こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は162話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
162話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- クローヤン地方⑤
こうしてマリはクローヤン地方の火急を、ある程度消すことができた。
「次は民心だ。人々の心を抱かなければならない」
マリは悩みにふけった。
「王国民はまだ帝国を恨んでいる。どうやってその心を慰めなければならないのかな?」
容易なことではない。
どんな努力をしても無駄な幻惑としてのみ受け入れることができるからだ。
真心を尽くして慎重にアプローチしなければならない。
「まずは官邸を先に移そう。王の宮を総督府官邸として使用するのは、クローヤン王国民が感じるには不愉快なこともあるから」
決定を下した彼女は、すぐに官邸を王宮の隣の行政府の建物に移した。
大した措置ではないが、それでも王国民の心を配慮した措置であり、王国民もある程度彼女の配慮に気づいた。
「総督府官邸が移動したという」
「どこへ?」
「王宮の隣の前政権の建物に移ったんだって?」
「そうなの?ルビ一宮に比べると過ごしやすくないはずなのに・・・」
王国民は怪謗な目で王城、正確には総督府を眺める。
「ところで、どうして急に総督府を移したんだ?」
「総督が過ごすにはルビ一宮の方がずっと良いはずだが」
「まさか・・・、私たちを配慮して?」
人々は首をかしげた。
しかし、一つ確かなことがある。
今回の総督は何か違うということだ。
総督府を移したマリは、再び悩みにふけった。
「これだけでは足りない。何か人々の心を動かすようなことをしないと」
見せかけは無駄だった。
一気に恩着せがましいことに気づくだろう。
実際、王国民のための仕事をしなければならなかった。
「簡単じゃないわ」
マリはため息をつく。
彼女は書類を置いて窓の外をちらっと見る。
首都のある東の方向だった。
「陛下はお元気かしら?私のことはたまに考えていらっしゃるかな?私は・・・、こんなにたくさん思い出すんだけど」
忙しい中でもずっと彼のことを思い出した。
青い瞳で自分を眺めていた姿が思い出され、無愛想な姿で配慮してくれたことも思い出される。
再び彼の胸に抱かれたかった。
会いたかった。
「なんでこんなに会いたいんだろう?バカみたいに」
突然感情がこみ上げてきて、マリは急いで目元を拭く。
その時、ノックの音とともに意外な声が聞こえてきた。
「入ってもいいですか?」
「ああ、伯爵様。入ってください」
ウィンター伯爵だった。
マリは不思議そうな表情で彼を迎える。
遅い時間なのに、もしかして悪いことでも?
「どうしたんですか?もしかして特別な問題でありましたか?」
ウィンター伯爵は無愛想な表情で答えた。
「特別な問題はありません」
「それでは?」
「ちゃんと食事がとれないみたいですので、簡単に食べ物を持ってきました」
「は、はい?」
思いもよらない用件にマリは慌てる。
この無愛想な男が、自分のことを考えて食べ物を持ってきたって?
「だ、大丈夫です。気を遣ってくれなくても・・・」
しかし、ウィンター伯爵はものともせず、執務室の外に置いておいたトレイを引っ張ってきた。
香ばしい香りがする焼きたてのパン、つややかなステーキ、きれいなフルーツタルト。
一様に真心がこもった料理だ。
(全部私が好きな料理だ)
マリは驚いてウィンター伯爵を見る。
今出てきた料理は、ラエルと2人で食事をする時、彼女が好きでよく食べていた料理だった。
彼は相変わらず無愛想な口調で話した。
「昼食もほとんど食べなかったのに、夕食は手をつけなかったらしいですね」
「あ・・・はい。忙しくて・・・」
ウィンター伯爵は眉をひそめる。
「いくら忙しくても食事は欠かせません。そうして体でも傷ついたらどうするのですか。あなたの体はあなたのものではなく、私の・・・」
そこまで話していたウィンター伯爵は、ぎょっと口をつぐんだ。
マリは最後の部分の話を聞くことができず、いぶかしげな顔をした。
「伯爵様?」
「・・・とにかく忙しくても体には気をつけてください」
「・・・はい、ありがとうございます」
彼はまだ夜風が冷たいと言いながら、開いた窓も閉めてくれて、甚だしくは羽織っている毛布も持ってきてくれた。
「あまり遅くならないうちに寝てください」
そう言って出て行く伯爵の後ろ姿を見て、マリは妙な目つきをする。
伯爵の無愛想な配慮が、彼女と近い誰かにあまりにも似ているためだ。
(もしかして?)
マリは首をかしげた。
「まさか陛下じゃないよね?」
話にならないこととはいえ、もしかすると分からない。
以前、ヨハネフ3世も別の人物に扮したことがあるのではないか?
「本当にまさか?」
「オルンの壮語」のように、間もなくマリはウィンター伯爵の正体を疑い始めた。
その夜、マリは久しぶりに夢を見る。
能力を与える神秘的な夢だった。
「どんな夢だろう?」
まばたきをしていると、突然の悲鳴が夢の中から沸き起こった。
「出血がひどいです!血圧が下がります!」
「そこのガーゼで止血してください!」
「早く教授を呼んできて!」
索漠とした感じの手術室に血がにじんだ。
看護師と医師は何とか患者を助けるために孤軍奮闘したが、状況は良くなかった。
「血圧もっと下がります!」
「教授は?出血が取れない!」
「連絡したから、もうすぐ・・・!」
ところが、その瞬間だった。
手術室のドアが激しく開き、彼らが待ち望んでいた人物が到着する。
「教授!」
「状況は?」
現れた人物は血まみれの手術室と全く似合わない、か弱く美しい女性だった。
しかし、患者を眺める目つきだけは強くて強烈で、マリはか弱い外見とは違って、女性が鋼鉄のような意志を持った外科医の信念を感じることができた。
「手袋をください。すぐ手術を始めます。」
女性、歴史に一線を画した名医、エリーゼ・ド・クロレンスはメスを入れた。
「オープンします」
そうしてメスが動き、血が飛び上がる。
「・・・」
マリは瞬きをした。
いつものように、夢から覚めるとぼうっとした。
「どうして?外科医?なぜ外科医の夢を?」
彼女は自分の手を見下ろす。
「医師の能力を得ることになったの?」
確かではないが、そのようだった。
なんで?外科医なんだろう?
マリは真剣な表情をした。
どんなことが起ころうとして医者の夢を見たのだろうか?
しかしすぐに、彼女は医者の夢を見るようになった理由を理解する。
朝の会議で、リン男爵が急報を伝えた。
「申し上げたいことがあります、閣下」
「どうしたんですか?」
マリはドキッとして尋ねる。
(もしかして?)
やはり良くない知らせだった。
「昨晩、補修作業中に事故がありました。歩道橋の一部が崩れ、かなり多くの死傷者が出ました」
マリの顔が真っ白になる。
「どれだけ多くの死傷者が出たのですか?」
「軽傷は数もなく、重傷だけで7人で、1人は生死をさまよっているそうです。おそらく時間が経ては死亡者がかなり出るようです」
リン男爵は不機嫌な口調で事故の報告を終えた。
総督の立場なら、このようなことはただ知っていれば良い。
惜しいことではあるがそこまで気にすることではないから。
「それでは、他の事案をお話ししたいと思います。閣下がこの前おっしゃった・・・」
しかしその時、マリは言った。
「負傷者たちはどこで治療を受けていますか?」
「近くの医院で治療を受けているはずです。ところで、どうされましたか?」
「医院に行ってみます。外遊に出掛けます」
「どうしてですか?」
リン男爵は怪認な顔をした。
マリは固い顔で答える。
「負傷者たちの状態を調べなけれはなりません」
久しぶりの夢!
医者の能力で、負傷たちを治療することはできるのでしょうか?