こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
今回は114話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
114話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 戦争の終わり
カラディス戦はすぐには勝負がつかなかった。
カラディスを含む魔道連合国がエデン帝国殲滅戦を繰り広げたためだ。
ラルクの言う通り、本来ならエデン帝国はカラディスに敗北する予定だった。
しかし、その歴史が変化する。
彗星のように登場したある少年英雄が戦場を席巻したためだった。
その英雄はまさにクリード。
クリードは現世で唯一の「大魔法使い」として名を馳せていた。
早くも敗北に終わるべきだった戦争が長引いていった。
ただ皇帝の息子であり、大公という理由で、大体戦場の片隅に橋のように挟んでおいたクリードは、次第に軍隊の中心になる。
立派な将校になったのだ。
それがせいぜい彼の年齢、16歳の時に起きたこと。
年が経つにつれ、首都にはクリード・アイルツ大公に関する無数の話が広がった。
「皇帝陛下は本当にお子さんの教育がお上手でした!」
クリードが戦功を積むほど、ユリッヒは次男に対する愛着が強くなった。
急に魔力石の充填、という気の狂った技術を持って現れ、産業革命を起こしたエセルレッド公爵家に対する嫉妬が厚くなるほど、彼の寵愛はさらに格別になっていく。
「エセルレッドもすごいですが、一体ファミリア百貨店のオーナーは誰でしょうか?まだ正体が明らかになっていないんですって?」
「誰かは老紳士だと言い、また誰かは若い女だと言うから、分からない!噂だけ聞いてみると変装術がすごい人だと思うよ」
「それでなんだけと、今度新しく出た車が・・・」
貴族たちは今が戦争中であるにもかかわらず、その事実を恐れなかった。
何事もない人のように、彼らはカタログを見ながら、新しく買うドレスと新型自動車に全ての関心を傾けていっる。
「どうせ我々が勝った戦争ではなかったのか?私たちにはアイルツ大公がいるから!」
クリードの活躍でエデン帝国の勝利が確定的だったためだった。
ユリッヒはクリードの戦功をさらに膨らませ、非常に大きく称え、影響力を増大させた。
それがダイアナとアレスの機嫌を損ねているという事実は少しも重要ではない。
「大公はどんな人でしょうか?」
「すごいイケメンだそうですが」
「実際、首都で一番欲しい新郎が大公殿下ではないでしょうか!」
人々は偉大な英雄であり、早く首都に戻ってくることを望んだ。
そうしてもう1年が経つ。
さらに2年が経った。
そのようにクリードが二十歳になった時、ついに長い戦争が終わった。
エデン帝国の大勝利だった。
クリードはゆっくりとまぶたを開き、曇った視界で何度も瞬きをする。
頬に触れる柔らかい布団の感触、きれいな日差しの匂いがどこかかすかな記憶を呼び起こした。
いいや、単なる記憶ではなかった。
目の前にナビアがいたから。
クリードは目を丸くしてあたりを見回す。
「・・・ああ、エセルレッドか」
私がどうしてエセルレッドにいるの?
彼は当惑して再びナビアを見る。
そうしているうちに気づいた。
ああ、全部夢だったんだ。
「アカデミーも、長かった戦争も全部夢だったんだ」
クリードはぐっすり眠っているナビアの顔を見ながら小さく笑った。
今でもいつものようにナビアと同じベッドで眠っているが先に目を覚ました日の一つのようだ。
あるいは寝たふりをして、そっと目を覚ましてナビアをしばらく眺めていた時とか。
クリードは気怠い幸せを感じながら、ナビアを眺めていた。
そうするうちにナビアが眠りから薄く覚めると、早く目を閉じながらまた寝るふりをする。
ぐっすり眠そうな声が自分の名前を呼んだ。
その声がとても甘くて心臓がびりびりと嗚る。
髪の毛を渡す手が感じられた。
優しく愛らしい手振りとともに、クックッと笑う声にクリードは我慢できず、目を開ける。
ナビアの顔が見たかったから。
そして。
「クリード」
目の前に彼女の顔があった。
大人になった悦惚とした美しい姿で。
はっ!
クリードはあわただしい目であたりを見回した。
さっきまでエセルレッドの離れだったのに、体が今の半分にもならない幼いころの姿だったのに・・・。
ここは列車の中だった。
彼は自分の体を見下ろす。
いつの間にかラルクと同じくらい大きくなった背と筋肉がしっかりとした体にびったりフィット安い黒い制服が目に入った。
「・・・夢だったかな」
そう、当然夢だろう。
自分はナビアの最近の姿を見たことがないから。
クリードはため息をつきながら上半身を後ろにもたれた。
彼女に会えなくなってもう9年になる。
最後に受け取った肖像画が18オの時の姿だったので、どれほど長い時間彼女を見なかったのか分からなかった。
それでもクリードは、ナビアの成長した姿を思い浮かべるのが難しくなかった。
ナビアがポールリモフの魔法でたびたび成人の姿をした記憶が生々しく残っていたためだ。
ところが、その姿が夢に出たのは初めてだった。
しかもベッドの上で・・・。
クリードは大きな手で顔を荒く掃いた。
目の前で成熟した姿で自分を甘く眺めてきれいに笑っていたナビアを忘れようとするみすぼらしいあがきだ。
(なんでよりによってそんな夢だったんだ?)
「はあ・・・」
クリードはいらいらしてため息をつく。
耳をすでに真っ赤にしていた。
見てはいけない夢を見た罪悪感が彼を押さえつける時だった。
「大公殿下」
クリードが一人乗りしたファーストクラスで副官が近づいてきた。
クリードは何事もなかったかのように無邪気な顔で静かに横を向く。
「どうしたの、シュレ?」
日差しを背にしていても、クリードの目鼻立ちははっきりとした存在感を誇った。
そのどの部分も無駄に作り上げなかった、神の被造物である彼は存在立るたけで周りの風景さえ違って見えるように作った。
たとえば、ここが首都に戻る列車の中ではなく、皇居大宴会場の真ん中のようだとか。
シュレ副官は、上官の美貌に依然として慣れておらず、しばらくはぼうっとしていた。
副官だけではない。
クリードを初めて見た人であれ、よく見た人であれ、前髪をきれいに分けて新しく合わせた黒い制服を着た姿を見れば、間違いなく同じ反応を見せるだろうから。
「シュレ副官、答えは?」
クリードは冷たい声で副官を呼び戻す。
すると、副官がびっくりした表情で姿勢を正した。
「申し訳ありません!」
「いいよ。用件は何だ?」
「まもなく列車が首都に到着する予定なので、準備するようにと申し上げに来ました。こちら、マントです」
クリードは凱旋将軍なので、列車を降りるとそこから皇居まで馬に乗って儀典隊と一緒に華麗なお出かけをしなければならなかった。
「置いて行け」
「はい!失礼します!」
軍紀が強くなった副官は、手に持っていた箱をテーブルに置いて素早く消えた。
クリードは箱をちらりと見て窓の外に覗線を向ける。
日差しを切り取る鼻筋と固く閉じた唇は、成人したばかりの青年らしくない濃い男性美を漂わせた。
クリードは胸から手紙を取り出す.
ナビアが一番最近に送った手紙だ。
どれだけ何度も何度も見たのか、手紙の角がすでにすり減っていた。
彼は赤い蝋燭につけられたエッセレッドの印章に向かって唇をそっと押さえた。
このように当事者は知らないキスが何回目なのか、届かない告白はまたどれほとなのか数えられなかった。
「会いたい」
早く彼女に会いたかった。
一本一本丹念に描き出したような眉毛が、ナビアに対する懐かしさで少しゆがんだ。
深い陰影を作り出す目元とその中に位置したひときわ涼しく輝く壁の中に切々とした感情が漂う。
愛を自覚していた若々しい少年はいつの間にか大人になった。
体が離れているので、大人になって当然の感情もやはり彼の背丈ほど大きくなっていた。
この状態でナビアを見ると、我慢できないようだ。
「しかし我慢しなければならない。お姉さんは、私と感情が違うから・・・
クリードは真剣な表情で感情を隠そうとした。
弟として愛されても大丈夫だった。
ナビアが自分に注ぐ心だけは本物だったから。
だから、その愛情を受けて飲み、この深い渇きを満たせ。
クリードは複雑な表情でマントの入った箱のふたを開ける。
列車はいつの間にか首都に到着していた。
クリードの大活躍も気になりますが、ナビアの方は順調なのでしょうか?
9年ぶりの再会はもうすぐ?