こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は107話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
107話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- カタラク伯爵の望み③
カタラク伯爵、いいえ、西帝国のヨハネフ三世は再び余裕のある表情に戻り、椅子にもたれかかった。
「本当に意外です、こんなに早く正体がバレるなんて。まあ、かまいません。どうせモリナ王女、あなたには私の正体をすぐ話すつもりでしたから」
「どうして身分を偽装して帝国に来たのですか?」
「偽装していません。オルスデン家は元々私のものだったので」
ヨハンの言葉は真実だ。
一国の君主が他国の領地や財産を所有することは、よくある話だったから。
「そんなことを聞いているのではありません。なぜ、どのような意図で西帝国の皇帝が東帝国の首都にいらっしゃったのですか?」
もちろん、西帝国の皇帝でも東帝国への立ち入りが禁止されているわけではない。
しかし、正体を隠して入ってくるなんて、きっと何か凶計があるはずだ。
「私がここに来た本当の理由は、モリナ王女、まさにあなたのせいです」
「それはどういう意味ですか?」
「もう少しハッキリ申し上げます」
ヨハンの声がハッキリと彼女の耳に響いた。
「私がここに来たのはモリナ王女、あなたを自分のものにするためです」
マリの顔色が変わる。
受け入れ難い話だ。
「一体・・・、どうして?」
「さっきも話したように気に入ったからですよ?」
「冗談を言わないでください」
「本気です、本当に。もちろん、その理由だけではありません。まあ、賢明な王女ですから、私が言わなくても大体は見当がつくと思いますけどね」
その言葉に、マリは彼が自分を望む本当の理由を悟った。
(クローヤン王国!彼はクローヤン王国の影響力を得るために私を望んでいる!)
クローヤン地方は西帝国と東帝国との間の要衝であり、現在は東帝国の支配下に置かれている。
東帝国の立場ではクローヤン地方に対する支配を強固にするために王家の末裔である自分を除去しなければならないが、西帝国の立場では反対だった。
自分を受け入れれば、クローヤン王国に対する権利を主張できるようになるから。
「陛下はクローヤン地方を望んでいるのですね」
ヨハンはじっと微笑んだ。
「やはりモリナ王女だ。詳しく説明する必要がなくて助かります。もちろん、私があなたを望んでいると言ったのは嘘ではありません。ただあなたを望む私の心と政治的利益が合致するだけです」
「・・・」
「とにかくこうなったから、かえって良かったです。単刀直入に話しましょう」
ヨハンはマリに優しく手を差し伸べた。
「モリナ王女、私と一緒にこの帝国を離れませんか?」
彼は甘い声で話し続ける。
「私の所に来たら、この東帝国のように正体がバレるのではないかと震える必要もありません。むしろ皆があなたを尊い人として敬うでしょう。それだけでなく、私はあなたに人間が享受できる全ての富貴栄華を差し上げますし、西帝国の皇后とするのはもちろん、クローヤン王国の王女として冊封します」
「・・・!」
マリの瞳が揺れた。
とてつもない提案だ。
西帝国の皇后であり、クローヤン王国の王女だなんて・・・。
彼女は世界中で最も尊い女性になるだろう。
そして、彼の提案で最も恐ろしい点は、ヨハンの言葉が単なる甘言ではないということだ。
彼は彼女に約束したことは必ず与えるつもりだった。
「いかがですか?クローヤン王国の高貴な血筋であるあなたが、ここで侍女の仕事をしている必要がありますか?しかも命の脅威を受けてまで」
ヨハンはまるで誘惑するように話した。
「私のところに来てください。政治的理由だけでなく、私は心からあなたを望んでいます。私のところに来れば女性としての全ての幸せと世の中の全ての権勢を差し上げます」
マリは唇を噛んだ。
(ヨハンと一緒にこの帝国を離れる?)
客観的に見ると、非常に魅惑的な提案であることは明らかだ。
その全ての提案が欺瞞の本心だという点で尚更に。
彼についていけば正体がバレることも恐れる必要もなく、きっと全てのものを得ることができるだろう。
(でも・・・)
マリは断固とした口調で話す。
「お断りします」
ヨハンの表情にヒビが入った。
「本気ですか?」
「はい、お断りします」
一抹の悩みもない拒絶にヨハンはショックを受けたようだ。
「どうしてですか?よく考えてみてください。この東帝国はモリナ王女、あなたの居場所ではありません」
「そうかもしれません」
マリは素直に認めた。
実際、彼の言葉はすべて正しいかもしれない。
東帝国よりヨハンについて行った方が比較的安全なのだから。
彼の提案を断って東帝国に残るのは愚かな選択なのかもしれない。
以前だったら、彼の提案を承諾したかもしれない。
(でも、私は既に皇太子のそばに残ると選択したから)
ヨハンの誘いを断ったマリ。
このまま帰ることはできるのでしょうか?