こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は70話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
70話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 森の奥深く
マリはあたふたと伝令の馬に乗り込んだ。
念のため弓矢も用意して。
「殿下の怪我は酷いのですか?」
「私も正確には分かりません。とにかくすぐに出発します。しっかり握っていてください」
マリは急いで頷いた。
皇太子が重傷を負ったという話で他のことを考える暇がない。
ところがその時、鋭い声が彼らを捕まえた。
「私も!私も一緒に行かせてください!」
アリエルだった。
彼女は皇太子が負傷したという話に青ざめている。
伝令は頷いた。
「後ろに乗ってください。急いで走るので、しっかり掴まってください」
そうしてマリとアリエルを乗せた男は森の奥深くに馬を走らせる。
そしてその瞬間、密かにその姿を見守っていた人物が。
レイチェルだった。
「ようやく片付けられたわ」
彼女の口から出た不気味な声。
マリを連れて行った伝令はレイチェルの計略だったのだ。
「目撃者なしでチャンスを掴むのは難しかったけど、上手くいって良かったわ。アリエル公女が一緒にいたのは計算外だけど・・・」
彼女は冷たく呟く。
「両方とも片付けられたら最高ね」
伝令は彼らを狩猟場ではなく森の奥深く、猛獣が湧く場所に連れていくだろう。
そしてそこで、彼女たちは猛獣の餌になるはず。
「目撃者もいないから完璧ね」
彼女は満足そうな表情で兵舎に戻った。
酷く自分を苦しめていた病気を除去した気分で。
マリが変な点を感じたのは、森の中にしばらく入った後。
「殿下はどこにいらっしゃるのですか?」
「もう少し奥に入らなければなりません」
マリは疑いの混じった表情を浮かべる。
大規模の狩り中なので、この程度まで入ってきたら人の痕跡が見られるはずだが、人の気配が全く感じられない。
男は言い訳をするように言った。
「殿下は人里離れた場所で猛獣を討伐中ですので。もう少し行けば到着します」
マリの疑念が高まるにつれて、男が馬を止める。
「ここです。降りてください」
「・・・?」
馬から降りた後、周囲を見回すが誰もいなかった。
森の中をどれだけ深く入ってきたのか、木々が空を覆うようにそびえ立っている。
「ここに殿下がいらっしゃるのですか?」
「はい、ここだと聞きました。私が確認してきますので、少々お待ちください」
男は彼女たちを置き去りにしたまま、馬に乗って素早くどこかに姿を消した。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
マリは急いで叫んだが、すでに男は姿を消した後。
そうして彼女とアリエルは突然森の中にポツンと残された。
「こ、これはどういうことですか?」
アリエルが怯えた表情で尋ねる。
彼女も何かおかしいと感じたのだ。
その瞬間、マリは心の中で直感した。
(罠だ!殿下がこんな風に私を呼ぶはずがない!)
マリの顔が青白くなる。
その時だった。
森のどこかで鳥肌が立つ鳴き声が響く。
オオカミの鳴き声だ。
アリエルは怯えた表情でマリにしがみつく。
森のポツンと捨てられたという恐怖に普段の高慢な表情は跡形もない。
「ど、どうしましょう?皇太子殿下を待つべきでしょうか?」
マリは固く首を横に振った。
「いいえ。何かおかしいので、今すぐ兵舎に戻った方がいいです」
アリエルは慌てて頷く。
「ところで、どうやって兵舎に戻るのですか?」
マリは口をつぐんだ。
馬は正体不明の男が乗って行ってしまったので歩かなければならない。
(弊社までどうやって)
漠然とした気持ちになる。
しばらく馬に乗って入ってきたせいで兵舎との距離は大きかった。
帰る途中で猛獣に遭遇することは明白だろう。
(けれど、とりあえず行かないと。急ごう)
マリは弓を固く握った。
万一に備えて弓矢筒を用意して幸いだ。
ところが、その時だった。
アリエルが震える声で話す。
「ヒ、ヒルデルン・・・」
首を傾げたマリの顔が青白くなる。
オオカミだった。
大きなオオカミが彼女を激しく睨んでいたのだ。
「あ・・・」
確かに夢を通じて弓手の能力はあるが、体は依然として弱い少女のまま。
本能的な恐怖にマリの体がこわばる。
動かなければならないのに、何も考えられなかった。
オオカミがゆっくりと彼女たちの元に歩いてくる。
片足を引きずっており、傷で群れから遠ざかったようだ。
傷のために飢えた状態なのか涎を垂らしている。
「・・・!」
その瞬間、マリは気を引き締めて体を動かした。
それから弓に矢を担ぎ、オオカミに向かって突きつける。
「近づくな!」
彼女は大きく息を吸った。
(しっかりしろ、マリ!あんなオオカミなんで何でもない!)
夢の主人公を思い出す。
息子の頭上のリンゴを射抜いたあの男なら、こんなオオカミなんて目も動かさないだろう。
そう考えると、彼女の胸は落ち着いて沈んだ。
目つきが重くなり、弓弦は正確にオオカミの眉間を指差す。
オオカミは小さな少女の勢いが尋常でないように感じられたのか、本能的に躊躇した。
その瞬間、マリの目が輝く。
パアン!
マリの手から矢が去り、破空音とともにオオカミの眉間を正確に貫通した!
悲鳴をあげながら絶命するオオカミを見て、マリの体から力が抜ける。
「た、助かった」
アリエルも驚いてマリを眺めた。
「どうやって弓の撃ち方を?」
「以前に・・・」
マリは大まかに誤魔化すことに。
素直に話す内容でもなかったし、そのような状況でもなかった。
「早く行きましょう」
マリはできるだけ落ち着いてアリエルを率いる。
(しっかりしろ。しっかりすれば生きられる)
レイチェルの策略だったのですね。
以前の罠と違い、今回は明白にマリの命を狙っています。
弓手の才能はありますが、アリエルを連れたまま森を脱出することはできるのでしょうか?