こんにちは、ちゃむです。
「家族ごっこはもうやめます」を紹介させていただきます。
今回は127話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
127話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 異変
「・・・クリード、私、あなたに言いたいことがあるんだ」
ナビアの言葉にクリードが答える。
「私も姉さんに言いたいことがあるの」
2人は同じことを言うことになることに気づいた。
同時にプススと笑いが流れる。
妙な緊張感と甘くて暖かい愛情が周囲をぐるぐる回っていた。
「家に帰ったら話そうか」
クリードは言葉で答える代わりに彼女の唇を含ませた。
ナビアは、もはやこのような場合ではないかのように彼の唇をぎゅっと押し出して、魔力を起こして透明化魔法を使ってみた。
「私、見える?」
彼女が尋ねると、クリードは半透明に見えるナビアの唇に正確にキスをする。
「うん、私の魔力を使って私には見えるよ」
(実は私が透明化の魔法をかけてあげたら、こうなるんだけど)
敢えて真実を今言う必要はないだろう。
「・・・言葉で言えばいいじゃない」
「そうだね。考えられなかった」
彼の狡猾な返事に、ナビアは一瞬言葉を失った。
その間、クリードはナビアと同じように透明化魔法を使い、お互いに手を取り合う。
続けて魔力を供給するために。
「あ、そして私の魔力の香りはアレスが嗅ぐことができる。ちょっと香りをなくしておくね」
認めたくないが、いずれにせよアレスは血肉であり魔法使いだったので仕方がないことだった。
クリードは一時的に魔力のにおいを遮る。
「香りを消すのは長くても30分で終わるよ」
その間に見つからず、皇帝のもとへ行ってこなければならない。
「どうせ百月で治せば終わりだから、10分でも十分よ」
「お姉さん」
クリードは両腕を広げた。
彼女を抱いて移動するという意味だ。
ナビアが素直に彼に抱かれて首に腕を回すと、クリードはかすかに満足そうな笑みを浮かべながら抱き上げる。
彼が手をつけなかったにもかかわらず、自然に施錠されたドアが開いた。
皇城には空間移動の魔法が徹底的に阻まれている。
もちろん、ラルクの前ではそのようなことが全て無用の長物だったが、クリードには確実に影響を及ぼした。
下手に抑止魔法がかかった場所で空間移動魔法を使うと、とんでもない場所に落ちるかもしれない。
(それに私の魔力は不安定で、そういう繊細な運用が必要な魔法は使いにくいし)
クリードは、ナビアを安定的に抱いたまま、あっという間に階段を上って3階に走っていたにもかかわらず、不満を感じる。
(いっそのこと、全部掃いてしまう方が自信があるんだけど)
それでもいつも狂ったように飛び回っていた魔力が、今はこの上なく完璧な安定感を維持していた。
ナビアとキスして安定化したのだ。
では、これからナビアと毎日キスすれば、はるかに高度な魔カコントロールが可能になるだろう。
(う一ん、これはいい方法だね)
あくまでも私心に始められた学究熱だ。
その時、ナビアが口を開いた。
「ちょっと変な雰囲気じゃない?』
クリードはキスからそれ以上のことまで彼女の進度をそらすことに夢中になり、やっと立ち止まる。
「どんな点が?」
「宮廷の人たちが静かすぎる。大騒ぎになっても、もうしばらくはあった状況なのに」
彼女が言ったように、階段を上り下りする宮廷人はほとんどいなかった。
皇帝が倒れたなら、応党議員、その議員の助手、侍従、召使い、各省庁の大臣などで3階が混雑して当然のはず。
皇帝が突然倒れたのも、今の皇居の雰囲気もすべておかしかった。
自分が持っている常識と経験の全てが、この状況と合致するところがなかった。
3階に到着してクリードがナビアを床に降ろしてくれた時だった。
ゾクゾク!
突然、不吉で邪悪な気運が全身を引っ掻くようによぎる。
「何だろう?」
ナビアは目を見開いてあたりを見回した。
変なものは見えなかった。
彼女はクリードの手をぎゅっと握りしめながら尋ねる。
「今、すごく不吉な気配が感じられなかった?」
ナビアがささやいて尋ねると、クリードは不思議そうな顔をした。
「不吉な気運?私は感じなかったけど、どこか具合が悪くなったの?」
彼が心配そうに問い返すと、ナビアは首を横に振った。
(今のは本当に何だったんだろう?)
こんな不吉な気運は生まれて初めて感じるんだけど。
それにそんな気がどうして皇室から漂ってきたのか?
不気味な気運は依然として周囲に残っている。
「感じが良くない」
「急がないと」
彼らは皇帝の寝室に向かう。
皇帝が倒れる前、宴会場は何の不吉な兆候もなく、いつものように騒々しかった。
ヴィヴィアンはアレスと踊った後も同じような動きをして、他の貴族たちに自分の地位を強固にしたかった。
自分はもともとそんなふうに自分を証明する必要のない人だった。
アグニスであり、次期皇后になる人だから。
ところが、アレスがヴィヴィアンを毎回惨めにさせた。
「いくら貴族の結婚に愛がないといっても、アレス殿下は特に乾燥していませんか?まして皇帝陛下と皇后陛下も政略婚ですが、あれほどお元気でいらっしゃいますのに」
「それは、ダイアナ皇后はすごい美人じゃないですか」
「ヴィヴィアン公女も綺麗ですが、どうしてでしょうか?もちろんサラ公女に比べると残念な感はあるんですけどね」
「それとも、すでにお気に召した女の方がいらっしゃるのではないでしょうか?」
「殿下!」
アレスは踊りが終わるやいなやヴィヴィアンをエスコートするところか、群衆の中にさっと消えた。
ヴィヴィアンはこのまま一人で宴会場に残ることができなかった。
プライドが傷ついて死んでしまうかも知らなかったから!
(あなたがどんなにすごい皇族だとしても、敢えて私をこんな風に無視することはできない!)
アレスは人の出入りを制限する区域に悠々と入っていく。
ヴィヴィアンはすぐに彼を追いかけたが、騎士に阻まれた。
「申し訳ありませんが、ここに入ることはできません、公女様」
「どいて」
「だめです。ここは皇族でないと出入りできない・・・」
ジャー!
ヴィヴィアンが鋭い目で、自分を遮った騎士の頬を力強く殴った。
「なんで私の前を塞ぐの?今すぐどけ。私がアレス殿下の婚約者だという事実を知らないんじゃない?」
騎士は殴られた頬に泣きそうになりながらも、相手があえて言葉も付けにくい高位貴族だったので、やむを得ず抜け出した。
どうせビビアンは皇子妃になる人でもあったので、ずっと阻んでいれば事がさらに大きくなるかも知れない。
ヴィヴィアンは騎士を通り過ぎ、周りをさっと見渡す。
「どこにいるの?さっき宴会場でナビアは見えなかったのに・・・」
まさか二人で密会でもしようと?
ヴィヴィアンの淡い光の瞳に狂気に近い怒りが宿った時だった。
アレスの後ろ姿が彼女の視界に見えた。
幸いなのか不幸なのか、ナビアの姿は見えない。
その代わり、全く予想できなかった不思議な光景を目撃することになった。
カドウッ!カドウッ!
霧のような不気味で陰惨な空気が立ち込めている通路に何かが奇怪に動いていた。
(一体あれは何?)
心臓が不安そうにドンドンと動く。
アレスは通路を埋め、立っている黒い人影に,向かって両腕を広げた。
「今日のように完璧な舞台はないだろう」
誰も彼の言葉に答えなかった。
いや、答えはできる存在なのだろうか?
(あんなに酷い何かは生まれて一度も見たことがない)
見るだけでも頭の中で数千匹のアリが這ったりするようだった。
「さあ、これから楽園を作ろう」
スッ!
アレスが話すと、不思議な動きを見せていた黒い人影たちが彼をかすめて通路を通り過ぎる。
ヴィヴィアンはまるで突風に正面から出くわしたかのように両腕で顔を塞ぎ、後ろに倒れた。
「キャー!」
通路はがらんと静まり返った。
アレスだけが.残っていつの間にか彼女を見下ろしている。
ビビアンは彼の目を正面から見るとゾッとした。
そうしているうちにふと変なことを感じた。
(殿下の瞳がもともと紫だったの・・・?)
確かに彼は、父方のユリッヒに似ていて、灰色の髪と青い瞳をしていた。
ところが今、薄暗い光に映る瞳の色は明らかな紫色だった。
ナビアとクリード、お互いに考えていることは同じのようです。
城の雰囲気がおかしいのはアレスが何かを仕掛けたからでしょうか?