ところが最近の姿を見ると、単なる皇居の天使ではなく、私たち皆のために降りてきた天使ではないかという気がする」
誰かの言葉に人々はうなずいた。
もし本当に天が帝国のために授けた天使がいるなら、彼女であることは明らかだ。
「とにかく私は彼が皇太子妃になることに賛成だ!」
「私も同じだよ!あの方でなければ、誰が帝国の皇太子妃になるのか!?」
「オン・ヒルデルン万歳!」
「皇太子殿下万歳!」
そのように彼女のおかげで死の恐怖から脱した人々は、マリと皇太子の名前を歓呼する。
そしてこのことによって、平民だけでなく貴族の間で彼女を支持する人々が大幅に増えた。
「私も今度のことでヒルデルン卿について考え直すようになりました」
「そうなんですよ。クローヤン王国の戦争捕虜出身だと無視することではなかった」
今回の伝染病は主に貴族の居住地で集中的に起こった。
ところが、マリのおかげで死の危機から脱することができたのだ。
もし彼女がいなかったら、どれほど大きな被害が起きたか分からない。
救われた貴族たちは彼女を見つめ直すようになった。
「私はもう皇太子殿下の意思に賛成する。単に出身成分だけで判断するのではないようだ。彼女が皇太子妃にふさわしくないのなら、誰が皇太子妃になれるというのか」
「私も同意します。すでにヒルデルン卿は帝国の恩人に他ならないから」
「彼女が受けた名前のように、彼女こそ聖人ヒルデガルトに少しも劣らないと思います」
そのように平民、貴族を問わず彼女の名をあげた。
それだけ今回彼女が立てた功績はすごかったのだ。
しかし、みんなが彼女の名前を上げているとき、マリは笑うことができなかった。
伝染病にかかった皇太子ラエルの状態がますます悪化していたためだ。
「殿下・・・」
マリの声が揺れた。
「私は・・・、大丈夫。気にしないように」
ラエルはベッドにもたれかかり、かすかに微笑んだ。
心配するなという笑顔だったが、顔色が青ざめている。
マリは急いで彼の手を握った。
ところが、ラエルの手はまるで沸騰するように熱かった。
(どうしてこんなに高熱が?以前よりもっと酷くなっている)
マリの表情がこわばる。
他の伝染病患者に比べても高熱だった。
伝染病を解決するために多くの調査をした彼女なので、この高熱の危険性を知っていた。
死亡した患者皆こんなに高熱に苦しめられ死亡した。
一人残らず全員だ。
彼女の顔色が青ざめる。
伝染病にかかった人が皆死ぬわけではない。
しかし、死に至った人は、一人の例外もなく、あのように高熱に苦しみ、死亡した。
(いいえ、殿下がそうなるはずがない)
マリは強く否定した。
しかし、血の気が全くない彼の顔は普段と全く違った。
胸がひしひしとするほどか弱く感じられる。
その時、皇太子さまがゆっくりと手を上げた。
簡単な動きでさえ彼の手はかすかに震えていた。
彼はその手で彼女の頬を撫でながら言った。
「私は大丈夫だ。そんな顔をするな」
「・・・殿下」
「なんて奇妙なんだろう。以前はあなたが私のことを心配してくれたらと思っていたが、いざ心配を受けるとあなたが余計に気にするのではないかとむしろ心配になる。私は何ともないから本当に気にするな」
あんなに苦しい中でも、かえって自分を心配する彼の姿にマリは胸が熱くなる。
この人はどうしてこんなに馬鹿みたいなんだ?
ラエルは高熱で曇った視線で彼女を見つめながら言った。
「今回も大きな功を立てたが、本当にありがたい。あなたじゃなかったら本当に大変なことになるところだった」
「大丈夫です。もうこれ以上話さずに休まなければなりません」
マリーは急いで言ったが、ラエルはゆっくりと首を横に振る。
「いや、君が立てた功績に対して賞を与えなければならないのに、ちょっと待って・・・」
そう言う彼の声が次第に低くなった。
高熱に耐えられず、再び眠りについたのだ。
マリは目を閉じたラエルを見てほんやりした顔をする。
「なんで?なんでこんなに悪くなったんだろう?」
いや、理由は重要ではなかった。
彼の苦しい姿を見ると説明できない感情が生まれる。
親しくしていた人が病気なので心配になるのが当然だが、これはせいぜいそのような感じではなかった。
誰かが胸を丸ごと切り取ったような。
「大丈夫だと思う。すぐに良くなると思う」
殿下は、鉄血の皇太子じゃないか。
すぐに立ち上がって堅固な姿を見せるはず。
マリはそう考えた。
そう、他の誰でもない皇太子が病気になるなんて。
そんなことは想像もできなかった。
だからそんなことは起こらないだろう。
彼女はそう呟きながらラエルを看病する。
座るようにもたれた姿勢を楽に寝かせ、ぐらぐら沸く額に冷たいタオルを乗せた。
そして汗に濡れた上着を他の服に変えてあげたりもしたが、普段ならすぐに目覚めたはずの彼はぼんやりとうめき声を上げるだけで、全く目を開けない。
その姿を見ると、マリは再び胸が熱くなった。
自分でも知らないうちに目がずきずきし、彼女は唇を噛んだ。
「どうか・・・、起きてください。こんな姿、殿下には似合いません。お願い、お願いです・・・」
空のコップを持って寝室の外に出ると、御医のゴードン男爵とオルンが深刻な表情で会話を交わしていた。
「それで?正直に言ってみて。殿下の調子はどうですか?」
「とりあえず、最善を尽くして治療しています」
「最善を尽くしているのは知っている。私が知りたいのは正確な状態だ。他の誰でもない宰相である私は状態を正確に知っていなけれはならない。早く言ってみろ」
「はあ・・・」
マリはゴードン男爵のため息を聞いた瞬間、胸がドキっとした。
雰囲気が良くない。
「そうはいかないと信じていますが、実は今のところ断言できません」
オルンの顔色が青ざめた。
「断言できないって?ということは?」
「はい、最悪の瞬間を考えておくべきだと思います」
疫病は駆除されましたが、ラエルの病状はまだ回復しないまま。
最悪の瞬間を考えないといけないということは?