こんにちは、ちゃむです。
「偽の聖女なのに神々が執着してきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

99話ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 神の怒り②
少し考えた後、私は彼らを見つめて言った。
「そこまで望まれるなら、わかりました。」
【神々がそれぞれトウモロコシ菓子の袋を開け始める】
すると群衆の間にざわめきが広がった。
私は平然とした表情で続けた。
「どうしてです? あなたたちが神を取り戻したいと願うなら、私が他の神々の力で神を倒したのだから、戻すことだってできるのでは?」
「お、お前が神になればいいってことか?」
「ふざけるな!!」
再び飛び出した怒りの声を聞きながら、私は冷ややかな笑みを浮かべた。
「レイドをここに復活させて召喚すればいいんですか? 信者たちがいますから、レイドも喜ぶでしょうね。ああ、でもそれを知っていますか?」
私は彼らに淡々と言葉を続けた。
「魔族というものは人間を虫けらのようにしか思っていません。ゲートを開いた魔王レト、つまりレイドもそうでしょう。召喚された瞬間、皆さんを真っ先に踏みつぶすと思いますよ。」
人々の動揺が揺らぐのが見えた。
私は天に向かって手を伸ばし、ひとり呟いた。
「ヘセド様、お願いします。」
すると、ヘセドはタイミングを見計らって雷の演出を加えた。
バリッ-!
空が暗くなり、雲の間から閃光が走ると、人々の顔に恐れの色が浮かんだ。
魔王降臨の演出にしては、これくらいの効果は必要だろう。
「何をするつもりだ!」
雷鳴が轟き、人々の目が動揺しているのが見えた。
「これ、止めるべきじゃないのか?」
「なぜ、レイド様を強制的に復活させることができると言うんだ?」
「でも、それでも魔王だぞ……。災厄が起こるかもしれない。」
人々の間で意見が割れ、ざわめきが広がった。
「お、俺は行く!」
「私も!」
気勢を上げていた人々の一部が先に足を踏み出した。
しかし、慎重な目つきでその場に留まり、様子をうかがう者たちもいた。
『信心があるってことか。こういう時には最高の材料だな。』
私は厳しい表情を装いながら、心の中でほくそ笑んだ。
キャストしたアニメーションの呪文を唱える。
「幻惑よりも暗き者よ。我が身を巡る血よりも赤き者よ。時の流れの中で名を失いしレイドの名のもとに、汝に乞う。我が首を差し出す者、その命と肉と血を捧げる信奉者たちがここにいる。現れ出でて、彼らの願いのままに、その身と魂を喰らい癒やせ。」
シャアァァー。
風が吹き、かすかな音が響いた。
この呪文、魔王降臨の演出としてはぴったりではないか。
人々の顔に次第に恐怖の色が浮かんでいった。
「や、やめてください!」
制止しようとした男が声を振り絞った。
しかし、私は動じることなく両手を広げた。
ヘセドの天雷が轟き、雷鳴と共に完璧な特殊効果が続いていた。
『こういう時は、恐怖の雰囲気が最高だな。』
私は口を開き、さらに大きな声で叫んだ。
「生きた人間を丸ごと食らうことを好む、あなたの高貴な楽しみを満たしてくれる者たちがここにいます。神聖な供物としての意志を喜んで受け入れ、穏やかな心で彼らの魂を導き、あの世へと戻されるよう……。」
ヘセドが再び激しい雷を落とした。
「ぎゃあ!」
「うわああ!」
雷鳴の轟きに驚いた人々が、悲鳴を上げながら後ずさった。
「生きたまま食らうだと?人身供養か?」
「正気か?やめろ!やめろ!」
「せ、聖女様!おやめください!」
私は眉をひそめ、彼らを見つめた。
生き残っていた者たちは腕を震わせ、理性を失いかけていた。
「なぜ?レイドを取り戻したいのでしょう?」
人々の顔には恐怖が滲んでいた。
「そ、それは……」
「魔王とはやはり……」
先ほどまで私を威勢よく阻んでいた者たちは、一転して動揺していた。
私の馬車を引いていた御者はすでに逃げ去っていた。
時間が経つのは長く感じられた。
「ふむ。言葉ははっきりと話さなければなりませんよ?何を意味しているのか、よく分かりませんね?」
私の言葉に、人々の間から叫び声が上がった。
「もうやめてください!」
「レイド様の召喚を止めてください! 聖女様!」
「わ、私たちが間違っていました!」
私はゆっくりとまばたきをしながら、静かに片手を上げた。
ヘセドの雷が再び轟こうとしていた。
私は両腕を組み、冷静な表情で彼らを見つめながら言った。
「現実を受け入れるのが難しい気持ちは理解できますが、こんな無意味なことはただの犯罪にすぎません。私を捕らえてエリウム神殿に連れて行き、レイドの復活を願おうとしたのですか?レイドが圧倒的な存在だというのに、なぜこんなに怯えているのです?」
当然のことながら、私の言葉に答える者はいなかった。
騒がしかった群衆は、まるで死んだように静まり返っていた。
「その怒りは何のためのものか、よく考えてください。現実を変えたいのか、それとも現実を変えられないと知りながら、ただ子供のように駄々をこねたいのか。」
迷える羊には、鋭い現実の一撃こそが最良の治療法である。
[神々がポップコーンを食べながら炭酸飲料を飲んでいる]
私は歩き始めた。
私を取り囲んでいた群衆は、両側に分かれて道を開けた。
少し歩き、群衆の端を抜けた頃、背後から声が聞こえた。
「聖女様!」
私は足を止めた。
フードをかぶった男が、うつむいた顔を上げて言った。
「では、私たちはこれから誰を信じて生きていけばいいのですか? その方でなければ…… 誰を信じればいいのですか?」
少し息を整えた私は、わずかに微笑みながら彼を振り返り、こう答えた。
「自分自身を信じろと言いたいわけじゃないけど……」
多くの不安げな瞳が私に向けられた。
人が神を信じる理由とは何なのだろう。
行き先の見えない航海に灯台が必要だからか、それとも慰めや希望を求めているからか。
そんな彼らに「ただ自分自身を信じて一人で進め」と言うのも、酷な話ではないだろうか。
「選択肢はたくさんあるのにね。そんなに一つの道に執着していたら、他のチャンスは訪れませんよ。」
[正義の神ヘトゥスはあなたの言葉に同意します。]
私の言葉に、驚いたり戸惑ったりするような声が上がった。
「そうか。こんなに不敬なことを言っても、レイド神は戻ってこないのか。」
「レイド神はもういない。いないんだ!」
「魔王だっただと!レイドが魔王だっただと!あんな奴を!認めたくなかったのに!」
私は彼らに背を向け、歩き出した。
残された混乱と選択は、彼ら自身のものだ。
数歩も進まないうちに、聖騎士たちが駆け寄ってくるのが見えた。
「聖女様!!大丈夫ですか!!」
「聖女様!!」
私が乗っていた馬車が消えたという話を耳にした様子だ。
こんな面倒なことになるなら、ドワーフを連れてくればよかったと少し後悔した。
「大丈夫です。」
「ご無事で何よりです。」
その時、耳に入ってきたぎこちない声に、私は思わず振り返った。
「は、はい、すみませんでした!」
「逃げろ!エリウムの聖騎士たちだ!」
群衆はあっという間に散り散りになり、数人が聖騎士たちにしがみついて助けを求める姿が見えた。
『ああ、疲れた。』
再び前を見据え、静かにため息をついた。
ふっ。
どこかで聞き覚えのある笑い声がして、横を見るとディエゴの姿があった。
銀髪の下で暗いボルドー色の瞳が輝いていた。
まるで驚いたような、からかうような声が耳元に響いた。
「よく見せてもらいましたよ、女王様。」
私は表情を保つのが難しかったが、なんとか口角を片方だけ上げた。
「……ここには何の用で来たんです?」
「女王様に会いに来ました。」
「ふざけないで。女王様なんてもう一度言ってみなさいよ!」
『黒歴史を蒸し返すんじゃないわよ、この悪魔め!』
私の反応に、彼はまたクスクスと笑った。
ディエゴが手を差し出すと、聖騎士たちは少し後ろへ下がり、私たちは近い距離で会話を交わすことになった。
「鞭なしでも十分女王らしく見えますね、驚きました。」
私はこれ以上警告することなく、シエルの力を込めて彼の襟首を掴もうとした。
しかし、バシッという音とともにスパークが走り、彼の手が私の手首を掴んだ。
続いて、低くかすれた声が耳に届いた。
「落ち着いて。これ以上大事にならないようにしましょう。」
私は彼が掴んだ手首を勢いよく振りほどいた。
そして、軽く肩をすくめて前へ歩き出した。
「気を削がれましたか?」
「違いますよ。ただ、魔王と同じに見られたくないだけです。」
「魔王じゃなくてもよろしいですか?」
私は眉をひそめながら振り返った。
「新しい神の復活を祈るべきでしょうか。」
【慈愛の神オマーンが目を見開いたまま、慌ててステッキを落とします。】
「はは、冗談ですよ。」
【慈愛の神オマーンは、すでに三人の男性に加え、ディエゴを「道場破りリスト」に追加します。】
「ドレイブ教授を探しに行ったそうですね。」
私は彼の言葉に思わず眉をひそめた。
「裏で調査をしていたんですか?」
「はい。」
あまりにも堂々とした答えに、私は一瞬言葉を失った。
「……あ、そうですか。」
「あなたの調査ではなく、ドレイブ教授の調査でした。強力な魔法で才能が突出していた人間です。」
ふむ、あまりに過剰に反応すると、かえって怪しまれそうだった。
「そうですか。まあ……私もドレイブ教授には少し会ったことがあります。」
「理由は?」
自然に答えを求める彼に応じるように、私は口を開いた。
どうせ彼が知ることになったとしても、悪いことではなかった。
いや、むしろ助けになるかもしれないと思った。
「カミーラは死んでいません。」
思いがけない知らせに、彼が疑いのまなざしを向けるのを感じた。
「私がドレイブ教授に会った理由も、それが原因です。」
すると彼は言った。
「そんなはずはない。ベラトリクスが自分の存在を危険にさらしてまで無理をするとは思えませんが……。」
「無理をすれば、生き延びることはできる、ということですよね?レトは神々について聞いたことがありますか? 権能を超えたことをしようとすると、神格が崩れることもあるため、神が万能であるとは限らないと言われています。ただし、彼自身は万能の神になるつもりだと何度も口にしていました。」
やはり、私が考えていた結論と変わりはなかった。
ベラトリクスがこの罠にかかるのは時間の問題だろう。
「まさかこんな形で会うことになるとは……」
私はディエゴに言った。
「……?」
「協力してもらえますか?」
リタの首飾りが、リタの魂の色を映し出す特別な意味を持っていたならば、その首飾りに込められた気運だけでも、ベラトリクスに真実を伝えられるかもしれない。
それを召喚することはできるだろう。
しかし、これは所詮リタの所有物に過ぎない。
だからこそ、私はそれをベラトリクスの元へ誘き寄せるための媒介として使うことにした。
そのためには、強力な魔法――つまり黒魔術が必要だった。
ドレイブはカッシュの部下たちの監視を逃れるために田舎へ休暇に行ったらしい。
だが、彼を捕まえるには時間がかかるため、目の前のディエゴを利用するのが得策だと考えた。
何しろ、彼も黒魔術を使うのだから。
「何ですか、その鶏が豆鉄砲を食らったような顔は?」
「さすが、察しが早いですね。」
私はディエゴにこれまでの経緯を簡潔に伝えた。
そして、サレリウムでの出来事を聞いた彼は、かすかに目を細めて私を見つめた。
「ドレイブに会ったという報告を聞いたときは、ただの興味本位でしたが、やはり予想通りでしたね。あなたは一体何を考えているのか、さっぱりわかりません。」
「まあ、それほど怖い場所ではなかったので、驚くことはありませんよ。」
「では、この首飾りに黒魔法をかけたということですか?」
「ええ……そうですね。ドレイブの研究室にあった強制術の書によれば、亡者の遺品が媒介になるらしいです。そして、カミーラについても後悔を残したくはないでしょうし、試してみる価値はあるはずです。」
ディエゴは私をしばらく見つめた後、理解できないというような表情を浮かべた。
「神殿では、黒魔法を使う者は排除される運命にあります。」
「それにしても、何度見てもあなたは本当に不思議な人ですね。そもそも、あのとき黒魔法ギルド『デビアムーン』を訪れたことからして、今思えば異様な出来事ですよ。」
「人を害するわけでもなく、必要な時に必要な技術を一時的に使うだけなのに、いちいち過剰反応する必要はないでしょう。」
私は肩をすくめた。
「思ったよりも神々は何も考えていないものです。むしろ、人間の方がずっと頑固ですね。」
[芸術の神モンドがあなたの言葉に同意します。]
[慈愛の神オーマンがあなたの言葉に同意します。]
【正義の神ヘトゥスが孤独にため息をつく。】
【破壊の神シエルが、目を細めながらまるでヘトゥスの尻をつねるように笑っている。】
「はぁ……」
ディエゴは鋭いまなざしでしばらく私を見つめた。
「協力しますか? しませんか?」
私はにっこりと笑いながら彼に尋ねた。









