こんにちは、ちゃむです。
「夫の言うとおりに愛人を作った」を紹介させていただきます。
今回は56話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
56話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- セルベニアでの出会い⑤
エドワードは最後の内容を確認し、資料を脇に片付ける。
ロレインの言葉通り、書類上だけで見ては寝たり目覚めたりした人たちに共通点はなかった。
領地にある魔法石は食事の前にすべて処理したが、黒魔法にかかった人々を救う方法は依然として五里霧中だ。
「進展と言えるものがあるにはあるんだけど」
エドワードは自分が処理した魔法石の数を数えた。
領地内だけでも30を超える数。
かなり大きな大きさの魔法石を多数使用したということは、それだけ裕福な人の仕業だという意味だった。
特に、いくら裕福であっても、これほど多くの魔法石を使用できる人は極めて限られている。
あまり汚染されていない魔法石を確認した結果、全て同じ人が作った魔法石ではなかった。
多くの場所で大量に購入したという証拠だ。
「これほど大きな規模の黒魔法を使う集団は今までなかった」
愚かな皇帝が国政をきちんと顧みないので、彼らも大手を振っているようだった。
最初の目的地がこの付近だったので、ペリルス周辺で起こる事件も今回の事件の首謀者が関連しているかもしれない。
セルヴェニアは、わざと領地の状況を皇帝に知らせなかったようだ。
だから今回の出征地域からも抜けたのだろう。
皇帝に借金をすれば、セルヴェニアは再び皇室と縁ができるはずだから。
エドワードが無表情な顔で椅子に背中をもたせかけ、眉間を寄せながら体をまっすぐにした。
トントン。
タイミングよく誰かが部屋のドアをノックする。
入ってこいという言葉が出るやいなや、ドアが開いた。
そこには書類の代わりに木箱を持ったロレインが立っていた。
「殿下は何も変わっていませんね」
「どういう意味か」
「肩ではないようで、腰や背中のほうですか?」
「・・・やっばり夫人には隠しきれないですね」
「どうやら、お休みになれなかったようです。まずベッドに行きましょう。傷の部位を見てみましょう」
エドワードは返事をする代わりに静かにベッドに向かう。
彼が上着を脱ぐと、筋肉がぎっしりと編まれた白い上半身の後ろに背中にある傷の部位が現れた。
「ああ、うつぶせになってください」
エドワードがうつぶせになるとmロレインは箱を開ける。
そこには白い布と水薬、薬草が入っていた。
「セラピストの実力も悪くないし、大きな傷でもないのに、こんなに悪化したのを見ると体の調子がよくないようですね。顔色を変えてくれる水薬が疲れまで隠してくれることはありません。私のようなキャリアのセラピストの目は隠せません。数日森で野宿した人にしては顔色があまりにも良いじゃないですか」
「騎士団内のセラピストの勧めで回復剤も飲みましたが」
「百粒飲んでも一日ぐっすり眠ることができないでしょう。最後にお会いした時、不眠症は
なかったと思いますが」
ロレインは傷口の治療中に手が止まる。
彼女の目は大きく開き、苦しそうに歪んだ。
「その後にできたものみたいですね」
「・・・」
「この薬を飲んで隠すコツまでできているのを見ると、ずいぶん前のようです」
「夫人が気にすることではありません」
静寂が流れた。
ロレインは手を動かし続けたが、彼女の考えはすでに別の方向に向かっていた。
皇帝の死後、セルヴェニアはエドワードから先に背を向けた。
だからといって皇帝の側に立つことはなかったが、それは明らかにセルヴェニアがエドワードを恨むという言葉と同じ。
ロレインはエドワードが今までセルベニア側に特別な知らせを送らなかったのが、彼もセルベニアに裏切られたと感じるためだと考えた。
彼もまた彼らを憎むことができた。
それでもっと気楽に彼を恨むことができた。
「どうお過ごしなのか、たびたび気になっていました。私は当然殿下がセルヴェニアを嫌うものだと思っていました」
「・・・」
「ところで、なぜセルベニアに与えるのですか?」
「与えたことはありません。騎士団はセルベニアに助けを受ける立場です」
彼の答えは表向きは正しいように見えた。
騎士団はセルベニアの城に滞在しながら、彼らが準備しておいた情報を書き取ったからだ。
しかし、セルベニアの立場では、それはどうせやるべきこと。
皇帝の命を受けてきた大公の騎士団にセルヴェニアが協力を断る名分はなかった。
だから騎士団は、希望する情報だけ取った後、団員の状態が好転するやいなや、彼らの事情は知らないふりをしてそのまま去ってもセルベニアは何も言えなかっただろう。
エドワードはセルベニアに与えるのが正しい。
彼はあえて事件の原因を知らせ、直接魔法石を除去するだけでは足りず、平然と解決策まで共有しようとしていたからだ。
「ルイーゼは演技が下手な子でしたね。恋人でもないのに、その子に合わせてあげたのは、私がその子を殿下から引き離すように誘導するためでした」
エドワードはかすかに笑った。
「離すのは諦めました。もう変にルイーゼさんを見ていると、まったくそんな決心がつかないんですよ。今後しばらく離れていなければならないことがあります。そのときにルイーゼちゃんが泊まる場所がここなのもいいんじゃないかと思います」
エドワードは彼らが本格的に動くときが近づくと、ルイーゼを首都ではない他の地域に泊まらせるつもりだった。
なるべく彼女の心が不自由になるような光景は見せたくなかったから。
そこがセルヴェニアなら、それもまたそれなりに良い対策だろう。
「とにかく、昔からそういう面が気に入りませんでした。殿下は当然のように一人で決めて、また一人で責任を負おうとします」
ぴしゃり。
ロレインは無傷の方の背中を打った。
「手がとても辛いです。それでも大公ですが」
「私がこの時でなければ、いつ皇族の体をむやみに叩くことができますか。憎らしい皇太子殿下に一度は栗を食べさせてみるのが夢だったのに、それをいつも叶えていますね。それでどうするつもりですか。ルイーゼをここに置いて行くんですか?」
「あくまでもルイーゼさんの意見を優先するつもりです。まだ時間がありますから。選択肢は多いほどいいのではないでしょうか」
「あの子を私が一日も早く殿下から奪わなければなりませんね」
ロレインの言葉にエドワードは静かに笑う。
「ルイーゼがレンシアに似ているので、剣を使うことができます。殿下がここまで連れてきたのを見ると、実力がかなり優れているようです」
「はい」
「元夫が皇帝派だったと言っていました」
「・・・そうです」
「離れていなければならないことというのは単純に出征が危ないからというだけではないようですね」
「出征が危ないからです。少なくともセルヴェニアはそういうふうに知らなければなりません」
それは今後、皇帝を相手にすることにエドワードがセルベニア家を引き入れないという返事だった。
「私たちがよくやったからといって、こんなにかばっているんですか」
「恋人の家族ですからね」
ロレインは苦笑いで返事を返す。
彼女は昼間見たエドワードの目を思い出した。
あの殿下がこんな顔をすることになるとは。
相手がアレン・ディ・セルベニアの娘だなんて、本当にひどいことだった。
治療はすぐ終わった。
ロレインは彼の腰に紙の絆創膏を貼り、箱をばたりと音を立てながら閉めた。
彼女はベッドサイドのテーブルに消炎、抗生物質、鎮痛効果のある錠剤の瓶を置いた。
「10日間、1錠ずつ食後に飲んでください。また似たような傷を負って膿んだらその時にまた服用してもいいですが、服用期限は1ヶ月を超えてはいけません。次に行くようでしたら一週間休薬期をお持ちください」
「はい」
「召し上がらないようですが、睡眠に役立つ薬も別にいくつかお持ちします」
「ありがとうございます」
エドワードはベッドに座りシャツを着て、下からボタンを閉め始めた。
「もし何かあったら・・・」
沈んだ彼の声に箱の取っ手を握ったロレインの手に力が入る。
「ルイーゼさんをよろしくお願いします」
「当然のことを」
ロレインはいつものような声で答え、箱を片づけて部屋を出た。
エドワードは上着を着てベッドにもたれかかる。
今日はまた、彼の前に与えられた長い夜をどう過ごせばいいのか途方に暮れた。
エドワードの傷にルイーゼは気づいていないようです。
彼の傷はそこまで酷いのでしょうか?
魔法石を設置した犯人も気になりますね。