乙女ゲームの最強キャラたちが私に執着する【１４６話】ネタバレ

ルウェインは再び話を始めた。

「まず、私の娘さんが一番気になるのは、アセラスが戦争を起こす前の今回の条約更新会談で一体何をするのかということでしょう。神聖なフレームの詳しい事案について」

ダリアはうなずいた。

すぐに答えてくれると思っていたルウェインは、思いがけずあごをつかんで悩んだ末、すぐに頭を押さえる。

「少々お待ちください。それが何回目だったっけ？」

「・・・」

「129回目？152回目？」

聞いただけでも恐ろしい数字が通り過ぎた。

ダリアは少し呆れていた。

「ああ、重要な事案の一つが思い浮かびました」

「本当ですか？」

「はい。神聖カテロの結末は、アセラスを除くすべての超越者の死とフレデリック帝国の滅亡です」

「・・・え？」

ダリアはぼんやりと聞き返した。

ルウェインは何か問題でもあるかのように首をかしげた。

ダリアの表情がじわりじわりと参っていった。

「そ、それは・・・」

すごく失敗しそうな予感が・・・。

「そ、そんなに大事なことをどうして今になっておっしゃるんですか！しかもそれは「ウロボロスの迷宮」に出てこない内容じゃないですか！」

「そのルートを選べば、アセラスを誰も好まないと思って、私が任意で抜きました。そのようなゲームの特性上、男性主人公が3人は必要だったんですよ」

「・・・」

どうりで、アセラスルートだけ仕上がりが妙にぼやけていたとは。

ダリアは目眩を感じた。

ルウェインは爆弾宣言をしておきながら、一人で微笑んで言った。

「大丈夫です。私がいる以上そんな結末は起こらないだろうから」

「ああ、まったく、公爵様・・・！」

「はい、お嬢さん」

ダリアはペステローズの書斎で皇帝が感じた乙の心情を百分理解して頭をかきむしった。

しばらくしてから。

ルウェインとダリアのコミュニケーションは、子犬と人間のコミュニケーションより苦労して行われた。

やっとダリアは彼が何を言おうとしているのか理解する。

「それで、公爵様に神聖なテロを防ぐ方法があるんですって？」

「ええ、でも犠牲があるでしょう」

「・・・どういう意味ですか？」

ルウェインは知っていることすべてを教えると言っておいて、しばらく何も言わなかった。

「それは・・・」

そのように話を切り離しても、すぐに口をつぐむのが常だ。

彼は肩をすくめて憂鬱な表情をした。

「ダリアさん、あなたはおっしゃいましたね。絶対にアセラスを許せないから、彼を救うこともできないだろうと」

「・・・はい」

ルウェインは罪悪感に満ちた目でダリアを見る。

「もし彼を救えなかったら、セドリック皇子殿下が死んでも、あなたの意志は変わりませんか？」

ダリアはそのまま固まった。

いつも遠い過去を辿るようなルウェインの瞳が憂鬱な光を含んだ。

「私はアセラスが行うことの後、セドリック皇子殿下の結末を知っています」

その夜、皇帝は自分の執務室で頭を悩ませていた。

今回捕まった者はフレデリック帝国出身らしく、それほど信仰心が深くはない。

彼は死を前に知っている情報をぶちまけた。

問題はその情報の中にあまり価値のあるものがないということだ。

アセラスがダリアに使うようにくれたという緑色のクラス固体の形は一体どこに使うのか聞いたこともない。

本人も全然知らなかったし。

ケルシオンの情報はもちろん衝撃的だ。

しかし、それ以上に詳細なアセラスの計画までは知らなかった。

確かに分かったのは、アセラスがこの．フレドリック帝国を吹き飛ばす巨大な計画を企んでいること。

「いったいそれをどうやって防げばいいのか・・・」

最近、ダリアの浄化もまともに受けられず、彼はとても敏感になった状態だった。

ところがその時、突然執務室のドアを蹴ってルウェインが入ってきた。

後ろで途方に暮れて追いかけてくる補佐官たちを見た皇帝は、再び血圧が上がるのを感じる。

彼は冷めきってまずいお茶を胃にたたきつけ、怒りをなだめた。

「ルウェイン、またどうしたんだ？」

しかし、ルウェインの状態が少しおかしかった。

いつも過度に厚かましく堂々としていた姿とは違い、彼の目つきは今までにない憂鬱で深く沈んでいた。

皇帝は何だか尋常ではない気蓮を感じ、眉をひそめたまま彼を見る。

「ルウェイン？」

「尊敬する皇帝陛下」

「うん、言ってみろ」

「私は実は回帰者です」

皇帝は飲んでいたお茶を吐きそうになった。

2日後、朝が明けた。

ヒーカンはこれまでになくいらいらした。

前日の夜遅く帰ってきたダリアは、彼の小言にも何も言わなかった。

むしろぼんやりと彼を見つめ、突然泣きそうな顔をするではないか。

ヒーカンはダリアを抱きしめざるを得なかった。

しかし、いくら追及しても何が起こったのかは最後まで話してくれなかった。

（ダリアも衝撃を受けたのか？）

やっばり怒らなければよかったと、ヒーカンは後悔する。

翌日の朝食の席でもダリアは昨日何もなかったようにふるまったが、依然として目が空っぽでは同じだった。

「お兄さん、お兄さんは絶対許せないような人をどうやって許すか分かりますか？」

「誰だか分からないが、ただ許すな」

ダリアはへヘと笑う。

そうするうちに急に元気を取り戻した。

「それでもやはり試してみないとですね」

「・・・君がそうしたいなら」

最後に、ダリアは部屋に引きこもり、一日中悩んでいた。

彼が知っているダリアは、こんなに長く意気消沈する人ではない。

ヒーカンは変な気分だったので、急いでアドリーシャをダリアの部屋に押し込んだ。

ダリアは一日中机に座ってベッドに横になって物思いにふけっていると彼女は言った。

何を考えているのかと聞いてみても、ごまかすばかりだと。

（また何かの手を企んでいるのではないだろう？）

これまでの長い経験からヒーカンは疑いの目を収めなかった。

しかし、ダリアはずっと静かなまま。

そうして部屋に閉じこもってから二日目、突然彼とアドリーシャを自分の部屋に呼び集めた。

アドリーシャとヒーカンは一体彼女が何を言おうとしているのか頭を突き合わせて悩んでみた。

「まさかセドリック様と婚約なさるということではないですよね？」

アドリーシャが考えるには最も合理的な仮説だったが、聞くやいなやヒーカンの勢いがさらに恐ろしくなる。

彼は奥歯をかみしめて言った。

「・・・それは違うだろう」

「それでは何ですか？」

「まず違う」

しかし、とうてい見当がつかなかった。

二人は仕方なくダリアの部屋に向かう。

ダリアはその日、徹夜したのか目の下が真っ暗だった。

彼女は真剣な表情で机に座り、両手を組んで二人を振り返った。

「お兄さん、アドリーシャ。私、深刻に話したいことがあります」

「婚約はダメだ」

ヒーカンがいきなり言った。

ダリアは目を大きく開けてびっくりして首を横に振る。

「どういうことですか？そんなことないですよ！」

「・・・とりあえず言ってみて」

ダリアは目を閉じて大きく深呼吸した。

そしてしばらくして、再び目を覚ました彼女が言った。

「私は実は別の世界から来ました」