偽の聖女なのに神々が執着してきます

偽の聖女なのに神々が執着してきます【115話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【偽の聖女なのに神々が執着してきます】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載...

 




 

115話ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • エピローグ

食事を終えたカッシュは、私の部屋の前まで送ってくれた。

指にはめられた私の指輪は青い光を帯びてきらめいていた。

もう今日は最後の夜なんだな、と考えた瞬間、何とも言えない名残惜しさが込み上げてきた。

「いい夢を見てね。」

彼は私の額にそっとキスをした。

[愛の神オディセイがカッシュに祝福を与えます。]

そしてまた戻ろうとする彼の腕を、私はそっと掴んだ。

カッシュが不思議そうな目で私を見つめた。

「わ、私……」

心臓がドキドキした。

私は自分の口から出る言葉が何なのか、ちゃんと意識もできないまま、思うままに言ってしまった。

だけど、それが勢いだけで出た言葉というわけではなかった。

ただ、自分の気持ちを正直に伝えようという勇気が出ただけだった。

「一緒に入りませんか?」

その言葉に、カッシュは驚いたように目を見開いた。

実際、彼と一緒に旅に出ることになると聞いて、多少のスキンシップはあるかもしれないと……いや、それは勘違いだった。

「だ、だから……」

私はもともと成人で、アリエルの誕生日もかなり前に過ぎているので、この身体はもう18歳だ。

イライドでは生まれてから10か月までは年齢に数えないことを考慮すると、満18歳なので、日本でも一応成人である。

「抱きしめてください。」

[慈愛の神オーマンが共感の祈りを捧げます。]

[愛の神オディセイが扇の舞を踊り始めます。]

[知識の神ヘセドが鶴の舞に夢中になっています。]

愛する人と一緒にいたいという本能は、誰にとっても当然のことではないか。

しかしカッシュは私のために少し間を置いて待ってくれた。

もしかしたら私が不快に思うかもしれないと。

でも私は彼を拒絶するつもりがないことを伝えたかった。

「わ……かりました。」

少し戸惑った表情を浮かべたカッシュは、私の部屋に入ってきた。

ドアを閉めると熱気がむっとこもる感じがした。

元々この部屋はこんなに暑かっただろうか。

「窓……閉めましょうか?」

彼の問いかけに、私はうなずいた。

窓の外から吹き込んでいた風が止まり、部屋の中は少し落ち着いた。

「えっと、ドレスをちょっと着替えてきますね。」

「……あ、はい。」

カッシュは社交界で人気があると聞いたことがあった。

リエと恋愛関係だったことを見ても、きっとたくさんの女性と付き合ってきたに違いない。

未熟な私とは違って、何もかも慣れているだろう。

少し寂しい気持ちになりながら、私はパーテーションの向こうで服を軽く着替えた。

軽い服とはいえ、ふくらはぎまで届くやや楽なドレスだった。

パーテーションの外に出ると、カッシュがベッドに座っていた。

彼の顔はなぜか赤らんで見えた。

「暑いんですか?」

「いえ。ただ……ちょっと音が小さかったので。」

「音ですか?」

「ドレス……を着替える音のことです。」

そんなに聞こえたの?

私は肩をすくめた。

私がベッドに横になると、彼が自然と私の隣に横たわった。

しばらく静かにしていた彼は、体を向けて私を見つめた。

彼の手が胸元へと上がってくるのを見て、私は「キスもなしに、いきなり?」と思った。

けれど、その穏やかな動作に思わず微笑んでしまった。

「おやすみなさい、我らが聖女様。ぐっすり眠ってください、我らが聖女様。」

彼は私の胸元をぽんぽんと叩きながら、まるで本当に子守唄でも歌っているかのようだった。

【慈愛の神オーマンがオマンサン(=尊大な態度)を見せる彼の不器用な手の動きを皮肉っています。】

【知識の神ヘセドがカッシュの恋愛履歴を公開したことを後悔しています。】

耳の先が赤く見えたのは気のせいではなかったようだ。

まさか……。

「女性と同じベッドに寝たことはありませんか?」

「あります。」

やっぱり、そうだろうと思った。

「子供の頃、母と一緒に。」

その言葉に私は気まずくなった。

「それ以外では……。」

「ありません。」

まさかカッシュも、そうだったの?

[知識の神ヘセドはカミーラのために三人の男を虜にしたレイドの致命的な魅力に舌を巻きます。】

「はぁ……」

私はそれ以上何も言わず、手で口元を隠した。

おそらく私は今までカッシュについて誤解していたのだろう。

「女性と最後までいく機会は何度かあったけれど、うまくいかなかったんです。運命に阻まれているような気がしました。」

女性と多く関わってきたのだから、当然そういう経験も豊富だと思っていたが、レイドという伏兵がいるとは予想もしなかった。

カミーラという三角関係エンドで、しかもその男性たちはみんな結婚するまで経済的に苦労せずに済んだというから、レイドの打算的な振る舞いに驚きを禁じ得なかった。

「ごめんなさい。」

「何がごめんなさいなんですか?」

「その……。」

経験者(?)であれば、一晩を共に過ごす決心をするのも、私のように初めての人間よりはずっと簡単だろうと考えていた。

だから彼が受け入れてくれるものだと勘違いしていたようだ。

ふいにカッシュが胸の上のあたりに手を添え、私の頬を包んだ。

そして体をひねって、私の上に覆いかぶさるように乗ってきた。

驚いた視線の中に、彼の顔が間近に見えた。

「あなたも……今、私と同じことを考えていますか?」

彼の頬は赤くなり、目つきは危険だった。

私は知らないふりをして彼に言った。

「ずっと撫でながらからかうつもりじゃなかったんですか……?」

「ご希望なら、そうしますけど…… でももしも。」

カッシュにしては珍しく緊張した表情だった。

その引き締まった顔まで整っていて、思わず見惚れてしまいそうになる。

「もし私の気持ちと同じなら……」

彼は言葉を濁しながらしばらく私を見つめていた。

そして体を起こし、別の方向に視線を向けた。

しばらくして、少し低くなった声が聞こえた。

「ごめんなさい。私、誤解していたみたいです。今日……ちょっと頭が変になってたみたいで。」

この男、もともとこんなに可愛かったっけ?

振り返った彼の広い肩を見て、私は震える気持ちで彼に手を伸ばした。

そして彼の腰に腕を回して抱きしめた。

彼の体がわずかに動いた気がした。

私は彼に小さな声でささやいた。

「誤解じゃありません。」

彼の広い肩がぴくりと固まったのを感じた。

「今夜は侯爵様と一緒にいたかったんです。」

口にするのは恥ずかしかったが、それでも好きな人と一緒にいたかった。

そして彼が体を回した瞬間、私はまるで天地がひっくり返ったように天井を見ていた。

「本当に……大丈夫ですか?」

彼の呼吸はすでに荒くなっていた。

「私は……あなたが望むまで待つことができます。」

すぐにでも息が詰まりそうになりながらも、余裕を装う彼は。

「信託終了。」

続いて私は彼に言った。

「愛してる。」

すぐに彼の唇が荒々しく私の唇に重なった。

言葉にしなくても答えが返ってきたようだった。

『愛しています。』

夜中、彼の声は優しさとはほど遠かった。

痛くないか、不快なところはないかとしきりに聞いてきたが、彼の体は全く優しくはなかった。

「そんなこと聞かないで……やめてよ……」

「すみません。」

はっきりと光っていた彼の瞳はまるで獲物を狙う野獣のようだった。

謝る言葉とは裏腹に、彼の動きは全く容赦がなかった。

そのせいで私は彼の手を握る手にますます力が入った。

月明かりの下でしっかりと鍛えられた彼の胸と、細工されたような腹筋は飾りではなかった。

まるで今夜だけのために鍛えてきたのではないかと錯覚するほどだった。

「この三日月型の痣、弱いんですね。」

「ちょ……ちょっと待ってください。」

時折声が漏れる彼の手に、私は何度も彼の肩を掴んだ。

しかし彼は静かに笑っていた。

「少し休みました。」

「無理をするとあとで辛くなるかもしれないと思って。」

彼の気遣いは上品だったが、声はそうではなかった。

「疲れ……ませんか?」

「聖女様を前にして、どうして疲れることがあるでしょうか?」

こんな本能を今までどうやって隠していたのだろうか。

彼の唇は途切れることなく私を包んだ。

「愛しています。」

荒い声で何度も私にささやいた。

正気があやふやになるまでだ。

「愛しています。愛しています、お嬢様。」

私が彼の耳元でささやいた瞬間、彼は再び荒い息を吐きながら身体を強く震わせた。

「私も愛してる、カッシュ。」

ひとしきりの静けさの後、彼はまるで野獣のようなセクシーな目つきで私を見つめ、再び私の唇を奪った。

夜は長く、長かった。

翌朝、私は再び神託を受けた。

[すべての神々が目を輝かせています。]

[神々が様子をうかがっています。]

[神々がジェビ(神への供物)選びをしています。]

[死の神カイロスがジェビを選びました。]

[死の神カイロスはそわそわしながら、あなたを見て唇を震わせています。]

「初夜の話、しないつもりですか?」

[あなたの言葉に神々がどよめきます。]

初恋の話を聞くために集まった子たちでもないのに、私はふっと笑った。

[慈愛の神オーマンが、たとえ群衆でもいいから教えてくれとあなたにせがみます。]

[破壊の神シエルは、「まあ、そうだろう」と言いながら、カイルには敵わないだろうと鼻で笑います。]

[知識の神ヘセドは、お前が直接見たのかとシエルに言い返し、プライドをかけた争いを始めます。]

「はあ……」

私は19禁レベルの内容により荒れ果てた神託のウィンドウを見ながらため息をついた。

そして女神の助けを借りて適切に身なりを整えた後、ついに城の外に出た。

馬車の前に立っていたカッシュの姿は変わらず端正でかっこよかった。

そして今までとは違う、少し柔らかな目で私を見つめていた。

[愛の神オディセイがカッシュの目つきを見て再び覚醒を喜びます。]

「ん……?覚醒?これはまたどういうこと?」

[知識の神ヘセドは『黄金の王国』の王族たちはだいたい■■な能力が卓越していたと語ります。]

[自愛の神オーマンがその話を聞いて大きく拍手します。]

[知識の神ヘセドがシエルの前で「これ見て」と言いながら、うまくできた造形を見せようとしていたが、突然の痙攣で勢いよく振られた肘がシエルに当たります。]

彼が近づいてきて私のカバンを受け取って片手で持ち、もう一方の手で私の肩を包み込んだ。

そして私の頬にそっとキスをした。

ビリッと、背筋から電気が走るような感じがした。

「朝が来なければいいのにと思いました。」

囁くような優しい声に、耳が熱くなった。

「もう本当に責任を取ってください。」

その真剣な冗談に、私は胸がきゅんと締めつけられた。

「それは、私が言いたかった言葉です。」

私の言葉に、彼が微笑むと、再び私の唇にそっと口づけをした。

いよいよ私たちは一緒に馬車に乗った。

私の隣に座った彼は、私の手を握って私を自分の肩にもたれさせた。

彼の心臓の音が聞こえた。

ドクンドクン。

心地よい苦痛だった。

 



 

旅行を終えて神殿に戻ってから一か月が過ぎた。

今日はついに、この世界に来たときの目標を達成する日だった。

私は馬車の中で、万能ポケットの所持金を誇らしげに提示した。

【所持金:99,000フラン】

皇宮から受け取った皇帝の下賜品に加えて、虚偽の神にまつわる奇跡や出来事が明るみに出ると、寄付金がどっと集まった。

レイハスはその寄付金の一部を私に分け与えた。

「わあ、すごくうれしい。」

私は万能ポケットを抱えてにこにこ笑った。

日本のお金に換算すれば10億円に少し満たない金額だったが、このくらいあれば首都にちょうどよい2階建ての建物が一つは買える金額だ。

先週カッシュと正式に婚約した私は、いつかロイドの奥様になれば、ささやかな建物を足元に並べることになるかもしれない。

しかし、それでもこの財産は完全に私のものではなかった。

自分の努力で得たものではないので、そのお金を無駄遣いしたりする自信はなかった。

彼と結婚することになったとしても、私は依然として「聖女」であり、自分の仕事と生活を大切にするつもりだった。

それについてはカッシュにも同意を得ていたことだった。

『そしてこれは、ささやかだけど美しいドリームライフ。』

少し退屈な神殿生活に、もう少し活力となる仕事をしたかった。

神殿が少し暇になったら、神聖力で花を生産して花屋をやってもいいし、あるいは週2日くらい動物病院を開業してみてもいいかもしれない。

何か始めるにしても、そこまで真剣でなくても賃貸に出して家賃だけもらえばお腹は満たされそうだ。

「到着しました。」

まもなく馬車が「ヘーゲン不動産」の前で止まった。

実のところ、行こうかどうしようか少し迷ったが、あの時貴族婦人たちとかなり多くの寄付で交流を深めたので……一度入ってみることにした。

ここまで広い中介業者もいなかったからだ。

席に座ってこそこそとメモを取っていたヘゲンが、鐘の音が聞こえるとぎこちなく目を開け、ぱっと立ち上がったのが見えた。

「うわっ!!せ、聖女様!!」

そしてバタバタと駆け寄ってきて、私に挨拶をした。

「よ……ここにはどうして……!!」

もしかして神殿事業の件で話をしに来たのではないかという期待に、彼の目が急にきらっと光ったのが見えた。

前に救護事業がどうとか、カッシュが言っていたのを思い出した。

「個人的に来たんです。」

「そ……そうですか、個人的に。」

ヘーゲンの目から急に期待の光が消えた。

数千フランは使ったのだから、まだまだかなりの額が残っているはずだ。

だからといって聖女に文句も言えず。

けれど私は何も知らないふりをして、にっこり笑いながら言った。

「2階建ての建物をひとつ見せてください。場所がいいところで。価格は10万フラン未満で。あ、10区は除いてくれますか?」

その最後の一言に、ヘーゲンは肩をぴくっと動かした。

私に失敗して弱点を握られた人をからかうのってなんでこんなに面白いの?

どうやらオマーンに影響されたようだ。

 



 

「これにします。」

しばらくして、私は立地の良い2階建ての建物の前で満足そうに立っていた。

面積は約40坪ほどで、小規模の店を営むにはちょうど良かった。

なのに首都の中心の建物がこの価格だなんて、得だわ、得。

「9万フランで、税金を含めると9万2千フランを少し超えます。税金についてはお手伝いしますよ。」

「購入します。なかなかいいですね。」

すぐ近くには大型の生活用品店があり、ユークリプスアカデミーも近かった。

広場からも2ブロックほどの距離で、おそらくどんな業種でもうまくいきそうな感じだった。

私はすぐに契約書を書いてお金を支払った。

【所持金:6,700フラン】

元々その建物の所有者はある中小貴族で、定められた価格内での処分権限をヘーゲンに委任したとのことだった。

契約書類を迅速に確認したヘーゲンは、私に契約書を渡しながらこう言った。

「もともと10万フラン以下では売らないように言われてたんですが、急いで連絡して熱心に説得したら、9万フランでもいいって言ってくれました。」

私はヘーゲンと出会ったときと同じく平服を着ていた。

聖女服を着て外出すると、私を称賛する人たちに囲まれて危険が伴うためだった。

以前、レイドの信者たちに襲われたことがあってからは、馬車にも神殿のマークをつけないようにしていた。

「そうですか。ありがとうございます。でも……手数料はいくらですか?」

本来、建物を取引するときには仲介手数料が発生する。

ヘゲンは仲介手数料で生活している人でもあった。

「その……」

少し戸惑ったヘゲンは私に言った。

「お嬢様からは手数料をいただきません。」

その言葉に私はまばたきをした。

しばらくしてヘゲンが私に言った。

「以前、市場のゲートを封鎖していた件を覚えていますか? 私のいとこの弟が徴兵されて行き、無事に戻ってきたのです。それに今回の件で、少女奴隷をしようとしていた一族まで完全に消滅させてくださって――偽りの神を信仰していたのです。実は私……ベアトリクス様の信者じゃないんです。」

私は立ったまま彼の言葉を聞いていた。

「人々が平和であってこそ建物も建ち、商売も成り立つのですが、聖女様は私たちのような庶民の生活を守ってくださいました。私の日常も同じですから。なので、聖女様は手数料は受け取らないことにされたんです。ふふっ。」

話を終えたヘーゲンはおどけて肩をすくめた。

――このおじさん、案外冷淡な人ではないのかも?

私は手すりをつかんだ。

「まあ、気に入っていただければ、喜んでいただけるのなら十分ですよ。」

そして、大切な建物の書類を手に、私は遠ざかる馬車を見送った。

車が停まっている場所まで歩き始めた。

数歩歩いてから、ふと後ろを振り返った私は彼に言った。

「神殿でレイド神殿の土地問題に関わる仲介業者を探す予定です。報酬は悪くないので、事前に応募してみるといいですよ。」

本来ならロイドの上層部に問い合わせて知るべきことだったが、カッシュが神殿の取引には手を引いており、今は個人経営者たちにもチャンスが回っていた。

その言葉にヘゲンは目を見開いた。

そしてお辞儀を深くしながら頭を下げて挨拶した。

「情報をくださってありがとうございます、お嬢様。チャンスをいただけたら、一生懸命やってみます。」

私はうっすらと微笑みながら再び車に乗った。

 



 

馬車が走り出した。

建物を見ているうちにあっという間に時間が過ぎ、いつの間にか空には赤い夕日が沈んでいた。

私は空を眺めながら、ルルララと口ずさみ歌を歌った。ついに建物主になるという夢を叶えたのだ。

頑張ったね、自分。

【芸術の神モンドが芸術品専門事業を提案しています。】

【正義の神ヘトゥスは無料治療所の設立を望んでいます。】

【破壊の神シエルはペットおやつショップをおすすめします。】

[慈愛の神オーマンは大人のための■■■用品店をおすすめします。]

神々は熱心に自分の趣向に合った店舗を私の建物に入れるよう勧めていた。

窓の外を見ていた私は、口元に微笑みを浮かべた。

愛する存在たち、好きなものたちと共に過ごせる日常は…… きっと祝福なのだろう。

車は神殿へと入っていき、明るい表情のデイジーと、彼女の肩の上に乗ったクッキーが私を迎えに出てきた。

ここはもう私の永遠の故郷だ。

いつまでもこんな幸せな日々が続くことを願うばかりだ。

 



 

その夜、アリエルは再びカッシュに会い、二人は神殿の裏を散歩しながらキスを交わし、愛を誓い合ったという話の詳細が噂として語られるようになった。

そんな日々はその後も何度も繰り返されたため、一ヶ月後にはカッシュ・ロイドの馬車を見るだけで神官たちは「今日もお越しですね」と言うほど噂が広まっていた。

神託の間の神々は、彼らのたび重なる逢瀬にあきれて飛び回ったり、他の男性主人公を推すべきだと主張したが、アリエルは動じなかった。

自分の運命を切り拓き、世の中の脅威を退けた彼女らしく、自分の選択に強い自信を持っていた。

その選択は正しかった。

カッシュは彼女の選択に応える素敵な婚約者、そして――最高の夫となった。

夫婦の愛は帝国を越え、大陸の隅々まで有名になるほどだった。

もちろん彼らの新婚生活がまったく問題なかったわけではない。

アリエルは自分の2階建ての建物に満足していたが、カッシュ・ロイドはそうではなかった。

彼はありとあらゆる貴重な宝物を妻のために捧げ、アリエルが一度でも目を留めた物があれば、海を渡ってでも手に入れに行った。

アリエルがこのままでは逃げ出すかもしれないと本気で交渉に出て、ようやくその暴走は止まった。

ちなみに、アリエルとカッシュ・ロイドの新婚期間は短かった。

彼らが婚約してから結婚するまでにかかった時間よりも短かったのだ。

恋に目覚めたカッシュ・ロイドの情熱は火のように激しく、その愛はすぐにアリエルのお腹の中に結実をもたらした。

いつかこの一連の過程について、別に語る機会が訪れるだろう。

かつて冷徹だったソシオパスに近かったカッシュ・ロイドが、自分の家族にとってどんな男になったのかを語ることは、主に護衛騎士たちの話題のひとつだった。

いずれにせよ、アリエルは幸せだった。

愛するすべてのものが彼女のそばにいた。

特に、彼女の八人の神は彼女にとって最も大切で永遠の友人たちだった。

彼女の願いどおり、これからも神々の祝福に満ちた穏やかな日々が続くことだろうと疑わない。

それでは、今までのアリエルの記録をまとめて、このあたりで物語を締めくくることにしよう。

終わり……

[破壊の神シエルがうるうるしています。]

[正義の神ヘトゥスが正義の剣をくわえて飛びます。]

[芸術の神モンドが鋭い視線を送ります。]

[慈愛の神オーマンがテーブルの上に乗ります。]

[知識の神ヘセドは慎重に他の話も気になるとささやきます。]

[すべての神々が「終わり」を許しません。]

[「偉大なる願い」が発現されます。]

[「分岐点エンディング」が続きます。]

 

<完結>

 



 

 

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