公爵邸の囚われ王女様

公爵邸の囚われ王女様【88話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【公爵邸の囚われ王女様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「公爵邸の囚われ王女様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

88話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 新しい友達②

「お嬢さん。」

すぐ後ろにいたノアが、淡々とした口調で声をかけた。

驚いたクラリスは、思わず振り返った。

「びっくりした!」

「知らない人の家に簡単についていくのは、危険なことですよ。」

「知らない人だなんて、新しくできた友達なのに。」

「まるで友達のように言うなよ。」

すぐそばにいたバレンタインも加勢してきた。

どうやら今回は、この二人が揃って異議を唱えているようだ。

「初対面の人の家に気軽に行くのは、あまり賢明とは言えない。最低でも、外で何度か会ってからにするべきだろ。」

「外で会うときも、信用できる人かどうかをちゃんと見極めなきゃね。貴族の令嬢としては……。」

「僕みたいな優秀な友達なら問題ないけど?」

バレンタインが自信満々にノアの言葉を遮った。

ノアは半眼になって、じろりと彼を見つめた。

「……僕みたいに、すべてをよく知っている友達のほうがいいんじゃない?」

「君がクラリスのことをよく知ってるって?」

「少なくとも、お前よりはな。」

「はっ、それなら彼女の変な癖も知ってるのか?」

クラリスはすぐに「そんなのない!」と叫んだ。

しかし、ノアはまるで当然のことのように、冷静に頷きながら答えた。

「知っているさ。彼女は気に入った宝石を見つけると、ひとまず眺める。」

「それは!」

それは眺めるのではなく、そっと唇に当てて、その力を確かめるだけだった。

何か気になることがあれば、やらずにはいられなかったのだ。

とはいえ、それは決しておかしな行動ではなかった。

クラリスは、偉大な彫刻家が石を撫で、何度も唇を寄せて形を確かめるのを何度も見たことがある。

だからといって、自然が生み出した美しい石に対して、クラリスがそっと唇を寄せることが「変だ」と決めつけるのは、少し短絡的ではないだろうか。

しかし……。

この長々とした説明をする前に、バレンタインが手を叩き始めた。

「おお、そうだとも。」

「当然のことだな。」

さらにノアは、どういうわけか大げさに腕を組んで頷いた。

クラリスの能力や特性を知っているはずなのに、なぜか得意げに語るのは、よく分からない。

「君ももう大人なんだから、変なことをしながら歩き回るのはやめろよ。見ていて不安になる。」

「石は汚くないですよ!」

「いや、それは……あれ?」

クラリスをからかっていたバレンタインだったが、彼女が持っている名刺を見た瞬間、急に動きを止めた。

「クノー……?」

「ええ、そうです。」

「彼女がジアナ・クノーだったとは。」

突然真剣な表情になったバレンタインは、先ほどまでクラリスが話していた夫人の姿が消えた扉をじっと見つめた。

「知っている方なんですか?」

「知らないはずがないさ。クノー家は由緒ある名門だからな。」

「えっ?」

「むしろ、お前が知らなかったことのほうが驚きだ。クノー侯爵家は有名だろ。」

意外にも、クラリスはその名を聞くのが初めてだった。

「不運な家柄としても有名だ。領主の邸宅で、幼い娘が誘拐された事件があったからな。」

「えっ……。」

クラリスは、どこかでこの話を聞いたことがあるような気がした。

しかし、それがどこだったのか、すぐには思い出せなかった。

「魔法使いの城にも、彼らの血が保存されているらしい。」

「そうだ。失われた娘を探してほしいと願っていたそうだ。だが、今のところ特に成果は出ていないらしい。」

「夫人があまりにも気の毒だわ。早く娘さんを見つけられればいいのに……。」

「そうだな。」

バレンタインは片方の肩をすくめた。

「こんなことを言うのは気が引けるが、生きている可能性は低い。」

「そんなことを言わないでください!夫人がどれほど娘さんに会いたがっているか……。」

「もしそうなら、むやみに娘を名乗る者が出てくることを防がなければならない。」

「えっ?」

「クノー侯爵は亡くなる前、王に頼み込んだ。行方不明の娘が30歳になる前に必ず見つけ出し、一族の爵位と栄誉を彼女に継がせると。」

「そんなこと……できるんですか?」

「通常は不可能だ。だが、クノー家は名門だからな。驚くべきことに、その請願は認められた。現在は侯爵夫人がその権限の代行を担っている。」

それは、なんとも興味深い話だった。

つまり、世界のどこかで、自分がクノー侯爵家の後継者だと知らないまま生きている女性がいるということではないか。

「でも、なぜそんなことをしてはいけないんですか?」

「当然だろう?そんな事実を知った貴族たちがどう動くか、想像できるか?」

普通なら、失われた後継者を探し出し、本来の地位に戻そうとするものだ。

……とはいえ、クラリスももう15歳だった。

彼女は、すべての人間の心が美しいわけではないことを、すでに学んでいた。

「まず……見つけたら、殺そうとするだろうね。正式に爵位を継ぐ前に、彼女が現れれば、すべての権力を奪われてしまう。」

「そう、正直に言うと気味が悪い話だ。でも、たとえそんな形であっても、娘が生きていると信じたい夫人の気持ちは理解できるよ。」

「ひどい……。本当にみんな残酷すぎる。」

「それはこっちのセリフです!いつまで他人事みたいに考えているつもりですか?!」

その時、三人の背後から、鋭く青い瞳をしたベルビルが近づき、時計を指さした。

朝の運動時間が近づいていたため、三人は慌てて掃除をしていた場所へと戻っていった。

 



 

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