こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は280話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
280話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 助けを求めて
はつらつとした曲が部屋の中に響き始めたる。
(死んだ王にキスをしたのは・・・。やっばり、この女を前もって殺しておくべきだった)
ギデオンの手が流麗に鍵盤を見て通ると、次はアビゲイルの番だった。
彼女は巧みに演奏を続ける。
(やっぱりこの男は怪しい。私たちが果樹園に立ち寄った日、家にいたというが、勘が良くない)
ギデオンはすぐに楽譜をめくった。
20本の指が互いの急所を突くように鍵盤を押し、刃がぶつかり合うように旋律が交差する。
そして、その間に鋭い考えが見える行かない平行線となった。
(やっぱり王より王妃の方が危ない。いつ殺す?)
(明確な証拠はないが、名分を作って閉じ込めてしまおうか?)
愉快な演奏が続く中で、疑いと計略が旋律と共に漂う。
そして優しく演奏していた手が同時に止まり、最後の音が清明に響き渡った。
ギデオンは感激したかのように微笑む。
「立派です、王妃様。もう練習をやめても大丈夫です」
「そう、よかったわ。次はブランシュと一緒に弾かないと」
アビゲイルを嬉しそうに笑いながら席を立つ。
いつの間にか練習時間は終わっていた。
ギデオンは楽譜集を拾い上げながら扉をちらりと見る。
そこには警備兵2人だけが立っていた。
(普段は授業が終わる頃、セイブリアンが訪ねてきて見守っていたはずだが?)
何故か今日は彼が見えなかった。
政務のために忙しいのだろうか?
それとも席を外しているのだろうか。
(セイブリアンの目が届かない今、この女を殺せば・・・)
懐には魔法の薬があった。
お茶でも一杯飲もうという言い訳をして殺すのも一つの方法だ。
ギデオンはいらいらして頭がおかしくなった。
短い悩みの末、彼はにっこり笑って言った。
「王妃様、お聞かせしたい話があるのですが、少々お時間をいただけますか?」
「分かったわ。それでは応接間に行きましょうか」
ギデオンは静かにうなずいた。
ノーマとクララを連れて茶室へ向かう途中、ギデオンの顔があっという間に凍りついてしまった。
廊下の突き当たりでセイブリアンが自分を狙って見ていたのだ。
あの不気味な視線は明らかにセイブリアンだった。
席をはずしたと思ったら、ほんの少し遅れてきたようだ。
ギデオンは慌てて視線を向けながら言った。
「ああ、王妃様。申し訳ありません、私が午後に急用があることをうっかりしていました」
「そうなの?じゃあ、しょうがないわね」
アビゲイルの無頓着な返事がこれほどありがたいことはなかった。
ギデオンは、セイブリアンが近づいてくるのではないかと心配したのだ。
一刻も早くここから抜け出したい。
「それではこれで失礼します」
「王妃様」
喜びに満ちた声が聞こえてきて、アビゲイルは横を振り向く。
ギデオンもセイブリアンをちらりと見た。
ところが、近くで見ると何か変だった。
さっきは気づかなかったが、瞳が金色だったのだ。
ギデオンはやっと自分が勘違いしたしたことに気づく。
(余計に怖がってしまった。レイブンだったとは、気にしないでこのまま王妃を殺すのが・・・)
そんなことを考えていると、ギデオンの肩が震えた。
レイブンの金眼が彼を直覗していたのだ。
クロヒョウが宮を離れたが、鷹がここに残っている。
自分をずたずたに引き裂くような目つきにギデオンは息が詰まった。
「そ、それではこれで失礼します」
ギデオンは頭を下げ,すぐに反対方向に消えていく。
いつの間にか冷や汗が背中を打っていた。
レイブンはギデオンの後ろ姿をじっと見つめた。
(あの宮廷楽士、以前から気になってはいたが)
10年間、自分の目的を隠したまま、闇の中で生きてきたレイヴンだ。
そのため、感覚が敏感なのは当然のことだった。
ただ素行の悪い男だとばかり思っていたが、先ほど、アビゲイルの隣に立っているギデオンを見た時、耐え難い不快感を感じた。
(何か隠しているようだが)
悪意を隠している者からはいやらしい匂いがする。
自分の体臭でもあるので、その匂いが何なのかよく知っている。
その時、アビゲイルの声が聞こえた。
「ところでどうしたんですか?レイブン卿」
レイブンは後になって正気に戻りアビゲイルを見つめる。
彼女の目には警戒心と疑念が漂っていた。
「ああ、お話したいことがあって」
レイブンは優しく微笑んだ。
悪気など少しも感じさせない顔で。
アビゲイルは静かに彼をじっと見つめる。
その視線を受けると、レイブンは口の中が乾くのを感じた。
いつも貰いたかった視線だった。
それが愛情でなくても。
アビゲールの唇が開いた。
「何の話でしょうか?」
普通なら応接室に席を移動して話を交わすのが礼儀だ。
しかし、アビゲイルはレイブンとお茶を飲むつもりはなかった。
葬式の時のことを彼女は忘れていない。
当時は余裕がなくて気づかなかったが、後で考えてみると何か変だった。
(セイブリアンの代わりになりたいなんて)
レイブンは善意で言ったのかもしれないが、セイブリアンが間いたとすれば明らかに激怒する内容だ。
アビゲイルが愛する人はただただセイブリアンだけ。
だからレイブンと距離を置くのが当然だった。
「それが・・・」
レイブンはアビゲイルの顔色をうかがって、やっと口を開く。
「実は助けを求めていまして」
「どんな助けですか?」
「この前、殿下が亡くなった時。私は唯一の家族を失ったことを実感しました」
彼は雨にびっしより濡れた鳥のように哀れに見えた。
アビゲイルがしばらく動揺するほどに。
レイブンは重苦しい声で話を続ける。
「殿下の目につくことを恐れて静かに生きてきましたが、葬儀を行い、悟りました。私は家族を望んでいたんだ、と」
家族が欲しかったのは本当だ。
ただ、その対象がセイブリアンでないだけ。
王が死んだ後、王妃が王の兄弟と結婚するようになる事例はしばしば見られた。
セイブリアンが本当に死んでいたら、自分たちは家族になっていたかもしれないのに。
「分別のない心で殿下を遠ざけ、その後は慣性のために距離を置きました。遅すぎましたが、今からでも殿下と兄弟の契りを結びたいと思います」
彼の肩が力なく垂れ下がる。
大多数の人なら哀れむような表情、そして雰囲気だった。
アビゲイルもしばらく躊躇った様子だった。
しかし、すぐにはっきりとした口調で話した。
「それで私に何を助けてくれと言うんですか?」
「三人で話をする場を設けることはできないでしょうか。殿下と二人きりで話をするにはちょっと難しそうなので、王妃様に手伝ってもらいたいです」
少し目立つかもしれないが、アビゲイルに近づくためなら危険を甘受する価値があった。
アビゲイルはレイブンをじっと見つめ、口を開く。
「すみませんが、それは私が判断することではないようですね」
レイブンは意外にも断固とした拒絶に当惑する。
彼が今まで見てきたアビゲイルなら、自分を哀れに思うだろうと信じていたのに。
「殿下に言葉は伝えるようにしましょう。判断は殿下がすると思います」
アビゲイルの紫色の瞳はただただ冷たかった。
もう少し同情心を誘発しなければならないのか、どうすれば彼女が自分を見てくれるのか。
彼は悩んだ末に口を開く。
「・・・そうなのですね」
レイヴンは近づくにつれ一歩後退する。
これ以上推し進めてもいいことはなさそうだった。
せいぜい一歩遠くなっただけなのに、突然火でも消えたように暗くなった気分だった。
彼は無理に微笑む。
「分かりました、王妃様。どうぞよろしくお願いします。では、これで失礼します」
アビゲイルは目配せで返事をし、レイブンはかろうじて背を向けて席を立った。
振り向かなくてもアビゲイルの視線が感じられる。
警戒と疑心のこもった視線。
その視線をいつまでも受けたかった。
その視線にどんな感情が込められていても関係ない。
喉が渇いて死んでいく者が杯に入ったことが何であれ気にするだろう。
彼はできるだけゆっくり歩いたが、ついに角を曲がってしまった。
彼女の視線が消えると、ただただ寂しかった。
レイブンのアビゲイルへの執着がすごい。
ギデオンも要注意人物ですが、レイブンの動向も気をつけなければならないですね。