こんにちは、ちゃむです。
「あなたの主治医はもう辞めます!」を紹介させていただきます。
今回は110話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
110話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 確保
ロマンはセルイヤーズ公爵領に到着するとすぐに捕らえられた。
「ば、馬鹿な、ホアキン隊長?」
彼は自分を冷ややかに見つめているホアキン隊長を見上げて驚愕し、大声で叫んだ。
「私が誰だか知っていてこんなことをするのか? 誰か主人を呼べ! 隊長! この公爵領の主は私の姉なのだぞ!」
「すぐにお目にかかることになるでしょう。」
ホアキンは冷静に言い放ち、騎士たちに命じて彼を地下牢に放り込んだ。
彼の体を流れていた不吉な予感は、地下牢で彼を訪ねてきたイサベルの表情を見て現実のものとなった。
イサベルはまるで死刑宣告を下す若き裁判官のように冷酷な目で彼をじっと見つめている。
「ただ一つの血縁だという理由だけであなたを疑うわけにはいかないわ。あなたはただの甥だ。それなのに、どうして私たちにこんなことをしたんだ?」
「お、誤解です、姉上。私の話を聞いてください。」
「ウェデリックがエルアンに果物を食べさせたのです。その果物の成分をフェレルマン公爵とリチェが明らかにしました。」
ウェデリックがエルアンにその果物を知らないまま全部食べさせるよう指示したのは明白だった。
長い時間が経ってその果物が問題を起こすことはないと思っていたのに、なぜ今になってこれが決定的な要因になったのか、理解に苦しむところだった。
「そ、それは・・・多分ウェデリックも知らなかったのでは・・・」
「ああ。皇室の医療研究チームが直接作った果物をウェデリックがよく知らずに受け取り、それをエルアンに食べさせたのだって?君ならそれを信じることができる?」
ロマンはイサベルの性格を非常によく知っていたため、さらに心が暗く沈んでいくように感じた。
幼い頃からイサベルはロマンよりも何事にも優れており、冷静さでも比較にならないほどだった。
セルイヤーズ公爵と結婚し領地を出ていき、栄華を極める中、自ら爵位を返上すると宣言したときには内心穏やかではいられなかった。
それまで蓄積されていた劣等感から、ハエルドンが接触してきたとき、内心の歓喜を感じたようだった。
「フェレルマン公爵夫人が親情に駆られたようだな。ラベリ島に行くには、彼の領地を必ず通らなければならないと言っていたが?」
ある日、荒れ果てた辺境の洞窟を抱えるだけの地方の男爵に、ハエルドン皇帝が初めて接触した日、ロマンは胸が高鳴るのを感じた。
「セルイヤーズ公爵夫人との縁のために、フェレルマン公爵が自分の夫人を委託する手紙を送ったと聞いた。夫人を客人として迎え、その際抱えている娘を殺せ。可能であれば、その夫人も一緒に殺して構わない。」
「え?聞かれたらどうすればいいのですか?」
「人目につかない辺境ではないか。誰にも知られないようにするのが男爵の責務だ。」
なぜその娘を排除しようとするのかと問うと、彼はただ自分の計画を妨げる存在になり得るからだと答えた。
ロマンは、上の方々の事情を詳しく尋ねることはできないことを十分承知していたため、ただハエルドンとアルガの関係が思ったほど良好ではないのかもしれない、と考えるだけだった。
「子どもを失う苦しみを、ありとあらゆる珍しい薬や香りで和らげるつもりだ。その通りにしてくれ。」
「そ、それは・・・」
「代わりに、他人が気づかない毒を二種類用意しよう」
ハエルドンは吸血鬼のような笑みを浮かべながら提案する。
「セルイヤーズ公爵が今夜か明日にも来るそうだな。」
「二人さえ死ねば、その領地の主がいなくなるのではないか。」
ロマンは、セルイヤーズ公爵夫人とエルアンが自分の血縁だとあえて言葉にすることができなかった。
なぜなら、ハエルドンが未だ幼い異母弟であるジェイド皇太子を殺し、反乱を起こすと断言していたからだ。
彼はロマンに、自分の側につくなら確実に忠誠を誓うべきだと言った。
そして、既に多くの高位貴族が署名した反乱軍の名簿に自分の名前を載せなければならないと告げた。
どう見ても変わり者の男が手を貸すのは容易ではない状況で、ロマンは反乱軍の計画に困惑するというよりも、むしろ心が揺れるのを感じていた。
ウェデリックがセルイヤーズ公爵領の主となれば、この高位貴族たちと肩を並べることができるかもしれない、という考えに胸が高鳴ったのだ。
「どうせあそこにいるフェレルマン子爵の娘と夫人がうまくいかなければ、精神的にも生活的にも持ちこたえられないだろう。明らかに廃人になるだけでなく、その毒を見抜ける者もいないさ。」
どうやって気づいたのかはわからないが、シオニーはこの恐ろしい状況に気づくと姿を消してしまった。
後になって追いかけたときには、すでに娘を出産し、どこかに送り出した後だった。
人員を使って追跡したものの、彼女を殺すことに成功しただけで、娘の行方は突き止めることができなかった。
目撃者が多すぎて、遺体そのものを隠すことはできなかった。
このままでは収拾がつかないと考えたロマンは、偽の証人を作り、アルガに嘘をつくことに。
アルガがセルイヤーズの主治医を辞めれば、ロマンの計画もさらにスムーズに進むことは明らかだった。
しかし、ただ一つ、ハエルドンとロマンの予想を裏切る事態が。
アルガが娘を探すために主治医の職を辞した時期に、彼と親しかったセルイヤーズ公爵が病で急死してしまったのだ。
この出来事に対する罪悪感から、アルガは再び公爵家に戻り主治医の役割を果たした。
アルガが作った果実型の毒薬が特定の場面で使用された可能性を疑う者もおり、その真相が明るみに出ることを恐れ、ロマンは不安を隠せなかった。
また、ウェデリックにエルアンの口を封じるよう何度も命じたが、主治医としてのアルガの権威が彼らの行動を制約していたため、全てがスムーズに進むことはなかった。
ハエルドンはジェイドを陥れるため、長い間毒物を仕込んでじわじわと蝕む計画を立てていたようだった。
しかし、ジェイドの身体は毒に耐える力があり、海の波間に捨てられる直前まで生き延びることができた。
しかし、計画を途中で妨げる出来事があった。
失敗したのはハエルドンだけではない。
ロマンの計画もまた、突如入り込んできたリチェによってすべて台無しになった。
そして今、ウェデリックは行方不明となり、自身の領地と地位も消えてしまいそうだった。
「お前の救った命を受け継ぎたいのならば。」
焚火に揺れるイサベルの顔が冷たく映る。
「さらに、お前の息子の命を救いたいのならば。」
かつてセルイヤーズ公爵が死に、数多くの反乱者たちを処刑していくその残忍さが再び思い出されるかのような言葉だった。
ロマンは再びその場を見回し、深い息を飲んだ。
「知っていることをすべて話すんだ。」
イサベルはロマンの前に何かを投げ落とした。
それは血に濡れたウェデリックのクラバット。
「私たちはすでにほとんどの真実を知っているの。君がそれと一致しない嘘を言うなら、それは君自身の手で君の家族を殺すようなものになるわ。」
「お、お姉さん、ちょっと待って、待ってください・・・」
「君たち一家が命をつなげるためには、矛盾のない答えを出すしかないわ。」
ロマンはイサベルの言葉の意味を理解する。
ウェデリックの運命がかかっている状況で、ロマンは最終的に真実を語るしか選択肢がなかった。
セルイヤーズ公爵領の陰謀が絡んだこの事件では、ロマンは自分の告白をもってジェイドをかばうことを決意した。
皇太子は反乱軍の存在を認め、反乱軍の名簿に名前が載ったロマンとウェデリックを即刻処刑するつもりであった。
ジェイド皇太子は純粋な人物だったが、そのために簡単に冷酷な判断を下すこともできる人物だ。
何の戦略も考えず、反乱軍を全員片付けてしまうような決定を平然と行う可能性もあり、「反乱軍名簿?読むの面倒だな。ただ全員殺せばいいだろう。」と軽々しく言い放つことができる性格であった。
奇跡的に内部告発者の庇護を受けて生き延びたとしても、反乱軍の秘密の隠れ家に身を隠したとしても、どこであろうとすぐに暗殺される運命にある。
もはや彼を守れる余裕も、土地も財産も存在しなかったからだ。
生き延びる可能性が残されているとすればただ一つ、セルイヤーズ公爵が助け舟を出すことだけだった。
彼の安危を脅かそうとした裏切り者を自ら捕らえ、その息子たちを罰する決定を下せるならば、わずかに希望があった。
それが起こり得ることだった。
イサベルの言葉を聞いて、彼女がすぐに自分を殺す気がないことが分かった。
それゆえ、ロマンは死にたくないという一心で、イサベルの提案を受け入れ、何も考えずにひたすら彼女に従った。
もちろん、それは非常に危険な判断だった。
イサベルとエルアンの間には親しい信頼関係があるわけではなく、お互いの価値観を共有しているわけでもなかった。
ただ、彼らに共通していたのは「死ぬのが一番楽だ」という考えを持っている点だけ。