こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は132話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
132話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 賞と罰③
その時、皇太子が頭を下げたマリのあご先を掴んで上に上げた。
すると自分の意志とは関係なく、彼を見上げるようになったマリの瞳が大きくなる。
「あの、殿下?」
ラエルはもう一方の手で彼女を抱きしめながら言った。
「目を閉じろ」
マリの瞳が揺れる。
彼が何をしようとしているのか本能的に直感したからだ。
今までとは比べ物にならない緊張感で体が自然に固まった。
「早く」
駄目だという考えが一瞬にして通り過ぎたが、彼の催促に彼女は目を閉じる。
そしてその瞬間、ラエルの唇が彼女の唇に重なった。
「・・・!」
マリは心臓が止まりそうなほど驚く。
生まれて初めてのキス。
驚きも束の間、ラエルは彼女の唇に優しく触れた。
まるでノックをするかのように。
その甘いキスに彼女の唇が少し開くと、すぐに彼の舌が彼女の中に侵入した。
「・・・!」
そして激しいキスが続く。
彼の舌は、まるで貪り食っているかのようにマリの中をかき混ぜた。
初めて経験するキスに彼女の舌が逃げようとしたが離さなかった。
ラエルはマリの全てが自分のものであるかのように、思いっきり彼女を征服していく。
そんな彼のキスに、マリは何も考えられなかった。
頭が真っ白になり、全身が麻痺するような感じがして力が抜けていく。
「あの、殿下・・・。どうかやめて・・・」
マリは哀願するように彼の服を掴んだが、ラエルは手放さなかった。
むしろ足の力が抜けた彼女を固い腕で強く抱きしめながらキスを続ける。
彼の舌がかすめるたびに、彼女の体が震えた。
あまりにも強烈な感覚。
全身に電気が流れるような、そうしながらも雲に浮かぶような朦朧とした感覚。
「で、殿下・・・」
そうしてキスが終わった。
マリの目元に涙が滲んでいたのか、ラエルが指で拭いてあげた。
「はぁ」
濡れた瞳で自分の胸に抱かれている彼女を見て、彼はため息をつく。
何かを我慢するようなため息。
短くないキスだったが、彼には限りなく足りなかった。
マリが本当に泣いてしまいそうで止めたが、止めたくなかった。
実際は単なるキスではなく、彼女を放さないで永遠に。
それほどに彼女が欲しかった。
一方、マリはキスを終えたにもかかわらず、依然として燃えるような目で自分を見つめる彼を見て胸が震えた。
まるで餌を今食べるか、それとも少しだけ我慢してから食べるか悩む猛獣の目つきのような。
「殿下・・・?」
マリは慎重に彼を呼ぶ。
その震える声にラエルはため息をついた。
「マリ。あなたに向けた私の気持ちはよく分かっているよね?」
当然分からないはずがない。
「私は今にもあなたが欲しい。そんな君を完全に私のものにしてあげたくない。ただ、君がもう少し心を開いてくれるのを待っているだけだ」
ラエルは指を上げて彼女の頬を撫でる。
そしてマリの瞳をまっすぐ見つめながら言った。
「しかし、最近になって忍耐力がだんだん底をついているように感じる。君に向かう心がますます大きくなるからだろう。どうしようもないほどに」
「殿下」
「そのような状況で、もし今回のように危険なことをするなら、その時はキスでは終わらないだろう」
マリの瞳が揺れる。
ラエルは頭を下げて、そんな彼女の顔に自分の顔を近づけた。
「だから私の言葉を肝に銘じなさい。分かった?」
そっと警告した彼の唇が、再び彼女の唇に重なる。
皇太子と初めてキスをした後は、数日間ぼんやりと過ごした。
(私がキスをするなんて・・・。それも殿下と)
あまりにも純真に過ごしてきたせいか、自分がこのようなキスをするとは思いもしていなかった。
彼女の頭の中に当時の感覚が浮かぶ。
遥かにくらっとする感覚は、何とも言葉では言い表せなかった。
ただ、自分の中を侵犯していた彼の気持ちだけが思い浮かんだ。
「お、終わり。もう考えない」
仕事をしている途中、また思い出したキスにマリは顔を赤らめる。
一体今日で何回思い出したのか分からない。
その時、彼女と一緒に書類を見ていた皇太子が尋ねた。
「顔が赤いね。もしかして体の調子が悪いのかな?」
その問いにマリは思わず泣きそうになる。
(全部、あなたのせいじゃないですか!)
本当に分からなくて聞いているのかな?
もしかして、揶揄っているのではないよね?
とにかく確実なことは、皇太子はあの日のキス以降も一抹の動揺もないということだ。
自分とは違って、一寸の乱れもない彼を見て、マリは唇を突き出す。
なんだか憎らしかった。
(全然気にしていないのかな?もちろん気を使ってほしいわけではないけど・・・)
それでも全然気にされないのは、それも少し・・・、いや、少しは気にしてほしいのかな?
(気にしてほしいんじゃなくて、あまりその・・・。ああ、分からない・・・)
また、マリは顔を赤らめた。
キスをして以来、このような考えが何度も芽生えている。
(無駄なことは考えずに集中。集中しよう)
キスをされて皇太子を意識し続けるマリ。
ラエルの心境も気になりますね。