こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は75話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
75話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- あなたの全てを
本当は嘘だ。
皇太子を君主として尊敬するのは正しい。
帝国のために献身する姿を見て、彼に仕えることにしたのだから。
でも本当にそれだけ?
彼が無愛想な話し方で自分を配慮する時、固い目つきで自分を信じてくれる時、自分のために怒ってくれる時。
ただ君主としての尊敬だけを感じたのだろうか?
キエルハーンにときめいたように、彼にも揺れたのではないだろうか?
分からない。
わざと背を向けようとした感情だから。
とにかく明確なことは、もし自分が普通に生まれていたら、二人のうち一人に心を与えていただろうということ。
(私はどうしてクローヤン王国の王女に・・・)
マリは胸が張り裂けるのを我慢して跪いた。
「今までのように眷属として殿下に仕えることを許してください」
場内に息詰まるような沈黙が流れる。
「なるほど」
「・・・申し訳ありません、殿下」
ところが、その瞬間ラエルが言った言葉は、マリが全く思いもよらなかった内容だ。
「よかった」
「・・・え?」
マリは一瞬、自分が聞き間違えたのかと思った。
よかった?
跪いた状態でラエルを眺めるために頭を上げた彼女は驚く。
彼が燃え上がるような目つきで自分を眺めていたからだ。
「マリ、あなたは私があなたに対してどんな気持ちを持っていると思う?単に妻として迎えたいと?」
「・・・」
マリは答えられない雰囲気に唾をごくりと飲み込む。
「とんでもない。妻に迎えられるかどうかは副次的な問題に過ぎない。私は君のすべてを望む。指先から心臓の中、そして心まで。毛先ひとつも逃さずに全てを」
「・・・!」
「君が私を拒否するなら構わない。どうせ私も君が無理やり空の殻の状態で私の元に来ることは望まないから」
皇太子は強烈な目つきで彼女を眺めた。
まるでロープに縛られるかのように青い瞳が彼女のすべてを縛りつける。
「君のすべて、すべての心を僕のものにする」
皇太子は自分を拒否するマリに向かって語った。
季節が深まった。
すっかり冬になり、身を引き裂くような風と雪が吹き始める。
帝国北地方を流れるユフテ川。
その中に浮かぶ人影のない島。
荒涼としたそこに古い石塔が立っていた。
重罪を犯した罪人が幽閉される無間の塔。
現在、塔に幽閉されている罪人はレイチェルだった。
「・・・」
レイチェルは暗い目で塔の外を見る。
鉄格子越しに黒く流れる川の水以外には何も見えなかった。
外部とのコミュニケーションは、食事時間にパンが供給される時が唯一。
(それでも生きている)
レイチェルは内心考えた。
彼女は当然死刑になると思っていた。
それだけの重罪を犯したのだから。
しかし、予想外にも皇太子は慈悲を施した。
幽閉生活は苦しかったが、それでも死ぬよりはましだった。
レイチェルがそれなりに幽閉生活に適応した時、何か彼女の人生に異変が起きる。
・
・
・
「どうしてパンが?」
いつも決まった時に配給されていたパンが入ってこなかったのだ。
何か問題があったのかと見送ったが、その次の食事の時も、その次の食事の時も同じ。
食事どころか水も供給されなかった。
「あの、配給が出なかったのですが?」
彼女は自分の部屋のドアを守っている看守に尋ねる。
しかし、看守は彼女をチラリと見つめるだけで、返事もしなかった。
それからレイチェルは、配給が途絶えたのは偶然ではないことに気づく。
「まさか?」
彼女の顔が青白くなる。
やはり翌日も配給は与えられなかった。
倒れそうな空腹で看守に哀願したが、看守は聞こえないふりをするだけ。
皇太子は私を餓死させるつもりなんだ!
レイチェルは絶望的に思った。
鉄仮面の中の彼の冷たい目つきが浮かぶ。
塔は外部と完全に遮断した空間。
したがって、中で何が起きても外部では分からなかった。
皇太子はその点を利用して自分を飢え死にさせるつもりであることは明らかだ。
『これから君に残された道はたった二つだ。死ぬか、さもなければ死ぬより悲惨な状況になるか』
皇太子が彼女に語った話を思い出す。
レイチェルは死に直面して恐怖に震えた。
「どうか!どうかパンをください!助けてください!」
だが翌日も、その翌日も配給は全くなかった。
どれだけ哀願しても無駄。
4日連続で水を一口も飲めず、脱水症状になったレイチェルは鉄のドアを爪で掻きながら哀願し続ける。
「私の・・・、どうか・・・、水だけでも一口・・・」
そんな彼女に以前の美しさは全く見当たらなかった。
どれだけ鉄の門を掻いたのか爪が傷んでいる。
その瞬間、信じられないことが起こった。
絶対に開かないはずのドアが開かれたのだ。
マリの拒絶にも諦めないラエル。
今後の彼の行動に注目ですね!
そしてレイチェルの場面。
想像以上の苦しみに彼女の精神は崩壊寸前なのでは?