こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
345話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 昼と夜③
突然の告白に、私は驚いて二人を見つめた。
ナディアはちょっと照れくさそうな顔で耳まで赤くしている。
「もちろん、アビゲイルのことも好きだよ!今では友達だから好きだってこと。でも、本当に大好きなんだ!」
「気にしないでください。私もナディアのこと好きですから。心からお祝いします。二人は本当にお似合いですよ!」
前からよく言い合っていた二人が、こうして仲良くなったとは!
カリンが少し唇を尖らせている。
「お似合いですかね。私が子供っぽいだけですよ。」
「そんなことない!そう言うなら、またアビゲイルのところに行くよ?」
「そうしてみてください。私も王妃様のところに行きますから。ここが私たちの家だとおっしゃいましたよね。」
付き合っていてもなお、二人は小競り合いを続けている。
でも、本気ではやり合わない様子に思わずクスッと笑ってしまった。
「もしかして、二人は結婚するつもりなの?」
「うーん、私はしたいけど・・・カリンが嫌だってさ。」
「外交官の仕事で忙しいっていうのに、王妃様は私をどうしようとしてるんですか?」
カリンはとぼけたように言った。
私は驚かざるを得なかった。
王妃ではなく外交官としての生き方を選ぶなんて。
彼女にとって王妃は長年の夢だったはず。
セイブリアンの妻になるために懸命に努力してきたのではなかったのか?
それなのに王妃の地位を辞退するなんて。
意外と言えば意外だが、どこかカリンらしいとも思えた。
外交官でも王妃でも、どちらでも彼女には似合うと思う。
カリンは時計をちらりと見て、少しだけ事務的な顔つきで口を開いた。
「実はセイブリアン殿下に挨拶しに行かなければならなかったんですが、王妃様のところに先に来てしまいました。関係上、非公式な形でお許しください。ナディア殿下、今度はセイブリアン殿下のところに挨拶に行ってください。」
「ええ、アビゲイルともっと一緒にいたいのに・・・。」
「もう、そんなわがまま言わずに行きましょう!では、失礼しますね、王妃様。」
「アビゲイル、また会おうね!」
波のように押し寄せた二人が、潮が引くように去っていった。
ノマが隅で笑いをこらえているのが見えた。
二人は久しぶりに会ったが、変わらず親しい様子だ。
夜通し話したい気持ちだったが、まずは明日の結婚式の準備を終えなければならない。
「私も最後の確認をしておく必要があるわ。頼むわね、ノマ。」
「はい、王妃様。」
私は執務室を出て結婚式の準備を確認した。
その間に、長い夏の日が夕暮れに向かい始めた。
昼が夜に変わる時間、空は紫がかった光に包まれ、ゆっくりと夜の帷が降りてきた。
透き通った夏の夜が訪れた。
コオロギの鳴き声とともに。
気がつけば、私は寝室に向かう時間になっていた。
ガウンをまとい、静かに寝室へ向かった。
そこにはすでにセイブルが待っていた。
「あなた、来てくれたのね。」
彼の顔には笑みが満ちていた。
私は彼に歩み寄り、軽く口づけを交わす。
「待たせた?」
「いいえ。ちょうどあなたが来る頃だと思い、お茶を持ってこようかと考えていました。お茶はいかがですか?」
「ええ、ぜひ。」
この夜を、一杯のお茶と愛する人との語らいで締めくくれば、それ以上の幸せはないだろうと思えた。
セイブルは一瞬待つような素振りを見せてから、私の唇に軽くキスをして部屋を出ていった。
私は彼が口づけを交わした感覚を優しくなぞるように触れた。
何年経ってもこうした瞬間は本当にいいものだ。
そしてふと窓際へと目をやった。
暗闇に沈んだ窓ガラスはまるで黒い鏡のように私を映していた。
その鏡の中には黒髪を束ねた女性が私を見つめていた。
少しふっくらしていて、小柄で、平凡な女性。
自分の意志とは関係なく映し出される顔。
そこにあったのは前世の私の顔だ。
昼も夜も、私の姿は変わらなかった。
レイヴンの魔法は嘘ではなかった。
私は昼と夜のどちらかを選ぶことをしなかった。
呪いを解かない道を選んだのだ。
その決断を下すのは簡単なことではなかった。
それでも私は、美しい姿で生きることを選ばなかった。
宮殿を離れた2年間、私は切実に呪いを解こうと努めた。
元のアビゲイルの姿に戻りたかったが、それは単なる手段でしかない。
私の願いは、家族の元へ戻ること。
それだけが私の望みであり、切なる願いだった。
もう一つの決断は、ブランシュのためだった。
かつてブランシュと交わした約束が思い出された。
『私もダイエットしたほうがいいと思います?』
『それ、どういう意味? ブランシュはまだ子どもでしょ!まだ管理する必要はないですよ。』
『では、私は何歳から管理を始めればいいですか?』
私はブランシューがどんな姿でも幸せでいてほしいと願っていた。
あの子がどんな見た目であっても構わないと伝えたかった。
しかしもし、私自身が自分の姿を嫌いになり、それを変えようとしたら・・・。
いつかブランシュが体重が増えたり年を取ったりして、自分を嫌いになる日が来るような気がしたのだ。
美しくなるために自分を飾ったり管理したりすること自体を否定はしない。
それが誰かにとって楽しみになることもあるだろうから。
でも、自分で不便を感じていないのに、他人の目線を気にして自分を責めたくなるとしたら?
そんなのは嫌だった。
だから私は、私の子どものためにもう少しだけ我慢することにした。
レイヴンが施してくれた宝石が消えるわけではないから、もう少しだけ耐えてみよう。
どうしても無理なら、その時に呪縛を弱めればいい。
あと一日だけ耐えてみよう、もう二日だけ耐えてみようと心に決めた。
・
・
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時が過ぎ、月が欠け、季節が変わった。
そうして、レイヴンの宝石は深い森の中に根付いた。
そしてある日、私にある出来事が訪れた。
私はそっと手を挙げ、魔力を送り込んだ。
ガラス窓に映る私の瞳は、紫水晶のような色をしていた。
黒い魔力と紫の魔力が互いに溶け合いながら、夜空のオーロラのように揺らめいていた。
魔力の影響を受けて、瞳もまた輝きを増していた。
紫の魔力が現れた時、私は驚きのあまり声を失った。
急いでベリテのもとに駆け寄り、自分が見たものを伝えると、ベリテは喜びながら説明してくれた。
「重大な感情変化や出来事を経験すると、魔力の色が変わったり、新たな性質を帯びることがあるの。とても稀なケースだけどね!」
「なるほどね。じゃあ、その紫色の魔力の性質は?」
「紫の魔力の性質は・・・『変化』だよ。」
昼が夜へと変わる瞬間に空が紫色に染まるように、私が持つ魔力も変化を象徴しているのだという。
私は紫の魔力を魔法として自身に使った。
アビゲイルの美しい顔がガラス窓に映し出された。
紫の魔力のおかげで、私はどんな姿にもなれるようになった。
アビゲイルの姿で一生を過ごすこともできたけれど・・・。
私は指を軽く鳴らして魔法を解除した。
すると再び黒髪の女性の姿に戻る。
まあ、アビゲイルの顔で生きるのも悪くないけれど、それは私の望む生き方ではない。
たまには気分転換に姿を変えてみるのも楽しいかもしれないけれど。