こんにちは、ちゃむです。
「残された余命を楽しんでいただけなのに」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

1話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ
日本はもちろん、国際的にも名声の高い大学の合格通知書を確認した夜。
その日は何かがおかしかった。
ここはどこ?
一生寝て過ごしていた病室とは景色があまりにも違っていた。
黄金色のシャンデリアが見え、壁は象牙色の大理石だった。
ほのかに漂う花の香りも、いつも湿っていた病室の薬臭さとは大違いだ。
お医者さんは?看護師さんたちは?
話しかけようとしたけれど……。
「うわあああ!」
泣き声が響いた。
何だ、何だ?赤ん坊か?
目をぱちぱちさせて見回した。
体に力がうまく入らなかった。
ぐらぐら、ぐらぐら。
力を込めて手を持ち上げてみたが、腕が無性に短かった。
「うわあああ!」
自分の声は意識と関係なく一生懸命泣き声を発していて、ふと視線を横に向けて短い腕を見てみた。
まるでぷくぷくしたソーセージみたいだ。
声が聞こえてきた。
「娘、娘です!」
私は少しの衝撃を受けた。
その言語は日本語ではなかった。
それでも不思議と、聞いた瞬間に自然と解釈できる。
まるで自分の母語のように。
「おお、皇女様がお生まれになりました!」
わあ、私はこの世界に転生したのかもしれない。
それとも、もしかして夢?
私は産婆の言葉に耳を傾ける。
その時、すすり泣く声が聞こえてきた。
「ビロティアン皇家に姫とは……」
よくわからないけれど、私を産んだ母親が泣いているようだ。
母親は私を産んだことを全く喜んでいない様子だった。
それでも私は結構うれしかった。
おっ!ビロティアン!私、これ、知ってる。私、これ、わかる。
ビロティアンは『侍女の悪女が死んだ後に』という小説に登場する皇族の名前。
自らの無力を嫌い、ただ強さのみがその価値を証明するという特異な伝統を持っていた。
子どもたちを子どもではなく後継者候補としか見なさない無情な血族で、500年間男児しか生まれなかった家門でもあった。
ここで皇女イサベルが生まれるなんて。それが私なのか?
ビロティアン皇族の剣術は、男性の魔力回復に合わせて設計され、発展してきた。
つまり、女性はビロティアンの剣術を習得することができないという意味だ。
強さが全てのビロティアンで女性として生まれることは、女性にとって絶望的なことだった。
動揺する産婆を見つめる母親。ビロティアン皇族。500年ぶりに初めて生まれた皇女。私の名前はイサベルだというの?
私が目覚めたこの場所は、『侍女の悪女が死んだ後に』という小説の中の世界に間違いなかった。
17回以上精読したことがある。
登場人物たちの名前は全て覚えており、設定や物語の流れも全て頭に入っている。
私は一生を病床で過ごし、趣味といえば数学の問題を解くことか、小説を読むことしかなかったのだから。
世の中に、こんなことが。本当に夢なのか?
実際、夢だと思った方が説得力はあるが、私は夢よりもこの方が良いと思い、夢ではなく現実だと思うことにした。
「うわああん!」
泣いている最中でも私は嬉しかった。
嘘ではなく、私はこの現実が無性に気に入った。
日本よりこっちの方がずっと良い。
日本にいた私は孤独だった。
私の両親は、私が生まれる前に父が失踪し、母も少し後に私を捨てて逃げた。
二人の顔すら知らない。
そして、私が4歳になったとき、小児がんにかかり闘病生活を始めた。
私は孤児として、マスコミに度々紹介された。
名前も知らない多くの人々の支援のおかげで、病院から追い出されることなく、これまで耐え抜くことができた。
不幸の中での幸運として、私は勉強が得意だった。
[病室で成し遂げた奇跡!]
[奇跡の子ども、東京大学に合格する。]
私の大学合格のニュースは、ニュース番組でも放送された。
それくらいだった。
多くの人が祝福してくれて、持ち上げてくれた。
感謝はしたが、実際のところそれほど嬉しくはなかった。
「どうせすぐ死ぬんだし。」
私は自分の死を確信して予感していた。
その間も体があまりにも痛くて辛かった。
むしろ早く死んで楽になりたいという考えすら起きなかった。
わあ、近所の皆さん、私、体のどこも痛くないんですよ!
泣いているのに痛みがなかった。
胸を締め付けるような痛みが感じられるのが普通なのに。
それだけでもとても嬉しかった。
私がイサベルに転生したなら、21歳で死ぬことになるんだろうね?
イサベルは生まれながらにして不幸だった。
それは、小説の設定である「ナルビダルの烙印」を持って生まれたからだ。
ナルビダルの烙印は手首に刻まれた砂時計のような模様。
生きていくうちに小さな砂粒が徐々に落ちていき、この砂粒がすべて落ちると死を迎える。
生まれながらにして与えられた宿命だった。
まあいい。今はどこも痛くない。
少なくとも21歳まではとても健康で幸せに生きることができる。
どうせ今日明日ではなく、私にはあと21年の人生があるようなものだ。
結構お得だね!
不幸ではあるが、とても健康で美しいイサベルに転生した。
わあ、それならクッキーも好きなだけ食べられる!
ずっと病院食しか食べられなかった。
あの憧れのコーラさえ飲めなかった。
たった一口だけ口に入れたことがあったが、その時は看護師さんにこっぴどく叱られた。
この世界にコーラはあるのだろうか?
自分の体ではないせいか、私は食べ物にとても関心を持つようになった。
トッポッキはないだろうな?
それは韓国料理だから、おそらくないだろう。
レシピは知っているけれど、いや、こんな状況でトッポッキなんてどうでもいい。
……と思ったが、考えれば考えるほど気になって仕方がなかった。
もしかして死ぬ前にお酒も飲めたりする?
どれほど美味しいのか、それにハマってしまうくらいだとか聞いたし。
少し苦いけれど、子どもたちに飲ませないのは嘘だと言うけれど。
死ぬ前に一度はぜひ食べてみたい。
少し大人っぽく、そんな感じのものがあるじゃない。夜景を見ながらワインを一杯、みたいな!
妄想だったけど、それが私の願いなら願いだった。
すううううう!
そんな風に叫んだけど、私の口から出る声はただ「うわああ!」という泣き声だった。
また別の声が聞こえてきた。
「役立たずなものが生まれたな。」
小説の中の台詞そのままだ。
「『役立たずなものが生まれたな。』
彼は感情のない目つきで新しく生まれた少女を見つめた。
彼の目には父性愛(情)のかけらも見つけることができなかった。
私は目をぱちぱちさせて、ぼんやりと現れた顔を見つめる。
そして本能的に言葉を漏らしてしまった。
「うわあ(イケメン)!」
冗談ではなく、本当に驚いた。
こんなにイケメンな生物を見たのは初めてだった。
小説の描写そのままだった。
「『すべての神が彼を作り上げ、美しい者と呼ぶことをためらわなかった。彼は感情のない人形と呼ばれたが、多くの幼子がそのせいで心の病を患った。』」
黒い髪は短く切りそろえられ、眉とまつ毛は非常に濃かった。
瞳はとても輝いていた。
それでも、思わず目を離せないほど美しいその男性は、私の父であるロンに違いなかった。
「へへ。」
私は彼の美しい顔を見た瞬間、自分の乏しい想像力に嘆いてしまった。
私の想像よりずっとイケメンですね。
どれだけイケメンなのか、生まれたばかりの私が泣くのをやめるほどだ。
わあ、瞳が輝いています。それにしても本当にイケメンですね。
私に対してそのような態度を取るのは、この世界では当然のことだった。
ロンは妻をとても愛しているが、子どもを愛したことは一度もなかったのだから。
私はそんな彼を恨まなかった。
小説の中で、侍女の人生を歩むことになったイサベルはやがてとんでもない悪女に成長することになる。
ありとあらゆる悪事を働き、ついには21歳で自然死。
ちなみに余談だが、この冷酷な皇族も、私が死ぬ日に滅びる運命だ。
幼い頃に私が連れ去り、無慈悲に虐げた主人公が改心し戻ってきてビロティアンを滅亡させるからだ。
だから本のタイトルが『侍女の悪女が死んだ後に』だった。
どうせ、私が何をしようと皇族は私に指一本触れないってこと!
つまり、怯える必要はない。
父は私から体を背けた。
私に対して一滴の愛情も含まれた眼差しを向けることはなかった。
少し悲しくはあったが、小説を何度も読んだ読者の視点からすれば、それは十分理解できる反応だった。
では、これで私の侍女人生の判定が下されるわけね。
その時、私の手首に何かを見つけた産婆が口を開いた。
「まあ!ナルビダルの烙印があります。」
この紋章を持つ子どもは、21歳で皆死んでしまいます。
「それで、父親は興味がないと言いながら、部屋を出て行くのね?」
冷たい返事が聞こえてきた。
「興味はない。」
バタン。
扉が閉まる音が聞こえた。
気分は特に悪くなかった。
21年。
21年の命がただでもう一度与えられた。
母のすすり泣く声がずっと聞こえてきた。
「赤ちゃん……」
母は私に謝るだろう。
あなたを産んでごめんなさいと。
「あなたを産んでごめんなさい。」
「うわああん!」
いやいや、私は本当に大丈夫です。
そう言いたかったけれど、言葉が出なかった。
話せるようになったら、絶対に言ってあげようと心に決めた。
私が剣術を習得できないとしても、頭はかなり良い方なんですよ。
それに未来のことは少し詳しく知っているんです。
世界観の最強候補たちのことも知っています。
この世界には仮想通貨に似たものもあるみたいです。
名前は違うが、コインに似たものも存在する世界だ。
10年後にはその価格が何十万倍にも上がる。
さらには、私はそのコインの創設者であるナロモロについても詳しく知っており、未来の有望な魔法使いや魔道工学者、事業家たちの名前も知っている。
よく考えれば、滅亡のフラグを避ける方法も結構ある気がする。
わあ、21年間を無事に生き抜く方法が10個以上ある気がする。
ぐらぐら、ぐらぐら。
体を少し動かしてみた。
やっぱりファンタジーだ。
新生児が意志を持って体を動かすという奇跡を成し遂げた!
……とはいえ、赤ん坊だし、言葉も話せないし、それほど驚くべきことではないけれど。
その理由を探すなら、ビロティアン皇族の血を引いて生まれたからだろう。
とにかく私は一生懸命体を動かしてみた。
産婆は私の切なる気持ちを察してくれた。
「皇后様の元に行きたいようですね。」
産婆が私を抱き上げてくれた。
体がふわっと浮く感覚は結構面白かった。
赤ちゃんの体って大したことない楽しさだね。
私は母であるセレナの隣に横たえられた。
ぐらぐら、ぐらぐら。
私は赤ん坊のように夢中で母の腕にしがみついた。
初めて感じる母の体温だ。
セレナの体は震えていた。
彼女は感動の涙を流していた。
暖かくて心地よい。
新生児の体は多くの睡眠を必要とする。
結局、私も知らないうちに眠りに落ちていた。
母の服の袖をしっかりと掴んだまま。
そして1年が過ぎた。









