できるメイド様

できるメイド様【231話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「できるメイド様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【できるメイド様】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「できるメイド様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっておりま...

 




 

231話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 共同作業③

『どうすればあの村の人々を救えるだろうか。』

多くの人命がかかっている状況だった。

どんな方法でも見つけなければならない。

『橋を作らなければならない。でも、どんな手段で?』

マリも同じように考え込んでいたが、ラエルを見上げたとき、彼の視線がある場所に向けられているのに気づいた。

『あそこ?』

彼らのすぐ隣にそそり立つ険しい高さの崖があった。

ラエルはその崖をじっと見つめた後、こう言った。

「この上に登る方法はないのか?」

マリは彼の考えを察し、心の中でひらめいた。

『あの崖の上から矢を放てば、反対側の崖に届くはず!』

その崖は約40〜50メートルほどの高さに見えた。

たとえ風が強くても、あの高さから放てば、矢は十分に反対側に届くだろう。

彼らは崖の上に登る方法を知っている兵士を探し始めた。

しかし、アルピエン山出身の兵士たちの中でも、その道を知る者を見つけるのは難しかった。

この崖はもともと人が足を踏み入れる場所ではなかったからだ。

それゆえに、なんとかして道を知っている人を奇跡的に見つけることができた。

それはこの場所で生まれ育った王国の兵士だった。

「道を知っているんですか?」

「はい、陛下。以前、幼い頃にあの崖の中腹まで登ったことがあります。」

これは非常に幸運なことだった。

彼女は少し考えてから言った。

「それでは、今すぐにその道を案内してください。」

しかし、王国の兵士はすぐに動こうとせず、ためらった。

マリは不審な声で尋ねた。

「なぜですか?」

「陛下、本当に申し訳ありません。失礼ですが、一つだけお話ししてもよろしいでしょうか?」

「言ってください。」

王国の兵士は彼女の前にひざまずき、顔を伏せた。

「道を案内すること自体は難しくありません。しかし、陛下、なぜ私たちはこれをしなければならないのでしょうか?あそこにいる人々は全員帝国民です。なぜ私たちが敵である帝国を助けなければならないのか、正直分かりません。」

マリの顔は崩れた。あの兵士が今口にした言葉は、他の人々も同じように思っている可能性があると感じたのだ。

彼女は深く息を吸い、穏やかに言った。

「私の欲望のためです。」

「……?」

マリは静かに言葉を続けた。

それは単なる兵士の疑問だった。

無視して押し切ることもできたが、彼女は自分の気持ちを正直に伝えることを選んだ。

「私は国王として一つの欲望を抱いています。クローアン王国が栄えるのはもちろんのこと、遠くの帝国との憎しみの連鎖を断ち切りたいのです。確かに今はこのようにお互い剣を向け合っていますが、帝国であろうと我が王国であろうと、いつかはその剣を捨てて微笑みながら向き合える日が来てほしい。それが私の望みです。」

その言葉を聞いた王国兵士の表情は曇った。

マリは彼が自分の言葉を簡単には受け入れられないことに気づく。

しかし、それでも彼女は信じた。

憎しみを越えた未来を。

それから兵士が言った。

「陛下、私は力不足かもしれませんが、正直に言います。深い意味を完全に理解するのは難しいですが、陛下が望まれる道であれば、それに従います。」

周囲で話を聞いていた他の王国兵士たちも、深々と頭を下げた。

「陛下のお考えに従います!」

マリは感謝の意を込めた微笑みを浮かべて言った。

「急いで案内してください。時間がありません。」

王国兵士は険しい道を慎重に進みながら、彼らを氷と雪で覆われた道の先へ導き、ついに崖の中腹にある足場に到達した。

「これ以上は上がれない。この位置からロープを反対側に送るしかない。」

ラエルが言った。

マリも彼を見つめ、うなずいた。

強風が吹きつける中、この場所から矢を放って反対側に届くか心配だったが、他に手段がなかった。

どうにか成功することを祈るしかない。

まずは帝国の騎士たちが弓を構えて挑んだ。

パシッ!

しかし、無情にも矢は風に流され、目標に届かなかった。

矢は何度も試みたものの、反対側に届かなかった。

同じ結果が繰り返されるばかりだ。

「こんな……。」

誰もが暗い表情を浮かべた。

この場所から矢が届かないなら、橋を設置する方法はない。

しかし、その時だった。

ゴロゴロ……!

「……!」

マリとラエルの顔色が青ざめた。

村の近くの尾根から轟く音が聞こえたのだ。

それは雪崩が始まったことを示す音。

このままでは、村の住人たちは全滅してしまう。

『何としてでもやり遂げなければ。』

マリは意を決して前に進み出た。

「私がやってみます。」

彼女は弓を手に取った。

以前夢の中で得た名弓手の能力を試してみようと考えたのだ。

『……。』

マリは風の方向を感じながら、静かに目を閉じた。

『果たして届くのだろうか。』

正直なところ、自信がなかった。

距離が遠すぎる上に、何より風があまりに強かった。

『それでも、やらなければならない。』

マリは弓をしっかりと握り直した。

矢をつがえた彼女の手は小刻みに震えていた。

パシン!

そして矢は弓を離れ、空へと飛び立った。

『どうか……!』

彼女は祈るような気持ちで、狭い峡谷を横切る矢を見つめた。

矢はまるで空気を切り裂くようにまっすぐに飛び出したが、峡谷の半分を超えたところで、強風に抗えず力を失い、最終的には反対側の崖に届かずに落下してしまった。

「あ……!」

全員がため息とともに失望の声を漏らした。

そのとき、反対側の崖をじっと見つめていたラエルが立ち上がった。

「今度は私がやってみる。」

「陛下? しかし……。」

誰もが失敗に終わるだろうと感じていたその場面で、ラエルが毅然として立ち上がった。

それでも成功するとは思えなかった。

ラエルが彼女を見つめて問いかけた。

「マリ、私を信じるか?」

「……!」

マリは涙ぐんだ目で頷いた。

「はい、私は陛下を信じます。」

「そうか、ありがとう。」

ラエルは力強い手つきで矢の先端に縄を結びながら言った。

「君と私のためにも、必ず成功させる。信じてくれ。」

ラエルは弓を掲げ、反対側の崖をじっと見つめる。

縄を射って橋を作ることができるか、その瞬間に村の人々の運命がかかっているのは明らかだった。

反対側の崖では村人たちが固唾を呑んで見守り、驚きと緊張が交錯していた。

ラエルは矢を強く引き絞った。強い力で弓がしなる音が響いた。

その場にいた全員が、まるでその瞬間の重みに息を止めたかのようだった。

『神よ。』

全員が緊張した目で彼を見つめていた。

ラエルは静かに目を閉じて祈った。

「私とマリを祝福してください。」

彼は、この矢があの村の人々を救えることを願った。

そして、今日の出来事が両国の和解の種となることを祈りながら、ゆっくりと弓を引き放した。この矢が運命を決めるのだ。

パァン!

縄を結んだ矢が鋭く空を切った。

ラエルが放った矢は、以前のマリのものよりもさらに力強く空を裂いた。

マリは矢が飛んでいく軌跡を見守りながら、心の中で静かに祈った。

「ダメだ、まだ足りない!」

ラエルの矢は、これまでのどの矢よりも勢いがあったが、反対側に届くにはまだ不十分だった。

このままでは風に流されて、途中で力を失ってしまうだろう。

しかし、その瞬間、信じられない奇跡が起こった。

激しく吹き荒れていた風が突然弱まったのだ!

「……!」

そして次の瞬間。

ズバッ!

反対側の絶壁に立てられた木に矢がしっかりと突き刺さった。

「マリ!」

「陛下!」

彼らは互いに目を合わせた。

成功したのだ!

絶壁の下と反対側の両方から歓声が沸き上がった。

ラエルは抑えきれない喜びを押し殺し、再び弓矢を手に取った。

「まだ一本残っている。今回も成功させなければならない。」

橋を架けるには一本の縄では足りなかった。

最低でも二本が必要だ。

今回も神が力を貸してくれるのか?

ラエルが放った矢は、力強く反対側の絶壁に突き刺さった。

「万歳!皇帝陛下万歳!」

「女王陛下万歳!」

ついに、二人が成し遂げた奇跡に全員が歓喜の声を上げた。

「はぁ……。」

ラエルとマリはほっと一息ついた。

これでやっと……。

彼らは急いで仮設の橋を建設し、全員を救うことができた。

「マリ……」

「ラン……」

二人は、どちらからともなくお互いを抱きしめた。

その様子を見守る視線は多かったが、この瞬間、互いへの気持ちを抑えることはできなかった。

「マリ、よく聞け。何があっても、俺はお前を手放さない。」

ラエルは強く彼女を自分の腕に引き寄せ、そう告げた。

「愛している。」

マリはその言葉を聞き、彼の腕の中で目を閉じた。

彼の力強い抱擁は、まるで彼女を絶対に離さないと誓うかのようだった。

「はい、私も愛しています。」

そんな彼らを祝福するかのように、ちょうど雲の間から太陽が顔を出し、温かい日差しが降り注いだ。

その後、帝国軍と王国軍は迅速に仮設の橋を使い、協力して作業を続けた。

「さあ、気を付けて!」

「ここ、ちょっと手伝って!」

最初はぎこちなかったものの、次第にどこからともなく協力の輪が広がり、迅速に橋が完成した。

おかげで雪崩が発生する前に、崖の村の人々を全員救出することができた。

このようにして、最悪の惨事となり得た雪崩災害は、両軍の協力によって大きな被害を出すことなく防がれ、その日の出来事は一帯に知れ渡ることとなる。

「アルピエン山で雪崩が発生したけれど、クローアン王国軍が協力して人々を救っただって?」

帝国軍は信じられない表情を浮かべた。

現在、クローアン王国と帝国は戦争状態にある。

それなのに、そんなことが起こり得るだろうか?

帝国軍はまるで以前の伝染病の事件のように説明し難い複雑な心境を抱えていた。

彼らは王国を侵略しようとしている最中だが、モリナ女王は敵である彼らに恩恵を施しているのだった。

「ヒルデン女王様……」

帝国の人々は、彼女が過去に帝国にいた頃を思い出していた。

彼女のことが再び話題に上がった。

砂糖供給の再配分や聖職者の叛乱事件から、伝染病の解決に至るまで、彼女が帝国のために尽力した事例は数え切れない。

当時、彼女を「奇跡の聖女」と呼ぶ者もいれば、「宮殿に降り立った天使」と称える者もいた。

帝国の多くの人々が、彼女が皇后になることを望んでいた。

『モリナ女王が帝国の皇后となり同盟を結ぶことではダメなのか?なぜ戦争をしなければならないのか?』

もちろん、大臣たちは誰もが、現在の帝国にとっては同盟よりも征服の方がはるかに有利だと語った。

しかし、そんな戦略的な計算をもってしても、帝国軍全体では反対意見が広がっていた。

その理由は単純だ。

誰もモリナ女王に刃を向けたくないと思ったからだ。

彼女は常に善意をもって接してきたからである。

 



 

 

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