こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は178話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
178話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ジャンヌ・ダルク②
「はあ、はあ」
やっとのことで時間に合わせて兵営の中から抜け出したマリは、戦況が見下ろせる低い丘で息を引き取った。
夢で力強い勇気をもらっても体力はそのままなので、体が壊れるように大変だ。
「お疲れ様でした。大成功です」
フォンティル男爵が阿鼻叫喚の混乱に陥った兵営を眺めながら言った。
海賊たちは火の地獄の中で悲鳴を上げている。
「4年も前に捨てられた兵営をこんな風に利用するなんて、すごいです」
「いいえ、敵を直接誘引したのがもっとすごいです。さすが閣下です」
周りのみんながマリに感心した。
そして、彼らの感嘆は決して空言ではない。
火攻め作戦を立てたことから敵を誘引したことまで、全てマリの優れた能力のおかげで可能だったのだ。
しかし、マリは首を横に振る。
「まだ戦いは終わっていません。兵営から抜け出る海賊たちを相手にしなければなりません」
「心配しないでください。すでに包囲網を構斜しておいたのですから」
ポンティル男爵は冷たく答えた。
5,000の民兵除は竹槍で武装し、近衛騎士団と共に包囲網を形成している。
火から逃れた海賊は民兵隊に対処しなければならなかった。
「事実上終わったんですね」
「彼らがいつ降伏するかがカギです」
マリもうなずいた。
いくら海賊が逆転の戦士だとしても、このような状況で力を使うことはできない。
(終わったよ)
一瞬、彼女の心の中に罪悪感が浮かんだ。
いくら海賊とはいえ、自分の策略のために多くの命が失われてしまったのだから。
しかし、彼女はすぐに首を横に振った。
彼らを放っておけば、自分たちが同じ目に遭うだろう。
仕方のないことだった。
「ワアアア!」
「くあっ!」
戦場に歓声と悲鳴が響き渡る。
悲鳴はほとんど海賊のものだった。
戦況は一方的に彼らの方に傾いた。
(これ以上の戦いは意味がない。もう降伏の提議をしなけれはならない)
マリがそう思って前に出ようとした時だった。
戦場で思いがけないことが起きる。
「クアアッ!犬のような女!タダでは済まさない!」
「・・・」
一度に数百に逹する海賊たちが炎を突き抜けて飛び出したのだ。
先頭には隊長のラフザンがいた。
彼は浅い丘の上に立っているマリを睨みつける。
「あそこだ!他のやつは関係ない!あいつを捕まえろ!」
海賊の首長である彼は、この危機を克服する方法は彼女を捕まえることしかないと判断した。
そして、判断は正確だった。
「止めろ!」
「クアアッ!」
ラフザンを含む数百人の海賊が包囲網を突破し、マリに向かって突進する。
近衛騎士たちは青ざめて立ちはだかったが、彼らが毒気に満ちたのを止めるには力不足だった。
包囲網に散らばっていたので、そもそも彼女の周りに留まる騎士の数も多くない。
「クアアア!」
ラフジャンは斧を片手に大声で叫びながら彼女に飛びかかった。
「あ・・・」
マリは一瞬頭の中が真っ白になる。
阻止しなければならないのに、阻止する方法がなかった。
多くの能力があったが、この瞬間だけは何も役に立たなかった。
ところがその絶体絶命の瞬間、思いもよらないことが起きた。
プッ!
「くっ!」
どこからか鉄矢が飛んできて、ラフザンの首に刺さったのだ。
海賊の隊長ラフジャンは、まともに悲嗚もあげられずに絶命する。
(誰が?)
マリは驚いて顔をそむけてビックリする。
丘の向こう側で全身を甲胃で囲んだ騎士たちが海賊たちを眺めていた。
数字は大体200人程度だったが、何の紋章も旗もなく正体が分からない。
「先頭を突撃する」
騎士たちの先頭に立っていた者が静かに命じる。
ラフザンを射殺した人だった。
そして、その命と共に空が崩れるような馬のひづめの音が響き、騎士たちが突進を始めた。
雷のような勢いの突進だ。
「近衛騎士団に押される実力ではない!」
マリはこわばった顔で思った。
あの正体不明の騎士たちは帝国最強の騎士団の一つという近衛騎士団と比べても実力が落ちなかった。
(クローヤン地方にまだあんな騎士団が?)
一体何の騎士団なんだ?
マリは理解できない顔をする。
クローヤン王国の大規模な騎士団は、帝国に併合された後、すべて解体された後だった。
(まさか?)
一瞬、彼女の頭の中にまだ命脈を保っている唯一の騎士団が浮かんだ。
(前王室の騎士団?)
王室騎士団!
クローヤン王国の最強騎士団であり、反帝国活動の主軸となる集団だった。
(間違いない。あれは王室騎士団だ!)
彼らが王国の危機に沈黙を破って現れたのは明らかだ。
王室の騎士団まで加わると、戦闘はあっという間に幕を閉じる。
海賊たちは戦意を失い、武器を捨てて続々と投降した。
そのように大勝を収めたクローヤン王の国民は、大いに喜びの歓声を上げた。
「わあ!勝った!」
「クローヤン万歳!」
王国民は、今回の勝利を導いた主人公の名前を呼びながら歓呼した。
「総督閣下万歳!」
「マリ・フォン・ヒルデルン万歳!」
すべて彼女のおかげだった。
彼女がいなかったら、このような大勝は想像もできなかっただろう。
敗北した可能性がはるかに大きく、勝ってもとてつもない被害が生じたはずだ。
マリは手を上げて彼らの歓声を受けて首を上げる。
戦闘で大勝して良かったが、まだ重要なことが残っていた。
(ベールに包まれていた王室の騎士団が現れるなんて)
彼女は首をかしげた。
戦闘を終えた王室騎士団は遠く離れていたが、全員が顔に兜をかぶっていて顔が分からない。
(とりあえず、話をしてみないと)
マリは彼らに近づいた。
彼らはクローヤン地方の安定のための最後の関門だった。
彼らを説得しなければならなかった。
「私はマリ・フォン・ヒルデルン子爵です。少し対話を・・・」
そう言って彼女が近づいている時だった。
先頭に立っていた騎士団の隊長がじっと彼女を見ている。
「・・・」
マリは唾をごくりと飲み込んだ。
兜の中にちらりと見える瞳に鮮やかな敵意が満ちていた。
マリがたじろいだ瞬間、王室騎士団の隊長は馬の鞍から「何か」を取り出して彼女に向かって伸ばした。
石弓だった!
「ちょ、ちょっと。私は・・・」
パアン!
思いがけない状況にマリが慌てて口を開く一瞬、騎士団の隊長がそのまま石弓を発射した。
「・・・」
マリは石のように体がこわばった。
矢は彼女の首筋をかなり深くかすめて通り過ぎていく。
(ほ、本当に殺そうとした)
弓師としての能力を持っていたので、マリは知ることができた。
先ほど、騎士団の隊長は単純に威嚇射撃をしたのではなかった。
本当に自分を殺そうと矢を放ったのだ。
幸いにも外れたものだった。
「閣下!」
「こいつら!」
近衛騎士団の騎士たちは激怒して彼らに飛びかかる。
しかし、彼らは近衛騎士団を相手にせず、馬首を回して場内から消えてしまった。
「閣下!大丈夫ですか?」
結局、彼らを逃した近衛騎士団の騎士たちがマリに近づいてきて、安危を調べた。
「・・・はい、私は大丈夫です」
マリはぼんやりとうなずく。
深くはあったが、幸い命に別状はなかった。
彼女は傷よりは最後の瞬間、騎士団の隊長が見せてくれた目つきが気にかかった。
彼は目でこう言っていた。
今度は必ず殺してやる。
マリは彼らが姿を消した方向を見た。
涼しい風が彼女の傷に触れた。
海賊を撃退することに成功しましたが、すぐに新たなトラブルが発生。
王室騎士団との接触はできるのでしょうか?