こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
今回は191話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
<鏡よ 鏡 この世で一番美しいのは誰?>
子供服のデザイナーとして生きていた私は過労死ししてしまい、気がつくと童話に入り込んでしまった。
しかも、美しい連れ子に嫉妬し、毒殺して夫に処刑される残忍な悪女になっていた!
可愛くて愛らしい我が娘ブランシュと仲良くなって愛情を注ぎたいのに…。
「君がブランシュの心配をするとは面白いな」
クズみたいな夫がいつも私の邪魔をしてくる!
「私もブランシュの親です。私を疑ったことを謝ってください」
「謝らなかったら?」
「今夜、殿下の寝所へ伺います」
アビゲール・プリドキン:本作の主人公。白雪姫ブランシュの継母。転生前はデザイナーで、ブランシュのことを気に入っている。
ブランシュ・プリドキン:アビゲールの義理の娘。自分を虐げてきたアビゲールの突然の変貌に困惑している。
セイブリアン・プリドキン:ネルゲン王国の国王。ブランシュの父で、アビゲールの夫。
クララ:新人侍女。
ミラード:セイブリアンの側近。
ジェレミー夫人:ブランシュの家庭教師でありシッター。
ストーク:公爵。セイブリアンに側室を迎えるように何度も勧めてくる。
ヴェリテ:真実を告げる鏡。
ミリアム:前王妃。ブランシュを産んで間もなくこの世を去った。
191話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 呪い
「今すぐその手を放せ」
盛り上がりがほとんどない声にもかかわらず、ほとんど叫び声のように聞こえた。
言葉に刃が刺さっているかのように。
その声にビックリして、ケインもアビゲールも音がした方を振り返る。
扉のそばにセイブリアンが立っていた。
セイブリアンの瞳が見たことがないほど鋭い。
あんなに鋭い怒りを見たことがなかった。
その姿を見てアビゲールは恐ろしくなり、思わずケインの胸ぐらを放す。
先ほど波のように押し寄せてきたアビゲールの感情が、記憶に入り混じって百合にまだ残っていた。
女は慎ましやかで静粛でなければならない。
幼い頃、ケインと喧嘩をする度に父親にどれだけ怒られたことか。
理由を問わずケインに楯突く場合、父親に鞭で殴られたりもした。
アビゲールは自分の姿を見下ろす。
王妃という女性が体裁も忘れて、自分は今何をしているのだろうか。
自分の兄を殴っている女性を見て喜ぶはずがない。
彼女がぐずぐずしていると、ケインもそっと手を引いた。
「国王殿下に恥ずかしい姿を見せたな、アビゲール」
ケインは今になって助かったかのように起き上がって、自分の服についた埃を払い落とす。
アビゲールが力いっぱい殴りつけたので、顔には傷がいっぱいだった。
「私の妹の品行が放置できず、教育をしていたところでした。私としても仕方なく・・・」
セイブリアンが大股でアビゲールに近づく。
彼女の姿は見たこともないくらいにメチャクチャだった。
髪は乱れていて服には皺ができている。
視線さえ不明で狂人のように見えた。
アビゲールは怖くて凍りついていた。
何の弁解の言葉も出てこない。
セイブリアンの冷ややかな声が流れた。
「これは一体どういうことですか?」
彼はそう言いながら、ゆっくりとベルトを緩める。
ギュッと閉じた唇、そして凶暴な目つき。
セイブリアンの憎しみが如実に感じられた。
アビゲールはその姿をぼんやりと見上げる。
ベルトは一体どうして外すの?
まさか自分を殴ろうとしているのだろうか。
ケインがそうだったように?
お父さんがそうだったように?
アビゲールは固まったまま眺めていると、セイブリアンの低い声が聞こえてきた。
「拳は慣れていない人がやらないと手を怪我するだけは済みません」
セイブリアンがベルトを握る。
そして、固まっているアビゲールの前に片膝をついた。
「だから、これを使ってください」
「・・・え?」
「まだ終わっていないんじゃないのですか?」
彼は持っていたベルトをアビゲールに握らせる。
彼女は状況把握ができなかった。
そしてふとアビゲールは自分の手を見下ろす。
彼女の手と甲と親指は、血と傷でいっぱいだった。
まともに拳を握れなかったためだ。
「あなたが大変だったら私が殴りましょうか?」
その言葉にケインも一歩遅れて事態を把握する。
荒唐無稽さと怒りで顔が赤くなった。
「セイブリアン・フリードキン!私はクローネンバーグの第二王位継承者です!どうしてそんな事を言うことが出来るのでしょうか!?」
「黙れ。殺されたくないのなら」
舌を噛むように吐き出した言葉には礼儀も体面もなく、ひたすら怒りだけだった。
セイブリアンはケインを刺殺したいという気持ちを辛うじて抑えていた。
復讐はアビゲールのものだからケインを放置しているだけだ。
仮に彼女が許可してくれれば、自分がすぐに彼の心臓に剣を差し込んでいただろう。
ケインも本能的にその事実を悟った。
これは虚勢でも脅迫でもなく、ひたすら真実だけなのだと。
物足りない自尊心より本能が先走る。
セイブリアンの狂気じみた目つきに彼はブルブル震え、結局後退してしまった。
セイブリアンはケインを掴んで跪かせようとしたが止まった。
殺すことはいつでもできる。
それよりアビゲールが重要だった。
彼女はベルトを握って魂の抜けた人のように座っている。
先ほどまで殺人者の顔をしていたセイブリアンの表情が心配で和らいだ。
「ビビ、大丈夫ですか?すぐに主治医を呼んできます」
「・・・いつからいらっしゃったのですか?」
アビゲールは元気のない声で尋ねた。
セイブリアンはしばらく躊躇った後、口を開く。
「あなたが新しい服を見せた時からでしょうか」
その言葉にアビゲールが虚しく笑う。
何となく全てが終わった感じだった。
あの時から見ていたなら、全部見ていたという意味だろう。
「ただお兄様とちょっと喧嘩をしました。久しぶりに会ったのですが、私が太ってビックリしたみたいです。殿下から見ても、私は以前よりかなり太りましたよね?」
「はい。以前よりは」
その言葉にアビゲールは挫折する。
そうなんだ。
やっぱりセイブリアンの目に、自分は醜く太って見えるんだ。
彼はやっぱり私を・・・。
「ところで、それの何が問題なのですか?」
その言葉に一瞬自責が止まった。
何が問題かというと・・・、全てが問題なのに。
私の外見があなたの目に映る全てだろうに。
「太った人は嫌いではないですか?」
「あなたの外見が変わるからといって私の態度が変われば、その時はこの目を私の手で潰します」
セイブリアンがお世辞を言わない性格だということを、誰よりもアビゲールがよく知っていた。
彼なら躊躇うことなく自分の目を潰す人だ。
セイブリアンは、まだ彼女の前に跪いていた。
手と顔にできた傷を注意深く観察していた彼が口を開く。
「ビビ、抱きしめてもいいですか?」
彼の声が涙が出るほど優しくて、アビゲールはただ頷いた。
セイブリアンは黙々とアビゲールを抱きしめる。
その温もりがあまりにも熱くて、体の中に溜まっていた涙が全て蒸発してしまうようだった。
「私が・・・、恥ずかしくないですか?」
「あなたが仰ったじゃないですか。恥ずかしい理由が一つもないって」
「こんな格好をしているのに・・・、足首を露出して・・・」
すべてが恥ずかしかった。
顔も体も、着ている服と自分の口から出てくる一言さえ、すべてが恥ずかしかった。
けれど、セイブリアンは恥ずかしい理由ではないと言った。
「あなたの足首を見て非難する人がいるのなら、それは見る人の心が陰険で不徳なせいであって、あなたのせいではありません」
雨が降るように静かな声。
穴の間から流されていた魂が再び満たされるような。
アビゲールは泣きそうな気分になり、セイブリアンと向き合う。
全力を尽くして彼を抱きしめた。
彼女は呪いにかからないように努めた。
本当に頑張った。
答えのない恋に落ちることほど辛い呪いはないだろう。
けれど、今は認めざるを得なかった。
今この瞬間、自分は何よりも酷い呪いにかかったのだから。
アビゲールはセイブリアンに恋をしていた。
否定すらできないほど明確に。
錠前の音が聞こえるようだった。
鍵さえない金具。
解く術がないという事実に絶望するには彼の温もりがとても暖かくて、アビゲールはしばらくセイブリアンを抱きしめていた。
アビゲールが自分の恋を自覚しましたね。
既に相思相愛なので、後はセイブリアンが自分の感情に気づくだけ。
ケインの処遇はどうなるのでしょうか?