こんにちは、ちゃむです。
「できるメイド様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

237話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 和平への道⑤
そのようにして、うよ曲折の末、王国軍の一部が起こした騒動は幕を下ろした。
事実、相手側の皇帝を拉致しようとしたことだけでも、協定が破棄されるには十分すぎる事件だったが、ラエルの意向により事件は大きく広がることなく終息した。
ただし、騒動に関与した者たちを処罰することは避けられなかった。
ハメルン男爵をはじめとする者たちは重い処罰を受け、牢獄へ送られた。
そして事件を調査する過程で、全貌が明らかになった。
「ストーン伯爵が仕組んだことだと?」
ハメルン男爵は、これがすべてストーン伯爵の陰謀だったことを知った。
マリとラエルは驚愕の表情を浮かべた。
それでも彼らを悩ませたのは、最後の瞬間まで足掻こうとしたことだ。
ラエルは厳しい声で命じた。
「火で焼き尽くせ!」
まるで魔女を火刑に処すように、兵士たちはラキの遺体を火で焼き尽くした。
ゴウゴウと炎が燃え上がる。
燃え盛る炎を見つめながら、ラエルはマリに話しかけた。
「本当に、すべてが終わったんだな。」
マリは静かにうなずき、目を閉じて感謝の祈りを捧げるように頭を下げた。
一生懸命に治療を受けたおかげで、彼女の身体は大部分回復していた。
ラエルはマリの肩に手を置いた。
「もう二度と君を離さない。」
「はい。」
彼女はラエルの胸に寄りかかりながら、優しく目を閉じた。
「私も、あなたのそばを離れません。永遠に。」
その後、帝国とクローアンは宗教協定と同盟を正式に締結した。
もちろん、ラエルとマリの国婚が中心となった同盟である。
「皇帝陛下、万歳!」
「皇后陛下、万歳!」
以前から二国が一つになることを願っていた帝国民たちは、歓喜の声をあげた。
「戦争が終わったんだな。」
「陛下ならきっと、うまくやられることでしょう。」
王国の民も深々と頭を下げた。
正直なところ、彼らにとって大切なモリナがラエルと国婚を結ぶことには複雑な思いがあった。
しかし、平和が訪れたことを心から喜んでいた。
何より、彼らはモリナであればどんな状況でも、彼らを最善の道へ導いてくれると信じていた。
すべての細かな調整が終わり、条約文書への署名を控えた場で、ラエルは集まった人々に向かって口を開いた。
「……これにより、我々帝国とクローアン王国が和平条約を締結するとともに、同盟を結んだことをここに宣言する。」
それは新しい平和の時代が始まることを告げる声であった。
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それから時が流れた。
厳しい冬が完全に去り、温かな春が訪れた。
咲き誇る花々に喜び、夏の情熱的な暑さを感じ、命の躍動が溢れる季節を迎えながら、いつの間にか1年が過ぎ去った。
秋が近づいてきた。
その間に多くのことが変わった。
クローアン王国は完全に国家の基盤を取り戻した。
荒廃した農地の再建、法制度の整備、商業の進展、貴族の体系の確立。
モリナはあらゆる分野において必要な措置を講じた。
それは簡単な時間ではなかったが、クローアン王国は着実に安定し、王国の民の顔から笑顔が消えることはなかった。
「今年の収穫が楽しみだな。」
「本当にそうだ。今年は豊作だ。」
「こんな豊作がどれだけありがたいことか。」
「すべて国王陛下のおかげだ。」
人々は額に汗を浮かべながら彼女の名前を讃えた。
ここ数年、洪水や干ばつなどの災害に悩まされてきたが、今年は気候も非常に良く、豊作の年となりそうだ。
まるで天が彼女と王国を祝福しているかのように感じられた。
「お元気でいらっしゃるでしょうか?」
「何のことだ?」
「陛下のことさ。無理をしすぎていないか、心配でね。」
誰かの言葉に人々はうなずいた。
彼女が王国のためにどれほど熱心に働いているかは、皆が知っている。
感謝していないわけではないが、元々愛されている彼女なので、みんな心配していた。
「無理しすぎだ。健康が損なわれるんじゃないかと心配だ。全然休んでいないようだし。」
「本当だよ。少し休むことも必要だと思う。」
「他の貴族たちは何をしているんだ?彼女の仕事を少し手伝ってあげればいいのに。」
人々はざわざわと話し始めた。
もちろん他の貴族たちも遊んでいるわけではなかった。
彼女だけでなく、みんなが王国を再建するために昼夜問わず努力していた。
しかし彼らは宴会の準備をしながらそんな話をしていた時だった。
遠くからガタガタと馬車の音が鳴り響いた。
およそ10台ほどに見える荷馬車が到着した。
「帝国南部地方から来た商団だ。」
王国の人々の表情は曇った。
同盟国の商団だなんて。戦争をしていたのはほんの少し前のことだ。
想像することすら難しい出来事だった。
しかし最近、宗属帝国の商団が王国に進出してきた。
それに対して、王国の商人たちも帝国へ行って取引を始めた。
「キャシエンシに行くんだろう?」
「そうみたいだね。」
キャシエンシは王国の東部に位置する都市だ。
モリナは帝国との和親を記念して、帝国に近いキャシエンシを交易都市として育成することを決めた。
帝国の商人たちはキャシエンシで制約なしに自分たちの商品を取引し、彼らとの取引のために王国はもちろん、西帝国や他の同盟国の商人たちもキャシエンシに集まってきた。
そのおかげでキャシエンシは和親の象徴を超えて、大陸全体をつなぐ交易都市へと成長していた。
「俺は帝国の奴らが嫌いだ。」
誰かがぷつりと呟いた。
モリナがどれだけ努力しているといっても、まだ恨みが解消されるには短い時間だ。
しかしその発言をした者は苦笑しながら言った。
「それでも……受け入れようと努力しているんだ。殿下もああして努力しておられるのだから。」
その言葉に、他の人々も黙って頷いた。
彼女ではなく、彼女が努力していることだからこそ、彼らはそれに従うことにした。
まだ感情を解きほぐすのは難しいが、それでもという話だ。
その時、一人の男がにっこり笑いながら言った。
「だけど、そう言う割には……その服は帝国製じゃないのか?」
「うっ。」
指摘された人は困った顔をした。
「そ、それは……市場で安く売ってたんだ。品質が良かったからね。特別な意味はないよ。」
人々はくすくす笑った。
誰かが空を見上げた。
秋が近づく空は晴れ渡っていた。
「いい天気だね。」
そんな日が今日のように続けばいいと願う日だった。
それほど彼らは幸せだった。
当然、彼らはこれからも幸せであるだろうと信じていた。
彼女と共にあるならば、の話だ。
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ぼんやりとした表情で書類を見つめていた。
「……眠い。」
書類を見るマリの目はしょぼしょぼしていた。
「少し休んではいかがですか?」
若い男性が心配そうに声をかけた。
彼女の補佐官として新たに任命されたサミュエルだった。
「いいえ、休むわけにはいきません。今日中にすべて解決してしまいます。」
マリはまだ敬語を使っていた。
周囲の人々が何度も言葉を砕くよう勧めたが、まだ慣れていない様子だった。
「私だって眠りたいけど……。」
マリは心の中でぼやいた。
眠りたい気持ちは山々だったが、どうにもならなかった。
王国がようやく安定を取り戻しつつある過程において、彼女が直接目を通さなければならないことが山積みだった。
「だからこそ、前の王があんなに眠れなかったのか。」
マリは過去のラエルが遅くまで働いていたことを思い出した。
彼のことを心配していたが、今では自分も同じように彼を恋しく思っていた。







