こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
今回は135話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
特技が一つもない冴えない侍女マリ。
いつもいじめられるばかりだった彼女に、ある日信じられないことが起きた。
「君のために最後にお祈りをしてあげよう、君の願いは何だい?」
死んでいった囚人を看病していたマリに訪れた奇跡。
「万能な人になりたいです」
その日からとても神秘的な夢を見始めることに。
完璧な侍女!最高の彫刻家!天才音楽家!
夢を通して夢の中の人物の能力を得て、何でも完璧な侍女マリの物語がいま始まる!
マリ:本作の主人公。クローヤン王国の元王女。身分を隠して侍女として働いている。本名は、モリナ・ド・ブランデン・ラ・クローヤン。
ラエル:皇太子。血の皇太子と呼ばれ恐れられている。
キエル:皇室親衛隊団長。キエルハーン・ド・セイトン。
オルン:公爵で宰相。ラエルとは昔からの親友。
ヨハネフ三世:西帝国の皇帝。
オスカー:第十皇子殿下。
アリエル:皇太子妃候補。シュレーアン家。
レイチェル:皇太子妃候補。イーストバーン家。
135話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- キエルハーンの覚悟②
「そ・・・、それは本当ですか?」
「はい、事実です。現皇帝のトルン2世陛下が危篤です」
「・・・!」
キエルハーンは重々しく話を続けた。
「宮医の話では1〜2週間程度になるそうです。本当に短いと1週間以内かもしれないと・・・」
マリの顔が真っ白になる。
なぜキエルハーンがあんなに深刻だったのか悟ったのだ。
(トルン2世がもうすぐ死ぬ?じゃあ、これからは?)
皇帝が死亡すること自体は大きな問題ではない。
どうせ数年間、意識を持っていなかった彼がいつでも病死するというのは予定されていたこと。
問題はそれによって派生する結果だ。
正確に言えば、ひたすら皇帝にだけ忠誠を捧げ、皇太子に反対してきたキエルハーンとセイトン家の運命が今後どうなるのか。
(皇太子殿下が皇位に上がれば・・・、自分に反対するキエル様のセイトン家を放っておくはずがない。血の雨が降るわ)
皇位継承に続く血の粛清。
その対象はきっとキエルハーンのセイトン家になるだろう。
マリは唾をごくりと飲み込む。
皇太子ラエルとキエルハーンが対立する理由は簡単だった。
現体制のトルン2世が庶子のラエルを後継者として認めなかったためだ。
(過去、トルン2世は皇后の正子のみを後継として認めると公式に明言していた。従って、原則的に庶子のラエル殿下は皇位継承権が全くなかった)
しかし、途中でトルン2世が不意の事故で意識不明になり、話が変わった。
皇子たちの間で内戦が起こり、ラエルとオスカーを除くすべての皇子が死亡した。
意識を回復する可能性がないトルン2世の意は無視され、ラエルは自らの力で皇太子の地位に上がったのだ。
(他の貴族たちは皆ラエル殿下に跪いたけど、伝統的に皇家の守護者だったキエル様のセイトン家はラエル殿下を認めていない。現況制が残した意志によると、適法な皇位継承権はラエル殿下ではなく、皇后正子のオスカー殿下だからだ)
これがまさに皇太子ラエルとキエルハーンの葛藤の原因だった。
キエルハーンのセイトン家は、現皇帝の意志によってラエルを皇帝として認められないだろうし、ラエルとしては自分に反対するキエルハーンのセイトン家を放っておくことはできないだろう。
そうなれば、ラエルはセイトン家を反逆罪で討伐するはず。
当然、キエルハーンも殺されるだろう。
(それはダメ!絶対に!)
彼がなぜこのように最近暗い表情だったのか悟ったマリの顔が青ざめる。
キエルハーンが死ぬって?
それもラエルの手で?
あり得ないことだった。
自分を大切にしてくれた、あの温かくて親切な彼が命を落とす?
マリは気が遠くなった。
考えるだけで胸が裂けるような気持ちだった。
彼女は何とかして悲劇を防ぎたいと慌てて口を開く。
「キエル様のセイトン家と皇室が衝突すれば、数えきれないほどの血が流れるでしょう。それはむしろ帝国を守護してきた家門の旗印に反することではないでしょうか?」
「マリさんのおっしゃる通りです。辺境伯のセイトン家と皇室が衝突すれば、想像もできないほど多くの血が流れるでしょう」
「はい、ですから・・・」
「でも心配しないでください。そんなことは起こらないでしょうから」
「え?」
マリは目を丸くして尋ねた。
しかし、キエルハーンは穏やかな笑みを浮かべるだけ。
「・・・キエル様?」
マリは突然不安になり、そして、彼女は彼の笑顔の意味を知る。
「まさか?」
マリは震える声で尋ねた。
「もしかして、自らを犠牲にしようとしているのですか?」
「・・・」
「答えてください!今、キエル様は家門のために命を捧げようとしているのではないのですか?」
彼女が声を荒げながら尋ねると、キエルは苦笑いする。
「それ以外に方法はありません」
「・・・!」
「皇太子殿下が私たちセイトン家を懲罰するために剣を抜いたとき、家の代表である私が自ら首を捧げるならば、殿下もそれ以上にセイトン家の血を流そうとはしないでしょう」
キエルは、より大きな血が流れるのを防ぐために自らを犠牲にするということだ。
もちろん、セイトン家の旗印と名誉を守りながらも、大きな血が流れるのを防ぐ方法は、それが唯一だった。
家主である彼がすべてを背負って犠牲になること。
「とんでもない。それはあり得ないことです」
マリは激しく首を横に振った。
他の人たちは名誉な死だと言うかもしれないが、彼女はそう思っていない。
彼が死ぬのを見ることはできなかった。
しかし、キエルハーンは首を横に振るだけ。
「私は大丈夫です。私一人の命で家門の名誉を守り、血が流れることを防げるのなら十分お得なことですから」
話にもならないことだ!
マリは彼の淡々とした声に胸が張り裂けそうだった。
まさかキエルが自分の命を犠牲にして家門を救おうとするとは・・・。
なんとかして彼を止めることはできないでしょうか?