こんにちは、ちゃむです。
「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。
今回は32話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
32話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 王都ハイドン
王都ハイドンは3つの城壁が幾重にも建てられた都市で、身分や職業によって入れる区域が制限されている。
最初の最大の城壁は、王国人や入国許可書を持つ外国人に許された。
二番目の城壁は貴族階級以上の身分を持つ者とその使用人が通ることができた。
最後に三番目の城壁の内部は王家の人物とその侍中、そして一部の高位貴族に限って許可される場所だった。
構造がこうなので、王都ハイドンでは「城壁を越えた」という言葉が大きな成功を成し遂げたという意味に通じるほど。
そのような点から見れば、クラリスはまさに「大成功」を収めたわけだ。
彼女はハイドンに来た初日から3番目の城壁を越えることができたからだ。
囚人である彼女がこの途方もない城壁を一気に乗り越えることができたのは、マクシミリアンの保証のおかげ。
公爵一行は3番目の城壁の入り口からさほど遠くない小さな離宮を使用することが許された。
いくつかの騎士は「公爵様にこんなみすぼらしい離宮を出してくれるなんて、殿下もひどい」としてこっそりと不満を吐露したが、クラリスは考えが違う。
白い壁にきれいな空色の屋根と窓枠がついた可愛い宮は、まるで童話から出てくるような外観。
マクシミリアンに連れられて室内に入ってみると、木と壁紙で飾られた壁が一番先に目についた。
「柔らかそう」
いつの間にか石壁のシェリデンに慣れていたのだろうか?
クラリスは久しぶりに見る木の壁がなんだか面白かった。
(早くモチと家を探検したい)
もしかしたら、ここにも話を交わす石があるかもしれないと思うと、心臓がドキドキした。
「クラリス」
公爵は彼女を2階の子供部屋に連れて行き、注意事項を教えてくれた。
「はい?」
「家の中の一部はまだ掃除中なので、探求活動は明日に延ばした方がいい」
「それはちょっと残念ですね」
クラリスは両屑を落としたが、透明な窓越しに振り向いてすぐに別の計画を立てた。
「それならあそこに見える噴水台までは探検してもいいですか?」
「うん?」
マクシミリアンはクラリスが指差すところを一緒に見る。
「離宮庭園の中に入っているのだから、別に問題になることはないだろう。外に出なければ、庭園は自由に探求してもいい」
「本当ですか!?」
「そうだね。ここでも新たな発見があるといいね」
「あると思います。なぜなら、私が本当に隅々まで探求するからです!」
「そうだね、騎士たちに話はしておく。私はしばらく席を外さなけれはならないようだから」
「どこへ行くんですか?」
「陛下に挨拶をするつもりだ」
「あ・・・」
クラリスはある日、死刑場で会った美しいサッパーズの王を思い出した。
『忘れないで、兄さん。その子が18歳の誕生日になる日には、首を切って私に持って来なければならないということを』
そう言う時、王は真っ白な笑みを浮かべていた。
なんだか怖く感じられる・・・。
(あの方は・・・私が18歳になることを快く思っていないようだった・・・)
それに彼はこの地で一番高い人だから、たった一言の言葉でクラリスの大切な人生を終わらせることもできるだろう。
(それは嫌だ。怖い)
クラリスは震える指先で公爵を見上げた。
「公爵様、私が立派な18歳になる予定だとお話頂けますか?」
「・・・」
「あの日の決定を・・・陛下も後悔してはいけないので・・・」
「分かった」
クラリスはやっと少し微笑んで、約束のように言った。
「私は必ず素敵な18歳になります。よく育ちます!」
「・・・」
それはかなりの誠実さだったが、マクシミリアンは返事をしなかった。
もしかすると、言葉が見つからないような気も。
(私が公爵様を困らせたようですね)
しょんぽりと頭を下げるとmすぐに彼女の頭の上に大きな手がポンと上がってきた。
クラリスはそっと瞳を上げて彼を見上げ、頭上に感じるぬくもりに思わず「えへヘ」と笑ってしまう。
マクシミリアンが離宮を去ると、クラリスはすぐに庭に出てモチを取り出す。
「どう?すごいでしょ?」
クラリスはモチを手のひらの上に置き、その場でぐるりと一周した。
邸宅の周辺にはクラリスの背丈よりもっと大きい常緑樹が存在している。
きれいに手入れされた青い葉に茎や枝がほとんど隠され、まるで巨大な緑色の壁のように見えたりもした。
庭の中央には機能しない噴水とそれから続く狭い飾り用の水路。
今は水が満ちていないが、おそらく夏にはこの道に沿って水がちょろちょろ流れているようだ。
この飾り用の水路は庭を囲む緑の壁の向こうまで続いていた。
クラリスは水路の両端に足を広げて立っていた。
急にどうしてかは分からないけど、なんだか面白かった。
「コー!」
「転ばないよ。前に歩いて行くこともできるんだから」
クラリスは大きく開いた橋でよろめきながら水路に沿って歩き始める。
「コー!」
「怪我しないって」
さらに数歩進んでいたクラリスは、少し窮屈な気分になり、頭と耳を覆った帽子を頭の上にさっと取り出した。
きれいに整えられていた髪の毛がライオンのように舞い上がる。
「涼しい。こっちは冬なのに暖かそう。あれ?今、私、首都が暖かいと言ったよね?」
クラリスはよろめいた足取りを止めてくすくす笑った。
「コオ?」
「それが、私が本当にシェリデンの子供になったようで。庭師のおじいさんが言ってたけど、シェリデンの子供は首都の冬なんか暖かく感じるだろうと言ってたから」
クラリスはあごを少し上げた。
偉そうにでもするように。
「私はシェリデンの子だ」
「・・・こう(普通そんなにうぬぼれて風邪をひくものだよね)」
クラリスは再び水路に沿って大きく開いた両足を動かす。
しかし、この楽しい冒険もほとんど終わりに近づいているようだった。
いつの間にか高くそびえる常緑樹の前に到着したのだ。
「コオ?」
「ここからこれ以上行ってはいけない。公爵様がダメだとおっしゃったから」
「コ」
「何か音が聞こえるって・・・?」
クラリスはごつごつした木にそっと耳を傾ける。
モチは何か話し声が聞こえると言うけど・・・いざクラリスの耳には何も聞こえなかった。
「何の音も・・・あ」
クラリスはすぐに正解を知った。
モチの耳には聞こえるが、クラリスの耳には聞こえないもの。
クラリスは水路の下にびょんと飛び降りる。
膝を少し越える程度の深さなので危険ではなかった。
モチをさっと自分の肩の後ろ、髪の毛の間に座らせて、床に伏せる。
どうやら常緑樹の木の下には「話す石」があるようだ。
「王宮にはどんな石があるのかな?」
好奇心を持ったクラリスは這うように前に進む。
木の葉でできた低いトンネルを通る時は、頭と体をさらに低くして這っていった。
そうしているうちに、ある瞬間。
ドーンと頭頂部がとても硬いところにぶつかり、大きな星がくるくる回る感じがした。
「痛っ!」
クラリスはすぐに頭を抱えながら床にうつぶせになる。
空気が通じているようだったが、壁でもあったのかな?
「ああ」
いや、壁じゃなかったらしい。
頭の上で男の子の声が聞こえるのを見ると。
(誰だろう?)
クラリスはまだひりひりした頭をこすりながらこっそりと頭を上げた。
木のトンネルが暗いせいで、相手の姿はぼんやりとした影だけ見える。
「誰ですか?」
クラリスは非常に慎重に尋ねた。
「・・・」
相手の答えがなかったが、その代わりにクラリスの髪の毛の間にいたモチが耳元に「コオ」と静かにささやいてくれた。
「怒ったって・・・?」
びくっ。
彼女の話に相手はしばらくびくびくしているようだった。
「ぶつかってすみません」
クラリスはさっとリンゴを渡すと、相手は返事の代わりに数歩後ろに下がった。
クラリスがすぐに距離を縮めてついて行くと、慌てたのか慌てて木のトンネルの外に抜け出してしまう。
クラリスもすぐにトンネルを抜けた。
すると、しばらく闇に慣れた瞳で強い日差しが白く落ちてきた。
ぼやけた視界でトンネルで出会った相手の姿がちらつく。
大人ではなかった。
確かに考えてみれば、このように狭いトンネルを大人たちが通れそうになかった。
クラリスは熱心に目を瞬かせる。
その都度、相手の姿がもう少し鮮明に見えた。
淡い金髪、瞳に影を落とすほど長いまつ毛、驚くほと透明な青い瞳・・・。
なんだか大人げに見える少年だった。
不便そうなスーツをコートまで完璧に着飾った姿のために、そのように感じられたのかもしれない。
少年もやはり、闇から抜け出したばかりのクラリスを驚いた目でじっと見つめていた。
王都ハイドン。
新しい石との出会いはあるのでしょうか?
そして謎の少年との出会い。
彼の正体は?