できるメイド様

できるメイド様【209話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

209話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 囚われの身②

その答えに、マリは目を大きく見開いた。

まったく予想外の答えだ。

『私を欲している……?』

しかし、すぐに彼の言葉が単純な愛情表現ではないことを悟った。

彼の瞳には、彼女への愛や優しさは微塵も感じられなかった。

そこにあるのは、むしろ憎しみに近い激しい感情だった。

「正直に申し上げましょう。私はあなたが憎いのです。心底、破滅させたくなるほどに。」

ストーン伯爵は自分の心の一部をさらけ出した。

彼は彼女が憎かった。

悪意に染まった自分とはあまりにも異なる存在である彼女が。

しかしこの感情をただの憎悪と表現することはできるのだろうか。

闇が光を憎むように、しかし同時に魅了されるように、彼の胸の奥底では彼女を切望する気持ちが渦巻いていた。

それゆえ、彼の胸には矛盾した感情が同時に渦巻いていた。

彼女を徹底的に引き裂き、破壊したいという悪意と、同時に彼女を手の中に収めたいという渇望。

その相反する感情の渦の中で、ストーン伯爵は口を開いた。

「国民を想うあなたの隠された心、犠牲。それらすべてが憎いのです。徹底的に破壊したいほどに憎いのです。」

冷酷な声色に、マリは息を飲んだ。

「それで?それで私に何を求めているのですか?」

ストーン伯爵はすぐには答えず、代わりに別の質問を投げかけた。

「答える前に一つだけ尋ねたいことがあります、モリナ女王。あなたはどうしてクローアンの王になったのですか?あなたがクローアンの王になることを拒否しなかったのはなぜですか?」

ストーン伯爵の言葉に、マリは唇を閉ざした。

彼が述べた通り、彼女は王になることを望んでいたわけではない。

「実際、どれだけ逃げたくても逃げられなかったのでしょう?周囲が勝手に押し付けた責任だけを引き受ければ済む話なのに。それなのになぜ、望みもしないことを続けているのですか?」

「……」

何も答えられないマリに、ストーン伯爵が冷静に言葉を続けた。

「あなたを必要としている王国民の思いを裏切ることができないのでしょう?」

「……なぜそんなことをおっしゃるんですか?」

ストーン伯爵はくすくすと笑い始めた。

その笑いは徐々に大きくなり、やがて響き渡るほどの大笑いとなる。

マリは困惑した表情で彼を見つめた。

「やはりあなたらしいですね。素晴らしい。では、私があなたに求めるものを話しましょう。」

ストーン伯爵は続けて言葉を発した。

「クローアン王国を捨ててください。」

「……!」

マリの目が驚きで見開かれた。

「クローアン王国を捨てて我々西帝国に降伏してください。そうすれば、あなたにいかなる危害も及ぼしません。」

マリの指先が震えた。

全く受け入れられない話だ。

もし彼女が西帝国に降伏すれば、彼女が命をかけて守ろうとしたクローアン王国はそのまま滅亡するだろう。

それは、彼女が受け入れられる選択肢ではなかった。

むしろ彼女には名誉ある死を選ぶ方が適しているように感じられた。

そうすれば少なくとも、クローアン王国は彼女の遺志を継ぐことができるだろう。

その時、ストーン伯爵が誘惑するように言葉を続けた。

「そもそもあなたはクローアン王国の王になりたいと思ったわけではないでしょう?ただ彼らが勝手にあなたを押し付けただけのこと。」

「……。」

「西帝国に降伏すれば、何の危害も加えません。それどころか、安楽な一生を保証しますよ。」

その甘い誘惑を聞いた瞬間、マリは彼の本心を悟った。

『彼は私が臣民たちを見捨てる姿を見たいだけだわ。』

マリは冷たい表情で言った。

「もし拒否したら、どうされるつもりですか?」

ストーン伯爵は答えた。

「あなたが苦しむことになるでしょう。」

「……!」

あまりにも冷酷な言葉だった。

マリは歯を食いしばった。

「それでも、拒否します。」

どんな目に遭うか分からなかったが、それでも受け入れるわけにはいかなかった。

その提案を受け入れた瞬間、彼女以外のすべてが崩れてしまう。

王国の臣民たち、そして彼女が愛するラエル。

そのすべてを犠牲にするくらいなら、むしろ彼女が苦しむ方がましだった。

「後悔しませんか? どんな目に遭っても?」

「いいえ、後悔しません。」

ストーン伯爵は妙な光を宿した目で彼女を見つめた。

「あなたは……本当に気に入らないですね。嫌いです。」

そう言った瞬間、彼が思いもしなかったことをした。

マリの襟を掴むと唇を奪ったのだ。

「ん……!」

マリは抵抗して手で押し返そうとしたが、彼は固く掴んだ手を離そうとしなかった。

その時、彼女とストーン伯爵の目が交わった。

「……!」

ストーン伯爵の目には一片の欲望も宿っていなかった。

まるで無機質なものを見るような無感情な目。

マリは唇に感じた冷たさ以上に、その目の光に震え上がった。

そして彼の首元を拳で叩き、強く突き飛ばした。

「……!」

ストーン伯爵は顔をしかめながら彼女から後ずさった。

その口から血が滴り落ちた。

マリは恐怖と嫌悪が混じった目で彼を見つめた。

彼が次にどんな行動を取るのかを考えると、胸が高鳴った。

しかし幸いなことに、ストーン伯爵は彼女を辱めるようなことはしなかった。

「クク。どうであれ構いません。王国民のために自らを犠牲にしようとするあなたの崇高な意志、尊敬しますよ。」

「……もし私を辱めるつもりなら、いっそ潔く殺してください。」

「そんなことはしません。」

ストーン伯爵は微笑みながら、彼女をじっと見つめた。

「実のところ、ヨハネフ3世はあなたを極力丁重に扱うよう指示しました。ですから、これ以上の無礼は致しません。」

彼はさらに続けた。

「ただし、これから先、あなたの目の前で、あなたにとって大切なもの全てを壊していくつもりです。クローアンの貴族、王国、さらには東帝国の皇帝まで。あなたの目の前で、一つずつ破滅させるのです。」

「……。」

マリは口を固く閉じた。

ストーン伯爵の美しい瞳には、陰りのある悪意が宿っていた。

マリは震えた。

「だから、あなたが苦しむ姿を見たいのです。苦しみに耐えられず、あの誇り高き心を捨て、私の前で跪き、哀願する姿を見たいのです。」

彼は茫然と膝をつくマリを見つめ、冷ややかに微笑んだ。

「これからが楽しみですね。」

その頃、東帝国の東部地方では、ラエルが率いる東帝国軍が、東方教国の大軍と対峙し、激戦を繰り広げていた。

「クライム子爵が、平野での会戦に勝利を収めたとのことです。」

「幸いだな。」

ラエルは軍営で報告を聞きながら軽く顎を撫でた。

東方教国軍は東帝国軍の二倍以上の規模だったが、ラエルの卓越した指揮のおかげで戦況は悪くなかった。

「これから侵攻してくるであろう西帝国軍が問題だ。」

「はい、そうです。」

オルンは重い表情で言った。

東方教国も手強い相手だが、さらに大きな問題は西帝国軍だ。

東側では東方教国と戦い、西側から西帝国軍が押し寄せてきた場合、どれほど天才的な戦略家であるラエルでも打つ手はなかった。

「実はその件で報告したいことがあります。」

「何だ?」

「モリナ女王がクロネ山脈で西帝国軍に対して防衛線を敷いたそうです。」

まだ詳細な情報は届いておらず、マリがストーン伯爵に向かったことについても知らされていなかった。

この報告を聞いたラエルの体は一瞬震えた。

「モリナ女王が?」

モリナ。

その名前を聞いた瞬間、ラエルの胸がズキリと痛んだ。

痛みと共に胸が締め付けられるような感覚が込み上げ、彼の表情は硬く曇った。

「クローアン王国としては、可能な限り西帝国との戦いを避けるのが最善だと思われるが?」

「西帝国のストーン伯爵が非常に無理な要求をし、交渉が決裂したとのことです。」

ラエルはその言葉を聞いて情勢を把握した。

「そうか。ヨハネフ三世が持病で倒れたため、こんな変数が生じたのか。」

「はい。もしヨハネフ三世が健在であれば、確実にクローアン王国と戦争にはならなかったでしょう。」

ラエルは一旦沈黙し、深く考え込んだ後、軽く息をついた。

オルンは彼が今後の情勢を検討しているのだと感じ取り、口を開いた。

「クローアン王国が西帝国と対峙することになったこの状況が、どのような変化をもたらすか分かりません。堅固なクロネ山脈を頼りにしていると言っても、強大な西帝国軍にどれだけ耐えられるか……。」

オルンは、ラエルが心配している人物がマリであることを知っているため、慎重に言葉を選びながら様子を伺った。

ラエルは重い表情でグラスを握りしめた。

「分かった。それ以上の報告は必要ない。」

オルンが退室すると、ラエルは仮面を脱ぎ、苦悩の表情を浮かべた。

「マリ……。」

オルンの考えと同じ内容を耳にしたラエルの心には、今後の情勢ではなく、マリを心配する気持ちで満ちていた。

「西帝国と戦って敗れたらモリナ……いや、マリはどうなってしまうんだ?」

今すぐにでも彼女の元へ駆けつけたい。

すべてを投げ捨てて、彼女を守りたいという衝動に駆られた。

彼女があまりに心配で、もし彼女が何かを誤るかもしれないと思うと、気が狂いそうだった。

「はあ。」

しかし、その瞬間だった。

突然、幕屋の中へ突風が吹き込んできて、燭台が大きく揺れ、倒れて砕け散った。

「……!」

ラエルは彼女を思っていたときに起こったこの出来事に、顔をしかめた。

彼は、マリがいるであろう西の方角に目を向け、固く握った拳を震わせながら、祈るように声を漏らした。

「マリ、お願いだ。何も傷つけられることなく、無事でいてくれ。どうか……どうか……。」

 



 

 

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