こんにちは、ちゃむです。
「大公家に転がり込んできた聖女様」を紹介させていただきます。
今回は62話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
62話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 鉱山へ③
やっと気がついた後、ノアがいたずらにエスターをちらりと見てみた。
「ひどい。私の顔がそんなに面白いの?」
まだ笑いを止められなかったエスターが腰まで折りながらキャハハと笑う。
「ごめんね、本当に。くぅ、ただ笑いが、止まらなくて」
「あなたは本当に・・・。きれいに笑うから何もできないし。私が顔を諦めた方がいいよ」
ノアは自分が諦めると言って、エスターの手を握って顔に土をわざとたくさんつけた。
そのせいで再び爆発したエスターの笑いは伝染してノアに、再びドロシーとビクターに、鉱夫たちにまで伝えられる。
あまり面白いことでもないのに、みんなでそうやって笑った。
しばらくして。
エスターはやっと笑いが収まったので、大きく息を吸い込んだ。
笑いすぎて声がかれたようだった。
「ふぅ、やっと終わったね」
「でも、どうして泣くの?」
「私が?」
全く知らなかったエスターが素早く目元に手を近づける。
本当に目元がびしよびしょになっていた。
「目に何か入ったみたい」
慌てて手でさっと目を通す。
それからノアに申し訳なくなり、袖を上げて頬をこすった。
「よく落ちないんだけど、どうしよう?」
「大丈夫だよ。今みたいに笑ってばかりいれば、いくらでも埋められていいから」
ノアの言葉が真心だということは、過度にまっすぐに伝わってきた。
その気持ちがありがたくてまたにっこり笑う。
ところが、急に笑いすぎたせいか、口元に痙攣が起きた。
「うわぁ、疲れた」
全身に力がぐっと抜ける気分で、エスターはそのまま座り込んだ。
四方が土なので服が汚れるだろうが、全部何の関係があるのかと思った。
今はただ気分がとても良くて、このまま余韻を感じたかった。
ノアもエスターのすぐ隣に座りだから、手を前に伸ばしてばっと広げる。
「私、手が大きいね」
エスターは何も考えずにノアの手を見る。
ところが、本当にエスターの手の2倍の大きさだった。
「そうだね」
エスターが手を広げるとノアがこっそりと自分の手をその上にのせる。
「つるはしを使いすぎたみたい。力を分けてくれ」
「私も大変だから駄目」
エスターが手を引くと、ノアはとても残念がって手をたたんだ。
「エスター、もしかしてアクセサリーが好きなの?」
エスターはすぐに首を横に振る。
もともとアクセサリーに興味がなかった。
持ったことがないし、必要だという気もしない。
「じゃあ、指輪もないの?」
「うん」
ノアは「よかった」と鼻歌を口ずさむ。
そして、ズボンのポケットから先ほどのダイヤモンドの宝石を取り出した。
「これで指輪を作ろうか?そして、私と分けてつけるんだよ」
「なんで?」
本当になぜそうしなければならないのか分からないという表情のエスダーを見て、ノアが頭を下げる。
「じゃあこれ私が持って行ってもいい?」
「あなたが掘ったんだから持って行って」
「ありがとう」
ノアは何を考えているのか,ダイヤを日に照らしながらしっかりとポケットに入れた。
「やっばりダイヤだね」
物欲がなさそうに見えたノアまで、ダイヤは欲を出すのを見て、エスターがそっとうなずく。
「エスター、空を見て。今日はすごく晴れてる」
「空?」
エスターはノアの話を聞いて関心もなかった空を見上げる。
雲一つなく青空は目に染みるほど澄んでいた。
ぼんやりと空を眺めていると、突然ドロレスの言葉が思い浮かんだ。
「ノア、あなた、知ってる?」
ノアはエスターの言うことを聞くために首を横に振った。
「何?」
「皇子様の中にあなたと同じ病気にかかった方がいるんだって」
そして、そのまま凍りついてしまった。
「・・・どこで聞いたの?」
「衣装室にドレスを合わせに行ったときに」
「それ以外に他の話は聞かなかったの?名前とか・・・」
「うん。聞いてないんだけど」
ノアはエスターが自分を探ってみようとするのではなく、ただ言った言葉だということを知って安心した。
「そっか・・・」
エスターはノアの声が沈んだことを感じ、首をかしげる。
急に元気がなさそうに見えるだけでなく、不安な人のように唇をむずむずさせていた。
(私が何かミスしたのかな?)
エスターはノアの急変した雰囲気に当惑し、瞬きをする。
ノアはしばらく黙ってエスターをじっと見ていた。
そうしてやっと口を開いた。
「エスター、私、あなたに話してないことがあるの」
今まで聞いたどんな声より真剣だったし、笑わずに話すノアが見慣れないように感じられた。
エスターは何かおかしいと思って三つ編みの髪をいじくり回した。
「いや、話さなくてもいいよ」
話したくないことがあれば、あえて言う必要はなかった。
エスターもノアに隠している秘密がとても多いから。
「言いたいんだ」
しかし、すでに心を決めたノアは、エスターの方にもっと体を傾けてから、ゆっくりと話した。
「その皇子が私なんだ」
「・・・え?」
「私が第7皇子だよ。今はどうせ追い出されて身分を失った立場だが」
話す機会がつかめなかっただけで、最初から隠すつもりはなかった。
「皇子だって?」
エスターは自分が今きちんと聞いたのか噛みしめながらぼんやりとノアを眺める。
「・・・」
大公家に養子となっただけでは足りず、皇子と親密になっていたとは。
以前の自分なら、本当に想像すらむなしい縁だろう。
「びっくりした?前もって言わなくてごめんね」
ノアは驚いたエスターを見てそわそわする。
ひょっとして傷ついたのではないかと心配になった。
「驚いたんだけど、大丈夫」
しかし、予想外に早く安定を取り戻したエスターがノアを凝視しながら首を横に振る。
「言ってないだけじゃないか」
考えてみればノアは自分が皇子だと言ったこともないが、同時に皇子ではないと言ったこともなかった。
初めてノアを描くことを紹介してくれた人が貴族ということを考えると、今まで知らなかった自分がバカだった。
そして、なぜあらかじめ言わなかったのかと問い詰めるには・・・エスターがノアに話していないことがあまりにも多かった。
「私も何も言ってないことが多いんだ」
エスターは息を吐きながら地面についた。
そのまま手を握りしめると、やさしい感触とともに指の間から土が入り込んだ。
「じゃあ、これはどう?」
ノアはエスターの手が置かれた位置を確認し、自分の手をそっと動かして横に置いた。
手を握る勇気はないが、小指同士がぶつかるほどの非常に小さな接触。
「お互いに言ってないことを一つずつ話すんだ」
「いやだ」
エスターはノアの手に土をいっぱい握りしめ、それから手を抜いて土をはたばたとはたく。
「分かった。じゃあ、あとでやろう」
拒絶されたノアは悔しいと頭を下げ、すぐに回復してエスターを見てにこにこ笑う。
ノアの冗談のおかげで、しばらくぎこちなくなった雰囲気が元に戻った。
ノアの言葉のように皇子だったが、今はその身分を失った皇子や孤児だったが、大公家に養子縁組されたエスダナ出身を考えても何の意味もないことだ。
エスターはノアをいつものように扱うことにした。
「もうすぐパーティーだね?」
「うん。来週だよ」
「その日は何を着るの?」
衣装室で合わせたドレスを大まかに描写すると、ノアは直接見ることができないことを非常に残念に思った。
「もし誰かがもうあなたにパートナーになろうと言っても断ってね」
「なんで?」
「最初のダンスは意味が深いんだ。待ってから後で私と踊ろう」
どれだけじっと見つめながら話しているのか。
エスターの顔がかっかと火照った。
「知らない。あなたはどうせ来ないじゃないか」
エスターは腰を振りながら席から飛び起きる。
そしてドロシーとビクターがいる丘の下を走った。
今日に限ってノアとあまりにも多くの時間を一緒に過ごしたようだ。
もっと一緒にいるのは危険だった。
エスターが来るのを見て待っていたビクターが手を振る。
「ダイヤは馬車にもれなく移しておきました」
「うん、もう行こう」
「顔が赤いですが・・・無理したんじゃないですか?」
「赤いなんて!見間違えたんだよ」
エスターは自分を心配してくれるビクターの目を避けて頬を覆う。
頬が赤いなんて・・・隠したかった。
そしていつの間にか追いついたノアは。
「必ず私と踊るの。分かった?」
馬車に乗った後も、エスターの耳に向かって同じ言葉だけを繰り返した。
ノアが第7皇子だと知ったエスター。
けれど、特に対応はこれまでと変わらず。
パーティーも近づいていますが、エスターの最初のダンスパートナーになるのは誰なのでしょうか?