できるメイド様

できるメイド様【208話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

208話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 囚われの身

マリはウィセンス城に足を踏み入れた。奈落へと自ら進むような恐怖を感じたが、もはや引き返すことはできなかった。

「モリナ女王陛下を拝謁いたします。西帝国軍の副宰相であるヘリオン伯爵と申します。」

城内に入るとすぐに、西帝国軍の副宰相であるヘリオン伯爵が彼女に丁重な礼を示した。

「・・・ええ、モリナです。」

マリは意外な表情を浮かべた。

すぐにでも牢に放り込まれることを予想していたが、意外にも彼の挨拶は謙虚だった。

ストーン伯爵とは異なり、ヘリオン伯爵は他の貴族のように常識的な人物に見える。

彼は控えめな口調で続けた。

「東帝国にいらっしゃる頃から、いろいろなお噂を伺っておりました。このように直接お会いできるのは光栄です。私としても最大限の礼を尽くし、滞在中に不便のないようお迎えします。」

マリは無言で顎を引いた。

彼女は騎士の案内を受け、応接室へと向かう。

そこには本当に盛大な宴席が準備されていた。

「これは・・・?」

「陛下のためにストーン伯爵が用意した宴です。」

テーブルの上に並べられた料理はどれも非常に高級なものだった。

以前、東帝国の皇宮でも目にすることができなかったような珍味が多く揃っていた。

その時、ストーン伯爵が緩やかな足取りで宴席に入ってきて言った。

「どうぞお座りください。」

「これは一体何のつもりですか?」

マリは険しい声で問い詰めた。

「どうせ私を餌にして利用しようという魂胆ではないのですか?」

ストーン伯爵は否定しなかった。

「その通りです。これからは陛下は私の手の中にあります。そして、一度でもこの掌から逃れることはできません。」

「しかし、どうしてこのような大歓迎を?」

「それは、陛下だからです。」

理解し難い言葉にマリは眉をひそめた。

マリが身構えたその瞬間、ストーン伯爵は肩をすくめながら言った。

「陛下に一度は誠意を尽くし、食事をともにしたかったのです。」

マリはさらに理解できないという顔をした。

「どういうことですか?」

ストーン伯爵は笑みを浮かべた。

「『陽剛感情』という言葉をご存じですか?」

「・・・?」

彼はそれ以上の説明をせず、こう続けた。

「私の気持ちを無理に理解しようとしなくても構いません。どうせ理解できないでしょうから。どうぞお食事を。」

マリは困惑した表情のまま、食器に手を伸ばす。

こうして宴が始まった。もちろん、マリにとってこの豪華な料理を楽しむ気分にはなれなかった。

どれも極上の料理であることは間違いなかったが、何を口にしても喉を通る感じがしなかった。

マリはひそかにストーン伯爵の様子をうかがったが、彼はあたかも何も企んでいないかのような、穏やかな微笑みを浮かべたまま食事を進めていた。

マリは食事を楽しむだけだった。

(一体私をどうするつもりなの・・・?)

不信感漂う雰囲気だったが、マリは緊張を解かなかった。

むしろこの待遇を受けることで、さらに恐れを感じた。

あの美しい顔の裏には、一体どんな邪悪な意図が隠されているのか?

結局、マリは我慢できずに問いかけた。

「これから私をどうするおつもりですか?」

その問いに、ストーン伯爵は彼女の目を見つめながら視線を送った。

伯爵の目は澄んだ青い色で、まるで宝石のように美しかったが、その視線を受けたマリは背筋に寒気を感じた。

まるで感情のない人形のようで、何も感じ取れなかった。

彼は何も答えず、ただ彼女を見つめるばかりだった。

マリは勇気を振り絞り、再び尋ねた。

「伯爵様は、なぜ私を重要視しているのですか?」

マリは彼が自分を重要視していることをよく理解していた。

しかし、それが理解できなかった。

なぜなのか?

彼女は彼に対して何も悪いことをしていなかったのに。

ストーン伯爵は低い声でこう答えた。

「それは秘密です。」

彼はいつものように穏やかに微笑みながら言った。

「まずはお食事をお済ませください。料理が冷めてしまいます。」

宴が終わり、マリは侍女の案内を受けた。

「お湯を用意しておきました。」

「お湯?」

「はい。」

マリは再び困惑の表情を浮かべたが、案内に従った。

気持ちは落ち着かないままだったが、彼女は湯浴みをした。

心を整理する時間が必要だった。

しかし、侍女が予期しない言葉を口にした。

「ストーン伯爵様が特別に手配なさいました。」

その言葉にマリの顔色が変わった。

「どうしてストーン伯爵が?」

侍女は、まるで何も知らないように微笑みを浮かべるだけだった。

マリは大きく息をついてその場を収めた。

「分かりました。案内してください。」

清潔に整えられた浴室には香料が焚かれており、湯浴みの際の椅子さえも侍女たちが用意していた。

まるで王宮以上に贅沢な空間だ。

『何を考えているのだろう?』

マリは混乱した心で身を硬くした。

ストーン伯爵の意図が読めなかったのだ。

「手を。」

「もう結構です。」

「伯爵様のご命令です。」

侍女たちはきっぱりと答え、マリの身体を丁寧に洗った。

それだけでは終わらず、長旅で疲れた彼女の身体を軽くマッサージし、肌に優しいオイルでケアを施した。

「そ、そこまでしなくても・・・。」

「ご命令です。」

侍女たちの返答に、マリは再びため息をついた。

『屠殺される前に毛を整えるとはこのことか。』

しかしその瞬間、彼女は立ち止まった。

『まさか、私を?』

一瞬、冷たい恐怖が体内に入り込んだ。

あり得る話だ。

しかし彼女は慌てて気を取り直した。

『違う。ストーン伯爵は私に情欲を抱いているわけじゃない。ただ、私を重要だと思っているだけ。』

それは確信だ。

ストーン伯爵が彼女に対して抱いている感情は、尊重と光栄さであり、欲望は含まれていなかった。

そう考えたマリは、自分の部屋へ案内された。

「ごゆっくりお休みくださいませ、陛下。」

侍女が丁寧に挨拶して部屋を出ていった。

彼女が案内された部屋は大きなベッドが置かれた豪華な部屋だった。

以前、ウィセン城の副領主が使っていた部屋のようだった。

その広々とした部屋に一人残されると、マリは再び不安を感じた。

『まさか?本当にそんなことないわよね?』

彼が自分にそんな欲望を抱いているとは思えなかったが、それは分からないことだった。

ただ純粋に侮辱を与える目的で彼女に手を出す可能性もある。

『もしそうだとしたら、私はどうすればいいの?』

マリは拳をぎゅっと握りしめた。

彼女は積極的に宗主国を打ち破る計画を持って敵地に潜入してきた。

どんな困難が待ち受けていても、その計画を遂行するまでは耐え抜かねばならなかった。

しかし、そんな侮辱を受けた場合、それを耐えることができるのだろうか?

その時、焦るような音と共に扉が開き、誰かが入ってきた。

ストーン伯爵だった。

部屋に入ってきたストーン伯爵は彼女を見つめ、少し驚いた表情を見せた。

「やはり美しいですね。」

マリは唇を引き締め、警戒の色を浮かべた表情で彼を見た。

「何の用でいらしたのですか?」

「特別な用はありません。」

「では?」

ストーン伯爵は静かに彼女を見つめたまま答えた。

「ただ。思い立って来ただけです。」

マリは彼の言葉にますます警戒心を抱いた。

マリは一歩下がり、戸惑ったように後退した。

ストーン伯爵は微笑みを浮かべながら静かに彼女に近づき始めた。

「・・・!」

彼との距離が縮まるにつれ、マリの顔色が青ざめた。

恐怖心から唾を飲み込むと、彼女はさらに後ろへ下がったが、すぐに壁に背中がぶつかった。

「近づかないでください!」

マリは歯を食いしばりながら叫んだ。

「もし、ふざけたことをするつもりなら・・・!」

その瞬間だった。

彼女の目前まで来たストーン伯爵が低い声で言葉を発した。

「落ち着いてください。」

「・・・!」

冷たい氷のように抑えた、けれど鋭い声だった。

「あなたをどうこうしようなんて考えていません。ただ・・・。」

ストーン伯爵はゆっくりと手を伸ばし、彼女の頬を軽く撫でた。

その感触にマリは鳥肌が立つような感覚を覚えた。

彼女がびくっと震えた瞬間、彼は言った。

「これ以上私を挑発したら、あなたがどう変わるのか、見てみたいものですね。何も言わず、ただそこにいてください。」

そう言った彼の目には、これまで見たことのない狂気が宿っていた。

彼は手を伸ばし、そっと彼女の髪を撫でる。

まるで宝物を扱うかのように優しく。

「心配しないでください。私が望んでいるのは、あなたの体ではありません。」

「では、一体何を望んでいるのですか?」

マリは堪えきれずに尋ねた。

ストーン伯爵は少しの間沈黙を保った後、答えた。

「あなたそのものだ。」

 



 

 

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