こんにちは、ちゃむです。
「継母だけど娘が可愛すぎる」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

374話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 龍との約束
反対側を見てみると、グンヒルドとブランシュがいた。
グンヒルドは少し不機嫌そうに言った。
「急いで戻るようだね。」
「ええ。誰もがあまり長く留まれないようですね……。」
ブランシュもどこか名残惜しそうな表情をしていた。
グンヒルドはブランシュの頭をそっと撫でながら言った。
「たくさん食べて、たくさん成長しなさい。君はまだ小さいんだから。」
「えへへ、そうします。」
「たくさんの特産物を持って帰れるんだから、たっぷり食べるといい。ベリテ、君もだ。」
「妖精はもともと小さいものだよ!どれだけ食べても限界があるんだから!」
「動かすたびに魔力を使うってこと?」
彼女の言葉どおり、下僕たちは膨大な量の荷物を運んでいた。
本当にすべてを移動させるつもりなのだろうか。
その間、セイブルは子どもたちの世話に追われて状況を把握する余裕がないようだった。
ヒルダがイベールの服の裾を掴んでぐずりながら泣いていた。
「嫌!行かないで!」
「うわーん……!」
セイブルはこれをどうすればいいのかと困り果てていた。
カリンが急いでヒルダをなだめに来たが、容易には泣き止まなかった。
「子どもたちのためにも、もう少しここに留まらなきゃね。」
そんなことを考えながら微笑みをこらえ、人々の様子を見ていると、一角の席に立っている誰かの姿が目に留まった。
白い髪と白い服装――ユンだった。
彼はいつもの場所で私たちを見守っているようだった。
私はナディアに心配そうに尋ねた。
「ところで、ユンはこれからどうなるんですか?」
「うーん、ひとまず中立地帯で一緒に暮らすことにしたわ。すべてを受け入れるっていうのが、この地域の方針だから。」
わぁ、なんて寛大な判断だ。
ドラゴンさえも受け入れるなんて。
その決断に心から感心していたところ、ナディアが微笑みながら肘を軽く突き、「ちなみにカリンが被害補償はきっちり要求するように言っていたわよ。だってドラゴンだから、いろいろ巻き上げられるものがあるでしょう?カリンって本当に賢いわよね。」と冗談めかして言った。
いやいや、そんな風にドラゴンを利用してもいいの?
寛大なのか、それとも無知なのか、よくわからない。
「危険じゃないんでしょうか?何といってもドラゴンですよ。」
「まあ、少なくともあの逆鱗が回復するまでは完全なドラゴンに戻れないって、グンヒルドが言ってたわ。だから無理に戦うこともないみたい。少しは安心できるわね。」
うーん、少なくとも大惨事にはならなさそうだ。
ユンとグンヒルドがいれば何とかなるだろう。
戦いの場面を思い浮かべると、どういうわけか胸がざわついた。
それでもユンはここに受け入れられていた。
まだ完全にその中に溶け込んではいなかったが、私は一瞬躊躇しつつも足を踏み出した。
「ナディア、ちょっとユンと話をしてきます。」
以前ドラゴンに変化した姿が思い浮かび、少し怖気づいたが、私はためらいながらユンの元へ歩み寄った。
彼は私に気づき、視線を向けた。
「もう帰るところか。」
彼は少し疲れた笑みを浮かべた。
胸に刻まれた傷跡が、首元まで見えていた。
私は思わず息を呑んだ。
ユンの視線には、どこか温かい雰囲気が漂っていた。
その口元がかすかに動き、静かに口を開いた。
「……お願いだ。一つだけ頼みを聞いてくれないか?」
「私にできることであれば、どんなことでも。」
また自分と一緒に生きるという話をするつもりではないだろうか。
彼はしばらく考え、慎重に言葉を選びながら口を開いた。
「後で……本当に後でだ。お前たちが大人になり、年老いたとき。仲間も死に、自分一人だけが残ったとき。その時には私のもとに来てくれるだろうか?」
私は彼の頼みが理解できなかった。
彼も私がその意味をつかめていないと気づいたのか、説明を続けた。
「人間としての人生はそのまま生き、その後で、ドラゴンになり私と共に生きてみないか?」
「え?ドラゴンになれるんですか?」
「そうだ。ドラゴンになりたがる者たちは昔から多くの財宝を求めていた。不老長寿は多くの人々の夢だからな。」
不老長寿とは。
一瞬、目眩がするような言葉だった。
どれだけ多くの人がそれを願ったのだろう。
ユンは待つと言った。
私が成人し、年老いて祖母や曾祖母になるまで、数百年も待つつもりだと言うのだ。
本当にとんでもない提案だったが、私の答えは一つしかない。
私は彼に視線を向けた。
「私にとっての味方はいつでもセイブリアンだけですから。」
たとえ永遠の命があったとしても、セイブリアンがいなければ意味がない。
短い命でも、彼と最後まで一緒にいることが私には大切だった。
たとえセイブリアンが死んだ後であっても、私は彼の妻として、彼の伴侶として生き続けることを誓う。
それは変わらない決意だった。
「うん、やっぱりそうだね。軽率なことを言ってごめん。」
ユンは予想していたようで、失望の色は見せなかった。
ただ、柔らかい笑みを浮かべてこう言った。
「いつまでもお前たちとお前たちの国を見守っているよ。健康でいるんだ、リリー。」
「ユンもお元気で。」
私は軽く頭を下げて挨拶を済ませ、その場を離れた。
気づけばセイブリアンが話を終え、私を呼びに来ていた。
「リリー、そろそろ行きましょうか。」
「はい、セイヴル。」
私は彼の手をしっかりと握った。
その瞬間、何かが頭上から降ってくるのを感じた。
「えっ、雨?」
突然の雨が少しずつ降り始めた。
空には雲ひとつなかったのに。
セイブリアンが自分の上着を脱いで私の頭を覆いながら言った。
「東部の封印も解かれたようですね。」
まさかユンの仕業なのか。
私は驚いて振り返ったが、ユンの姿はすでにどこにもなかった。
彼が最後に言った「いつでもあなたを、この国を見守る」という言葉が蘇った。
それは、ただ見守るのではなく、守り続けるという彼の約束のようにも聞こえた。
雨は風も雲もなく、長い間乾いていた大地を湿らせる。
暖かい雨だった。







