こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は175話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
175話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 導く者
気を引き締めてマリが熱心に政務を見ていた時だった。
ラエルが去った5日後、マリは庭で意外な光景を目撃する。
「男爵様?」
銀髪のようなほのかな白金髪。
リン男爵だった。
彼は庭にしゃがんで野良猫をなでていた。
ニャーニャー。
見るだけでも愛らしい猫だった。
もう少し近くで見ようと彼に近づいた彼女は、一瞬ぞっとした。
猫を眺める彼の目つきがぞっとするほど無感情だったためだ。
(何だろう?)
彼女は自分が見間違えたのかと思ったが、違った。
手は優しく猫の毛をなでていたが、彼の瞳には何の感情も宿っていなかった。
まるで世の中と遊離するような目つき。
「あ・・・閣下」
リン男爵はすぐに彼女の気配に気づき、視線をそらした。
いつものように優しい笑顔が彼の口元に浮かんだ。
「・・・」
マリーはしばらく黙っていた。
彼に用件があったが、今彼の目つきが浮び上がって口が離れなかったのだ。
(そういえば、この前も分からない姿を見せてくれた)
先日雨が降った日を思い出す。
状況があまりにも急迫していて深く考えられなかったが、その当時もリン男爵の姿はどこか気まずかった。
「どうされましたか、閣下?」
いつものような穏やかな質問に、彼女は躊躇いながら口を開こうとする。
しかし思いがけない急報が彼女に届いた。
「閣下!閣下!大変です!」
尋常でない声にマリは目を見開いた。
「どうしたんですか?」
全力で走ってきたのか、伝令は息を切らしながら叫んだ。
「敵軍が首都の近くに進軍しています!」
「敵軍・・・ですって?」
聞き間違えたかと思った。
急に何の敵軍だと言うのか?
しかし、聞き間違えたのではなかった。
「異教徒の海賊です!彼らが西帝国側に延びたレメン川の下流を通って首都方向に上がっています!」
「・・・」
「敵軍の推定数字は3,000人を超えます!すぐに人々を避難させなければなりません!」
マリの顔が真っ白になる。
思いもよらないところで最悪の危機が迫ってきたのだ。
それもよりによってラエルがいない時に。
海賊の突然の侵攻の知らせに総督府が大騒ぎになる。
マリは直ちに緊急対策会議を開いた。
「すぐ近くの人々を避難させなければなりません」
「そのとおりです。現在、私たちには海賊に対抗できる兵力がありません」
総督府の役人たちは緊迫した表情で言った。
(役人たちの言う通りだよ。戦争に敗れた後、独自の常備軍がないクローヤン地方としては、3,000人もの海賊と立ち向かう方法がない)
異教徒海賊は単なる強盗ではない。
地中海を根拠に南欧に猛威を振るう一種の軍閥に他ならなかった。
(クローヤン地方を防衛するための3軍団があるが、西帝国との国境に駐屯しているため、ここまで到着するには時間がかかりすぎる。支援軍が到着すれば海賊たちは略奪を終えて去った後だろう)
マリは暗鬱に思った。
大洪水の被害を復旧したばかりなのに、今度は海賊だなんて。
再びすべてが破壊されるだろう。
(ところで、一体どうやって海賊たちがここまで上がってきたの?)
いくら異教徒の海賊が強力であっても、この辺には手を伸ばすことができなかった。
東帝国であれ西帝国であれ、強力な海軍を持っているからだ。
(しかもレメン川をさかのぼったって?レメン川は西帝国に伸びているから、西帝国を通って登らなければならないはず)
そこまで考えたマリはすぐに答えに気づいた。
(ヨハネフ3世だよ!ヨハネフ3世が今回のことを企てたに違いない!)
マリの顔色が青ざめる。
(クローヤン地方が安定しているから、妨害するために異教徒の海賊を利用したんだ)
ヨハンの顔が彼女の頭に浮かんだ。
本当にうんざりする悪縁だった。
(どうしよう?このままだと、この辺はまた廃墟になってしまう)
彼女はクローヤンの人々を思い出した。
長い戦乱と災いを経験した王国民の暮らしが、やっと落ち着きを取り戻していた。
ところが、再びこのような苦痛が押し寄せてくると、耐えられないだろう。
「どうなさいますか,閣下?」
リン男爵が彼女に尋ねる。
いつものように彼は特別な意見を示さなかった。
ただ彼女の意見を聞くだけ。
「3軍団の援軍が到着するには5日はかかるでしょう?」
「はい、その時間なら海賊は略奪を終えて去った後だと思います」
他の役人は口をそろえて言った。
「今すぐ人々を避難させなければなりません」
「対抗して戦う方法がありません」
マリは唇をかんだ。
(人々を避難させると村は?全部めちゃくちゃに略奪されるよ。全部燃えて壊れるに違いない)
最善の方法は敵と戦うことだ。
しかし、戦う兵力もなく、指揮する人物もいなかった。
(陛下がいたら・・・。いや、アルモンド子爵がいたら・・・)
アルモンド子爵はラエルを護衛して首都に戻った。
現在残っている近衛騎士の数は100人にも満たない。
(しょうがないのかな?)
マリは拳を握りしめて窓の外から王城の向こうを見る。
城壁の外には数多くの村があった。
平和に見える姿。
多くの人がその中で幸せそうな表情をしているだろう。
しかし、海賊たちが押しかければ、その幸せも終わりだった。
避難して辛うじて命を救ったとしても、生活の基盤はすべて壊れた後だろう。
(ダメ)
彼女は目をぎゅっと閉じる。
そんな姿など見たくなかった。
不当な災難から彼らを守ってあげたかった。
しかし、今のところ到底方法がなかった。
自分が3,000人もの海賊を相手にする方法はなかった。
「閣下、一刻を争います!早く避難命令を!」
ついに、彼女は震える声で避難命令を出すところだった。
思いもよらない声が総督府に響き渡る。
わああああ!
多くの人の歓声だった。
「・・・」
皆が驚いてお互いを見合わせた。
「これは一体?」
「一体どういうことですか?」
すぐに王城の入口を守っていた警備兵が駆けつける。
「閣下!出てみるべきだと思います!」
「どうしたんだ?」
ある官吏が代わりに尋ねた。
「今、王国民が王城の前に集まって閣下を探しています!」
マリは驚いて王城の城壁に登る。
王城の周囲に流れる堀の向こうに多くの王国民が集まって歓声を上げていた。
(どうしたの?)
マリは突然不安になった。
(また民乱が?)
一見しても数千人にのぼる人員だった。
もし反乱なら、彼女の命は今日で終わりだ。
しかし、幸いにも反乱ではなかった。
彼女を見た王国民の間でこのような歓声が上がったのだ。
「総督閣下だ!」
「総督閣下!私たちの頼みを聞いてください!」
マリは不思議そうな顔をした。
「急に私に何のお願いをしようとするんですか?」
マリが口を開くと、歓声がどんと上がる。
ある人物が代表として出てきて、彼女に声を高めて叫んだ。
「今、異教徒の海賊が私たちの基盤に集まっていると聞きました!その問題のために差し上げるお願いがあります!」
その言葉を聞いたマリーは、彼らが城の近くに住む人々であることに気づく。
すなわち、生活の基盤を失う危機に瀕した者たち。
「はい、そうでなくても避難の準備をしろと言おうとしました。時間がないので、皆さん避難の準備をしてください!」
マリも声を張り上げて言った。
しかし、群雄は首を横に振る。
「私たちは逃げません!」
「・・・え」
「海賊が我々の基盤を踏みにじっておくわけにはいきません!私たちは立ち向かって戦います!」
その言葉にマリは当惑した。
戦う?どうやって?
戦う兵士はもちろん、武器もないじゃないか?
そんな彼女の心に気づいたかのように、人々は声を高めた。
「つるはしでも持って戦います。いや、両腕さえあればなんとか戦えます!」
「・・・」
「その代わり、閣下が私たちを導いてください!」
思いもよらない話にマリの瞳が大きくなった。
群雄が空が爆発しそうな歓声を上げる。
「閣下と一緒なら海賊なんかいくらでも退けます!私たちを導いてください!」
わああああ!
「私たちと一緒にいてください!」
マリの指先がぶるぶる震えた。
胸いっぱいの戦慄が全身を伝ってきた。
モリナ王女だけを望んでいたクローヤン地方の国民が、ついに自分を認めてくれたのだ。
帝国と王国民の立場を離れ、いかなる偏見も持たずに。
マリは震える声で口を開いた。
「私はとても不足しています。海賊と戦う途中、どんな犠牲が出るかもしれません。それでもいいのですか?」
クローヤン王国民の答えは一つだった。
みんな口をそろえてこう叫んだ。
「私たちはあなたに従います!」
ラエルがいない中での海賊の登場。
流石に今回は駄目かと思いましたが、ついにマリの努力が結果を出しました!
ですが、民を導く能力はマリにはありません。
一体どうやって戦うのでしょうか?