オオカミ屋敷の愛され花嫁

オオカミ屋敷の愛され花嫁【35話】ネタバレ




 

こんにちは、ちゃむです。

「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【オオカミ屋敷の愛され花嫁】まとめ こんにちは、ちゃむです。 「オオカミ屋敷の愛され花嫁」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介とな...

 




 

35話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 落馬②

「エイデン!」

私は邸宅に到着するや否や、真っ先にエイデンを探した。

エイデンは病床に横たわっていた。

そっと見ると、ヘレ先生が基本的な処置はすべて終えてくださったようだ。

「大丈夫ですか?」

私はエイデンの様子をじっくり観察しながら尋ねた。

エイデンとは今日が初対面だったけれど・・・。

『ゲイルのところから私を助けてくれたんだもの。』

だから、さっきエイデンをすぐにでも治してあげたいという気持ちを抑えるしかなかった。

私は持ってきた箱をテーブルの上に置いて、エイデンの傷を覗き込んだ。

「はい、大丈夫です、大丈夫ですよ、お嬢様。」

エイデンはかすかに笑って見せながら、そう答えた。

けれど、どこか呼吸が苦しそうだった。

私はベティを見上げた。

「ベティ……ちょっとだけ、私と代わってくれる?」

「お嬢様、まさか……」

「うん?代わってくれるよね?」

ベティは私をじっと見つめた後、深く息を吐いて部屋を出て行った。

私はエイデンの脚にそっと手を当てた。

そして――

ゆっくりと能力を注いだ。

この能力はアルセンの病気を治すときだけでなく、正しく使われていた。

淡い光が指先から走り、エイデンの傷口へと流れ込んでいった。

そして、そう時間が経たないうちに――

「……まさか?」

エイデンはぼんやりと自分の脚を触った。

彼は信じられないというように、ヘレン先生が丁寧に巻いてくれていた包帯をほどいた。

そこには、きれいな脚の姿が現れていた。

「お嬢様、まさか僕のような者に能力をお使いになるなんて……!」

エイデンは驚いた様子で目をまん丸くしながら言った。

「大切な能力をむやみに使ってはいけません。」

「大丈夫。治してあげたくてやったんだから。」

私はそっけなく答えたあと、テーブルの上の箱をそっと隠した。

「それ……デザートなんだけど、もし食べたくなったら食べてね。」

「え?お嬢様、まさか……!」

「じゃあ、行くね! ゆっくり休んで!」

私は何か話したそうにしているエイデンを後ろに残し、そそくさと部屋を出た。

ベティが笑いながら私の後に続いた。

「今度はどこに行かれるんですか?」

「ねえ、ベティ。さっきエイデンと一緒にいたあの女の子見なかった?私よりちょっとだけ背が高い。」

私は頭の上に手をかざして高さを示しながら言った。

ベティがこくりとうなずいた。

「はい、今は空いている侍女たちの部屋に仮に寝かせておきました。」

「案内して。私はその子に会わなければならない。」

ベティがまたうなずいた。

私はベティと一緒に、使用人たちが使う別棟へと向かった。

本館からは少し離れた場所だった。

ベティは別棟の1階、廊下の一番奥の部屋の扉を開けてくれた。

すーっ。

軽い木の扉が開き、隙間から横たわっている少女が見えた。

「ベティ、ここにいてくれる?」

「だめです、お嬢様。騎士様のときは大丈夫でしたが……、あの子は身元もわかりませんし。」

「危なくなったらすぐに呼ぶから、ね?」

「だめです。それに、あの子……狼族でもなくて、”ドルヨンビョン”(変異種)……っぽいってヘルン先生が言ってました。」

「ドルヨンビョン?」

私は目をぱちくりさせた。

ドルヨンビョンとは、異なる種族の間に生まれた子供で、どちらの種族の特徴も持たずに生まれた存在を意味する。

つまり、分類不能な存在であり、うさぎのような耳が生えた鳥のようなもの、というわけだ。

「はい、だから絶対にダメです。」

ベティがきっぱりと言った。

私は仕方なくベティと一緒に部屋の中に入らなければならなかった。

少女はまるで死んだように眠っていた。

「気絶してるの?」

声を落としてささやくと、ベティがうなずいて答えた。

「ショックで気絶したようですって。」

私は唇をぎゅっと結んだ。

ヘレン先生が軽く処置してくれた脚が目に入った。

そして慎重に脚の上に手を置いて、能力を注ぎ込んだ。

薄い毛布の下で淡い緑色の光がかすかに輝いた。

ベティは止められないとばかりに、ため息をふぅっとついていた。

ふふ。

私はにっこりと微笑んだ後、治療を終えて手を引っ込めた。

確実に回復しているのが分かった。

『もしかして目を覚ますかな?』

脚の部分だけを治療したが、それでも目覚めるかもしれないと思い、私はしばらく少女の枕元に座っていた。

しかし目覚める気配がなかったため、ベティが先に私に提案してきた。

「一度お戻りになってはいかがですか?この子が目を覚ましたら必ずお知らせします。」

私はゆっくりとうなずいた。

「うん、必ず伝えてね。」

「もちろんです、お嬢様。」

私は懐に大切にしまっていたマフィンを、テーブルの上にそっと置いた。

さっきデザートのお店でケンドリックが買ってくれたものだ。

私はもう部屋に戻ろうというベティの提案を断った。

「でも、アルセン様が待っていらっしゃるかもしれませんし……」

「アルセン?アルセンは……もう先に食べてるんじゃない?」

買ってきたデザートを食べていて、今ごろ夢中になってるはずだから大丈夫。

私はエクハルトの魔具室へと向かった。

白髪の魔具管理人が、広々とした魔具室を掃除していた。

「おやまあ、小鳥のお嬢様ではありませんか。」

私とベティが魔具室に足を踏み入れると、魔具管理人は笑顔で先に挨拶をしてきた。

「私は魔具管理人のギルバートと申します。」

掃除がほぼ終わる頃だったのか、魔空間の中は思ったよりずっときれいだった。

「うん、ギルバート。もしかして、あの子は……具合が悪くなったりしてない?」

私はギルバートに挨拶をしながら、馬小屋の中をさっと見回した。

ギルバートは手を動かすのを止めて、少し考えるように言った。

「…ああ、騎士様のおっしゃっていた馬のことですね?あの馬はここで育てているわけではありませんが……、一時的に私が世話をしています。こちらへどうぞ。」

ギルバートが先に立って歩き出した。

私はベティと一緒に、ぺたぺたとギルバートの後をついて行った。

到着したのは、馬小屋の一番奥にある小さな厩舎だった。

その中には、苦しそうにシクシクと息をしている馬が一頭、横たわっていた。

ギルバートは困ったように言った。

「転んだときに脚が折れたようです。治療してあげなければならないのですが、普通の家畜ではないので……。騎士様が以前にもこの馬を預けられたことがありましたが、その時もずっと我慢していました。」

ギルバートの声を聞いた馬が鼻を鳴らし、後ろ脚で地面を蹴ってドンと音を立てた。

ふふ。

ギルバートは気まずそうに笑い、一歩下がり、ベティは不安げに私の肩をぎゅっと握った。

私はしばらく馬をじっと見つめたあと、静かに馬のすぐ前へ歩み寄り、しゃがみこんだ。

「お嬢様!」

手を伸ばせば馬の頭に触れそうな距離。

私は巨大な馬の頭をじっと見つめた。

ベティが心配そうに、私を起こそうとした。

「お嬢様、ケンドリック様がデザートをたくさん買ってくださったじゃないですか。戻って坊ちゃんと一緒に召し上がってはいかがですか?」

「そうです、お嬢様。もしものことがあれば危ないですよ。」

ギルバートもまた、私を止めた。

けれど――

『この子が私を攻撃する気はない気がする。』

さっきギルバートが近づいたときに蹴った様子とは違って、エイデンの馬は澄んだ瞳で私をじっと見上げているだけだった。

私はしばらく迷ったあと、魔具室の中にそっと手を差し入れた。

「お嬢様!」

「怖くない、怖くない、お利口さんね。」

そして馬の頭を優しく撫でた。

馬は気持ちが落ち着かないように少し動いたが、すぐに静かになった。

私の手を拒むことなく、穏やかに受け入れる馬の様子が不思議だったのか、ギルバートとベティは私を見つめていた。

「ちょっとだけね、もう痛くしないから。」

私はさっきエイデンや少女にしたのと同じように、ゆっくりと能力を注いだ。

少し前にすでに二度も能力を使っていたせいか、少し疲れは感じた。

でも。

『目の前でケガしてるのを見たのに、どうして放っておけるの?』

それでも以前ほど大変ではなかった。

手の先から薄い光の糸がゆっくりと広がり、馬の脚へと届いた。

同時に、背中の淡い色の羽が少しだけ動いた。

光の糸が折れた脚にしみ込むと、跡形もなく消えていった。

すると。

「うーん……治った?」

「ヒヒーン!」

エイデンの馬がぱっと立ち上がって跳ねた。

そして鼻先をすり寄せて、私の頬にぴったりと押し当てた。

「うわ、くすぐったい!」

「お嬢様にありがとうとお礼を言いたいようですね。」

ギルバートがふふっと笑った。

私は馬の鼻先を抱きしめて、柔らかい頬にキスをした。

馬は嬉しそうに、その場で何度も足踏みした。

「ほら、もう痛くないでしょ?」

私は馬の脚を丁寧に見ながらそう尋ねた。

そして、ふっと笑った。

能力を使ってケガをした馬とエイデン、そして少女を治療したことで、なんだか胸がぽかぽかと温かくなった。

『もっと上手にこの能力を使えたらいいのに。』

そうすれば、もっと多くの使用人や動物たちを治してあげられるのに。

ヒヒーン!

まるでエイデンの言葉に挨拶するかのように、馬が高くいななき声をあげた。

「うん、元気でね。私はもう行くね。もう痛くなりませんように。」

私はエイデンの馬に挨拶をしてから、軽やかな足取りで魔具室を出た。

ギルバートが私の後ろ姿を見送ってくれた。

 



 

 

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