こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は76話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
76話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 尋問
「久しぶりだね」
現れたのは鉄仮面をかぶった皇太子だ。
レイチェルは今、自分が幻を見ていると錯覚した。
なんで皇太子がここに?
皇太子は看守を見ながら言った。
「水と食べ物を持ってくるように」
「はい、殿下」
すぐに看守は、湯気が立ち上がるパンと水を持ってくる。
4日間飢えたレイチェルの目が回った。
彼女はうつ伏せのまま皇太子の足を掴んで哀願する。
「私に、どうか水を・・・!」
しかし皇太子は冷たく彼女を見下ろすだけ。
「私がどうしてあなたに水をやらなければらない?」
「・・・!」
「いや、言葉を訂正しよう。私がどうしてあなたを生かしておかなければならない?」
レイチェルの顔は、その質問に酷く崩れた。
3日間苦しんできた死への恐怖が彼女の精神を打ち砕く。
彼女は涙を流しながら哀願した。
「私、お願いだから・・・、ふぅ・・・、助けてください」
皇太子は何も言わずにじっとレイチェルを見つめるだけ。
塔には彼女の哀れな泣き声だけが響いた。
どれくらい経ったのだろうか。
皇太子が意外な言葉を口にする。
「生きたいのか?」
「生きたいのか」と尋ねられたのだ。
レイチェルは慌てて頷く。
「私の問いにきちんと答えれば、あなたを殺さずに。いや、この塔で一生を安らかに過ごせるようにしてあげよう」
「・・・な、何でしょうか?」
「聖杯盗難事件の時、あなたを指差した人物は誰だ?」
「・・・!」
レイチェルの顔がこわばる。
それは彼女がこれまで徹底的に口を閉ざしていた内容だ。
皇太子がニヤリと笑う。
「答えたくないみたいだね。分かった。じゃあ、もう行くことにしよう」
彼が背を向けて部屋を出ようとする。
湯気が上がっていたパンと水を持っていた看守も一緒に背を向けた。
レイチェルはそれを見て急いで彼を捕まえる。
普段ならともかく、飢えと死の恐怖に疲れる彼女は彼の質問を拒否することができなかったのだ。
「こ、答えます」
「言ってみなさい」
レイチェルは躊躇いながら口を開いた。
「西帝国の皇帝ヨハネフ三世です」
ラエルは同行した宰相オルンと無間の塔を抜け出した。
「苦いですね」
「何が苦い?」
「レイチェル令嬢の姿です。初めてデルフィナとして入宮した時は、本当に美しく輝いて見えたのですが」
オルンは苦笑いしながら言った。
しかし、ラエルは一抹の同情もない表情で答える。
「あれが本来の姿だろう。そもそも真っ黒な心を持って皇宮に入ってきた者だ。同情する必要はない」
「それでは、レイチェル令嬢との約束はどうするつもりですか?」
ラエルはレイチェルに真実を語ることで生涯の快適さを保証すると約束していた。
「私があの悪女との約束を守らなければならない理由がどこにある?」
しかし、彼は善人ではない。
むしろ極めて冷血な人物だ。
最近になって帝国のために献身するため、そのような姿が目立っていなかったが、本来の彼は数えきれないほどの血を撒いた鉄血の支配者。
ラエルは自分の命より大切に思うマリを何度も死の罠に陥れたレイチェルを許すつもりはなかった。
「幽閉された塔では、どんな事故が起きてもおかしくない。そのように処理すればいいだろう」
「分かりました。適切に施工します」
オルンは頷く。
「ところで殿下、西帝国のヨハネフ三世と結託したイーストバーン伯爵家はどうしますか?」
レイチェルが今打ち明けた情報は途方もないものだった。
聖杯盗難事件の真の背後が西帝国のヨハネフ三世!
それだけでなく、彼女の陳述によるとイーストバーン伯爵家はすで西帝国と結託していた。
しかし、ラエルは次のように決定する。
「とりあえず放っておく」
「え、どうして?」
オルンが訝しげな表情を浮かべた。
西帝国と結託することは反逆罪だ。
直ちに軍隊を送って討伐するのが当然だろう。
放っておくと内部に大きな脅威になるのかもしれないのだから。
しかし、ラエルは首を横に振った。
「知らないなら大きな脅威だろうが、知っている限りではあまり脅威にはならない。むしろ情報を逆に利用すれば決定的な瞬間にヨハネフ三世に痛恨の打撃を与えることもあり得るだろう」
その言葉にオルンが感心した表情を浮かべる。
皇太子の言葉が正しかったからだ。
「ところで、西帝国のヨハネフ三世はなぜ聖杯を盗もうとしたのでしょうか?」
「その理由は簡単だ。クローヤン王国のためだろう」
「・・・!」
「クローヤン王国は、西帝国と東帝国の真ん中に位置する要衝地。クローヤン王国の建国と関連した宝物である聖杯を利用して、クローヤン地方を自分たちの勢力圏に引き込もうとしたのだ」
オルンが唾を飲み込んだ。
ただでさえクローヤン地方は帝国領に含まれているにもかかわらず極めて不安定な状態だ。
(もしヨハネフ三世が聖杯を使ってクローヤン地方が西帝国の方に渡ったら?それは災いだ)
彼は固い表情で考えた。
そうなれば西帝国と東帝国の力が一気に西帝国に傾くだろう。
それほどにクローヤン地方は重要だった。
「オルン、クローヤン地方の最近の調子はどうだ?」
「最近はもっと良くないです。税率も減免し、帝国に融和できるように多くの配慮をしていますが、抵抗がさらに強まっています」
ラエルは黙って考え込み、それから尋ねた。
「モリナ王女の行方は?」
「すみません、殿下。まだです」
面目ない表情で頭を下げたオルンが慎重に尋ねる。
「もしモリナ王女を見つけたら妻にされるのですか?」
「いや、もうモリナ王女を妻として迎えるのは意味がなくなった」
レイチェルも許されない罪を犯しましたが、ちょっとだけ救済をと思ってしまうのは変でしょうか?
ヨハネフ三世の行動も怪しいですし、マリの正体がバレるのも時間の問題かもしれませんね。
ラエルがモリナ王女を妻に迎える気がないのは、マリを妻にするから?